人類を滅ぼすのが使命みたいなんですが種族がゴブリンってのはないんじゃないでしょうか

復活のおたけさん

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とある選択者と非選択者集団

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「おい。こんなに看板あったか?」

「ああ? ん? そうだな。増えてるな。しかも大きくなってるような、……」

「おいっ。どういう事だ?」

「ああ? ……。まあいいや。取り敢えず全員そこの看板は読んでおけよ。じゃないと入れないようになってるからな」

「つっても俺らも全部読ななきゃなんねえんだろうがよ。面倒くせえなあ。おら、どけよっ」

「ああ?!」

「あぁあっ!?」

 ……

 不毛な遣り取りが暫し

 ……


「ちっ。なんじゃこりゃあっ。こんなダンジョンあんのかよっ」

「面倒くせえんだなあ、これ全部読まないと入れないのかよおっ。なんなんだよ、これ」

「ふっ。なかなか楽しそうなダンマスのようですねえ」

「なんじゃあっ、馬鹿にしとんのかあっ!」

 ドガッ!

「いってっえぇ~~っ!」

「ふぅ、馬鹿が、……」

「マジかよ。魔力とか金とか取んのかよっ」

「へえ~。そんなの有りなんだな。ひゃっはっはあっ。こりゃいいやっ。俺達には関係ねえけどなっ」

「ふっ。そうだな。俺達がここを乗っ取ったら好き放題できそうだな」

「ちげえねえっ。はあっはあっ!」

「誰がこんなん払うかよっ! はんっ! ぺっ!!」

「「「「……」」」」


 更に今回だけの立て札、その為のオブジェも追加されていた。

『近頃、此方の意に沿わない利用者様が居られまして、今回からセーフティー・フロアの利用に対価を支払って頂く事になりました。

 魔力のある方からは、総魔力の10%を。
 魔力のない方からは、一律で1人1万円を。

 施設利用料という事で徴収させて頂きます。それで24時間の安全な滞在が保証されます。

 此方の手形に手を置くか、横の穴にお金を投入して下さい。

 お支払いがない場合、この施設の利用、並びに店内での買い物等は出来ません。また、一直線に中央の噴水に向かわない場合は、数秒で強制退去する事になります。

 心苦しい措置ですが、皆様の安心安全なフロア運営の為、どうぞご協力下さい』


 余計なDP使っちまったと反省してた、色んな種族の雌に囲まれたゴブリンのダンマスが居たようだ。

 彼曰く、これも選別の1つ。この時点で敵かお客さんかが判定できるのは有りだと思うけど、施設利用料なんて金を取るのは本当は気が引けるけど、反応も見てみたいし、1度やってみて色々改善させて行こう。って事だった。

 特に今回は殺る事を前提にしている為、払ってくれるとは思ってなかったようだが。

 その後に、強制転移だってタダじゃない。貰えるもんは貰っておきたいし、出来れば金より魔力が欲しい。

 セーフティー・フロアを1日利用するなら魔力は回復するし、決して高くはないはずだ。などと思っていたようだ。ヨーダみたいな姿のゴブリンが。

 そして、やっぱエロエロやって確かめないとな。ぎゃっぎゃっぎゃっ。と笑って居たとか居ないとか。


 股暫しの時間が流れ、全員一致でそのまま進む事が決まったようだ。最後の塊を除いては。


「全員確認したな? このフロアでは手荒な真似は一切するなよ? じゃあ、一直線に行くぞ!」
「「「「「おうよっ!」」」」」

「俺達も行くぞ」
「「「分かった」」」

「続こうか」
「「「ああ」」」

「ふんっ」
「「「……」」」

「「「「「……」」」」」


 ぞろぞろとそれぞれのパーティと思われる塊で進む雄だけ軍団。6、4、4、4、4の総勢22名。

 それぞれに違ったタイプのパーティであるようだ。

 年齢層は高校生くらいから40代のおっさんと思われる雄達が、年代で固まったり、歳とは関係なしにパーティを組んでいるようだった。

 先頭のパーティが何度も1階層を強制退去させられていた者達。他は今回が初めての顔触れ。

 しかも最後尾の4人は、大した装備を着けるでもなく、大きなリュックや手荷物を下げて付いて行っていた。所謂、荷物持ちというやつだろうと思われる。

 ここまでの遣り取りや表情を見るに、決して待遇がいいとは言えない様子で、嫌々連れられて来たという雰囲気を漂わせていたが、声はナニも発せず、ただ重そうな荷物を必死に運んでいた。


