24 / 44
1. 異世界デビュー
町歩き2日目 スタート
しおりを挟む今日は商業ギルドにも寄らずに町ブラ中。
このブラはブラジャーのブラじゃない。ちんこをぶらぶらさせるブラでもない。勝手にしてるけど。それは知ってた。意識すれば男なら誰でも分かる。でもその町ブラじゃない。
こちらの朝は早い。俺が夜型人間だっただけか。
朝っぱらから結構な数の屋台がぽつりぽつりと並んでいる。屋根は無い屋台。移動し易いように持ち手は付いてるようだけど。こっちの世界の標準的な移動販売車。背の高いリヤカーって言った方が分かり易い。
通りすがりに見て行くだけにしておくが、美味しそうな匂いのするものから、色合いが受け付けないものまである。
宿屋での食事が微妙だったから、まだ食べられると言えば食べられるけど、……
今は止めておこう。また後で。時間停止機能付きのマジックポーチも手に入れたし、色々と買ってストックしておこう。
誰しも1度はやってみたい事ランキング。トップ30には入るであろう『アイテムボックスやマジックバッグから温かご飯を食べる件』。俺はまだやってない。
さて。何気に冒険者ギルドの前を通過してみたけど、造りは商業ギルドと似てるようだった。流石に用もないのに入るつもりはない。
それが出来るのが勇者だろう。俺は行商人。だから行きません。テンプレは受けたい気もするけど、痛い思いも、嫌な思いもしたくない。
決して、出入りしてるのがごっつい野郎しか見掛けないからだけじゃない。場違い感も凄いだろうから。
皆さん装備もごっついし、世紀末的な雰囲気も漂ってるし、顔とかにも傷があって更に風貌に磨きが掛かってるから。
そんな人達がたむろしてるであろう事務所に入れますか? 俺は無理。そういう事だ。
……
さてと。昨日の続き。
エルフはクリア。もういっぱいいっぱい。って事もないけど、取り敢えずはいいや。って。……
はっ!
いっぱいいっぱいで思い出した!
そう言えば、おっぱいは、……
いっぱいいっぱいではなかったか? あれ?
おっぱいおっぱいは、いっぱいいっぱい?
おっぱい1杯幾らだろう?
ん?
どうしても顔の方に意識が行ってしまって、肝腎な身体チェックを忘れてた! 俺とした事がぁ~っ!
で、でも、2人共スレンダーだったから、きっと胸も擦れんだあ? ……
キツイか。
いやいや。そこまでぴっちぴっちの服は着てなかった。ちょっと上から目線のような口調ではあったけど、優しさもあったし、話し易かったから嫌な気持ちは全然しなかった。
流石にぴちぴちって感じではなかったけど、びっちびっちでもなかった。そこはエルフの独特の雰囲気とでも言うのか、人生経験も豊富なのか、人付き合いの経験値も達人級なのだろう。
これも勝手な妄想と偏見だけど。
まあ、また行く約束してるから、その時確認しよう。然り気無く。気付かれないように注意して。遠くからさらっと見るだけにします。
あってもいいけど無くてもいい。垂れ切ってなければいいのです。ちっぱいもおっぱい。でっぱいもおっぱい。張りがあれば大きさは関係ない。正義です。
おっ。雑貨屋発見。ナイスです。
いい所に出してます。欲しかった、ちょいと小振りの木樽を発見しました。店先にどかんと積んである。邪魔だったのだろうか。それとも仕入れたて?
ちょいと小振りと言っても、俺1人で抱えて持てるであろう大きさ。多分、大丈夫。勿論、中身が入ってない状態なら。
中身は入ってないんだよな。入ってたら雑貨屋に置いてないか。序でに瓶も売ってないかあ。って事で、寄り道です。
これも町ブラの醍醐味。物との出会いも一期一会。これもあると思います。
後でいいやって思ったら、次来た時には売れてたとか。2度と手に入らない物もある。その物は世界に1つ。量産品でもそう。物1つ1つにも魂がある。かもしれない。
だから大事にして、欲しいと思ったら、財布に余裕があったら、無駄遣いじゃないと確信が持てたら、使い道もしっかり把握出来るなら、費用対効果も申し分ないと判断出来たら、後悔しないと3度程思い直したら、買っていい事にしています。
ここまでの道のりは長いけど。はあ。たらたら疲れた。
これは買い。これは衝動買いじゃない。買おうと思ってたし、これは必要な初期投資。そうだそうだ。アイテムボックスにも余裕はある。簡易を付けるのを忘れてた。いかんな。落ち着こう。
って事で。色々購入しまーす。
店内に突撃でーす。
流石、雑貨屋。外にも商品が置いてあるからか、扉は開けっ放しで、中も雑然と色々置いてある。そういう意味じゃないか。
これも聞かなきゃ分からないやつだ。ここに住み着いてなければ何処に何があるかなんて分からないだろう。これも盗難防止策? 違うか。ただ整理整頓出来ないだけか。
せめて同じ様な物はまとめておいて欲しいと思ってしまう。これも作戦? 無精なだけか。値段も付いてないし。
まあ、これだけあれば一々値札付けるのも面倒か。それは分かるけど、値段とか覚えてるのかな。そこも含めて雑貨屋? それも違うか。
「すみませーん」
…
…
色々ありまして、思った通り面倒臭がり屋の店主さんで、片付け出来ない派。そのうちやろうと思ってここまで来たパターン。何年間やってんねん。なんて聞いてません。
結構いい加減。いい加減は良い加減。適量、程よい程度って難しい。
それでいて、それとなく何となく何処に何があるかは把握していて、聞いたら出て来た。積んであるのを掘り返したり、物を退かした拍子に崩したりして。
それはもう、一々ひと仕事。これは疲れると思う。いいけどさ。時間に追われてる訳でもないし。そんな事やってれば自然と仲良くなれるし。手伝わされてるとも言う。
その分、まけさせる気は満々。待ってろよ。値引き交渉こそ真価の見せ所。こんなに楽しいものはない。
さてと。
外の小振りの木樽は、この店主の記憶が確かなら、60リットル程入るらしい。まあ、多分、それ位は入るだろう。うん。多分?
