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2 婚約破棄ですか?
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私の名前はヴィヴィアン・ロイズ。
ロイズ伯爵家の一人娘。自分で言うのもなんだけど、柔らかく絡まりやすい絹糸のような金髪はふわふわのウェーブがかかっていてお人形のようだし、夏空を思わせる青い瞳は長いまつ毛に縁取られ、どこか夢みがちに煌めいている。
透き通るような白い肌にうっすらと朱が刺した頰にさくらんぼのような唇。華奢な体つきは儚げで頼りなげに見え、庇護欲をそそる。はっきりいって美少女、だと思う。
おっとりとして大人しい性格であまり目立つこともなく、学園ではたいてい一人で本を読んでいて友達も少ない。
勉強はアスベルと同じで、入学してからは学年上位をキープしている勉強家だが、クラスでも自己をアピールすることのない影の薄い存在だった。
そんなヴィヴィアンが悪女と罵られることになったのには訳があった。
それは遡ること数日前の昼食時のこと。
普段ヴィヴィアンはお弁当を持参して、アスベルと二人で庭のベンチで食べているが、その日は食堂に行く約束をしており、迎えに来たアスベルと窓際の席で昼食をとっていた。
すると急に食堂内が騒がしくなり、見れば二年生のカップルが痴話喧嘩を始めたのだ。
「すまないが婚約を破棄したい。俺はもう、自分の気持ちを止めることができない。俺はロイズ嬢を愛してしまったんだ!」
「ケイン様?何を仰ってるかわかりませんわ。いつの間にロイズ伯爵令嬢と親交を深めてらしたの?」
「親交はない。俺の一目惚れで一方的なものだ」
修羅場を演じているはずなのに、男生徒がヴィヴィアンに流し目を送ってくる。
「ねえ、どういうことかな?」
それに気づいたアスベルが、引き攣った笑顔を浮かべてヴィヴィアンを見つめた。が、目が笑っていなくて怖い。
「わ、わからないわ。お会いしたこともない人なのに」
ヴィヴィアンは青ざめ狼狽えながら答えた。
その時は婚約者の女生徒が男の頬を叩き、その場を去ってしまったので、その後のことはわからなかった。
男生徒は去る間際にヴィヴィアンを一瞥すると軽く会釈をした。
アスベルは牽制するようにヴィヴィアンの手を握り、甲にキスをしながらその男を睨んだ。
突然のことにヴィヴィアンは頰を赤く染めた。
「まあ!なんですの?急に」
「ヴィヴィが僕のものだと、皆に知らせておこうと思ってね」
ヴィヴィアンは婚約者のセリフに、思わずため息を吐いた。
ロイズ伯爵家の一人娘。自分で言うのもなんだけど、柔らかく絡まりやすい絹糸のような金髪はふわふわのウェーブがかかっていてお人形のようだし、夏空を思わせる青い瞳は長いまつ毛に縁取られ、どこか夢みがちに煌めいている。
透き通るような白い肌にうっすらと朱が刺した頰にさくらんぼのような唇。華奢な体つきは儚げで頼りなげに見え、庇護欲をそそる。はっきりいって美少女、だと思う。
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アスベルは牽制するようにヴィヴィアンの手を握り、甲にキスをしながらその男を睨んだ。
突然のことにヴィヴィアンは頰を赤く染めた。
「まあ!なんですの?急に」
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ヴィヴィアンは婚約者のセリフに、思わずため息を吐いた。
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