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覚悟の理由と結果
しおりを挟む「……っ!」
ん?
手紙?
『遺書』だ、と?
「は?」
思わず声が出てしまったじゃないか。
マジか。これは自殺?
テーブルの上には、遺書と書かれた封筒とは別に、空のコップが2つと、これも空の薬の瓶が1つ。
服毒自殺? へ?
「……」
少しして、振り上げた棍棒をゆっくり下ろす。一気に気が抜けたぞ。下からは何も出てないよな。ナニは直ぐに出せる構造だけど。ぎゃっぎゃっぎゃっ。
「はあ」
老夫婦が遺書を残して手を繋いで死んでいた。
息もしていない。俺の体も冷たいから温度差も分からないけど、温かくはなかった。
おいおい。俺の覚悟は。どうしてくれんだよ。2人して幸せそうな顔しやがって。
まあ、おかしいとは思ったよ。いくら田舎とは言え、寝る時まで無施錠なんて有り得ないわな。そりゃそうだ。
幸先いいな。なんて思ってたさっきの俺に言ってやりてえよ。
ま。こんなもんだ。とな。
これも人生の締め方。何も言う事は出来ないが、ウジも湧いてないっぽいから、本当につい最近って事だろうか。臭いには疎いからな。全く臭くもないぞ。これでも俺の方が臭いんだろうな。多分。
こんな世の中に嫌気が差したのか、先を考えて早めに手を打ったのか。
「……」
読まないぞ。読んでもいい事ないだろうし、なるべく痕跡は残したくない。後で足跡拭いておこうかな。面倒か。やっぱ止めた。
なんだろうな。
俺は、人間なんて1度滅びてしまえばいいと思っていた。
出来れば特定の奴等だけにしたいってのは当然だったが、それも無理なら全部まとめてだ。連帯責任。人類皆で責任取って馬鹿やってきた代償を払うべきだとも思った事もある。
極論だが、馬鹿は死んでも治らない。なんて事ではなく、馬鹿は早めに死んだ方がいい。
禄でもない奴はやっぱりどうしたって禄でもない奴なんだ。更正する数%に賭けるより、金も掛けるより、真っ当で善良な人間に労力もサービスも注いだ方がいい。
そんな事を考えていた事もある。
あと、禄でもねえ為政者、それにぶら下がる薄汚ねえ奴等、利権の為なら何でもやりやがる裏の奴等、税金の使い道を勘違いしまくってる奴等、国民を自分達とは違った種族の生き物だと本気で思ってる奴等。挙げたら切りがない。
その逆の温かい愛すべき人達もたくさん居るって事も知ってて思ってた。
正そうと思っても、既に体制を整えられ、既得権益、数の理論、ねじ曲がった法律がある。無知で無気力な国民のせいでもあるが、知らず知らずそうされてしまった経緯もある。
頭のいい奴等には敵わなかった。金の前には逆らえなかった。権力の前に屈してしまった。甘い汁はやっぱり甘かった。
道徳的には反対の勢力の方が守られ、正義とされているのなら、そんなの糞喰らえ。全部まるっと無くしてしまえばいい。なんて考えた事もあった。
勿論、そんな事をすれば、本気で何かやろうと思ったら、そっちの方が簡単に闇に葬られてしまうのだろうが。そんな勇気も行動力もない人間は、妄想の世界、遊びの世界、現実逃避できる世界に逃げるしかない。
それを逃げるとは言わずに、夢中にさせたり、趣味や娯楽と言ったり、そうなるよう牙を削ってきた為政者は凄いと思うよ。そうとも知らずに生きて来られたんだから。平和ってすげーや。
おっと。
だから俺は『人類殲滅軍』を選んだんだけどな。そんな儚い思いが叶えられるかもしれないから。直ぐに殺されるかもしれないが。
そういう風に促されるような気もしたし、そういう見えざる意志が、人類を滅ぼしたがってると勘違いしただけかもしれないけど。そんな思いがあったからかもしれないな。
今更か。
無慈悲に殺されたはずなのに、不思議とそれに対する怒りはない。そっちの仲間になったからか、死にたかったからか? いや。そんな事はなかったはずだが。どうだったっけ?
もういいか。
魔物の方が優遇されてるような気もするし。ネームドなんて、人間の時の知識はそのまま。肉体的にはパワーアップして裏をかけるだろうし、種族に応じた特性まで手に入る。
勿論、人間側は人間側で、それこそチートな能力を貰えるかもしれないけど。それは戦ってみないと分からない。
両陣営があると広まってしまえば、騙し討ちなんて出来ないだろう。もう皆知ってんのかな。
いかに早めにレベル上げをするか。俺はそこがポイントだと思っている。ボインのポイントも大事だな。それも忘れちゃいけねえや。2つもあるからな。ぎゃっぎゃっぎゃっ。
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