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運命の出逢い
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こちらは『ベルンシュトルフ ホールディングスシリーズ』
第二弾『不感症の僕が蕩けるほど愛されちゃってます』の吸収合併バージョンのお話です。
最初のあたりは上記作品とかぶっている部分は多々ありますが大幅に改稿していますので、お話が進むにつれて前作とは内容が変わっていきます。詳しくは近況ボードをご覧ください。
* * *
<side小田切>
ここは上田誉先生が代表を務める法律事務所。
私、小田切智はそこで一緒に働いている6年目の弁護士だ。
一緒に働いている上田先生はかなり優秀な弁護士でひっきりなしに依頼がやってくるが、重要な案件に集中したいからと、持っていたすべての案件を信じられほどの集中力で終わらせたのは昨日のことだった。
上田先生は、今日、明日の二日でその重要な案件を解決させて、その結果を依頼主のいるアメリカ・ロサンゼルスにまで直接届けに行き、そのままロサンゼルスで長期休暇を過ごすことになっている。
あまり長期休暇は取られない上田先生にしては珍しいこともあるものだと思ったけれど、それくらい忙しい日々を過ごしているのだから、この辺でしばらく休んでもらうのもいいだろう。
その間、この事務所は私一人で切り盛りしなければならないが、私ももう6年目。
そろそろ自分の事務所開業も考えているのだからこれくらいできなくてはな。
とりあえず、今日は何事もなく終わりそうでよかった。
手をつけなければいけない書類仕事を終え、事務所の片付けをしながらふと時計に目をやれば、もうこんな時間。
今日はそろそろ終わりにしようか。
そう思っていると、突然電話が鳴り出し驚いた。
弁護士事務所にこんな夜間に電話をかけてくることはほぼない。
そこまで緊急を要することがないからだ。
珍しいなと思いつつ電話を取ると、私が取ると思っていなかったのか、電話相手は焦っているようだった。
ーあ、あの……え、っと……そ、相談、したいことがあって……いや、あの、違くて……、って、違くも、ないんですけど……あの……
急に何かの事件に巻き込まれたのかはわからないが、警察ではなく弁護士に電話をしてくるくらいだ。
緊急性はないにしても、ひとまず話を聞いたほうがいいだろう。
話をしているうちに冷静になるかもしれないと思い、
ーふふっ。いいですよ。ゆっくり話を伺いますから、少し深呼吸しましょうか。
と促し彼の言葉を待った。
ふぅと電話口で深呼吸したのが聞こえる。
ふふっ。素直な人だな。
それでもまだ少し戸惑った様子で
ーあ、あの僕……どうしていいか、わからなくて、誰かに相談したくて……それで、今、あの目の前にいて……。
と言葉が続いた。
もうすでに事務所の目の前にいる?
そこまで切羽詰まっているのなら、保護をして話を聞いたほうがいい。
その後で、警察なりに連絡しても遅くはない。
ーすぐに扉を開けますから、こちらに来てください。
そう言って急いで玄関扉を開け、彼の姿を目にした瞬間、私の中を稲妻が駆け抜けるような衝撃が走った。
――彼は私にとって絶対に手放してはいけない。あの一瞬でそう感じたんだ。
信頼している先輩弁護士がそう話してくれたのを思い出す。
もしかして、これがあの先輩が言っていたことか?
まさかそんなことが……と思っていたけれど、決して嘘を吐くような先輩ではない。
だから、いつか私にもそんなことが起こればいいと願っていたが、まさか本当に私にも訪れるとは夢にも思っていなかった。
彼を怖がらせないように事務所の中に案内していると、彼は遅い時間に突然来た事に対する詫びをした上で、
「あ、あの、あなたは上田先生なんですか?」
と尋ねてくる。
まぁ勘違いするのも無理はない。
ここの事務所の名前は『上田法律事務所』
そこにいる弁護士なのだから、私を上田だと思うだろう。
「ああ、ご紹介が遅れまして失礼いたしました。私は弁護士の小田切です。上田はここの所長で数日お休みをいただいております。上田が担当がよければ、話だけ先に私がお伺いして後で代わることもできますよ」
口ではそんなことを言いながらも、心の中では私を選んで欲しいと訴え続けていた。
たとえ彼が私より上田先生にお願いしたいと言い出しても、もうこの時点で私は先輩弁護士の教え通り、彼を決して手放さないと心の中で決めていたのだけれど、そんな気持ちに気づいてくれたのか、彼は私に話を聞いてほしいと言ってくれた。
やはり彼も私に何か運命を感じてくれているのか?
そう思うだけで胸がときめく。
バリスタをやっている友人に作ってもらっているコーヒーを淹れると、一瞬怪訝そうな顔をした。
もしかしたらコーヒーが苦手だったのかもしれない。
先に好みを聞けばよかったかと思っていると、一口啜った途端、花が綻ぶような可愛らしい笑みを浮かべた。
心の底から漏れ出るような美味しいという言葉にホッとしたと同時に、彼にこんな顔をさせた友人に少しばかり嫉妬してしまった。
彼が半分ほどコーヒーを飲み終えたのを確認して、
「お話を伺ってもよろしいですか?」
とできるだけ優しく尋ねたが、彼はピクッと身体を震わせた。
彼は、心の中に一体どんな悩みを抱えているのか……。
私に全てを話してほしい。
どんなことでも、どんな手を使ってでも解決してやろう。
「はい。あの、こんなこと話していいのかわからないんですけど……」
震える声でそう話す彼に、
「大丈夫です。私たちには守秘義務があります。決して口外はしませんのでどんなことでも安心してお話しください」
と笑顔を見せると、彼はようやく重い口を開いた。
「僕、笹川コーポレーションで営業事務をやっています北原 暁といいます。実は、その会社の男性上司に、あの……脅されて、身体の関係を、持っていて……どうにかして、その関係を切りたいんですけど、なんの方法も思いつかなくて……」
「――っ、男性上司に脅されて? 最初から順を立てて教えていただけますか?」
「はい。あれは3ヶ月前のことでした。お酒をしこたま飲まされて、気づいたらホテルで身体を奪われていて……それで終わりだと思ったら、動画と写真を撮られてて……それで、ずっと関係を持たされてたんです。でも今日……取引先相手の部長の娘さんとの結婚が決まったから関係を終わりにしようって言われて、やっと解放されるって思ったんです。でも……」
「動画と写真を消さないと言われた、と……」
「はい。落ち着いたらまた呼び出すから、その時はすぐに来いと言われて……もう僕、どうしたらいいか……。安田さんの前から消えてなくなりたいんですけど、あの動画や写真が残っているうちは逃げるわけにもいかなくて……。でも、いつまでもこんな関係を続けたくなくて……」
自分の性的指向が同性だと男性上司に知られて無理やりに身体の関係を持たされた挙句、脅されて3ヶ月も関係を持たされ続けていると苦しそうに吐き出していた彼を見ているだけで辛い。
彼を一日も早くこの状況から救ってやりたい。
私の頭の中はそのことでいっぱいになっていた。
「わかりました。では北原さんの名誉は守りつつ、上司にはしっかりと罪を償っていただきましょう。全てお任せ下さい」
そういうと、彼は心から安堵の表情を見せながら大粒の涙を流し始めた。
今までずっと辛かったに違いない。
この小さな身体で一人でずっと耐えてきたのだと思うと余計にその男への腹立ちが増してくる。
私の中に初めて芽生えた殺意。
だが、ここで本当に手を下しては私もその男と同じ愚かな男に成り下がる。
だから、私は弁護士として法に則って成敗してやろう。
死んだほうがマシだと思えるほど徹底的にな。
彼が落ち着いたところで自宅に送る事にした。
本当なら、このまま私の自宅に連れ帰りたい。
でも今はまだ時期じゃない。
まずは全てを片付けてからだ。
家まで送り、彼の家をインプットする。
そして、連絡用にと電話番号とメッセージアプリのIDもゲットした。
これでいつでも彼と連絡を取り合うことができる。
こまめに連絡をとって、彼の中に私という存在を植え付けておく事にしよう。
自宅に戻り、彼が話してくれた内容をもとに情報を精査する。
彼の話ではクズ上司は取引先のお嬢さんとの結婚が決まったと言っていた。
彼に酒を飲ましあんなことをしでかしたやつだ。
その話にも裏があるに決まっている。
裏話を調査するには信頼のおける人物に頼むのが一番いい。
私はスマホからユウさんの番号を出し、クズ上司・安田の調査を依頼した。
できるだけ早く調べてほしいと頼むと、24時間後に連絡すると一言言われて電話はすぐに切れた。
ユウさんに任せてできなかった仕事は一度もない。
これでその件に関しては大丈夫だろう。
あとはこっちだな。
彼の勤務先・笹川コーポーレーション。
その名前が出てきた時は、あまりの驚きについ声が出そうになってしまった。
やはりこれは運命としか言いようがない。
私は急いで先輩弁護士に電話をかけた。
ーもしもし。どうした?
