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明日のために
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挨拶を終えた会長が一花さんを抱き抱えてこちらにくるのが見えて、私は尚孝さんを助手席に残し、車を降りた。
扉を開け、お二人が中に入り、キャンピングカーのベッドに一花さんを座らせるのを確認して運転席に戻った。
「一花くん、まだ起きてましたか?」
「ええ、会長とお話をしていらっしゃいましたよ」
「そうですか。でも多分保養所に着く頃には疲れて寝ていると思います。僕にできることがあればなんでも言ってください」
この数ヶ月、一花さんのそばにいた尚孝さんだからこそわかることなんだろう。
「きっと一花くん、みんなのために気力で起きてたんだと思います。その甲斐あって、素晴らしい式でしたね」
「本当に。お二人を祝福する人たちだけが集まっていましたからね」
私は尚孝さんと二人っきりの結婚式を挙げる予定だが、尚孝さんが一花さんのようなみんなに祝福されたいと望むなら、帰国してからパーティーのようなものを開くのもいいな。
その時は美しいドレスか色打掛でも着てもらおうか。みんなに見せるのは勿体無い気もするが、会長のように幸せなところを見せつけるのもいい。
そんな計画を立てている間に、車は保養所に到着した。
尚孝さんの予想通り、一花さんはすっかり深い眠りに落ちていた。
私と尚孝さんで私たちとお二人の部屋の手続を済ませて、一緒にお二人の部屋までついていく。
玄関に荷物を置き、ここから明日の朝までは尚孝さんと二人の時間だ。
明日のチェックアウトの予定は朝七時。
そこから途中で休憩をとりながらゆっくりと三時間かけて会長のご自宅に戻り、そこから空港に向かい出国の予定だが、あくまでもこれは会長が朝七時のチェックアウトに間に合った場合だ。
一花さんとの初夜がどうなったかでこの予定がずれ込みそうな気がするが、私たちが明日出国することは伝えてあるから、その点は心配していない。会長は私の予定は絶対にずらしたりしないからだ。
たとえチェックアウトに間に合わなくても、私と尚孝さんが無事に東京に戻り、出国に間に合うようにはしてくれる。その信頼があってこそ、私は会長のそばにいられるのだ。
だから私たちは、予定通りチェックアウトに間に合うように準備を整えておけばいい。
私が今、一番考えなくてはいけないのは尚孝さんのことだ。
朝からずっと美しい空色の訪問着を着た尚孝さんに興奮され続けてきて、全ての欲望を解放してたっぷりと愛したいが、明日からの旅行に支障をきたさないように少しは手加減をしておかなくてはいけないのだ。
歩けなくなって私が抱きかかえて歩くのは問題ないが、空港で色気ダダ漏れの尚孝さんを誰にも見せたくない。
贅沢な悩みといえばそうなのだが、私にとってはかなり大きな悩みだ。
「尚孝さん、私たちも部屋で寛ぎましょうか」
「はい。唯人さん」
尚孝さんの方からギュッと抱きついてきてくれる。
可愛いすぎて、今から手加減できるか心配になってきた。
必死に冷静を装いつつ、私たちの部屋の扉を開けた。
「わぁー! 素敵! テラスに露天風呂がありますよ! 唯人さん、一緒に入りましょう!」
無邪気に温泉に誘ってくれる尚孝さんが本当に可愛くて仕方がない。
「尚孝さん。温泉に誘ってくれるなんて積極的ですね」
「えっ? あっ!」
自分の放った言葉の意味を理解した瞬間、尚孝さんの顔が真っ赤になっていく。
「あの、僕……」
「私は嬉しいですよ。ずっと、尚孝さんと触れ合いたいと思っていましたから」
顔を近づけると、真っ赤な顔のまま尚孝さんは綺麗な目を瞑った。
キスして欲しそうな顔が可愛くてそっと口づけると、尚孝さんの方から唇を開き誘い込んでくれる。
重ねるだけで終わるなんて、最初から無理な話だな。
誘われるままに舌を挿し入れ、甘い口内をたっぷりと味わう。
舌を絡ませ、舌先に吸い付いて、欲望のままに味わっていると、尚孝さんの身体の力が抜けていくのがわかった。
キスをしたまま抱きかかえ、そのままテラスに置かれたソファーに座った。
ゆっくりと唇を離すと、尚孝さんは私の胸にもたれかかってきた。
「苦しかったですか?」
そんな私の問いに、尚孝さんはほんのり頬を染めたまま小さく首を横に振った。
「やっと唯人さんと深いキスできて嬉しくて……僕……唯人さんとのキス、大好きです」
「――っ!!」
こんな可愛いことを言われて我慢できる人がいるんだろうか?
