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8章(エピローグ)物語は続いていく
137.奥様は旦那様に夢中
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筋トレを早めに切り上げシャワーを浴び、久しぶりのスーツに着替える。そしてこちらも久しぶりとなる眼鏡をかけた。
星歌と出掛け時や戦闘時はコンタクトにしているだが、出勤時や一人外出時は眼鏡にしている。じゃないと繁華街だと特に変な視線が多く、男女問わず逆ナンされ大変な目に合う。
龍ノ介曰くモテ期なのだから楽しめと言われるんだが、興味などない俺には迷惑でしかない。眼鏡を掛けるだけで格段に減るから、眼鏡さまさまである。
「スピカ、何か手伝うことはないか?」
「だったらテーブルセッティングを……っセイヤ?」
料理中のスピカにさっそく聞いてみる。
作業したまま指示をくれるのだが、振り返り俺を見た瞬間赤面し声が裏返る。
????
「スピカ?」
「その恰好は一体なんだ?」
「今日は出勤日だから、会社に行く格好だよ」
何が何だか分からないまま、聞かれた問いを答える。その間なぜか視線を泳がせて、俺と視線を合わせようとしない。
「そうなのか? あ、セイカの様子を見てくるから、あとはよろしく」
「え、あうん」
言うだけ言って、キッチンを飛び出していく。呆気に取られそれしか言えない俺。
オレはまた何か変なことをしでかしたのか?
「スピカの奴なんだよ? あれじゃ恋する乙……なるほど原因はこれか」
入れ替わりに龍ノ介がやって来て、俺を見るなりニヤッと笑い納得する。
「なるほどってなんだよ?」
「筋トレマニアで格闘家のお前が、そんなインテリの格好をしてるからだよ。見る限り相当惚れ直したんじゃねぇか?」
「ほ惚れ直す?」
ようやく理由を理解した途端、体中が熱くなり心臓が高鳴っていく。
スピカはこう言う姿が好きなのか?
「お前いくつになっても、そう言うとこ初だよな? でも夫婦円満で何よりだ。所でオレはこれからも頻繁に来ても良いのか?」
「は、いいに決まってるだろう? 星歌にとってお前は父ちゃんなんだ。俺にとっても家族同然の存在だと思っている」
いつならからかわれるのだが今日は祝福されただけではなく、話題は一気に深刻な話に変わった。龍ノ介らしくない遠慮に、本気で引き留め本心を曝け出す。
龍ノ介がいたから、俺はここまでやってこれた。そりゃぁ星歌のことで嫉妬もしていたが、だからと言って龍ノ介に会わせないと言う選択肢はなかった。
星歌にとって龍ノ介は育ての父親なんだから、来なくなったら淋しがる。それに俺だって。
「その告白はある意味気持ち悪いが、でもまぁそうだな。お前達はオレにとっても家族。星歌との接点が減るのは、特に辛い物がある。そんじゃぁ遠慮なく気軽に遊びに来るわ。──サンキュー」
「ああ。俺の方こそありがとう。なんなら一層隣に引っ越してこないか? 近いうち売りに出すらしい」
龍ノ介も俺と同じ気持ちのようで安心した。頬を赤らめ小声でお礼をされるから、嬉しくなり柄にもなく調子に乗ってしまう。
隣に住む美村さん夫婦に、沖縄に住む娘夫婦と同居する話が出ているらしい。
「それはいくらなんでも展開が早すぎるだろう?」
「そうか? 陽ちゃんのことを本気で考えてるんなら、下準備をしといた方が良い」
「は、馬鹿馬鹿しい。朝飯は適当に食って良いのか?」
結構本気なのだが相手にはされず、今度は朝食の話になる。辺りを見回し食料を探し出す。
普段なら常備しているのだが、あいにく帰って来た翌日。なにもない。
早めに仕事を切り上げて、買い出しに行くしかなさそうだ。