ー夜分遅くに申し訳ありません。今、お時間大丈夫ですか?
ーああ。大丈夫だ。
この時間に電話をとってくれるということは今日は恋人と一緒にいないのだろう。
先輩には申し訳ないがホッとする。
ー実は、先輩が顧問弁護士を務めている笹川コーポレーションについて、お話ししたいことがありまして……。
ー笹川コーポレーション? 何かあったのか?
ー実は――――――
ーなるほど。これは早急に動く必要があるな。
ーはい。そう思って先輩に声をかけさせていただいたんです。今、ユウさんに情報をお願いしているので、明日には詳しい話をお伝えできると思うんですが……
ーそうか。ユウに任せておけば安心だな。その情報が来たら、すぐに社長と話をしよう。
ーよろしくお願いします。
ーなぁ、小田切……お前、もしかして、その彼のこと……?
ーわかりますか? 多分、先輩が仰っていた運命かもしれません。私も感じたんです。彼を手放したくないって……。
ーふっ。そうか。なら、その上司の方は徹底的にやってやらないといけないな。話をするのは、お前のことだから全てが解決してからだろう?
ーはい。そのつもりです。安慶名先輩と恋人さんのようになれるように頑張りますから。
ーああ。良い報告待ってるよ。その前にひと頑張りしないといけないがな。
ーはい。じゃあ、明日情報が届いたらすぐに連絡します。
これで土台はできた。
あとは私の仕事だ。
第二弾『不感症の僕が蕩けるほど愛されちゃってます』の吸収合併バージョンのお話です。
最初のあたりは上記作品とかぶっている部分は多々ありますが大幅に改稿していますので、お話が進むにつれて前作とは内容が変わっていきます。詳しくは近況ボードをご覧ください。
* * *
<side小田切>
ここは上田誉先生が代表を務める法律事務所。
私、小田切智はそこで一緒に働いている6年目の弁護士だ。
一緒に働いている上田先生はかなり優秀な弁護士でひっきりなしに依頼がやってくるが、重要な案件に集中したいからと、持っていたすべての案件を信じられほどの集中力で終わらせたのは昨日のことだった。
上田先生は、今日、明日の二日でその重要な案件を解決させて、その結果を依頼主のいるアメリカ・ロサンゼルスにまで直接届けに行き、そのままロサンゼルスで長期休暇を過ごすことになっている。
あまり長期休暇は取られない上田先生にしては珍しいこともあるものだと思ったけれど、それくらい忙しい日々を過ごしているのだから、この辺でしばらく休んでもらうのもいいだろう。
その間、この事務所は私一人で切り盛りしなければならないが、私ももう6年目。
そろそろ自分の事務所開業も考えているのだからこれくらいできなくてはな。
とりあえず、今日は何事もなく終わりそうでよかった。
手をつけなければいけない書類仕事を終え、事務所の片付けをしながらふと時計に目をやれば、もうこんな時間。
今日はそろそろ終わりにしようか。
そう思っていると、突然電話が鳴り出し驚いた。
弁護士事務所にこんな夜間に電話をかけてくることはほぼない。
そこまで緊急を要することがないからだ。
珍しいなと思いつつ電話を取ると、私が取ると思っていなかったのか、電話相手は焦っているようだった。
ーあ、あの……え、っと……そ、相談、したいことがあって……いや、あの、違くて……、って、違くも、ないんですけど……あの……
急に何かの事件に巻き込まれたのかはわからないが、警察ではなく弁護士に電話をしてくるくらいだ。
緊急性はないにしても、ひとまず話を聞いたほうがいいだろう。
話をしているうちに冷静になるかもしれないと思い、
ーふふっ。いいですよ。ゆっくり話を伺いますから、少し深呼吸しましょうか。
と促し彼の言葉を待った。
ふぅと電話口で深呼吸したのが聞こえる。
ふふっ。素直な人だな。
それでもまだ少し戸惑った様子で
ーあ、あの僕……どうしていいか、わからなくて、誰かに相談したくて……それで、今、あの目の前にいて……。
と言葉が続いた。
もうすでに事務所の目の前にいる?