満帆に入れたら持てないじゃん? 60キロ + 木樽の重さ。木製だから、それなりに重たいです。
身体強化のごり押しで行けるのか? 無理そうなら、その分はレベルアップしなきゃだな。買うと決めてから対処方法を考える俺。これもあるある?
他にもあるある?
……
もっと小さいのはあるけど、それじゃ足りない気がしてしまうから却下。数字を聞くとちょいと大きい気がしちゃうけど、ワイナリーで見た事がある樽なんかよりはよっぽど小さい。
雑貨屋で取り扱ってる位だから、これ位になるのだろう。程よくって大事だ。
アイテムボックスがあるから、あんまり深く考えてなかった件。余計な事はよく考えてるのに。まあ、持てる範囲で利用すればいい話だ。
500mlの中ジョッキなら、120杯はいけるのか。なんて考えてたのもいけなかった。いけないいけない。昨日夜のお店に行けなかったから。行かなかったんだけど。その分独りでイったんだけど。
態々報告する案件でも、聞いて嬉しい話でもないから黙ってたのに。まあいいか。
それと、色は統一されてなくてばらばらだったけど、瓶もそれなりにあった。お店から酒を分けてもらう用の瓶とか、卓上で水入れなんかに使う瓶。1家に1本はあるってやつ。
まあ、ワインボトル。栓に使うコルクも売ってた。
ちょいと危ないかもしれない実験に使えそうなビニール袋なんて無いから、水袋。古くてもいいし、なんなら廃棄寸前ってやつでもいいから在庫処分で分けてくれって言って出してもらった。
いや。掘り返してもらった。俺も手伝って。俺が率先して。
序でに、コップでも皿でも鍋でも、液体がこぼれなければ有りって事で。出て来た物は一旦確保したりした。
お宝探しって楽しいはずだけど、これは何か違ったけど、俺はそれなりに楽しめた。
お店の整理もちょっとだけ出来たし、少しは片付いたし、物理的にもう日の目を見る事はなかったかもしれない商品も売れたし、物凄く喜ばれた。お互い疲れたけど。
こんなぼろぼろの物まで買ってもらえるのは有り難いが、何に使うんじゃい。なんて聞かれたけど。
行商人だけに。何かとあると便利なんですよと誤魔化した。まさか戦闘用兵器の実験に使うなんて言えないし。こういうのを作る職人が少ない村とかなら喜ばれる事もあるだろうし。
まあ、あまり気にしないで下さいや。世の中には物好きも多いのですぞ。色んな方向で。それに、雑貨屋だけに、細かい事は気にしたら負け。だからもっとまけて? なんて。
60リットルサイズの木樽 ×3
ワインボトル ×20
コルク ×30
水袋 ×6
コップ ×12
中鍋 ×1
小鍋 ×1
締めて、切りがいい所で70,000ジェニ。何掛けかは不明。採算が取れてるかも不明。安いと思ったから俺は気にしない。雑貨屋じゃないけど。
樽は外に置いてあっただけに売れ残りらしく、それなりにしっかりオマケもしてくれた。それっぽく交渉したんだけど。俺としては液漏れしなければ問題ないし。
瓶も、不人気の売れ残りでいいと、敢えて選んでもらった。処分したい色のを。どうせ不透明だし、色を見て観賞するとかはないだろうし、その方が有り難かったりするかもしれないから。
ありがとうございました。お互いにいい取り引きになったようで。
俺も朝からいい買い物が出来た。いい運動にもなった?
一応、名目は仕入れだけど。それを売るか自分で使うかは俺次第。必要経費もあるし、そもそもそんな概念は無い? 事もないか。
こっちの行商人は自由が利いていい。節税なんて意識しなくていいし、脱税なんて気にしなくていい。
持って行かれるものはがっつり持って行かれるし、命の危険はあるだけに。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない
しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる