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第十四章 未来へ向かって
4 お兄ちゃん
しおりを挟むそれから話はとんとん拍子に進んだ。
リョウマは魔王とともに、再びあの《次世代誕生センター》に出向き、一連の儀式をおこなった。今回は、兄となるローティも一緒にやってきて、次の子が命を受ける瞬間に立ち会ってくれた。
ローティは卵が生まれる瞬間を目にしてひどく感動したらしかった。帰りの飛行艇の中もずっと興奮した様子で、その後もしばらく落ち着きがなかった。
「あの子、いつ生まれてくるんですか」
「ぼくにも世話をさせてくださいね」
「きっときっと、約束ですよ」
こんな調子で、リョウマの執務室にやってきては何度も念を押しにくるほどだった。
そうこうするうち、あっという間に卵を引き取りにいく日になった。ローティは当然のように同行して、ひどく頬を紅潮させていた。
◇
「うわあ、なんてきれいな卵……!」
卵を目にしたローティの第一声はこれだった。
「ほんとだな~。ローティの卵だってめっちゃキレイだったけどな! ああ、どんな子が生まれてくるんだろな~」
「うんうんうん!」
今回の卵は、サファイアのように深みのある濃い青色の表面に金粉をまぶしたような模様がある。まるで宝石のような美しさだ。もちろんローティのだって赤い宝石みたいだったのだが、こちらは特に繊細かつ高貴な品のようなものを感じる。
ローティのときと同様、再び王の子の誕生を寿ぐ儀式とパーティが盛大に行われ、卵を抱いて生活する日々が始まった。
そうなってからでも、ローティはしばしばリョウマや魔王のところへやってきた。もちろん、目的はこれである。
「パパ、お願い! ぼくにも卵、抱かせてくださいっ!」
仕方がないので、リョウマは魔王にも許しを得て、何度か彼に卵のケースを抱かせてやった。もちろんローティが抱くときは魔王かリョウマが必ずそばに付き添っている。
というのも、特に最初のうち、ローティが完全に舞い上がって大興奮だったからだ。
「こんにちは~、卵くん。卵ちゃん、かな? ローティアスお兄ちゃんだよ。ローティって呼んでいいからね?」
「ああ、早く君に会いたいなあ。君はどんな色の翼を持ってるかなあ。目の色はどんなだろう? 髪の色は……? ああもう、ぼく待ちきれないよ~!」
「う、うん。わかった。わかったからもうちょっと落ち着いてな、ローティ」
リョウマはもう、傍で見ていて気が気でない。
「えっとな、興奮するのはいいけど、頼むから空を飛ぶのだけは……って、おいい──!!」
気が付けばローティは、とろけた顔でいつのまにか翼を広げ、ふらふらと空中へ、文字通り「舞い上がって」いたりするからたまらない。
「おいおいおいおい~?」
そのたびに、リョウマは必死になって彼を追いかけねばならなかった。一度など、どんなにジャンプしても彼に手が届かない所まで飛び上がられてしまったので、とうとう王宮内ではじめてのことをする羽目にもなった。
「ああもうっ……《武神鎧装》っ!」
そうなのである。
《BLレッド》その人が、魔王城のど真ん中にいきなり出現してしまったわけだ。
魔王とダンパを除く王宮の人々は、一様にぽかんと口を開けて空を見上げることになった。
あまりにそういうことが続くので、しまいにローティは魔王からきついお叱りを頂戴してしまった。「嬉しい気持ちは理解する。嬉しさについては私も同じだからな。しかし、なにより赤子の安全が最優先だぞ」と。そのぐらい、ローティの喜びようといったらなかったのだ。
そうして。
ローティの時とさほど変わらぬ日数が過ぎ去り、ついに青い卵の表面にヒビが入る日がやってきた。
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