人類を滅ぼすのが使命みたいなんですが種族がゴブリンってのはないんじゃないでしょうか

覚悟の代償

　俺の覚悟を見事に打ち壊してくれたお礼に、家の中の使えそうな物を頂く事にした。夜目は利くし、カーテンも閉まってるから物色し放題。

　２つの物体は、見ないようにすれば問題ない。まだ状態がよくて助かった。

　言っても、ベッドとか、布団とか、爪切りとか。

　ベッドはシングルが並べて２つ置いてあったけど、１つだけ。布団は２つ共頂いた。


　それと、死ぬつもりだったのにしっかり防災グッズセットも準備してたから、それも頂いた。

　多分、災害には備えてたけど、こんな大厄災は前代未聞だったから、必死に２人で生きて行こうって気力、糸が切れたのかもしれない。あくまでも予想だが。

　米袋とか段ボールに入った水とか缶詰セットなんかもあった。２人分じゃない程の量だったから、もしかしたら近所の人達用とかだったのかもしれない。

　これも予想だが、あんな幸せそうな顔して死んでたんだ。そういう事にしてやりたい気もある。気の良い善人だったんだろう。


　食べる必要はない身だが、何でもいいらしいが、食べれば体力が回復するってんだから、一応頂いておいた。『容量：少』とか言いながら収納できたから。

　それに、どうせなら可食と分かってて旨い物の方がいいだろう。味覚は試してないが、こんな保存食は人間相手にも使える気がする。罠とかな。ぎゃっぎゃっぎゃっ。


　ああいう人達も、俺の時と同じように初回死亡者特典の間だったっけ、あそこに行ってどっちか選択する事になるのかな。それとも、どっちも選ばずに輪廻転生の循環ってやつに身と言うか、魂を委ねるのかな。

　来世でも一緒になれるように願ったりしたのだろうか。

　なんて思わせといて、実は既に人類殲滅軍に所属してて、２人してヒャッハーしてたりして。ぎゃっぎゃっぎゃっ。

　ないな。

　趣味が違い過ぎる。年齢的にも当然か。サイズもちょいと大きいか。婆さんの方なら丁度いいのかな。

　仕方ない。趣味は違うけど、サイズも微妙だけど、服も貰っておく事にしよう。変装様だ。これで腰巻きだけのゴブリンは卒業だ。パンツは履かないぞ。生理的に受け付けない。これは既に癖になっている。


　ちょいと地味っぽいけど、やっぱりジャージは万能だな。散歩用か？　帽子までペアで揃えてたか。やるな。襟えりを立てれば、後ろからなら見分けが付かないかもな。

　ありがたいぜ。これも直ぐに脱ぐ事にはなるだろうけどな。ぎゃっぎゃっぎゃっ。


　もう容赦はしない。いくら考えても仕方ないし、早めに吹っ切った方がいい。殺る。やる。そしてやる！

　今日中に必ず１発やってる！

　何でかって？

　部屋に姿見があったんだよ。鏡がな。

　俺って、やっぱりゴブリンだった。自分で言うのもなんだが、醜い顔、腰布だけの汚ならしい体、どこからどう見ても魔物だった。

　これも慣れるのだろうけど、既に気にならなくなってきた。いや。そうしようと努めているだけだ。涙が出そうだけど、何故だか何も出ない。

　ナニは直ぐにぶらぶらチラつくが。やけに尖ってて獣っぽいし、意識してちょいと擦ってやるだけで直ぐに立ちやがった。赤くなって気持ち悪かった。自分でもキモかった。

　こんなの入れられる方は堪ったもんじゃねえよな。溜まってるのは俺の方か。ぎゃっぎゃっぎゃっ。


　だが、この猛りを鎮めたいとも思ってしまった。これが魔物脳？　本来の俺？

　やべえな。思考が魔物化してやがるのか。そもそもの本能か。これまで押さえ付けられてたものがヤバイ方向に開花してしまったのか。

　それならそれに乗るしかない。雌にも乗るしかない。

　ならばやるしかない！

　そういう事だ。


　あっ。そうだった、こうなってしまった以上はどうでもいいんだが、どうにもならないとも思うのだが、ここは、愛知県の東の豊○市って所だった。お隣は静岡県。

　静かにしてないで犯して、俺に愛を知れという事か。知らずに生きてきただけに。違うか。偶々か。玉々を活かせと。そういう事か。

　そういう事にする！