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ゴブコボの突撃
しおりを挟む突撃開始だ。
張り切って、『よし。ゴーだ!』なんて言っておいて、ゴブリン足が遅い事を再度認識させられる俺。
まあ、コボチャンったら。なんて頼りになるのでしょう。速攻で引き離されてしまいましたとさ。
ここでコボチャン1人に任せて高みの見物なんてする訳がない。したとしても低見の見物となるだろう。身長の関係で。ちん長もか。ぎゃっぎゃっぎゃっ。
それもいいかもしれないとはちょっと思ったが、これも検証だ。流石に1人では厳しいと思うし、中は広くもないだろうから囲まれたら大変だ。
ずごっと挿入するように押し込まれたりしてな。それは俺の役目。流石にそれはさせないぜ。なんてな。別行動だから俺も気を付けないとな。
あっ。もう悲鳴が上がってらあ。やるな。殺ったのか。
ならば俺も続くのだ。
今更ながら、ここがオートロックじゃなくて良かったよ。誰でも自由に出入りできる環境って素晴らしい。今はそれが仇となったがな。
入って直ぐに目にしたのは、所謂コボチャン無双。
受付け窓口と事務所を兼ねたような部屋で、目には止まる速さで駆け回る犬。いや、コボルトのコボチャン。
あの牙は凶器だ。俺もあるけど、あんな事は出来ません。コボチャンは怒らせないようにしようって思った。いや、コボルトとは仲良くしよう。皆にも徹底させる事に決めた。
突然こんな魔物に襲われたら怖いよな。じゃ済まなかったようだ。すまない、なんて言葉は通じないだろうし、そんな事を伝えても情けは掛けられないだろう。魔物だしな。
なんて思ってる内に、数人は居たであろうスタッフらしきお揃いの服を着ていた人間共は倒れ伏し、ただならぬダメージを与え終わってしまっていた。多分瀕死とか既にお亡くなりになっているのだろう。
オーメン。
俺は、取り敢えず誰も逃がさないように構えてますよって感じで棍棒を構えてみたりして。ナニもしないのは気が引けるだけの話です。
わあ。素敵。フロアもコボチャンも血みどろです。折角綺麗にしたのにさ。なんて思ってない。また洗えばいいさ。股もな。ぎゃっぎゃっぎゃっ。
わざとじゃないの、わざとじゃないの、ただ足が遅かっただけ。ごめんな。コボチャン。よくやった。
でも止めは刺すぞ。これも連係プレー。美味しい所取りとも言う? そんな細かい事は気にしちゃいけねえぜ。窮鼠猫を噛む。この場合は窮人間犬を噛むとも言うかもしれないし。
だからゴブリン怒りの棍棒。別に怒ってはないけど、コボチャンに怒られる前に動くのだ。
言っても勢いで棍棒を順番に振り下ろすだけの簡単作業。俺も強くなったものだ。
「コボチャン。ナイスだ! でもまだ生きてる奴も居るぞ。俺も手伝うからしっかり止めを刺すんだ」
「ガウッ!」
良かった。怒ってはないみたい。そして俺も止めは刺させてもらえるようです。ありがとう。
これなら生れたてのゴブリンでも出来るかもな。ぎゃっぎゃっぎゃっ。
ゴシャッ ズシャッ ガブシッ ガッシィッ
効果音と主に更に広がる惨劇。俺のジャージも血みどろだ。やいやい。これも仕方ない。後でまた洗おう。特にちんこは念入りに。真珠は入ってねえけどな。特に意味はない。ぎゃっぎゃっぎゃっ。
あー。すっきり。速攻殲滅完了だ。
「コボチャン。良くやった! この調子でガンガン行こうぜ!」
「ガウッ!」
うん。ありがとう。コボチャン。勢いで申し訳なさを誤魔化してみた。やっぱり全く問題なさそうで安心したぜ。レベルとか経験値なんて概念はないのかもな。ありがたい話だぜ。
倒れてるおやつも確保しておこう。そう考えるしかないゴブリン。やっぱりグロ耐性はないようです。
これはコボチャンが殺ったんだから当然コボチャンのおやつだ。これくらいで勘弁してね。これとは別に、またお菓子とか犬缶も出すからね。
壁に貼ってあった見取り図から建物の構造を把握し、これからの動きをシミュレート。
いかに効率良く、取りこぼしがないように進めて行くか。それが戦略。ゴブリンそういいうの大好きです。適当なんだけど、只のシュミレーションゲーム好きだったりして。
「コボチャンは向こうから順に、俺はこっちから順に上に行くからな。じゃあ、またゴーだ」
「ガウッ!」
ザッ ダッ
ナニも疑わずに従ってくれるコボチャン。マジ有能。部下ではないはずなのに、いいのか、コボルト。チョロ過ぎないか? まあいいぜ。俺に噛み付いて来なければ問題ない。
エレベーターもしっかりあるようだ。当然か。そういう施設だし。コボチャンは階段を、俺はエレベーターを使って上階を目指せばいいか。
決してしんどいからってだけじゃない。ゴブリン遅いしな。それに入れ違いで逃がすのも面倒だ。助けを呼ばれる前に片付ける。これ基本。
ほぼコボチャン無双で終わってしまうかもしれないが、俺も経験値を稼がないとな。
ちょいと頑張るぜ。
おりゃおりゃおりゃ~ ドゴッ!
どけどけどけ~い ドスッ!
まだまだまだ~ ガンッ!
きったねえゴブリン様のお通りだあ~ バゴシッ!
くっせえぞ~ ゴスッ!
でも逃がさねえぞ~ トスッ!
あれ。なんか悲しくなって来た?
気のせいか。
只々一心に、余計な事は考えずに行動するのみ。
相手が誰であろうとも、善人だろうが悪人だろうが関係ない。人間は人間だ。それは殺すべき対象。
俺達魔物の使命は人類を殲滅する事。只この一点のみ。
考えたら負けよ。人間らしさなんて残した時点で魔物じゃねえ。甘さも弱さも捨てるのだ。
俺は弱々ゴブリン。躊躇してる立場じゃねえ。
一瞬の戸惑いが、妄想が、自分だけでなく仲間をも危険に晒してしまうかもしれない。殲滅軍を選択した時点で分かってたはずだ。こうなる事も、こうしなきゃいけない事も。
例えおばあちゃんっ子だったとしても、おじいちゃんとの暖かい思い出が溢れて来たとしても。それは昔の、人間だった頃の感情だ。
今は魔物。ゴブリン。人間を殲滅させる為に居る存在。
ゴブリン精子は出すけど涙は流さない。これは汗。多分、そう。
後で違う汗水いっぱい流してやるぜ。ラナ。待っててな。
ちょりゃあ~ パッキャーン!
はあはあはあ。ゴブリン。ちょっとひと休み。
上へ参りま~す。エレベーター雌が居たら良かったのに。ドキドキしながらひと時の密室で密着。これ雄の願望あるある。1度でいいからやってみたかった。俺だけか?
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