138 / 252
134 推しとぶっちゃけ話
しおりを挟む一通り商談が終わると、軽食をつまみながらの談話が始まる。
「本日は参加させて頂きまして、ありがとうございます。大変勉強になりました。やはりギル殿の発明は見事ですね。こうやって販売の許可を頂けたのですから、しっかり成果を出せる様に努めます」
「ええ、新しいものですが、生活に必要だと感じるものばかりですね。それも平民向けも考えられています。やはり国を支える根本は平民ですから、まずは彼らに良い評判を頂きたいですね」
アラミスとジェフの言葉を、他の貴族達も微笑ましそうに見ている。
うーんやっぱり、この子達は優秀だな。
そう思っていると、少し顔を強張らせたダイヤ公爵が、意を決した様に話し出した。
「…今回、我がダイヤ家にも声を掛けて頂き、誠に感謝している。我が愚息の愚行により、周りの方々には大変迷惑を掛けた。そんな愚息を貰い受けてくれたデラス侯爵家にも、大変感謝している。今後はこの二人にダイヤ家を引き立てて貰う予定だ。私よりもずっと優秀だろう」
あら、意外としっかりなさってるんですね。
そんな事を思いつつも、チラリと周りの顔色を伺うと、セルジオ様は気にしてないがアルミス達は一瞬暗い表情になり、デラス侯爵も少しピリついている。
うーん。
ヨハンは確かにフロル様を困らせたバカ坊ちゃんだったけど、色々調べていると同情してしまう部分も多かったんだよね。
やっぱり自分は悪くないですよって感じの、他の貴族達がムカついたってのもある。
「ええと、申し上げてもよろしいでしょうか」
「…構わぬ」
俺がそう言うと、周りも頷いてくれたので、ぶっちゃけ思ってる事を言っちゃう事にした。
「確かにヨハン様の行動は軽率でしたが、結果的に我が家にとってとても良い縁が巡って来ましたので、何のシコリもございません。フロル様が我が兄と婚約してくださったおかげで、兄はジャメルを治める事に本腰を入れ始めましたしね」
俺の言葉に、セルジオ様もジェレミー兄様もうんうんと頷いている。
「それに、例の令嬢と仲良くされていましたが、関係を持っていたのは他にも沢山いらしたんですよ?それなのにダイヤ公爵家のヨハン様だけが悪者かの様に言われるのは解せないですね。調べた所、まだまだ清い関係だった様ですし、体の関係まであった貴族が平然としている方が私は問題だと思っています。あ、こちらにそのリストがあるのでどうぞお持ち下さい。何か言ってこようものなら、糾弾して差し上げれば良いんですよ」
俺がサッと資料を回すと、こんなにとドンク公爵も眉を顰めた。
「デラス侯爵のところでも、十分反省なさっているのでしょう?それなら今後はデラス侯爵家の妻として立派に努めを果たすのならそれで良いと思うのです。確かに考えの足りない所がありましたが、それも愛嬌でしょう。社交の場に出にくいと言うのでしたら、今後私が間に入っても良いと考えています」
「しかし、迷惑が掛かるのでは?」
アルミスが心配そうに言うが、俺はまさかと笑う。
「例の令嬢を引き入れたのはパニ家ですし、ヨハン様の案内をした貴族も他にいる様です。ヨハン様だけが悪く言われる度に、またフロル様の事をとやかく言う貴族もいるでしょうから。その流れは断ち切りたいですからね。高位貴族としての自覚が足りなかったと言えばそれまでですが、だからと言って他の貴族が責任放棄するのは許せませんから。デラス侯爵も、そのリストをお持ち下さい」
「ああ、もちろん。活用させて貰おう」
真顔でしっかり頷くデラス侯爵は、結構ヨハンを気に入っている様だ。
実は、リリーをヨハンに紹介したのは、ホセ兄様を狙う令嬢の兄グループだったと突き止めている。
そう、シンプラー家令嬢アンルカの兄だ。
この書類を渡せば、デラス侯爵はそれなりに動くだろうと踏んでいる。
デラス侯爵と息子の目がギラリと光ったからね。
「私もギルの意見に賛同します。フロルの事は確かに問題ではありましたが、こちらも婚約を急ぎ過ぎたと反省しています。現在はホセ殿に嫁ぐことが決まっていますし、ダイヤ公爵家からはキチンと慰謝料を頂きましたので、どうぞ水に流してください。それに、このリストを見る限り、反省すべき者は他にもいる様ですから」
セルジオ様も意見を述べたので、これでこの話は終わりでも良さそうだな。
その後は他愛の無い会話を楽しみながら、俺は明日はジェレミー兄様のお茶会だなと思いを巡らせていた。
379
あなたにおすすめの小説
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結保証】
星森 永羽
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
ねえ、今どんな気持ち?
かぜかおる
ファンタジー
アンナという1人の少女によって、私は第三王子の婚約者という地位も聖女の称号も奪われた
彼女はこの世界がゲームの世界と知っていて、裏ルートの攻略のために第三王子とその側近達を落としたみたい。
でも、あなたは真実を知らないみたいね
ふんわり設定、口調迷子は許してください・・・
私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。
小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。
「マリアが熱を出したらしい」
駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。
「また裏切られた……」
いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。
「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」
離婚する気持ちが固まっていく。
記憶を無くしたら家族に愛されました
レン
BL
リオンは第三王子で横暴で傲慢で侍女や執事が少しでも気に入らなかったら物を投げたり怒鳴ったりする。家族の前でも態度はあまり変わらない…
家族からも煩わしく思われたていて嫌われていた… そんなある日階段から落ちて意識をなくした…数日後目を覚ましたらリオンの様子がいつもと違くて…
運命の番は僕に振り向かない
ゆうに
BL
大好きだったアルファの恋人が旅先で運命の番と出会ってしまい、泣く泣く別れた経験があるオメガの千遥。
それ以来、ずっと自分の前にも運命の番があらわれることを切に願っていた。
オメガひとりの生活は苦しく、千遥は仕方なく身体を売って稼ぐことを決心する。
ネットで知り合った相手と待ち合わせ、雑踏の中を歩いている時、千遥は自分の運命の番を見つけた。
ところが視線が確かに合ったのに運命の番は千遥を避けるように去っていく。彼の隣には美しいオメガがいた。
ベータのような平凡な見た目のオメガが主人公です。
ふんわり現代、ふんわりオメガバース、設定がふんわりしてます。
【8話完結】魔王討伐より、不機嫌なキミを宥める方が難易度「SSS」なんだが。
キノア9g
BL
世界を救った英雄の帰還先は、不機嫌な伴侶の待つ「絶対零度」の我が家でした。
あらすじ
「……帰りたい。今すぐ、愛する彼のもとへ!」
魔王軍の幹部を討伐し、王都の凱旋パレードで主役を務める聖騎士カイル。
民衆が英雄に熱狂する中、当の本人は生きた心地がしていなかった。
なぜなら、遠征の延長を愛する伴侶・エルヴィンに「事後報告」で済ませてしまったから……。
意を決して帰宅したカイルを迎えたのは、神々しいほどに美しいエルヴィンの、氷のように冷たい微笑。
機嫌を取ろうと必死に奔走するカイルだったが、良かれと思った行動はすべて裏目に出てしまい、家庭内での評価は下がる一方。
「人類最強の男に、家の中まで支配させてあげるもんですか」
毒舌、几帳面、そして誰よりも不器用な愛情。
最強の聖騎士といえど、愛する人の心の機微という名の迷宮には、聖剣一本では太刀打ちできない。
これは、魔王討伐より遥かに困難な「伴侶の機嫌取り」という最高難易度クエストに挑む、一途な騎士の愛と受難の記録。
全8話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる