人類を滅ぼすのが使命みたいなんですが種族がゴブリンってのはないんじゃないでしょうか

復活のおたけさん

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イケメンの拾い物

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 バンパイアって格好いい。イケメンだから更にそう思ってしまう。例え胸に抱っこちゃん人形を抱えていても。

 正確には全く違う生き物のようだが、色もそこまで真っ黒て事もなく、ぽっちゃりでもなく、腰みの1丁って事もなかった。

 ちっちゃいコアラの様でもあっだか、そこまで色も薄くもなく、そんな可愛さはなく、小さな羽があるって所が全く違っていた。

 顔は、意識を失ってるからか確実ではないが、ゴブリン似? なんかそんな匂いのする魔物の様だった。臭くはなかった。それだけはゴブリンには言われたくない言葉だよな。

 お前くっせえな。ってな。ぎゃっぎゃっぎゃっ。


 俺が、俺も自由に空を飛んでみたかった。なんて思ってしまってたからなのか、この出会いも必然だったのかもしれないが、やっぱり客観的に見て、これが飛んでたらキモいかも。

 速攻で目に付いて、確実に殺られそうだぜ。色のお陰で夜なら目立たないかもしれないが。良かった。俺には羽がなくて。飛べないゴブリンは只のゴブリンだ。キモいのは変わらないだろうけど。ぎゃっぎゃっぎゃっ。ぐぎゃあ~


 端的に言ってしまえば、色違いの羽の生えたゴブリン。もう少し痩せていて、全身深い緑ではなく、不快な緑でもなく、ダークグレー。

 真っ先に思い浮かんだのは、インプって名前の魔物だろうか。悪魔かな。俺がインポじゃねえのは間違いない。俺の魔棒は元気だし。変色の過程でこんな色にはなるかもな。ぎゃっぎゃっぎゃっ。

 それはナニかと尋ねても、明確な答えは返ってこなかった。あら、そんな焦ってるイケメンも格好いい?


「ゴブリンさん! だから、今、そこで拾って来たんです! 倒れていたから連れて来たんです!

 ちょっと気持ち悪かったですけど、これがナニかは知りませんけど、魔物なのは間違いないでしょう?! ゴブリンさんなら助けられるんじゃないかって思ったんですよ!

 もうっ。何でそんなに冷静なんですか?!」

 所々言ってる内容が酷いんじゃないかなって思いつつ、似てるって思ってしまっただけに、やっぱり俺達も本心ではそんな風に思われてんだろうなとは思いつつ。

 また変な突っ込み入れると怒られそうだし、こっちにもダメージが来そうから止めといた。突っ込みたいのはそこじゃないってか。ぎゃっぎゃっぎゃっ。

 勘違いされちゃ困るけど、冷静って言うか、俺は覚めてるだけのゴブリン。だってやれるかやれないかでしか判断できない魔物。それがゴブリンです。

 だからちょいと興奮してるイケメンをパシャリと撮ってどこぞにアップしてやりたいが、今は無視。多分いいねの数は半端ないはず。ゴブリンでも認証受けられるかな。


 そんな不穏な物体を降ろしてもらって見てみると、羽が片方失くなっていて、肩にも大きな傷があった。えぐれてた。

 確かにキモかった。ごめんな。バンクン。これ見て気持ち悪いって言ってたんだな。俺達、血は嫌いだもんな。自分のも。他人のも。

 飛んでる時にナニかの攻撃を受けて落ちたって感じだろうか。こんなのが飛んでりゃ落としたくなるか。人情として。

 ちょいと小さめの色違いのゴブリンがグギャグギャ言って飛んでたらどうします? グギャグギャ言うのかは知らんけど。

 うん。速攻ナニか投げたくなるな。間違いない。御愁傷様でした。ぐぎゃあ~


「ラナ。ラナの回復魔法で行けそうか? 回復した途端に襲って来るかもしれないから、俺はそっちの対応をしたいんだけど」

 当然俺なら回復させる自信はある。だってこれより大きな個体で、更に片腕消失なんて酷い傷を負ってたイケメンを治しちゃったんだから。だからラナに振ってみた。

 魔法の種類、使用回数にも違いもあるようだし、効果も違うのかもしれない。これも1つの検証だ。悪いが実験台になってもらう。

「は、はいっ。ご主人様。少し見せて頂いてもよろしいでしょうか」

「そ、そこまで警戒しなくても、……」


 天使なラナは流石に直ぐに指示に従ってくれた。イケメンバンパイアはナニか言ってたが無視だ。イケメンだからじゃない。分かってないからだ。直接は言わないけど。

「ああ。そうしてくれ。ラナ。命には別状はなさそうだし、気絶してるだけかもしれないから、そんなに焦らなくていいぞ。こいつが敵か味方も分からないしな。魔物と言っても皆仲間って決まってる訳じゃないからな」

「は、はいっ。分かりました」

「あっ。そうか。魔物が皆仲間って決まってる訳じゃないんだ。あっ。もしかしたら、僕が慌てて変なの連れて来ちゃってたかもしれないんですね。……。

 ごめんなさい。ゴブリンさん。ちょっと軽率過ぎました」

 うん。敢えて突っ込まなかったけど、そういう事だ。反省できるイケメンは更にモテちゃうぞ。ちっくしょう。


「いいんだ。気にするな。バンクン。君の行いは間違ってはない。いい事をしたと思うぞ。本当だ。

 ただ、敵か味方も分からないってのは覚えておいた方がいいと思うぞ。魔物同士でも攻撃は通るし、ダメージは与えられるからな。殺っても経験値は入らないみたいだけど」

「あ、は、はい。しっかり覚えておきます。次から気を付けます。ありがとうございます」

 更に素直に頭を下げちゃうイケメン。これ、マジモテ野郎だよな。これからも羨ましい。


「まあ、なんだ。中には利用されたり、操られてる魔物も居るかもしれないしな。そういうのはバンクンが得意な分野じゃないのか? 魅了のスキルとかが使えるようになれば、もっと安全で効率よく動けると思うけどな」

