人類を滅ぼすのが使命みたいなんですが種族がゴブリンってのはないんじゃないでしょうか

復活のおたけさん

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イケメンと酷い者

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 暫くして、その後ナニも話せない2人に堪えられなくなって、流石にちょいとイライラした俺の指示で、ラナに間に入ってもらって聞き取ろうとしたのだが、言葉が通じなかった。雌同士ならって気を使ったのにな。


「グギャグギャ何言ってんの。このゴブリン。でも、なんか可愛い顔してるわね。ゴブリンなのに」

 こりゃまた決まりだった。こいつも選択者。

 パンツは濡れてねえよな。そっちの洗濯は必要ねえか。今はまだ。ぎゃっぎゃっぎゃっ。

 バンクンの言葉は、照れちゃってたからちょいと怪しかったけど、多分理解できていたはず。しかしラナの言葉は通じなかった。これ、選択者の特徴。仕様って事だろう。

 ラナの可愛いさを理解できる所は及第点。でも、ゴブリンなのにって言葉が引っ掛かった。お前もそのゴブリンにそっくりだぞ。とは言わないでやった。

 ラナは天使だから全然似てないが、顔だけ見れば同じ系統樹上に存在してるのは否定できない魔物だろう。少なくとも俺はそう思う。それもいつか理解されるだろう。それまでのお楽しみだ。


 で。相手が雌だとより緊張してしまうバンクンだと話にならないから、仕方なく俺が対応する事にしたんだが。

 ゴブリン、ショック! 俺なら普通に話せるらしい。いや。かなりビッチな性格なのか、強気なお嬢さんだったのか、俺が苦手なタイプだった。俺を見るなり言われちまった。本心を。


「うっ。またゴブリンなの。今度は全然可愛くないじゃない。うわっ。なんかもうまじキモいんですけど。寄って来ないでもらえる? そこから先に近付かないでよね。これ命令ね」

 一瞬で殺意が湧いたけど、堪えた。俺偉い。ラナに言ってたら殺してたかも。瞬殺で。

 バンクンを見ると、もっと苦手なタイプのようだった。ちょっと距離を取って、顔まで引いていた。それでもイケメンて。この言葉遣いもムカつくよな。俺もそう思う。

 御愁傷様。お前のひと目惚れは終わったぞ。言わないけど。これもざまあ。助けてやったのに態度の悪い雌はビッチ認定だ。それが俺。


「初対面で口の利き方も分からないような奴は仲間にはしないって事でいいよな。バンクン」

「あっ、は、はいっ。そうですね。流石にこれでは嫌ですね。助けてもらって感謝もないような人とは一緒に行動したくないですね。

 折角手間を掛けて助けたのに、ハイヒールまで掛けてもらったのに。なんなんですかね。この人」

 俺にははっきり言えるイケメンのバンクン。そのまま顔をそいつに向ければいいだけなのに。惜しい! そして、そこまで言えるバンクンも逞しいと思うぞ。でかした!

 でも、そいつも人じゃないからな。言わないけど。


「えっ、えっ、えっ。ど、どういう事?!」

「……」

 バンクン。無視かよ。そいつはバンクンに聞いてるんだぞ。ガン見は出来ないようだけど。チラチラ見たり目を逸らしたり、見てるこっちが気持ちわりいぜ。

 しかも、俺の方なんて見ようともしないビッチ。どうしてくれようか。

 バンクンが言ってた事なのに、自分に都合の悪い部分は聞こえない仕様なんだろうか。それはそれで逞しいな。流石ビッチ。何でもありか。

 股の緩い奴は頭も緩いって決まってるからな。当然、俺の偏見まみれの主観だが。

 だが仕方ない。このままじゃ話が進まない。ここは汚れ役ゴブリン。なんとでも言ってやるぜ。やれない雌は雌じゃない!


「今バンクンが言った通りだ。お前は倒れてた所をバンクンに助けられた。そしてこのゴブリンにハイヒールを掛けてもらったんだよ。体力は回復してるはずだ。

 魔物の使命は1つだからな。話が合う奴なら仲間としてって感じだったんだが、お前は無理って事だ。今回はこっちが勝手にやっただけだからナニも請求しないから、とっとと行きな」

 その羽のない状態で飛べるかどうかは知らんがな。気付いた時にはもう遅い。ってな。ぎゃっぎゃっぎゃっ。


「……」

「……」

 ちっ。なんか言えよ。2人共。俺だけ喋って俺損か? くっそう。イケメンもビッチも得ですな。ちっ。ちっ。


「ちなみに、これは俺の雌だ。可愛いのは当然だ。そして俺達はそのヒールを天使の癒やしと呼んでいる」

 正確には俺だけな。どうせ分かるまい。ぎゃっぎゃっぎゃっ。


「……」

「て、天使の癒やし、……」

「ご、ご主人様。そんな、当然だなんて、天使だなんて、……」

 バンクンは無言。ん。イケメン。

 ビッチは信じたか。ビッチだしな。

 そしてラナは顔を真っ赤にしちゃってマジ天使。ここでやっちゃうか?


 そしてまた暫し無言。

 コボチャンが居るから警戒の方はいけどさ。俺はナニもしなくても経験値が入ってくるけど、ラナとコボチャンには入らないんだぞ。無駄な時間はもう勘弁だぜ。


「ご、ごめんなさい! 私そんな事全然知らなくて、突然ナニかが飛んできて羽を焼かれてしまって、って、あっ。……。やっぱり。う、ううっ。

 そ、そのせいで落下しちゃったみたいなの。そこからの記憶はないの。本当にごめんなさい」

 取り敢えず謝ってきて状況を説明したインプ。少しは反省したらしい。俺には言ってないけどな。俺が言ったんだが、俺は無視。全部バンクンに向けて話してーら。このビッチ。

 俺は根に持つゴブリン。言われた侮辱は忘れない。そしてビッチにはビッチらしい最後を。これも基本だろう。


 全然可愛くないとか、もうまじキモいんですけどとか、近付かないよう命令されたりとか。これを笑って許せるゴブリンが居て?

 俺は無理。その後も相手にされてないゴブリン。流石に怒りが込み上げてます。当然ちんこは無反応。ゴブリン愛の棍棒を振り下ろしてやりてえぜ。

 だが、バンクンに向かって自己紹介を通り越して自分話始めちゃったから、取り敢えず聞いてます。

 情報は大事。ビッチであっても空から見た状況とか、これまでして来た事とか、ナニか参考になるかもしれない。だから堪えるのです。

 でも妄想では、この棍棒を体中に叩き込んでヒールで回復。それを延々と繰り返し、泣き叫んで許しを請うて来ても止めないゴブリン。

 精神的にも屈服させて放り出す。そんな楽しくない状況を妄想して落ち着かせてます。

 全然楽しくない現場になるだろうから本当は絶対やりたくないゴブリン。でも気持ちはスッとする。ちんこも頭も熱し過ぎはよくないな。ぎゃっぎゃっぎゃっ。


 で。

 このビッチ。自分の事を可愛いと思い込んでるのはすっげー伝わってくるゴブリン。それは不快だな。お前の容姿はゴブリンだぜ? って言ってやりたいぜ。まだ教えないけどな。ぎゃっぎゃっぎゃっ。ん? ぐぎゃあ~

 やはりこの突っ込みは自分にも返ってくるゴブリン。辛いぜ。まが負けない! 俺にはラナとコボチャンが居る!


 名は、『ミユキンプ』。つい先程生まれ変わって来たばかりらしい。

 やっぱり悪魔系のインプらしい。『ンプ』付けるってのもスゲー勇気だよな。それもビッチ脳か。『ゴブ』に言われたくねえか。ぎゃっぎゃっぎゃっ。

 インプミユキって言われるとレスラーちっくになるし、俺ならインポミユキっていじるだろうな。雌だけど。ぎゃっぎゃっぎゃっ。


 持ってる特有スキルは契約魔法。魔物や人間を契約で縛って従属させる事が出来るらしい。まだレベル上げも出来てないから簡単な事しか出来ないみたい。

 それと、鑑定と異次元収納は両方レベル3らしい。そこにポイント突っ込んだと。異世界あるあるだから当然そうしたと。なんやかんやと自分の有用性を必死にバンクンにアピールしております。


 相手の弱点を見抜いて上空から物を落とす異次元収納無双。そして弱らせて契約で従属させる。そんな戦略を立ててたらしい。凄いでしょ。と。

 まあ、分からなくもないけど、飛べるならそれで何とかなりそうだけど、やはり考えるのは皆同じってか。ビッチもやるじゃないか。言わないけど。

 確かに鑑定は有用だけど、色々と見てもらいたいけど、異次元収納は俺のがレベル上! やっほおっい! ざまあ!