「おいっ、わざと逸れるなよ。外に出されてもまた連れて来るからな。ボコボコにしてな。はっはあっ」

「「っ!!」」

「ちっ。苛めてんじゃねえよ」

「はんっ。これは苛めじゃねえよ。教育的指導ってんだよ。知ってるか? はっはあっ」

「ちっ!」


「ここが噴水だな。この中を進めば次の階層へ行けるって事だよな?」

「ああ、そのはずだ。ん? よく見ると奥に階段っぽいのがあるぞ。あそこだ、見えるだろう?」

「ん? あ、ああ。そう言われてみればそう見えるな。階段か。まさかこんな所に隠されてるとはな」

「はっ。潜るのかよ。面倒くせえなあ。攻略するなら仕方ねえってか。ちっ」

「あっ、でも、切符は何処で売ってるんだろうな」

「おっ、そうだな。分からない事はどの店でも教えてくれるっぽい事書いてあったから、何処でもいいから聞きに行ってみるか」

「ちっ。馬鹿共が。『片道切符』をそんな意味に取ってんじゃねえぞ。クソガキが」

「あっ! あぁあ~! やんのか、ごらぁっ!」

「あぁあ~~っ! ぶっ殺されてぇのかぁ! ぅおらあっ!」

「ちっ。馬鹿ばっかだな。やっぱり止めときゃ良かったぜ。こんな野郎共と一緒に来るのはよ」

「ちっ。おらっ! そんな事してっと強制的に出されるって聞いてただろうが! しかも2度と入れなくなるって書いてたあっただろうがよ! ここじゃ止めとけよっ! アホ共がっ!」

「「「っ!?! あぁあ~~っ!!」」」


 もう暫し不毛な遣り取りが

 どうも仲の良いパーティ団ではないようで、それぞれのパーティがナニかしらの接点で集まったという所だろうか。目的を1つ、ダンジョン攻略を掲げただけの集まり。そんな集団のようだった。


「おらっ! 先ずはお前達から行ってみろ! 荷物は一旦置いて行く事を許してやる。安全を確認したら戻って来いよ! ひゃっはっはあっ!」

「「くっ!」」

「おらっ、早く行けっ! こんな所直ぐにでも攻略したいんだからよおっ」

 ドンッ!

