待望異世界でネタスキルを選んで屁理屈と妄想でチート野郎になって思うまま好き放題に楽しく過ごして行きます(略)

復活のおたけさん

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1. 異世界デビュー

町歩き2 飲み屋?

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「……分かった。モルトだな。俺はここの店主のドノバン・ワイルダー。ドノバンと呼んでくれ。よろしくな」

 そう言って手を差し出して来たんですが。さっきまでのプレッシャーは何だったのだろうか。俺のギルド証に何か不備でもあったのだろうか。

「あ。はい。どうも。ドノバンさんですね。こちらこそよろしくお願いします。えっと、このギルド証に何かありましたか?」

 やっぱり気になったから聞いちゃった。勿論、握手もしつつです。

 がしっ。と力強く握られた。力加減はしてくれてるようだけど、地味に痛いです。俺はこんな力比べを楽しめるような部類の人間じゃない。どうせするなら可愛い女の子と繋がりたい。手も、それ以外も。


「あ、ああ。すまんな。別にこのギルド証がどうって事じゃないんだ。この名前がな。つい、エールを飲みたくなってしまってな。少しばかり堪えていたんだ。がっはっはっ」

 はにかんだドワーフ顔からの笑い飛ばし。別に見たくなかったけど。

 そういう事だったか。流石、ドワーフ。そこに目を付けますか。モルト。麦芽。文字通り麦の種子を発芽させたもの。ビール好きには堪らない響きの名前だろう。俺だけか?

 ビールだけじゃなくて、ウイスキー、水飴の原料にもなる。

 まさか名前だけでこの反応。狙って付けたのもあるけど、想像以上の結果。流石だ。


 そして始まる商談というせめぎ合い?

 の前に。やっぱりこっちからでしょう。照れ臭そうにしてるオヤジなんて見ていたくないってのもある。年齢は不祥だが。店主って言ってたんだから、それなりにはって所だろう。


「……。ははは。愚問だとは思いますけど、やっぱりドノバンさんもお好きなんですか? 酒精の強いのとか、敢えてクセのある味が好みだったりします?」

 イメージ通りか聞いてみた。勿論、俺の勝手な妄想イメージ。

「ん? おっ。なんだ。やっぱりモルトも酒好きか? その前に、敬語は止めてくれ。むず痒くなる。商売人なら仕方ないかもしれないが、ここでは止めてくれ。それに、酒好きなら尚更だ。分かるだろう?」

 にまあっと笑ったかと思ったら、期待通りの展開に。思った以上の関係に。

 名前通り、ワイドだなあ。いや。ワイルダーだったなあ。


 そこからは早かった。打ち解けるのも。乾杯するのも。まだ朝だと言うのに。流石に俺はそこまでじゃなかったのに。

 俺は、1日の仕事を終えた後のひと口が最高に美味しいと思える派。休日の真っ昼間から、他者が働いているのを横目にぐいっとやるのも最高に美味しいと思える派。皆でわいわいやりながら、時折乾杯しちゃうのも最高に楽しいと思える派。

 要は結構なんでもいけるけど、こんな朝っぱらから飲まないとやってられないと言う程じゃない。でも今は仕方ない。

 振ったのは俺? ドノバン?

 それはいいとして、男との出会いも一期一会。そういう事だ。ならば飲むしかあるまい。

 仕事の付き合いって事でもないし、ドワーフにとっては命水。俺にとっては嗜好品でありご褒美の酒。それを酌み交わすだけの事。
 

 敬語は無し。お互い合意の上でそうなった。

 ドノバンが飲んでたのは、やっぱり酒だった。薄めたワインだそうな。水分補給にはこれらしい。栄養もあるし。これもドワーフあるある。良かった。俺の妄想と一致してて。


 で。基本酒なら何でも来いだが、やはり酒精、アルコール度数の高い酒が好きらしい。熱くしてくれるから。それは焼けちゃってるよね。色々と。普通なら。

 その辺の耐性もそれなりにある種族らしいから、なんて事はないらしい。俺には真似できない飲みっぷり。流石、ドワーフ。

 まさかこんなに早く、異世界生活2日目で一緒に飲む事になろうとは。しかも朝早く。これも掛かってた。やってくれる。


 それと、上品な酒も嫌いじゃないが、高い。なかなか手に入らない。飲めても少ししか飲めない。ならばそこそこアルコール度数が高くて手に入り易い酒が1番だと。その中で癖のある酒を時折摘まむ。そんな感じらしい。

 普通に通じる酒飲みの理論。

 酒が飲めるようになり、梅酒とか、甘くて飲み易いカクテルっぽいのから始め、ビール、ワイン、焼酎、日本酒に手を伸ばし、そこで個別に突き詰めて行くか。

 両親の影響を受けて、とっくの昔から軽く味わった事が切っ掛けか。

 何も考えずにその時の気分で酒を飲むってパターンの人も多いだろうが、俺みたいに、更にウイスキーやブランデー、ウォッカに走り出したり。

 家飲みじゃ満足出来なくなって各種専門店やバーテンダーが居る店に通ったり、地方に行けば口コミで評判の酒蔵やお店を訪ねたりして。なんてパターンの人も居るだろう。

 流石にそこまで行くと行き過ぎな面もあるかもしれないけど、こっちではそこまでの専門店なんて無いのだけど。


 家飲みの最終形態は、昔ならカップ酒とかだったけど、一升瓶から紙パック、大型ペットボトルなんてものも大量に出て来てたなあ。既に懐かしくなる。

 キッチンドリンカーなんてのは、もう死語なんだろうか。俺は死んでるだけに? 死後の死語。私語厳禁。

 キッチンドランカーだったっけ? より重症患者?

 多分、この人達には無縁な言葉。強いなんてもんじゃねえ。もんじゃじゃねえ。毛はもじゃもじゃなのに。難しい。


 これまたお近付きの印にって事で、俺が仕入れた事にした特製ビールを3種類程飲んでもらった。ユニークスキルで製造したビールです。

 プレミアムなやつじゃない、普通に一般的と言えるビール。ちょいとアルコール度数を高めたビール。言っても20%。俺にはきついけど、ドワーフならこれでも水みたいなもの。

 それと、変わり種で黒ビールなんてのも出してみた。勿論、ジョッキを沢山持って来てもらって、その間にさっき買った瓶に出したんだけど。


 これまたまさか、こんなに早く使う事になろうとは。しっかりクリーンも掛けたし、念の為に2回程。問題なかったはず。俺も飲んだし、当たるなら一緒に。全然嬉しくない提案。勿論、そんな事は言ってない。

 ドワーフは胃腸も強いって言ってるから大丈夫だろう。俺にはエリクサービールがあるから大丈夫。うん。何の問題もなかった。


「くあーっ! こいつはうめえな。このすっきりしたのも上手いが、こっちのアルコール度数が高いやつの方が断然好みだ。こっちの黒いのも悪くはないが、俺にはちょっと甘い。やはり1番はこいつだ! んぐ、んぐ、んぐ、……

 ぷはあーっ! 旨い! もう1杯!」

 って感じでした。感想もどうも。参考になった。

 ドノバンから差し出された酒は、癖が有り過ぎ。

 さっき飲んでたやつも試しに飲ませてもらったけど、そのままワインを薄めたやつって感じだった。これならがぶがぶ飲めるのも分かる。その後の事は知らないが。

 悪くはないけど、酔わないって事はないと思う。


 それと、どぶろくは嫌いじゃないけど、メチルアルコールはちょっと。って感じの危険な味がしたやつもあった。

 人間が飲んじゃダメなやつ。別名、目散るアルコール。アルコールランプの燃料って言った方が分かり易いかも。劇物です。

 勿論、そんなの飲んだ事はないけど、それくらい危険な感じがした。これを旨いと言えるドワーフに、プレミアムなビールの味が分かるかどうか甚だ疑問だ。だから出してない。

 あくまでも取って置き。簡単には出さない。感嘆されると直ぐに出しちゃうかもしれないけど。


「いや~。今日は朝からいい日になった。初めての酒も飲めたし、気心が知れた奴と飲む酒は一段と旨くなるからな」

 ドワーフとは、一緒に酒を飲めば仲良くなれる。よく分かった。

 でも、本来の訪問の目的は達成出来たけど、想像以上の結果だったけど、一応、仕入れもさせてもらわなきゃ。後で辻褄が合わなくなるのもよろしくないだろう。

 結局何をしに来たんだなんて言われたくない。多分、そんな事は気にしない人種だと思うけど。今後もあるし、言った事は出来る範囲で守る。これ常識。

 仕入れで寄ったと言ったんだから、何かしらは仕入れたい。これでも行商人だし。まだ何も売ってないけど。


 で。流石、ドノバン。これくらいの酒じゃ酔うって概念は無いらしい。声は大きくなって機嫌が良くなって行ってるが。

 人はそれを酔うと言う。捉え方の違いなだけだと思う。楽しそうだから敢えて言わないけど。


 こちらの希望する品物の有無、在庫の確認、品質チェック、価格交渉、時折ビールを交えて。ずっとジョッキを片手に。

 くわすき、鎌、等の農具類。

 ナイフ、包丁。

 砥石、ヤスリ、布、コーティング剤等の入った武器や防具、金属類の簡易メンテナンスキット。

 これらは雑貨屋にもあっただろうけど、あれ以上探すのを諦めたってのもあった。何時間掛かるか分かったものじゃない。

 当然、武器屋、防具屋にもあるだろうけど、鍛冶屋を名乗ってる大元の本職の方がいい物使ってそうで、ここで聞いてみた。勿論、あくまでも個人の偏見大。
 

 やっぱり有ったけど、数はそれ程ないようで、急ぎじゃなければ揃えてくれるそうだ。俺が滞在する2日の間に。

 って事で、ここでもまた来る約束をしてしまった。嫌じゃないけど、また飲む事になるんだろうな。とは思う。それもいいけど。


「これも仕事の依頼って事で、手付けで10万ジェニ置いて行く。後は上限50万ジェニって感じで頼む。優先順位は低くていい。先に入ってる仕事を優先させてくれていい。無理のない範囲で、2日後の朝には出来る範囲でいい」

「ん。手付けなど要らんのだが、まあ、モルトがそう言うなら預かっておくか。分かった。2日後の朝には出来る範囲で揃えておく。今日は旨い酒をありがとうよ」

「俺も貴重な体験をする事が出来た。もうあの酒は勘弁して欲しいけど、楽しかった。ありがとう。ではまた」

「おお。またな」

 男って、なんかいい。こういう時こそそう思う。会ったばかりでもこうして心から打ち解け合う事が出来る。

 エロ話ならもっと早かったかもしれないけど、それこそ趣味も様々だろうし、思考も嗜好も酒の好みと同様に違うはず。フェチに国境が無いのは知ってるし、無限だし。それはまたの話。股の話?


 これは仕事の話からの発展。ん? 酒の話から、か。いい仕事した気がする以上に満足出来たからどっちでもいいや。

 さて。酔いを覚ましがてら、町ブラ再開するか。

 しつこいようだけど、このブラは、……

 止めた。
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