転生腹黒貴族の推し活

叶伴kyotomo

文字の大きさ
12 / 252

10 推しの訪問その①

しおりを挟む

父様の首元に仕込んだ魔術は、言うなれば隠しカメラだ。

俺の魔力は中々高く、力をコントロールできる。

ジェレミー兄様に俺が魔力で悪影響を出さない様にと、地道に習得した。

唯一気が付いたお祖父様には、悪用されてはいけないからと、黙っている様に言われている。

その為家族にも内緒である。

内緒である事をいいことに、ジェレミー兄様に影響の出なそうな所に魔術を仕込んで、離れて暮らしている家族を見てたりもする。

頻繁に実家まで帰ってきているけど、やっぱり推しは気になるもんね。

そんな事を考えながら、ジェレミー兄様と応接間でお茶の準備を見守りつつ父様の胸元に意識を集中する。

すると、早馬でこちらにいらしたセルジオ様を迎える所だった。

『セルジオ・リーナイト様。ようこそいらっしゃいました。当主のレス・ジャメルです。こちらは長兄のホセです。学園でお会いしたこともあるとは思いますが』

父の声を聞きつつ、セルジオ様を観察する。

長く黒い髪を後ろで一結びにし、金のシンプルなヘアカフスを着けている。

白のシルクシャツとクラヴァット。

クラヴァットには黄色の大きな宝石が付いていて、周りには黒曜石が散りばめられている。

黒のスラックスの上に、金糸で刺繍のされた黒のウエストコートとロングコートを着ている。

この国の正装は黒が主流で、貴族の当主や次期当主は黒地の物を良く着用している。

それにしてもセルジオ様は、我が父兄に引けを取らない程男前だ。

背はホセ兄様が一番高いが、父よりは高く体型も鍛えているのかしっかりしている。

国有数の公爵家ともなれば、ヨハンの様にチャラヒョロが多いのに。

『この度はお招き頂きましてありがとうございます。ホセ殿には学園時代に大変お世話になりました』

『セルジオ様は本当に筋が良くて、私も教え甲斐がありましたよ』

ホセ兄様がちゃんと帰属してる!

ちゃんと爵位の高いセルジオ様を立ててる!!

そんな事に感動しながら、俺はお茶のいい香りを楽しむ。

メイド達が大きな銀のポットにお茶を注いでいる。

魔道具で、暖かさがキープされるのだ。

「うーん。良い香りだねえ。木苺のような甘さがある」

「本当に。俺この匂い大好き!」

レジェミー兄様も好きな

これが商談の鍵になるのだ。

『さて、他の家族も中で待っています。どうぞ中へ』

『はい』

軽く談笑を終えると、父上が促してこちらへ向かってくる。

コンコンとドアを軽くノックされる。

外で控えているララによる合図だ。

ジェレミー兄様と頷きあって、立ち上がる。

そのまま応接間のソファ横に二人で並んで立つ。

コンコンと力強いノックが鳴り、執事のドーツがドアを開いて横にずれる。

「さ、どうぞ」

「失礼する」

父に促され中に入ってきたセルジオ様に、二人でお辞儀をする。

顔を上げると、セルジオ様は足を止め、少し目を見開いて凝視していた。

俺の隣のジェレミー兄様を!!

「セルジオ様。次男のジェレミーと、末息子のギルです。ジェレミーは初めてお会いすると思います」

「お初にお目にかかりますセルジオ様。ジェレミー・ジュメルと申します」

父上の紹介の後にジェレミー兄様が、フワッと花が咲くように微笑んで挨拶をすると、セルジオ様は止まった時が動き出したようだ。

「ああ。私はセルジオ・リーナイトだ。お招きありがとう」

それ以上言葉が出てこず、ジェレミー兄様を見つめ続ける様子のセルジオ様に、ジェレミー兄様は少し戸惑った顔になる。

おや?

おやおやおや?

セルジオ様ったら、隣の俺の事見えてますぅ?

これってもしや、レッドフルーツがパァンしましたかねえ。

ヤダァ、俺の大好きな兄様に春来ちゃった?しかも特大!!

「セルジオ様、こちらへどうぞ」

「あ、ああ」

荒ぶる感情の赴くまま心の中で高速タップダンスを踊りながら、俺はいつものポーカーフェイスでセルジオ様をソファへ誘導する。

セルジオ様を上座に座らせ、右に父上とジェレミー兄様が座り、左側にホセ兄様と俺が座る。

先程ジェレミー兄様に見惚れた自覚があるのか、セルジオ様は軽く咳払いをした。

「コホン。ジャメル伯爵。お招きありがとうございます。明日には父と弟が到着する手筈になっています。ギルに聞いた、王都で売り出したいモノについて、一足先に私が伺っても構いませんか」

公爵家次期当主として、セルジオ様が先に聞く形になるのは自然の流れだろう。

「分かりました。その前に、口外しないようギルによる魔術を掛ける許可を頂きたい」

我が領地にとって最大のモノになる為。

そしてこの重要になるであろうモノになる為。

色々な危険が伴う為に、国王の御前で発表するまではどこにも口外することの無い様にしたい。

その気持ちが伝わったようで、セルジオ様はもちろんだと頷いた。


しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。

小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。 「マリアが熱を出したらしい」 駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。 「また裏切られた……」 いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。 「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」 離婚する気持ちが固まっていく。

【完結 一気読み推奨】片想いの相手が「そろそろ恋愛したい」と言ったので、用済みの俺はニートになることにしました。

はぴねこ
BL
 高校生の頃、片想いの親友に告白した。  彼はノンケだったから玉砕して友人関係も終わるものだと思っていた。  もしかすると気持ち悪いと軽蔑される覚悟までしていたのに、彼は「今は恋愛をしている時間がないんだ」と自分の夢を語ってくれた。  彼は会社を興した祖父のことをとても尊敬していて、自分も起業したいと熱く語ってくれた。  そして、俺の手を握って「できれば親友のお前には俺の右腕になってほしい」と言われた。  同性愛者の俺のことを気持ち悪いと遠ざけることもせずに、親友のままでいてくれた彼に俺は感謝して、同じ大学に進学して、大学の頃に彼と一緒にゲームを作成する会社を起業した。  あれから二十年間、本当に二人三脚で駆け抜けてきた。  そして、昨年売り出したVRMMOが世界的に大ヒットし、ゲーム大賞を取ったことを祝うパーティーで親友が語った言葉に俺の覚悟も決まった。 「俺もそろそろ恋愛したい」  親友のその言葉に、俺は、長年の片想いを終わらせる覚悟をした。  不憫な拗らせアラフォーが”愛”へと踏み出すお話です。

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

人生はままならない

野埜乃のの
BL
「おまえとは番にならない」 結婚して迎えた初夜。彼はそう僕にそう告げた。 異世界オメガバース ツイノベです

転生エルフの天才エンジニア、静かに暮らしたいのに騎士団長に捕まる〜俺の鉄壁理論は彼の溺愛パッチでバグだらけです〜

たら昆布
BL
転生したらエルフだった社畜エンジニアがのんびり森で暮らす話 騎士団長とのじれったい不器用BL

番に見つからない街で、子供を育てている

はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。 異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。 現世の記憶は失われているが、 この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。 街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、 ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。 だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。 再会は望まない。 今はただ、この子との生活を守りたい。 これは、番から逃げたオメガが、 選び直すまでの物語。 *本編完結しました

悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!

梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!? 【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】 ▼不定期連載となりました。 ▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。 ▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。

処理中です...