「は、はいっ。そうですね。そうかもしれませんね。今の所は難しそうですけど、出来るようになったら相談しますね」

「おう。是非とも活用させて欲しい能力だからな。その為なら協力は惜しまないぞ」

「は、ははは。お手柔らかに」

 全くもってイケメンったら欲がない。既にやろうと思えば出来そうな気はするが、そんなの俺なら魅了で従属させやまくってやりまくるけどな。簡単ハーレム野郎の爆誕だ。ちょー羨ましいぜ。

 それなら裏切られて刺される事もないだろうしな。ぎゃっぎゃっぎゃっ。ぐぎゃあ~

 あっ、そうか。バンクンは童貞だからセックスの良さも分かってないのか。そうかそうか。しょうがないイケメン君だなあ。

 それはこのゴブリンさんがしっかり教えてやらないとな。プロフェッショナルとして。回数だけだけど? ぎゃっぎゃっぎゃっ。ぐぎゃあ~

 セックスの気持ち良さなんて、やれば分かるか。やれよーっ! ってか。ぎゃっぎゃっぎゃっ。


 なんて妄想して楽しんでたら、ラナから報告が。

「ご主人様。ここまでの傷は、今の私では回復は難しいと思われます。体力なら回復させられると思いますが、いかが致しましょうか?」

 クレリックになった天使のラナでも、体力の回復は出来ても、欠損部位の回復までは出来ないらしい。今はまだ。

 やはり、俺の職業とはカテゴリーが違うらしい。ファーストネームドの特別仕様って事だと理解する事にした。ちょっと優越感。

 俺の場合は、ヒーラーでもパーフェクトヒールが使えるようになったのに。ゴブリンって前に付いてるけど。それが、ラナの場合は上位職でもまだ使えない。もうすぐかもしれないし、更に上があるのかもしれない。

 今はいいから、取り敢えず回復してもらう事にして、俺達は一応の迎撃態勢を。

 バンクンが居ればなんとかなるだろう。1番最初に目が行くのはイケメンだよな。それとも逆もあるのかな。

 それはその時になってみないと分からない。確実に身長差のある、存在感も段違いのバンパイアに行って欲しいと願うゴブリン。俺は面倒事は嫌いなんです。

 そして出来れば攻撃も受けたくない! ラナを守るのが俺の使命。指名されちゃうぞ。ぎゃっぎゃっぎゃっ。


「ハイヒール」

 天使から、まるで天啓かのような優しい声が発せられ、暖かみのある魔力が注がれた。

 出来れば俺以外には掛けて欲しくないなって思ってしまったぜ。いつも掛けまくってるだけに。玉はないけど、偶には違う液体掛けられてるけど、それも温かかったな。ぎゃっぎゃっぎゃっ。

「っ、う、ううぅ……。こ、ここは?」

 喋りやがった。いや。理解できてしまった。このインポ。違った。このインプ。多分だけど。声が雌だった。可愛いとは思えなかった。良かったぜ?


「バンクン。助けた王子様が説明してやった方がいいと思うぞ。今後の為にもな。俺は一応直ぐに動けるようにしておくから、安心してくれ」

 そして打ち合わせもなく無茶振りするゴブリン。責任は最後まで取るのが雄だ。丸投げとも言う。焦ったか? ぎゃっぎゃっぎゃっ。いや。これも役割分担だ。

「っうっ。そ、そうですよね。僕が最後まで対応するのが筋ですよね。分かりました。やりますよ。今後の為にも、ですね」

 流石だぜ。直ぐに理解してくれるイケメンはもてるぜ? 我が儘でももてると思うけど。ぎゃっぎゃっぎゃっ。

 取り敢えず、俺はナニも言わずに親指を立てといた。人差し指と中指の間には入れてない。危なかったけど。

 ちゃんと周囲の警戒はするから許してちょんまげ。古いな。コボチャンも居るから、俺はまたしても要らないゴブリンだろうけど。頑張れ。

 そんな風に緊張して中々話し掛けられないイケメンなんて、動画で撮ったら金が取れるぞ。厳しいかな。


「ふう~。よし。だ、大丈夫ですか? 民家の庭先で倒れていたから、僕がここまで運んで来たんです。そして、こちらのゴブリンさんに回復してもらったんですけど、僕の言葉は理解できますか?」

 流石だぜ。俺なら既に惚れてるな。その優しい笑顔。言葉遣い。声までも。ちょっと赤くなってる所なんて、発情してない雌でも発情させちゃうレベルだと思うゴブリン。マジでどこかにアップしたい。

 すっと近付いて行ってるのに、なんならまた抱き抱えるつもりかよって勢いだったのに、全くいやらしさがなかった。俺とは段違い。紳士だな。


「あうっ! えっ、あっ、……うぅっ、……」

 バンクンをひと目見て、更に2度見して、そしてガン見して、固まった。分かり易くて助かった。俺のミッションは終了だ。もう危険はないだろう。

 あるとするなら、バンクンの貞操だけだな。とっとと散らしてもらえばいいと思うけど。果たしてその身長差で出来るのか。それはそれで楽しみな検証になりそうだぜ。頑張れよ! お互いに。

 俺はラナとコボチャンとしっぽりやってるからな。3人で。ぎゃっぎゃっぎゃっ。

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