巻き込まないで下さい!!オカルト令嬢の婚約破棄騒動

ロク

文字の大きさ
1 / 25

1 呼び出されました!

しおりを挟む

「アスベル様に近づかないで!」

 ヴィヴィことヴィヴィアン・ロイズは放課後、学園の空き教室で三人の女生徒に囲まれ、なおかつそのうちの一人に突き飛ばされて、先程のセリフを吐かれたのだ。

「何をするんですか、おやめ下さい!」

 ヴィヴィアンは机に体をぶつけて派手に転んだが、令嬢たちはクスクスと笑いながら嘲りを隠そうともしなかった。

「あら、ごめんあそばせ。でも貴女がいけないのよ。私たちのアスベル様に近づくから。尻軽女のくせに!」

「本当!アスベル様がお可哀想だわ。誰にでも良い顔をする売女のくせに。初心なふりはおやめになって!」

「全くだわ!貴女のせいで、何組の婚約破棄がされたと思ってるの?恥をお知りなさいな」

「アスベル様の麗しいお顔。輝く金髪、初夏の新緑のような明るい緑の瞳。逞しい胸、引き締まった腰、長い脚!」

「品のある物腰、優しげな笑顔、文武両道でいらっしゃっるのに、少しも偉ぶったりなさらない」

「誰にでもお優しくて、何といっても将来有望な侯爵令息。正に学園のアイドルの一人ですわ!」

「それなのに、どうして貴女みたいな根暗な方と婚約なさってるのかしら?本当にお可哀想だわ」

「アスベル様だけじゃなくってよ!恋の狩人クロード・デューク様や学園の赤の騎士ウォルフ・カイザー様も惑わせたんですって?」

「何ですって!デューク様まで?許せないわ!」

「赤の騎士様もよ!許せない、許せないわ、キィー!」

「他にもサミュエル・ウィストン様やケイン・グラナダ様も婚約破棄されるって聞いたわ!」

「それにダミアン・スミス様もよ!」

「ああ、気が遠くなりそう……」

「ヴィヴィアン様はいつも本ばっかり読んでらして、お友達もいらっしゃらないと思っていましたが、男漁りに精を出されていらしたのね。その手腕を是非ともご教授いただきたいですわ」

「全くですわ!そんな方、アスベル様にはちっとも相応しくないわ!アスベル様こそ、どうして婚約破棄なさらないのかしら?」

「本当!お二人はちっともお似合いでないのに」

「あら、アスベル様だけじゃなくってよ。どなたともお似合いにはならないわ」

「それもそうですわね。失言致しましたわ」

 クスクス、クスクス

 意地の悪い嗤いが教室内に響いた。ヴィヴィアンは呆然と三人の女生徒を眺めて呟いた。

「ちょっと待って!男漁りって何?そんなことしたことないわ。静かな学園生活を送ってたはずなのに、どうして?私こそ何が起こってるのか知りたいくらいよ!!」

 そう、アスベル・リシュルツ侯爵令息は、ヴィヴィアンの二学年上の婚約者だ。婚約者だから仲良くしてもおかしくない、はず。なのに?
 ヴィヴィアンは今置かれている状況が飲み込めずにいた。というか、最近身の回りで起こる出来事に混乱して、何が何だかわからないでいた。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

捨てられ侯爵令嬢ですが、逃亡先で息子と幸せに過ごしていますので、邪魔しないでください。

蒼月柚希
恋愛
公爵様の呪いは解かれました。 これで、貴方も私も自由です。 ……だから、もういいですよね? 私も、自由にして……。 5年後。 私は、ある事情から生まれ育った祖国を離れ、 親切な冒険者パーティーと、その地を治める辺境伯様のご家族に守られながら、 今日も幸せに子育てをしています。 だから貴方も勝手に、お幸せになってくださいね。 私のことは忘れて……。 これは、お互いの思いがこじれ、離れ離れになってしまった一組の夫婦の物語。 はたして、夫婦は無事に、離婚を回避することができるのか?

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

転生モブは分岐点に立つ〜悪役令嬢かヒロインか、それが問題だ!〜

みおな
恋愛
 転生したら、乙女ゲームのモブ令嬢でした。って、どれだけラノベの世界なの?  だけど、ありがたいことに悪役令嬢でもヒロインでもなく、完全なモブ!!  これは離れたところから、乙女ゲームの展開を楽しもうと思っていたのに、どうして私が巻き込まれるの?  私ってモブですよね? さて、選択です。悪役令嬢ルート?ヒロインルート?

婚約破棄された悪役令嬢の心の声が面白かったので求婚してみた

夕景あき
恋愛
人の心の声が聞こえるカイルは、孤独の闇に閉じこもっていた。唯一の救いは、心の声まで真摯で温かい異母兄、第一王子の存在だけだった。 そんなカイルが、外交(婚約者探し)という名目で三国交流会へ向かうと、目の前で隣国の第二王子による公開婚約破棄が発生する。 婚約破棄された令嬢グレースは、表情一つ変えない高潔な令嬢。しかし、カイルがその心の声を聞き取ると、思いも寄らない内容が聞こえてきたのだった。

四人の令嬢と公爵と

オゾン層
恋愛
「貴様らのような田舎娘は性根が腐っている」  ガルシア辺境伯の令嬢である4人の姉妹は、アミーレア国の王太子の婚約候補者として今の今まで王太子に尽くしていた。国王からも認められた有力な婚約候補者であったにも関わらず、無知なロズワート王太子にある日婚約解消を一方的に告げられ、挙げ句の果てに同じく婚約候補者であったクラシウス男爵の令嬢であるアレッサ嬢の企みによって冤罪をかけられ、隣国を治める『化物公爵』の婚約者として輿入という名目の国外追放を受けてしまう。  人間以外の種族で溢れた隣国ベルフェナールにいるとされる化物公爵ことラヴェルト公爵の兄弟はその恐ろしい容姿から他国からも黒い噂が絶えず、ガルシア姉妹は怯えながらも覚悟を決めてベルフェナール国へと足を踏み入れるが…… 「おはよう。よく眠れたかな」 「お前すごく可愛いな!!」 「花がよく似合うね」 「どうか今日も共に過ごしてほしい」  彼らは見た目に反し、誠実で純愛な兄弟だった。  一方追放を告げられたアミーレア王国では、ガルシア辺境伯令嬢との婚約解消を聞きつけた国王がロズワート王太子に対して右ストレートをかましていた。 ※初ジャンルの小説なので不自然な点が多いかもしれませんがご了承ください

転生したら悪役令嬢だった婚約者様の溺愛に気づいたようですが、実は私も無関心でした

ハリネズミの肉球
恋愛
気づけば私は、“悪役令嬢”として断罪寸前――しかも、乙女ゲームのクライマックス目前!? 容赦ないヒロインと取り巻きたちに追いつめられ、開き直った私はこう言い放った。 「……まぁ、別に婚約者様にも未練ないし?」 ところが。 ずっと私に冷たかった“婚約者様”こと第一王子アレクシスが、まさかの豹変。 無関心だったはずの彼が、なぜか私にだけやたらと優しい。甘い。距離が近い……って、え、なにこれ、溺愛モード突入!?今さらどういうつもり!? でも、よく考えたら―― 私だって最初からアレクシスに興味なんてなかったんですけど?(ほんとに) お互いに「どうでもいい」と思っていたはずの関係が、“転生”という非常識な出来事をきっかけに、静かに、でも確実に動き始める。 これは、すれ違いと誤解の果てに生まれる、ちょっとズレたふたりの再恋(?)物語。 じれじれで不器用な“無自覚すれ違いラブ”、ここに開幕――! 本作は、アルファポリス様、小説家になろう様、カクヨム様にて掲載させていただいております。 アイデア提供者:ゆう(YuFidi) URL:https://note.com/yufidi88/n/n8caa44812464

ストーカー婚約者でしたが、転生者だったので経歴を身綺麗にしておく

犬野きらり
恋愛
リディア・ガルドニ(14)、本日誕生日で転生者として気付きました。私がつい先程までやっていた行動…それは、自分の婚約者に対して重い愛ではなく、ストーカー行為。 「絶対駄目ーー」 と前世の私が気づかせてくれ、そもそも何故こんな男にこだわっていたのかと目が覚めました。 何の物語かも乙女ゲームの中の人になったのかもわかりませんが、私の黒歴史は証拠隠滅、慰謝料ガッポリ、新たな出会い新たな人生に進みます。 募集 婿入り希望者 対象外は、嫡男、後継者、王族 目指せハッピーエンド(?)!! 全23話で完結です。 この作品を気に留めて下さりありがとうございます。感謝を込めて、その後(直後)2話追加しました。25話になりました。

【完結】記憶喪失の令嬢は無自覚のうちに周囲をタラシ込む。

ゆらゆらぎ
恋愛
王国の筆頭公爵家であるヴェルガム家の長女であるティアルーナは食事に混ぜられていた遅延性の毒に苦しめられ、生死を彷徨い…そして目覚めた時には何もかもをキレイさっぱり忘れていた。 毒によって記憶を失った令嬢が使用人や両親、婚約者や兄を無自覚のうちにタラシ込むお話です。

処理中です...