 でもねえか。俺は教えないけどな。あほやろ。こいつ。ビッチだった。それで速攻撃ち落とされてりゃ世話ねえってな。甘過ぎる。ぎゃっぎゃっぎゃっ。


 恋は盲目。ビッチにも通じる名言だったんだな。迷言じゃなく。ぺらぺらべらべらよく喋る。その舌遣いがあればグッとさせられるかも? なんてな。ぎゃっぎゃっぎゃっ。

 俺のは入っても、バンクンのは入るかな。逆に気持ちよかったりしてな。ぎゃっぎゃっぎゃっ。バンクンにそんな勇気があればだが。頼まなくてもやってくれると思うぞ。勿論、言わないが。

 バンクンの一物の確認はしたくない。これ以上のダメージはいらないぐぎゃあ~


 で。どうも話を聞いてたら、『突然ナニかが飛んできて羽を焼かれた』っていうの、もしかしたら俺かマイチクンの火魔法だったのかもしれない。

 人間側の選択者って可能性もあるけど、近所で魔法使ってたのって、俺かマイチクンだけのような気がしたゴブリン。勿論、伝えるつもりは微塵もない!

 既にざまあしてたゴブリン。流石やね! ぎゃっぎゃっぎゃっ。ゴブリンを馬鹿にしたからだ。先にやっちまったようだがな。それも必然だったんだ。深いな。お互い不快なだけに。ぎゃっぎゃっぎゃっ。



「ちょっとゴブリンさん。僕だけに押し付けないで下さいよ。この人さっきから喋りっ放しで怖いんですけど」

 イケメンバンパイアのヘルプ入りました。確かに喋りっ放しだったな。他者に話す間を与えず、自分だけよく喋る雌はビッチになっちゃうぞ。既になってるか。ぎゃっぎゃっぎゃっ。

 これならやりっ放しにも堪えられるかも。小悪魔系インプ。まさに俺のイメージ通りの魔物だぜ。だからインプに生まれ変わったのかもな。体験者は語るってか。ぎゃっぎゃっぎゃっ。ぐぎゃあ~


「必死にバンクンにアピールしてるんだろう。俺は拒否したからってのもあるかもしれないけど、ずっと無視されてるようだし、まだ礼も言われてないからな。相手にするつもりもない。

 バンクンが拒否してくれたら話しは終わらせるぞ。バンクンの意見も大事だからって思って見守ってたんだけど、どうする?」

「え~っ。そういう事だったんですか。先に言って下さいよお。無駄な時間使っちゃったじゃないですか。もっとレベル上げしたいのに。僕だってあんな人を相手にしたくないですよお。はあぁ」

 なんて正直なイケメン。それをそのままあいつに言ってやれよと言いたいが。それが出来ないのが童貞イケメン。相手がビッチだから尚更手強いよな。仕方ない。


「ごめんごめん。勝手に話してくれてたし、有用な情報があるかもしれないって思ってたから聞いてたんだ。大したものはナニもなかったけどな。やっぱり時間の無駄だったな」

「さ、流石ゴブリンさん。そんな事まで考えてたんですね。ははは。なら、もういいですよね。早くレベル上げを再開しましょう。時間は無駄には出来ません」

 やる気になったイケメン。方向は真っ当だけど、やることは人殺し。これいかに。違うやる気もビッチに向けられる事はないだろう。無視なんだ。やるな。


「オッケー。バンクン。じゃあ行こうか」

「はい。またお願いします!」

 急に元気になるイケメン。このパッと咲いた笑顔。プライスレス。やる気になったイケメン格好いい。夜なのに、ま、眩しい。


「ちょっとちょっとちょっとお。ナニ勝手にあんたが仕切ってんのよ! ゴブリンの分際で、私とこの、こ、この王子様と話をしてたんでしょ!

 あ、ん、た、は、関係ないの! どっか行きなさいよね! 邪魔しないで!」

 くそビッチがうざい件。唾が飛んで来たけど、なぜか全然嬉しくないゴブリン。きったねえ。

 でもバンクンだけは別格扱い。王子様って言っちゃってるし。引くわ~。

 あっ。バンクンも引いてるわ~。こんな雌は大嫌いだよな。分かるぜ。無視してもこれだ。虫かもな。虫ビッチ。ぎゃっぎゃっぎゃっ。

 くっそー。まだ立ち塞がるか。こりゃ、俺がやっちまうしかないか。やれやれ。イケメンは助けて損はない。はずだ。だよな?

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