墜落レッド ~戦隊レッドは魔王さまに愛でられる~

るなかふぇ

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第十四章 未来へ向かって

5 青き姫御子

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 青い卵にごく微かなヒビが入ったとき、卵のケースはちょうどローティから魔王へ返されようとしているタイミングだった。ローティは慌てて、リョウマのところへすっ飛んできた。

「パッ、パパ! 卵が、卵がかえりそうですっ!」
「えっ!」

 リョウマは執務机の前で飛び上がると、ローティとともに一目散に駆けだした。ダンパら護衛の面々が後に追いすがるのはいつもの光景だ。近頃ではすっかり王宮の人々もこんな様子に慣れてしまったのか、驚きよりは微笑ましいといった顔で見送ってくれている。

「エルッ! 卵が孵りそうって──」

 叫びながらエルケニヒの執務室に飛び込んだリョウマだったが、すぐに魔王が「シッ」と唇の前に指を立てたので口を結んだ。
 執務室の中では、少し離れた場所から魔王付きの文官や執事ガガノフ、そのほか護衛の武官らが固唾を飲んでなりゆきを見守っていた。
 執務室の上、卵のケースのそばに、下の部分だけ布にくるまれた卵が置かれている。

(おお……!)

 その少し斜め上部あたりに、確かにうっすらと亀裂が入っているのが見えた。

「先ほどから、あまり変化がない。わりとのんびりした性格の子なのかも知れぬ」
「そ、そーなんか……」

 リョウマとローティはそれぞれ魔王の両隣に座って、ともに卵を見つめつづけた。やがて、本当に長い時間をかけてその子の姿が見え始めた。

「わあっ。青い……!」

 ローティが感嘆の声をあげる。その通りだった。卵そのものも宝石のようだと思ったが、生まれてきたドラゴンの幼体であるその子もまた、宝石のように美しい鱗を持っていた。ローティのように、背びれや角の先は金色に変わっており、夢のように美しい。

 生まれた第二子のドラゴンの子は、幼名を「サフィー」と名付けられた。なにしろサファイアを思わせる深い青色の体色だからだ。人の姿がとれるようになり、性別がはっきりしたところで改めて名づけをおこなうことになった。
 長時間、孵化を見つめ続けて疲れただろうに、ローティはもう有頂天もいいところだった。

「生まれた、生まれた、生まれた……!」

 そう叫びながら、もう王宮じゅうを跳ねまわった。
 おかげで王宮にいるすべての人々は、公式の発表を待つまでもなく魔王の第二子の誕生を知ることになった。

「サフィーもお肉、好きだよね? どのお肉がいい? お兄様が切り分けてあげるよ」

 まだ翼もくしゃくしゃで、もたもたとはいずり回るぐらいのことしかできないサフィーを、ローティは今まで以上に世話したがった。幸いにも、サフィーはローティのときほどやんちゃではなく、世話のしやすい子だった。おかげで子育ての手間が少し減り、リョウマも多少は自分の仕事に集中できる時間が増えた。

 例によって卵から孵った王の子のための披露のパーティ等々も行われ、また数か月が過ぎた。
 そうしてまたもやローティがリョウマのところへ飛び込んでくることになった。

「リョーパパ! サフィーが! サフィーが!」
「えっ。どうしたのローティ」
「ひ、人型になりましたあっ!」
「えっ。マジ!?」

 またもやローティと、そのほか護衛のみなさんとともに赤子のための部屋に駆けつけると、すぐに魔王もやってきた。

「おお……!」

 リョウマが抱いているその子を受け取り、抱き上げて魔王は微笑んだ。

「これはまた、美しい子だ」
「うん」

 魔王の言う通りだった。子どもは濃紺の髪と金色の爬虫類の瞳をもつ、玉のように美しい子だったのだ。髪の先はローティに似て、やっぱり少し金色がかっている。
 そしてリョウマはとあることに気づいた。

「それに……女の子、みたいだな」
「ああ。間違いない。姫御子ひめみこだ」
「おっ、女の子……」ローティが大きな目をさらに大きくしてじっとこちらを凝視している。「妹……と、いうことですか?」
「ああ、そうなるな」
「わああいっ」

 ローティが今度こそ、翼を広げて庭へ飛び出し、上空を飛び回り始めた。

「いもうと、いもうと! ぼくの可愛いいもうとだー! やったあああ!」
「こら、ローティ! あんまり騒ぎすぎんなよー」

 と一応注意はしたのだが、そのときにはすでにローティは、王宮のあちこちにある銅像や飾り屋根などにぶつかって、「ぱりーん」だの「ガシャーン」だのいう騒音を立てまくっていた。
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