「「っ! あっ!」」

 ドッボーン

「ひゃっはあっ! どうせ濡れるんだ。ぐずぐずしてんじゃねえよっ! 早く行けやあっ!」

 手荒な真似はするなと言われていたはずだが、そんな事は既に忘れ、軽く押し飛ばして噴水へ強制的に落としていた。

 これは『戦闘行為、並びに他者へ危害を加える行為』とは受け取られず、『即時の強制退去』される事もなかった。ただの悪戯程度に判断されたようだ。

 それもどうかと思うが、確かに身体へのダメージはほぼ無かっただろうが、子供ならまだしも、いい年した雄がやっていい行為ではないと思いたい。

 だが、ダンジョンにとってはどうでもいい行為だったのだろう。そしてそれを見守る者達にとっても。


 どうしようもない様子で従う荷物持ちだった2人。他にのメンバーも、特にナニを言うでもなくこの遣り取りを見守っている。

 他の荷物持ちの2人も、次は自分達だと分かっているが、先頭じゃなくて良かったと少しほっとした目で見ていた。特に喋る事を許されてはないような者達だった。


 嫌々ながらにも噴水を進み、階段と思われる場所まで行って、小さな声で2人だけで作戦会議を始めた荷物持ち、1、2。

 じゃんけんをして順番を決め、負けた1人が絶望の顔を見せるが、後ろから更なる罵声を浴びせられ、渋々潜って様子を確認する事になったようだ。

 とぷん

 …… ……

「っ!」

 …… ……

 ざっぱ~んっ

「はあ、はあ、はあっ、……」

「ど、どうだった?」

 明らかに顔色が更に悪くなった荷物持ち1に尋ねた荷物持ち2。


「……。あ、あれは無理」

「えっ!?」

 言っても伝わらないと思うから、自分でも見てみなよ。そう言われて、仕方なく自分でも確認してみる事にした『荷2』。縮めてみた。

 とぷん

 以下、同様。そして動揺。これも同様に。


「無理無理無理ぃっ!」

 無駄じゃないだけ弱い『荷2』。オラオラ系でもないだけに、所詮、荷物持ち。それは仕方ないのだろう。

 しかし、そんな事を許してくれる奴等じゃない。必死に説明するが、しっかり先の様子は確認されたが、たったひと言。


『お前は俺を怒らせるつもりか?』
『それでも行け!』
『痛め付けられるのと必死で進むのと、どっちがいいんだ?』
『早く行って来い!』

 ひと言じゃなかった。それぞれからひと言ずつだった。しかも決め台詞とは少し違っていた。残念だ。



 これまで散々、殴る蹴るの暴行、言葉によるさげすみを受けて来ていた。しかも、家族という人質めいた存在もあって、反抗するなんて事は出来なかった。そもそもそんな力も、気力もないのだが。

 こんな世界になって、本当は不幸なのかもしれないが、幸いにも生き残れてしまった。家族も含めて、選択者に守られた避難所に身を寄せていた。

 何とかして皆で手を取って頑張ろう。

 少しでも出来る事はやって行こう。

 きっと何とかなる。助かるはず。

 働かざる者食うべからず。

 動ける者は何かしろ。

 選択者には逆らうな。

 命令には従え。

 嫌なら死ね。


 そんな感じで暮らしは変わって行った。それは、だいたい何処の場所でも同じだった。

 頭で支配するか、力で支配するか、股でも支配するか。

 国や県や市の組織、民間の団体、その土地の有力者、チート能力を持った選択者、不測の事態に備えていた者。

 やり方は違えども、結果としてやっている事、やろうとしている事は同じようなものだった。知らないだけ、知りたくもなかっただけかもしれないが。



 結果として、荷1、荷2は、再度潜り、必死に進んで、本当に死ぬかもしれないと思って、一時は違う世界が見えた気がしたくらいに疲弊して、『水深20メートル』の2階層の湖に顔を出した。


「……っぷっはあっ!!! はあっはあっはあっ!!」

「……ぐっばっ、おっええぇえ~~!! がっはあっ、はあっ、はあぁっ! げろげろ~~、げっぷうっ、かっ、はっ!!」


 暫くして、呼吸が落ち着き、目を合わせて喜ぶ2人。束の間の生を感じられた瞬間だった。

「「い、生きてるよっ?!」」


 水深は、15から20メートルへと変えられていた。巣潜りに慣れた人達なら余裕だろうし、身体能力の上がった選択者なら、もっと簡単にクリアされてしまうだろうとの意見から。

 実際には、ナニも持たず、何の装備も付けてなかった若い2人だったからこそギリギリ堪えられた。そんな深さだった。1人はマジで死にそうになっていたが。

 浮力って、凄い。推進力って、ちゃんとあるんだな。若さって、素晴らしい。そんな生の神秘を見られた瞬間でもあった。

 何時もは性の神秘、自分のちん皮しか見てないだけに。ぎゃっぎゃっぎゃっ。おっと。


 これぞ火事場の馬鹿力。または水中場の死に物狂い。

 そして2人は、ナニ事もなく、無事、パルテノンの神殿みたいな建物がある島に上がって行った。


 まだ殺さない。殺させない。そんなダンマスの意思が反映され、命令を受け、湖の中の魔物は、視界に入らないよう遠くでひっそりと待機させられていた。

 ワニ、ピラニア、電気鰻、細槍魚だけでなく、痺れクラゲ、機雷なんかも増設されていたのだが、日の目は見たが、まだ愛以外の人間の目には触れていなかった。



 そして2人は気付く。

 戻れないよ。と。

 ナニも持ってないのだからどうしようもない。無事を知らせる事も出来ない。詰んだ。そう思ったが、それでもどうしようもなかった。所詮、荷物持ち。ただただ、そこで待つしかなかった。

 助けが来る事を。他のメンバーが来てくれる事を。来ても碌でもない未来しかないのだが。

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