34 / 143
新たな……
しおりを挟む「おい! そこで止まれ!」
大声は出しちゃダメ。でも届く範囲で軽く威嚇も込める。
「「っ!!」」
すんなり止まったか。やはりゴブリン2人。もう匹なんて数えないぞ。多分。
「見る限り同族のようだが、何しに来た。さっき近くで戦闘してたのは知ってたか?」
一応、確認を。仲間かどうかを探る前の前哨戦。
「あ、あのお、……。ずっと見てました。そ、それで、私達には戦う力がないので、隠れてました。ごめんなさい」
「ご、ごめんなさい」
ん? そうかのか。見てただと? どこからだ? まあ、公園なんだから、見ようと思えばどこからでも見えるのか。全然気が付かなかったな。そういう能力か?
いきなり謝られると気が抜けるな。これも戦略か?
雌が初めに話し、続いて少し小さな雄が。ふむ。姉弟か? ファイチクンとは違ったフォルムだな。
ちょいと距離はあるが、それくらいは分かる。細身の雌と、更に小柄の雄だ。雄の方は俺とお揃いの腰布だが、雌の方は残念ながら片掛けタイプの布を着ているようだった。本当に残念だ。
あれ?
「おい。武器も何も持ってないじゃないか。戦う力がないって、盗られたのか? 落としたのか? そんなんじゃ簡単に人間に殺されるぞ」
隠してる訳ではなさそうだ。疑問に思ったから聞いてみた。2人共手ぶらじゃん。手でブラジャーしてる訳じゃない。雌なら許されるが雄は許さん。
「……。えっと、戦うならこの爪くらいしかありませんけど、そもそも何も持ってなくてですね、盗られても落としてもいませんよ? 力も弱いので、直ぐに殺されてしまうと思うで、ずっと隠れたり逃げたりしてました。ごめんなさい」
「ご、ごめんなさい」
ん? そうなのか? あっ。ボーナスタイムの殺られキャラって感じの位置付けのゴブリンか。それなら納得?
そんな弱気な魔物なら、武器もなければ簡単に殺れそうだしな。やれやれ。同族が殺られキャラってさ。そりゃゴブリンなんだからあるあるだけど、うるうるだぜ。くっそう。
「あー。取り敢えず分かった。同族同士は争えないからな。信用はするが、他の奴とは接触した事はないのか?」
更にもう1つだけ。これで状況を確かめたい。流石に初日で特殊な能力持ちとか、面倒な搦め手とか勘弁して欲しいが、そこまで警戒しなくて大丈夫だと思いたい。思いたいのだよ。
「あ、はい。接触はしていません。今回が初めてです。ずっと2人だけでこの森の中に居ました」
「……。居ました」
なぜ繰り返す。まあいいか。信じるも信じないも。俺次第だな。
「ファイチクン。どう思う。なんか怪しい所はないか? 思う所でもいいぞ」
「へい、兄貴。あの雌は飛びっきりに可愛いと思いやすので、兄貴の妾にしてやってくだせえ。それともう1人の方は、暫くは使い物にはならないかと思いやす。まだ小さ過ぎやすから」
お、おお。そっちで攻めて来たか。やるな。ファイチクン。やるのは俺だぞ。それで妾ってか。嬉しい事言ってくれるじゃねえか。てやんでえ。
「そ、そうか。そう見るか。そうかもな。ありがとうよ」
「とんでもねえです。兄貴」
ファイチクンもこう言ってる事だし、警戒を解いて接触する事にした。まだ挿入はしない。
「分かった。取り敢えず4人で身を隠せる所に移動しよう。ここじゃ人間に見付かるかもしれないからな」
「は、はい。ありがとうございます。それならあっちにそういう場所があります。案内します」
「あ、案内します」
ずっと2人だけでこの公園で隠れたり逃げたりしてたって言うなら知ってるか。森じゃねえけどな。森っぽい所も多いけど。まあいいか。
すると、すっと向きを変えて歩き方出す2人。全く警戒なし。こっちにはか。弟と思われる方が周囲を警戒してか、ずっとキョロキョロしながら歩いてるな。
それをお姉ちゃんが確認しながら進んでるって感じだろうか。ふむふむ。いいスタイルしてるじゃねえか。そっちじゃねえか。
残り香もヤバいぞ。こりゃ。直ぐにでもやりたくなってくる。戦闘後で興奮してるのもあるかもしれないが、それとはまた別の、股別の? いい香りがして来るぜ。楽しみだな、こりゃあ、おい。ぎゃっぎゃっぎゃっ。
ん?
「どうした、ファイチクン。何かあったか?」
顔に出てたか? 俺の根っからのいやらしさが。
「い、いえ。兄貴。あの雌は本当に上玉だと思いやして。早く種付けしてやってくだせえ。それでどんどん仲間を増やして行くのも兄貴の役目かと思いやして」
ほ、ほう。これまたいい事言うファイチクン。そうか。そうだよな。それこそ俺の役目。そんな役目ならいくらでも。ぎゃっぎゃっぎゃっ。
「分かっている。任せておけ。だが、一応双方合意の上で孕ませるのが理想だ。人間への警戒もあるし、長い目で見た時に余計な争いを避ける為にもな。
今後はファイチクンにも雌を宛てがうと思うが、無理矢理は止めておけよ。特に暫くはな。戦力が整うまでは、そっちに回す余力はないと思うからな」
まわすなら、輪姦すのもありだけど、それはまだまだ先の話だろう。そんな未来が来るといいな。
「へ、へい。承知しやした。そこまでお考えで。流石でございやす」
ちょっと嬉しそうにしやがって、ちょっとがっかりもしたみたい? それでも最後はしっかり納得もしてくれる。大丈夫だよな。欲望に負けて俺より先に孕ませるなよ。なんてな。
俺なんて直ぐに負ける自信がある。多分、この後直ぐにでも? ぎゃっぎゃっぎゃっ。
それでも、妊娠期間、出産後の面倒、子育て、育成、これはこれで手が掛かるし、防衛力も要る。暫くは厳しいだろうな。真に残念だが。
人間相手ならいいかもしれないが、産んでくれるかどうも分からないし、流石にずっと監禁するなんて難しいだろう。
誰かは付きっきりになる必要があるだろうし、食事の手配、下の世話、体調の管理、……。
考え出したら切りがない。出すのは楽だけど、その後がな。そんなのやった事ねえから知らないけど、簡単じゃない事くらいは分かる。ゴブリンの生態を知らないゴブリン。それが、俺だ。
それも雌が居るんだから確認すりゃいいか。股跡でな。違った。また後でだった。ぎゃっぎゃっぎゃっ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
診察室の午後<菜の花の丘編>その1
スピカナ
恋愛
神的イケメン医師・北原春樹と、病弱で天才的なアーティストである妻・莉子。
そして二人を愛してしまったイケメン御曹司・浅田夏輝。
「菜の花クリニック」と「サテライトセンター」を舞台に、三人の愛と日常が描かれます。
時に泣けて、時に笑える――溺愛とBL要素を含む、ほのぼの愛の物語。
多くのスタッフの人生がここで楽しく花開いていきます。
この小説は「医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語」の1000話以降の続編です。
※医学描写と他もすべて架空です。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる