マイルームから異世界転移?!二つの世界の力を使って成り上がる

破滅

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交差する世界とランキング戦

第八話 冒険者ギルドと力の証明

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ランキング戦二回戦を突破した日の放課後、俺はシュタと共に学園都市の専門店街にいた。勝利で得た大量の学園ポイントを、新たな「投資」に回すためだ。

「瀧の奴、本当に詳しすぎるだろ……」

タブレットに表示された瀧お手製の『異世界スターターパック推奨リスト Ver.2.0』を見ながら、俺は感嘆の声を漏らした。リストには、ただの商品名だけでなく、想定される使用状況や現地での応用方法までびっしりと書き込まれている。

『魔力濃度の簡易測定器。大気の魔力素子量を計測できれば、危険地帯の予測に使えるはずだ』
『ポーション分析キット。現地の回復薬の成分を解析できれば、こっちの化学知識で改良・量産できるかもしれねえ』
『高硬度カーボンワイヤー。罠にも使えるし、何より頑丈だ。切れないお守りとして、一本持っておけ』

俺はリストに従い、軍用品や研究機関向けの機材を扱う専門店を巡り、次々とアイテムを買い揃えていった。店員からは「また特殊なクエストですか?」と不思議そうな顔をされたが、「まあ、そんなところです」と適当に笑って誤魔化しておく。この街では、学生がとんでもない物品を購入していくのは日常茶飯事なのだ。

全ての買い物を終え、膨大な物資をシュタの四次元格納ストレージに飲み込ませると、俺たちは足早に自宅マンションへと帰還した。そして、躊躇なく自室の窓をくぐる。

瞬時に空気が変わる。日本の夏の湿った空気から、フォルダルテの乾いた石と土の匂いへ。窓の外には、二つの月が昇り始めた王都の夜景が広がっていた。

「ただいま、シュタ」
「おかえりなさいませ、マスター。時空座標、身体情報ともに異常ありません」

俺は異世界の拠点「岩壁亭」のベッドに腰を下ろし、今日の戦利品である学園ポイントの振込通知と、異世界の銀貨が入った革袋を見比べた。二つの世界が、確かに俺の中で繋がっている。その事実が、たまらなく刺激的だった。

――――――――――――――――――

翌朝、俺たちは計画通り、王都の中央広場に面した一際大きな建物――冒険者ギルドの、重厚な木の扉を開いた。

カラン、とドアベルが鳴ると、建物の中の喧騒が一瞬だけ静まり、無数の無骨な視線が俺とシュタに突き刺さる。革鎧に身を固めた剣士、ローブ姿の魔術師、巨大な斧を担いだ獣人。朝からエールを呷り、大声で武勇伝を語り合う者たちの熱気で、むせ返りそうだった。

「うわ、想像以上に濃いな……」

少し気圧されながらも、俺は臆することなく、奥にある受付カウンターへと向かった。カウンターの内側では、数人の職員が忙しなく書類を処理している。

「すみません、冒険者の登録をお願いしたいんですが」

声をかけると、栗色の髪をポニーテールにした、少し気だるげな雰囲気の受付嬢が顔を上げた。胸元のネームプレートには「メリッサ」と書かれている。

「はいはい、新人さんね。名前は?」
「ショウです。こっちはシュタ」
「ショウとシュタね。で、実力は証明できる? 新人登録には、簡単な討伐依頼をこなしてもらうか、うちの教官との模擬戦に合格してもらう必要があるんだけど」

メリッサさんは、面倒くさそうに説明する。どちらも時間がかかりそうだ。

「もっと手っ取り早い方法はないんですか?」
「手っ取り早い?」

メリッサさんは、俺の言葉に初めて興味を示したように片眉を上げた。そして、カウンターの隅に置かれた、人頭大の黒い水晶玉を顎でしゃくった。

「あれに触れてみな。魔力測定水晶よ。自身の魔力や生命力を注ぎ込んで、その総量を測る代物。それで騎士団の小隊長クラス、Bランク冒enteer相当の数値でも出せるなら、話は別。即時登録してあげる。まあ、そんな新人はここ数年、見たことないけどね」

その挑発的な物言いに、俺はニヤリと笑った。望むところだ。

「分かりました。それでお願いします」

俺が水晶に近づくと、ギルド内の注目が再び集まるのが分かった。「おい、新人が魔力測定に挑戦するらしいぜ」「どうせ赤く光って終わりだろ」そんな野次が聞こえてくる。

俺は深呼吸し、黒水晶にそっと右手を触れた。そして、体内のエネルギー――親父に叩き込まれた氣、学園で鍛えた身体能力、そして異世界に来てから順応し始めた魔力素子――その全てを練り上げ、水晶へと流し込むイメージを描いた。

直後、黒水晶が眩い光を放った。最初は赤、すぐにオレンジ、黄色、緑へと色が変わり、ついには空のように澄み切った青色の光を放ち始めた。さらに光は増し、ギルド全体が青い光に満たされる。

「な……なんだ、この光は!?」
「青だと!? Aランクの〝剣聖〟様が来た時と同じ色じゃねえか!」
「嘘だろ……あのガキ、何者なんだ……!?」

ギルド内は水を打ったように静まり返り、誰もが信じられないものを見る目で俺を凝視していた。メリッサさんも、いつも気だるげな目を大きく見開き、口を半開きにしている。

「……あ、ありえない……。測定不能(エラー)……? いえ、これは……Aランクの上限値に張り付いてる……?」

彼女は慌てて手元の書類を確認し、ごくりと唾を飲んだ。
「……あなた、一体何者なの?」
「ただの旅の者ですよ。それで、登録はできますか?」

俺が笑顔で言うと、メリッサさんはハッと我に返り、咳払いを一つした。
「……え、ええ。規則ですから。新人としては前代未聞だけど、特例でDランクからスタートよ。いい? 本当はもっと上だけど、実績がないからこれが限界。文句は言わせないわよ!」

こうして俺は、少し目立ちすぎた感は否めないが、無事に「冒険者ショウ」としての第一歩を踏み出した。渡された銅製のギルドカードには、俺の名前とDというランクが刻まれている。

登録を終えた俺は、壁一面に貼られた依頼掲示板の前に立った。
薬草採取、害虫駆除といったGランクの簡単なものから、ゴブリン討伐(Fランク)、街道の護衛(Eランク)、そして中にはワイバーンの目撃情報調査(Bランク)なんて物騒なものまである。

「マスター、いかがなさいますか? Bランク以上の依頼も、現在のマスターの実力であれば遂行は可能かと」
「いや、焦る必要はない。最初は堅実に、かつ実入りが良くて、俺たちの〝実験〟ができる依頼がいい」

俺は掲示板をじっくりと眺め、一枚の依頼書に目を留めた。

依頼内容:『迷いの森』における『月光草』の採取
ランク:D
報酬:金貨5枚
詳細:月光草は夜間にのみ蒼い光を放つ希少な薬草。しかし、夜の『迷いのMori』には、凶暴な夜行性の魔物、ナイトウルフの群れが出没するため、危険度が高い。腕利きの冒険者を求む。

夜の森、光る薬草、夜行性の魔物。そして、Dランクとしては破格の報酬。

「これだ」

俺は迷わずその依頼書を剥がし、メリッサさんの待つカウンターへと持っていった。

「へぇ、『月光草』ね。Dランクになったばかりの新人には、少し荷が重いかもしれないわよ?」
「大丈夫です。夜は、得意なんで」

俺はそう言って、昨日買い揃えたばかりの暗視ゴーグルや小型ドローンのことを思い浮かべていた。科学の力が、このファンタジー世界でどこまで通用するのか。試してみるには、最高の舞台だ。

依頼を受注し、ギルドを後にする。空は高く、どこまでも青い。
「さて、シュタ。明日の夜に向けて、作戦会議と行こうか」

新たな冒険の始まりに、俺の心は高鳴っていた。

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