それとスピカの戸籍があるかを確認しに役所へ行かないといけない。
やることは思っている以上にたくさんある。
「そうか。だったら急いで用意するから、座っててくれ」
そう言って龍ノ介を席に座らせ、俺は急いで朝食の準備をする。と言っても後は盛り付けをするだけで簡単だった。
スピカ特製のスープと木の実入りのパン。いい匂いがしてどちらも美味しそうだ。
そんな時階段を勢いよく降りるスピカの足音が聞こえる。そしてドアも豪快に開かれ、
「セイヤ。今度その姿で、あたしとデートしてくれ」
背後から飛びつかれ猫なで声で可愛らしくせがまれてしまう。そんな愛らしい妻がたまらなく愛しくて、押し倒し無茶苦茶にしたくなるが龍ノ介のじっと目で我に返る。
そんなとこ龍ノ介に見られたら一貫の終わりだ。
「分かった。この世界のデートスポットでデートしよう」
「楽しみにしてる。セイカにコーディネーターしてもらう」
子供のように無邪気な笑みで喜ぶスピカ。
その笑顔は反則だ。理性が保てなく
「よかったな。スピカ」
「リュウノスケ? いたのか?」
「そりゃいるよ。オレも星夜と同じスーツなんだが、似合うか?」
微笑む龍ノ介に祝福してくれるも、スピカは目を見開き酷い台詞を発する。
それでも軽く受け返し構うように、俺と肩を並べスーツ姿をお披露目。
「リュウノスケも似合ってて、ヨハン達には受けが良いと思う。だがセイヤの魅力には到底叶わないな」
秒で見比べたスピカは即答で断言する。
そう言ってくれて嬉しい限りなんだが、過剰評価で恥ずかしい気持ちが大きい。
龍ノ介の方がどこから見ても、俺なんかよりカッコいいはずた。
「ススピカ、それはいいすぎだろう?」
「そんなことない。星夜は地上で1番カッコ良い」
「だろうな? なんせスピカのタイプはセイヤだし」
「愛しの旦那様なんだから当然だ」
「…………」
多分俺の顔はゆでダコなんだろう。
自分の席に着き心を落ち着かせるため、近くにあった新聞を読み始める。
俺は今とっても心穏やか(?)で幸せだ。
星歌と出掛け時や戦闘時はコンタクトにしているだが、出勤時や一人外出時は眼鏡にしている。じゃないと繁華街だと特に変な視線が多く、男女問わず逆ナンされ大変な目に合う。
龍ノ介曰くモテ期なのだから楽しめと言われるんだが、興味などない俺には迷惑でしかない。眼鏡を掛けるだけで格段に減るから、眼鏡さまさまである。
「スピカ、何か手伝うことはないか?」
「だったらテーブルセッティングを……っセイヤ?」
料理中のスピカにさっそく聞いてみる。
作業したまま指示をくれるのだが、振り返り俺を見た瞬間赤面し声が裏返る。
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「スピカ?」
「その恰好は一体なんだ?」
「今日は出勤日だから、会社に行く格好だよ」
何が何だか分からないまま、聞かれた問いを答える。その間なぜか視線を泳がせて、俺と視線を合わせようとしない。
「そうなのか? あ、セイカの様子を見てくるから、あとはよろしく」
「え、あうん」
言うだけ言って、キッチンを飛び出していく。呆気に取られそれしか言えない俺。
オレはまた何か変なことをしでかしたのか?
「スピカの奴なんだよ? あれじゃ恋する乙……なるほど原因はこれか」
入れ替わりに龍ノ介がやって来て、俺を見るなりニヤッと笑い納得する。
「なるほどってなんだよ?」
「筋トレマニアで格闘家のお前が、そんなインテリの格好をしてるからだよ。見る限り相当惚れ直したんじゃねぇか?」
「ほ惚れ直す?」
ようやく理由を理解した途端、体中が熱くなり心臓が高鳴っていく。
スピカはこう言う姿が好きなのか?
「お前いくつになっても、そう言うとこ初だよな? でも夫婦円満で何よりだ。所でオレはこれからも頻繁に来ても良いのか?」
「は、いいに決まってるだろう? 星歌にとってお前は父ちゃんなんだ。俺にとっても家族同然の存在だと思っている」
いつならからかわれるのだが今日は祝福されただけではなく、話題は一気に深刻な話に変わった。龍ノ介らしくない遠慮に、本気で引き留め本心を曝け出す。
龍ノ介がいたから、俺はここまでやってこれた。そりゃぁ星歌のことで嫉妬もしていたが、だからと言って龍ノ介に会わせないと言う選択肢はなかった。
星歌にとって龍ノ介は育ての父親なんだから、来なくなったら淋しがる。それに俺だって。
「その告白はある意味気持ち悪いが、でもまぁそうだな。お前達はオレにとっても家族。星歌との接点が減るのは、特に辛い物がある。そんじゃぁ遠慮なく気軽に遊びに来るわ。──サンキュー」
「ああ。俺の方こそありがとう。なんなら一層隣に引っ越してこないか? 近いうち売りに出すらしい」
龍ノ介も俺と同じ気持ちのようで安心した。頬を赤らめ小声でお礼をされるから、嬉しくなり柄にもなく調子に乗ってしまう。
隣に住む美村さん夫婦に、沖縄に住む娘夫婦と同居する話が出ているらしい。
「それはいくらなんでも展開が早すぎるだろう?」
「そうか? 陽ちゃんのことを本気で考えてるんなら、下準備をしといた方が良い」
「は、馬鹿馬鹿しい。朝飯は適当に食って良いのか?」
結構本気なのだが相手にはされず、今度は朝食の話になる。辺りを見回し食料を探し出す。
普段なら常備しているのだが、あいにく帰って来た翌日。なにもない。
早めに仕事を切り上げて、買い出しに行くしかなさそうだ。
それとスピカの戸籍があるかを確認しに役所へ行かないといけない。
やることは思っている以上にたくさんある。
「そうか。だったら急いで用意するから、座っててくれ」
そう言って龍ノ介を席に座らせ、俺は急いで朝食の準備をする。と言っても後は盛り付けをするだけで簡単だった。
スピカ特製のスープと木の実入りのパン。いい匂いがしてどちらも美味しそうだ。
そんな時階段を勢いよく降りるスピカの足音が聞こえる。そしてドアも豪快に開かれ、
「セイヤ。今度その姿で、あたしとデートしてくれ」
背後から飛びつかれ猫なで声で可愛らしくせがまれてしまう。そんな愛らしい妻がたまらなく愛しくて、押し倒し無茶苦茶にしたくなるが龍ノ介のじっと目で我に返る。
そんなとこ龍ノ介に見られたら一貫の終わりだ。
「分かった。この世界のデートスポットでデートしよう」
「楽しみにしてる。セイカにコーディネーターしてもらう」
子供のように無邪気な笑みで喜ぶスピカ。
その笑顔は反則だ。理性が保てなく
「よかったな。スピカ」
「リュウノスケ? いたのか?」
「そりゃいるよ。オレも星夜と同じスーツなんだが、似合うか?」
微笑む龍ノ介に祝福してくれるも、スピカは目を見開き酷い台詞を発する。
それでも軽く受け返し構うように、俺と肩を並べスーツ姿をお披露目。
「リュウノスケも似合ってて、ヨハン達には受けが良いと思う。だがセイヤの魅力には到底叶わないな」
秒で見比べたスピカは即答で断言する。
そう言ってくれて嬉しい限りなんだが、過剰評価で恥ずかしい気持ちが大きい。
龍ノ介の方がどこから見ても、俺なんかよりカッコいいはずた。
「ススピカ、それはいいすぎだろう?」
「そんなことない。星夜は地上で1番カッコ良い」
「だろうな? なんせスピカのタイプはセイヤだし」
「愛しの旦那様なんだから当然だ」
「…………」
多分俺の顔はゆでダコなんだろう。
自分の席に着き心を落ち着かせるため、近くにあった新聞を読み始める。
俺は今とっても心穏やか(?)で幸せだ。
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