そこまで切羽詰まっているのなら、保護をして話を聞いたほうがいい。
その後で、警察なりに連絡しても遅くはない。
ーすぐに扉を開けますから、こちらに来てください。
そう言って急いで玄関扉を開け、彼の姿を目にした瞬間、私の中を稲妻が駆け抜けるような衝撃が走った。
――彼は私にとって絶対に手放してはいけない。あの一瞬でそう感じたんだ。
信頼している先輩弁護士がそう話してくれたのを思い出す。
もしかして、これがあの先輩が言っていたことか?
まさかそんなことが……と思っていたけれど、決して嘘を吐くような先輩ではない。
だから、いつか私にもそんなことが起こればいいと願っていたが、まさか本当に私にも訪れるとは夢にも思っていなかった。
彼を怖がらせないように事務所の中に案内していると、彼は遅い時間に突然来た事に対する詫びをした上で、
「あ、あの、あなたは上田先生なんですか?」
と尋ねてくる。
まぁ勘違いするのも無理はない。
ここの事務所の名前は『上田法律事務所』
そこにいる弁護士なのだから、私を上田だと思うだろう。
「ああ、ご紹介が遅れまして失礼いたしました。私は弁護士の小田切です。上田はここの所長で数日お休みをいただいております。上田が担当がよければ、話だけ先に私がお伺いして後で代わることもできますよ」
口ではそんなことを言いながらも、心の中では私を選んで欲しいと訴え続けていた。
たとえ彼が私より上田先生にお願いしたいと言い出しても、もうこの時点で私は先輩弁護士の教え通り、彼を決して手放さないと心の中で決めていたのだけれど、そんな気持ちに気づいてくれたのか、彼は私に話を聞いてほしいと言ってくれた。
やはり彼も私に何か運命を感じてくれているのか?
そう思うだけで胸がときめく。
バリスタをやっている友人に作ってもらっているコーヒーを淹れると、一瞬怪訝そうな顔をした。
もしかしたらコーヒーが苦手だったのかもしれない。
先に好みを聞けばよかったかと思っていると、一口啜った途端、花が綻ぶような可愛らしい笑みを浮かべた。
心の底から漏れ出るような美味しいという言葉にホッとしたと同時に、彼にこんな顔をさせた友人に少しばかり嫉妬してしまった。
彼が半分ほどコーヒーを飲み終えたのを確認して、
「お話を伺ってもよろしいですか?」
とできるだけ優しく尋ねたが、彼はピクッと身体を震わせた。
彼は、心の中に一体どんな悩みを抱えているのか……。
私に全てを話してほしい。
どんなことでも、どんな手を使ってでも解決してやろう。
「はい。あの、こんなこと話していいのかわからないんですけど……」
震える声でそう話す彼に、
「大丈夫です。私たちには守秘義務があります。決して口外はしませんのでどんなことでも安心してお話しください」
と笑顔を見せると、彼はようやく重い口を開いた。
「僕、笹川コーポレーションで営業事務をやっています北原 暁といいます。実は、その会社の男性上司に、あの……脅されて、身体の関係を、持っていて……どうにかして、その関係を切りたいんですけど、なんの方法も思いつかなくて……」
「――っ、男性上司に脅されて? 最初から順を立てて教えていただけますか?」
「はい。あれは3ヶ月前のことでした。お酒をしこたま飲まされて、気づいたらホテルで身体を奪われていて……それで終わりだと思ったら、動画と写真を撮られてて……それで、ずっと関係を持たされてたんです。でも今日……取引先相手の部長の娘さんとの結婚が決まったから関係を終わりにしようって言われて、やっと解放されるって思ったんです。でも……」
「動画と写真を消さないと言われた、と……」
「はい。落ち着いたらまた呼び出すから、その時はすぐに来いと言われて……もう僕、どうしたらいいか……。安田さんの前から消えてなくなりたいんですけど、あの動画や写真が残っているうちは逃げるわけにもいかなくて……。でも、いつまでもこんな関係を続けたくなくて……」
