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番外編
世界一の幸せ者
<side卓>
姫のように美しくなって現れた保を家族で囲んでいると、
「おはようございます」
と背後から声が聞こえてきた。
「あら、櫻葉さんと征哉くん。一緒に来られたんですか?」
母がすぐに二人に声をかける。
「一花から着替えが終わった頃に来るように、と念を押されまして……少し遅れて来たらロビーで櫻葉会長とお会いしたんです」
私たちがロビーを離れた後に二人とも来たのだろう。ちょうどすれ違ったようだ。
「麻友子からもうそろそろ着替えが終わりそうだとメッセージをもらったので、こちらに来たんですよ。麻友子たちはまだ出て来ていないようですね」
「ええ。もうそろそろ出てくる頃じゃないかしら? その前に私たちの可愛い息子をお見せするわ。保、こちらにいらっしゃい。櫻葉さんと征哉くんに挨拶するわよ」
母は私たちの影になっていた保の手をとって、彼らの前に出した。
「お、おはようございます」
私たちに褒められて少しホッとしていた保だったが、家族以外の前に出されてかなり緊張しているようだ。
だが、櫻葉さんも征哉くんも保が現れると驚きの表情を浮かべたまま、その場に立ち尽くしてしまった。
「あ、あの……」
二人の様子に不安になったのだろう。
保が助けを求めるように、私たちをみる。
すると、父はすぐに保を安心させようと声をかけていた。
「大丈夫だよ。保。お二人とも保の美しさに見惚れているだけだ」
優しく肩に手を置く父を見て、櫻葉さんと征哉くんはようやく我に返ったようだ。
「いや、見違えたな。実に美しい。どこのお嬢さんかと思ったよ。なぁ、征哉くん」
「はい。本当に驚きました」
そう言いつつもまだ保に見惚れている節があるが彼からは一切恋愛の情は全く感じないから安心だ。
まぁ彼には一花くんがいるからそれも当然か。
そう思っていると、少し離れた部屋の扉が開くのが視界に入ってきた。
「せいくーん!」
「ちゅぐぅちゃ!」
「卓さん!」
「一眞さん!」
「毅さん!」
愛しい人の声に私だけでなく、そこにいた全員がすぐに反応をした。
私に向かってトコトコとかけてくる花びらドレスを纏った妖精とその後ろを見守りながらついてくる美しい女神の姿に私は昇天しつつも、可愛い妖精を抱き留めるためにその場に膝をついた。
「ちゅぐぅちゃ、なお。かーいー?」
ぽすっと飛び込んできて、小さな手で抱きついてくる。
「ああ、可愛いよ。本当に可愛い。直は可愛い妖精になったんだな」
愛おしさが込み上げて抱き上げると、私たちの様子を嬉しそうに見つめる絢斗と目があった。
「ふふ、卓さん。嬉しそう」
「ああ、幸せだからな。絢斗もおいで」
私が手を差し出すと笑顔で近づいてくる。
直くんを片手で抱きながら、絢斗をそっと抱き寄せる。
ああ、愛しい伴侶と愛しい子どもをこの腕に抱けるなんて……私は世界一の幸せ者だ。
<side毅>
姫のような出立ちで現れた保を見てただただ驚きしかない。
あの試着の時も美しくて見惚れてしまったが、今日のドレスはそれ以上だ。
父からも兄からも、この美しい弟を守らなければいけないとかなりのプレッシャーを与えられるが、この姿を見れば守らなければいけないのは当然だと思える。
私たちの後からやってきた櫻葉会長と征哉くんも保の美しさに驚いているくらいだからな。
海外のV.I.Pが泊まっているということで今日はV.I.Pの関係者と結婚式に招待されている人以外はこのホテルには入れない事になっていて本当に良かった。
保を不特定多数の人に見られたらそれこそ守るのが大変になるところだった。
「保。心配しないでいいよ。私がしっかりと守るから」
声をかけると、「毅お兄さん。ありがとうございます」と笑顔を見せた。
それが弟というよりは可愛い妹にしか見えないのだが、なんとか笑顔で返した。
少し離れた場所の扉が開く音が聞こえたと思ったら、直くんやら絢斗さんやらの声が聞こえてきた。
その後で私の耳にしっかりと飛び込んできたのは愛しい二葉の声。
「毅さん!」
その声に視線を向ければ、なんとも美しいドレスを身に纏った二葉が笑顔でこちらにきていた。
さっと駆け寄り二葉の手を取る。
「毅さん、どうかしら?」
「あまりにも美しすぎて緊張してしまうな。とてもよく似合っているよ」
抱き寄せると、二葉は嬉しそうに笑った。
「キスをしても、構わないかな?」
「ええ。少しだけなら……」
メイクを崩さないように、重ねるだけのキス。
それでも美しい妻とのキスにすっかり興奮してしまっている私がいた。