手加減できるか、本当に心配になってきた。
扉を開け、お二人が中に入り、キャンピングカーのベッドに一花さんを座らせるのを確認して運転席に戻った。
「一花くん、まだ起きてましたか?」
「ええ、会長とお話をしていらっしゃいましたよ」
「そうですか。でも多分保養所に着く頃には疲れて寝ていると思います。僕にできることがあればなんでも言ってください」
この数ヶ月、一花さんのそばにいた尚孝さんだからこそわかることなんだろう。
「きっと一花くん、みんなのために気力で起きてたんだと思います。その甲斐あって、素晴らしい式でしたね」
「本当に。お二人を祝福する人たちだけが集まっていましたからね」
私は尚孝さんと二人っきりの結婚式を挙げる予定だが、尚孝さんが一花さんのようなみんなに祝福されたいと望むなら、帰国してからパーティーのようなものを開くのもいいな。
その時は美しいドレスか色打掛でも着てもらおうか。みんなに見せるのは勿体無い気もするが、会長のように幸せなところを見せつけるのもいい。
そんな計画を立てている間に、車は保養所に到着した。
尚孝さんの予想通り、一花さんはすっかり深い眠りに落ちていた。
私と尚孝さんで私たちとお二人の部屋の手続を済ませて、一緒にお二人の部屋までついていく。
玄関に荷物を置き、ここから明日の朝までは尚孝さんと二人の時間だ。
明日のチェックアウトの予定は朝七時。
そこから途中で休憩をとりながらゆっくりと三時間かけて会長のご自宅に戻り、そこから空港に向かい出国の予定だが、あくまでもこれは会長が朝七時のチェックアウトに間に合った場合だ。
一花さんとの初夜がどうなったかでこの予定がずれ込みそうな気がするが、私たちが明日出国することは伝えてあるから、その点は心配していない。会長は私の予定は絶対にずらしたりしないからだ。
たとえチェックアウトに間に合わなくても、私と尚孝さんが無事に東京に戻り、出国に間に合うようにはしてくれる。その信頼があってこそ、私は会長のそばにいられるのだ。
だから私たちは、予定通りチェックアウトに間に合うように準備を整えておけばいい。
私が今、一番考えなくてはいけないのは尚孝さんのことだ。
朝からずっと美しい空色の訪問着を着た尚孝さんに興奮され続けてきて、全ての欲望を解放してたっぷりと愛したいが、明日からの旅行に支障をきたさないように少しは手加減をしておかなくてはいけないのだ。
歩けなくなって私が抱きかかえて歩くのは問題ないが、空港で色気ダダ漏れの尚孝さんを誰にも見せたくない。
贅沢な悩みといえばそうなのだが、私にとってはかなり大きな悩みだ。
「尚孝さん、私たちも部屋で寛ぎましょうか」
「はい。唯人さん」
尚孝さんの方からギュッと抱きついてきてくれる。
可愛いすぎて、今から手加減できるか心配になってきた。
必死に冷静を装いつつ、私たちの部屋の扉を開けた。
「わぁー! 素敵! テラスに露天風呂がありますよ! 唯人さん、一緒に入りましょう!」
無邪気に温泉に誘ってくれる尚孝さんが本当に可愛くて仕方がない。
「尚孝さん。温泉に誘ってくれるなんて積極的ですね」
「えっ? あっ!」
自分の放った言葉の意味を理解した瞬間、尚孝さんの顔が真っ赤になっていく。
「あの、僕……」
「私は嬉しいですよ。ずっと、尚孝さんと触れ合いたいと思っていましたから」
顔を近づけると、真っ赤な顔のまま尚孝さんは綺麗な目を瞑った。
キスして欲しそうな顔が可愛くてそっと口づけると、尚孝さんの方から唇を開き誘い込んでくれる。
重ねるだけで終わるなんて、最初から無理な話だな。
誘われるままに舌を挿し入れ、甘い口内をたっぷりと味わう。
舌を絡ませ、舌先に吸い付いて、欲望のままに味わっていると、尚孝さんの身体の力が抜けていくのがわかった。
キスをしたまま抱きかかえ、そのままテラスに置かれたソファーに座った。
ゆっくりと唇を離すと、尚孝さんは私の胸にもたれかかってきた。
「苦しかったですか?」
そんな私の問いに、尚孝さんはほんのり頬を染めたまま小さく首を横に振った。
「やっと唯人さんと深いキスできて嬉しくて……僕……唯人さんとのキス、大好きです」
「――っ!!」
こんな可愛いことを言われて我慢できる人がいるんだろうか?
手加減できるか、本当に心配になってきた。
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