自分の性的指向が同性だと男性上司に知られて無理やりに身体の関係を持たされた挙句、脅されて3ヶ月も関係を持たされ続けていると苦しそうに吐き出していた彼を見ているだけで辛い。
彼を一日も早くこの状況から救ってやりたい。
私の頭の中はそのことでいっぱいになっていた。
「わかりました。では北原さんの名誉は守りつつ、上司にはしっかりと罪を償っていただきましょう。全てお任せ下さい」
そういうと、彼は心から安堵の表情を見せながら大粒の涙を流し始めた。
今までずっと辛かったに違いない。
この小さな身体で一人でずっと耐えてきたのだと思うと余計にその男への腹立ちが増してくる。
私の中に初めて芽生えた殺意。
だが、ここで本当に手を下しては私もその男と同じ愚かな男に成り下がる。
だから、私は弁護士として法に則って成敗してやろう。
死んだほうがマシだと思えるほど徹底的にな。
彼が落ち着いたところで自宅に送る事にした。
本当なら、このまま私の自宅に連れ帰りたい。
でも今はまだ時期じゃない。
まずは全てを片付けてからだ。
家まで送り、彼の家をインプットする。
そして、連絡用にと電話番号とメッセージアプリのIDもゲットした。
これでいつでも彼と連絡を取り合うことができる。
こまめに連絡をとって、彼の中に私という存在を植え付けておく事にしよう。
自宅に戻り、彼が話してくれた内容をもとに情報を精査する。
彼の話ではクズ上司は取引先のお嬢さんとの結婚が決まったと言っていた。
彼に酒を飲ましあんなことをしでかしたやつだ。
その話にも裏があるに決まっている。
裏話を調査するには信頼のおける人物に頼むのが一番いい。
私はスマホからユウさんの番号を出し、クズ上司・安田の調査を依頼した。
できるだけ早く調べてほしいと頼むと、24時間後に連絡すると一言言われて電話はすぐに切れた。
ユウさんに任せてできなかった仕事は一度もない。
これでその件に関しては大丈夫だろう。
あとはこっちだな。
彼の勤務先・笹川コーポーレーション。
その名前が出てきた時は、あまりの驚きについ声が出そうになってしまった。
やはりこれは運命としか言いようがない。
私は急いで先輩弁護士に電話をかけた。
ーもしもし。どうした?
ー夜分遅くに申し訳ありません。今、お時間大丈夫ですか?
ーああ。大丈夫だ。
この時間に電話をとってくれるということは今日は恋人と一緒にいないのだろう。
先輩には申し訳ないがホッとする。
ー実は、先輩が顧問弁護士を務めている笹川コーポレーションについて、お話ししたいことがありまして……。
ー笹川コーポレーション? 何かあったのか?
ー実は――――――
ーなるほど。これは早急に動く必要があるな。
ーはい。そう思って先輩に声をかけさせていただいたんです。今、ユウさんに情報をお願いしているので、明日には詳しい話をお伝えできると思うんですが……
ーそうか。ユウに任せておけば安心だな。その情報が来たら、すぐに社長と話をしよう。
ーよろしくお願いします。
ーなぁ、小田切……お前、もしかして、その彼のこと……?
ーわかりますか? 多分、先輩が仰っていた運命かもしれません。私も感じたんです。彼を手放したくないって……。
ーふっ。そうか。なら、その上司の方は徹底的にやってやらないといけないな。話をするのは、お前のことだから全てが解決してからだろう?
ーはい。そのつもりです。安慶名先輩と恋人さんのようになれるように頑張りますから。
ーああ。良い報告待ってるよ。その前にひと頑張りしないといけないがな。
ーはい。じゃあ、明日情報が届いたらすぐに連絡します。
これで土台はできた。
あとは私の仕事だ。
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