姫のように美しくなって現れた保を家族で囲んでいると、
「おはようございます」
と背後から声が聞こえてきた。
「あら、櫻葉さんと征哉くん。一緒に来られたんですか?」
母がすぐに二人に声をかける。
「一花から着替えが終わった頃に来るように、と念を押されまして……少し遅れて来たらロビーで櫻葉会長とお会いしたんです」
私たちがロビーを離れた後に二人とも来たのだろう。ちょうどすれ違ったようだ。
「麻友子からもうそろそろ着替えが終わりそうだとメッセージをもらったので、こちらに来たんですよ。麻友子たちはまだ出て来ていないようですね」
「ええ。もうそろそろ出てくる頃じゃないかしら? その前に私たちの可愛い息子をお見せするわ。保、こちらにいらっしゃい。櫻葉さんと征哉くんに挨拶するわよ」
母は私たちの影になっていた保の手をとって、彼らの前に出した。
「お、おはようございます」
私たちに褒められて少しホッとしていた保だったが、家族以外の前に出されてかなり緊張しているようだ。
だが、櫻葉さんも征哉くんも保が現れると驚きの表情を浮かべたまま、その場に立ち尽くしてしまった。
「あ、あの……」
二人の様子に不安になったのだろう。
保が助けを求めるように、私たちをみる。
すると、父はすぐに保を安心させようと声をかけていた。
「大丈夫だよ。保。お二人とも保の美しさに見惚れているだけだ」
優しく肩に手を置く父を見て、櫻葉さんと征哉くんはようやく我に返ったようだ。
「いや、見違えたな。実に美しい。どこのお嬢さんかと思ったよ。なぁ、征哉くん」
「はい。本当に驚きました」
そう言いつつもまだ保に見惚れている節があるが彼からは一切恋愛の情は全く感じないから安心だ。
まぁ彼には一花くんがいるからそれも当然か。
そう思っていると、少し離れた部屋の扉が開くのが視界に入ってきた。
「せいくーん!」
「ちゅぐぅちゃ!」
「卓さん!」
「一眞さん!」
「毅さん!」
愛しい人の声に私だけでなく、そこにいた全員がすぐに反応をした。
私に向かってトコトコとかけてくる花びらドレスを纏った妖精とその後ろを見守りながらついてくる美しい女神の姿に私は昇天しつつも、可愛い妖精を抱き留めるためにその場に膝をついた。
「ちゅぐぅちゃ、なお。かーいー?」
ぽすっと飛び込んできて、小さな手で抱きついてくる。
「ああ、可愛いよ。本当に可愛い。直は可愛い妖精になったんだな」
愛おしさが込み上げて抱き上げると、私たちの様子を嬉しそうに見つめる絢斗と目があった。
「ふふ、卓さん。嬉しそう」
「ああ、幸せだからな。絢斗もおいで」
私が手を差し出すと笑顔で近づいてくる。
直くんを片手で抱きながら、絢斗をそっと抱き寄せる。
ああ、愛しい伴侶と愛しい子どもをこの腕に抱けるなんて……私は世界一の幸せ者だ。
<side毅>
姫のような出立ちで現れた保を見てただただ驚きしかない。
あの試着の時も美しくて見惚れてしまったが、今日のドレスはそれ以上だ。
父からも兄からも、この美しい弟を守らなければいけないとかなりのプレッシャーを与えられるが、この姿を見れば守らなければいけないのは当然だと思える。
私たちの後からやってきた櫻葉会長と征哉くんも保の美しさに驚いているくらいだからな。
海外のV.I.Pが泊まっているということで今日はV.I.Pの関係者と結婚式に招待されている人以外はこのホテルには入れない事になっていて本当に良かった。
保を不特定多数の人に見られたらそれこそ守るのが大変になるところだった。
「保。心配しないでいいよ。私がしっかりと守るから」
声をかけると、「毅お兄さん。ありがとうございます」と笑顔を見せた。
それが弟というよりは可愛い妹にしか見えないのだが、なんとか笑顔で返した。
少し離れた場所の扉が開く音が聞こえたと思ったら、直くんやら絢斗さんやらの声が聞こえてきた。
その後で私の耳にしっかりと飛び込んできたのは愛しい二葉の声。
「毅さん!」
その声に視線を向ければ、なんとも美しいドレスを身に纏った二葉が笑顔でこちらにきていた。
さっと駆け寄り二葉の手を取る。
「毅さん、どうかしら?」
「あまりにも美しすぎて緊張してしまうな。とてもよく似合っているよ」
抱き寄せると、二葉は嬉しそうに笑った。
「キスをしても、構わないかな?」
「ええ。少しだけなら……」
メイクを崩さないように、重ねるだけのキス。
それでも美しい妻とのキスにすっかり興奮してしまっている私がいた。
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