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それぞれの特性
しおりを挟む「よ~し、よしよしよし。よくやったぞ。コボチャン」
「ガウ~~」
再度始まるわしゃわしゃムツゴロ○さんタイム。ウです?
やっぱりこれもいいもふもふだけど、真っ赤な口元は綺麗にしたくなる俺。ゴブリンどん引き。
もっともふもふしたいけど、そこにもう動かない物体もあるだけにそれはストップ。更に装備品も転がっておりました。あざーっす。
これもご褒美タイム。倒した者に与えられる剥ぎ取りタイム。倒したのはコボチャンだけど、ペットの戦利品は飼い主の物。これ、ジャイ○○理論になってるでしょうか。アン?
なんて感じちゃったりして。キモイぜ。
コボチャンも使えるのかな。弓。
コボルトの弓職? うん。居るかもしれないけど、弓が邪魔で機動力は活かせない? 本人に聞いてから判断しよう。
これも飼い主とペットの大切な信頼関係だと思います。それを怠るゴブリンが居て?
取り敢えず学習はするゴブリン。とコボルト。一応コボチャンには了解をもらってから、直ぐに遺体とアイテム類を回収してその場を離れる事に。
一旦休憩もしたいから、人目を気にせずに潜伏できる場所を探す。
高い塀に囲まれた、外からは見えない造りの民家の庭に駆け込んだ。ぐるっと回ってみた所、門扉は格子状の隙間のあるタイプだったから、ゴブリンとコボルトにとっては簡単にすり抜けが可能だった。これもあざーっす。
だが、見付かったら速攻殺ってやる気で身を隠す。油断はしない。
「コボチャン。住人に見付かると戦闘になるからここでは大人しくな。一旦ここで休憩しよう。お疲れ様」
「ガウッ」
うん。俺が声を抑えて話したからか、コボチャンもしっかり声を控え目にして返事をしてくれた。こやつ、出来る。
「コボチャン。さっきはありがとうな。大したダメージじゃなかったけど、感知できない遠距離から攻撃されたのは初めてだったよ。逃げられてたら厄介だったから助かった」
「ガウガウッ」
気にすんなって? 違うな。どういたしましてって感じだな。そしてもっと褒めてって事だろう。多分。尻尾で分かるぞ。これはいい。
「ふふふ。ありがとうな。コボチャン。これからもよろしくな」
「ガウガウッ」
わしゃわしゃ追加で撫で回す。口元は気になるが今は我慢だ。これも必要なコミュニケーション。
「よし。じゃあ、さっきのも含めてご褒美の時間な。ちなみに、コボチャンは人間も食べるのか? さっきも食べてたみたいだけど」
聞くのが1番。言われないと分からない事の方が多いのが人間だ。それは飼い主とペットに拘わらず当てはまる真理。魔物同士だけど、言葉は通じないけど、それは同じ事だろう。
「ガウガウッ。ハッハッハッ」
嬉しそうに、俺の質問を肯定するかのように返事をするコボチャン。しかも、早く出してくれと言わんばかりに息遣いが荒くなっている。
これも我慢汁と言えるだろう。涎とも言うが。
俺を食いたい訳じゃないのは知ってるはずなのに、やはり魔物なだけあって、口元が血みどろなだけあって、その凶悪さが半端ない。コボルトの牙こえー。
「さっきコボチャンが仕留めた弓矢の奴にするか? それともさっき食べた缶詰にするか? 選んでいいぞ。流石に2つは多いだろうからさ」
「ガ、ガウ~……、……、ガウッ」
分からん!
俺の聞き方が悪かった。
「弓矢の奴か?」
ブンブンブン
蜂じゃない。首を左右に振るなんて芸当が出来るんだな。コボチャン。やるな。
「じゃあ、缶詰の方か?」
「ガウッ」
おうっ。目も光らせる事も出来るのか。偶々か。偶然太陽光が反射したんだな。俺達玉々ないもんな。コボチャンは雌って意味で、俺はなぜか無いってだけで。
「そ、そうか。でも、あの缶詰はあと少ししかないぞ。それでもいいか?」
「……」
直ぐに返事がないな。屍ではないはずだが。
ふむ。迷うのか。そうか。迷うよな。分かるぞ。好物ならとっておきたい気もするし、早く食べたい気もするな。
コンビニの棚に置いてあった数はそんなになかった。毎回食べてたら直ぐになくなるだろう。
補充に行けばいいんだが、遺体の方も在庫がある。食べ応えもありそうだから、何食分になるかは知らないけど、恐らく缶詰よりは長持ちするだろう。
異次元収納のレベルを上げたとは言え、缶詰に比べたら圧倒的に腐りやすいしな。時間経過は『やや遅延』だし。
そこまでの事情は知らないにしても、腹の具合と相談して検討してるのだろうか。悩ましい選択をさせてしまったか。飼い主の優しさが裏目に出たか?
あっ、そうか。俺が聞かなきゃ選べないか。こりゃ失礼。
「決まったか? じゃあ、缶詰でいいか?」
ブンブンブン
「じゃあ、弓矢の奴でいいか?」
「ガウッ」
いいんだ。そうか。嬉しいような悲しいような。まあいいか。ガン見しなきゃいいだけの話だな。俺は気にしない。ように頑張るだけだ。
じゃじゃじゃじゃ~ん
運命じゃない。異次元収納から取り出す時のお約束効果音。今は違うのか。
コボチャンが倒した俺に矢を射った憎っくき野郎、登場~。じゃなかった! 雌郎だった!
ああ、勿体ない。いい死に顔してやがる。たぷたぷでもないし、結構上玉だったじゃん! 生きてれば。まあ、死んだ方が幸せだったかも。俺にやられてからよりは。
「おっと、コボチャン。装備品を回収するからちょっとだけ待ってくれな」
「ガ、ガウ~」
表情豊かで参るぜ。コボチャン。なかなか愛らしい。血みどろじゃなきゃな。若干顔付きが変わった気もするが、気のせいか? 血のせいか。
「このままじゃ食べ難いだろ? 食べ易くしてやるからな。ちょっとだけだから」
「ガウッ」
ふっ。ちょっとだけと言いながら最後までやっちまうのは常套手段だが、今は違う。本当に俺の優しさだ。俺の都合もあるか。ぎゃっぎゃっぎゃっ。
死んでるから楽々剥ぎ取り回収できちゃいます。出来てんの? 孕んでる? んな訳ねえか。
やはりこれは俺の物? さささっと回収完了。服もまとめて剥ぎ取りました。素っ裸の雌郎の登場です。ちっぱいが眩しいが屍姦の趣味はない。
「お待たせ。コボチャン。心行くまで食ってくれ。動きが鈍くならない程度に頼むな」
「ガウッ」
ガブシッ ガツガツガツ ガツガツガツ
ガブシッ ガブシッ ガブシッ
ガツガツガツ ガツガツガツ
食い付きが半端ねえ。
延々と続くのだろうか。音を聞いてるだけでも堪えるな。もっとリアルな音がしてるのだけど、表現するのも気持ち悪いぜ。俺は無理。
やはり臓物から行くんだな。鮮度が命だし、骨は邪魔だからな。なんて思って見たくない。もう止めよう。それでも耳に届く不快な音。
グチョグチョとか、ネチョネチョとか、ブシャブシャとか。
交尾の時とは大違い。全く違う感覚になる効果音。コボチャンが旨そうに食ってる事だけが救いだろう。
だが、もう2度と触れる事はないだろう。さっきまでは憎かったけど、肉だけに憎めない。……
安らかに旅立って欲しい。出来ればこれは見ずに行ってくれ。
剥ぎ取った服は血だらけだからポイします。これぞポイ捨て。やっちゃダメなやつ。俺、ゴブリン。そんなの関係ねえ。ぎゃっぎゃっぎゃっ。
ここの場所代って事で置いていく事にしよう。迷惑料ってやつだな。余計に迷惑か。ぎゃっぎゃっぎゃっ。
見られてねえよな?
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