ベビーシッター先でラブラブな家族生活はじまりました

波木真帆

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天使のお昼寝

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しばらく西条さんのご自宅で琳とお世話になることになった。
西条さんの優しさに甘える形になったけれど、琳を守るためだ。
そのお礼に、家事と育児を完璧にしよう。それが僕にできる西条さんへの恩返しだ。

冷蔵庫に何か入っているか、それは全て頭に入っている。
ある程度のリクエストには対応できる。
だからお礼も兼ねて西条さんの好きなものを作りたくて尋ねたけれど、西条さんは怪我をしている琳の好きなものを作るように言ってくれた。本当に優しい人だ。

西条さんは仕事をすると言って自室に入っていった。
琳と僕のために仕事を切り上げて帰ってきたと仰っていたから、今から自室でお仕事をされるんだろう。
忙しい方なのに無理をさせてしまって申し訳ないけれど、西条さんがそばにいてくれたおかげで僕は今、安心してキッチンに立つことができている。心から感謝しないとな。

料理を作りながら、二人が眠るサークルを確認できるのもありがたい。
二人はまだぐっすり眠っているみたいだ。

普段ならあまり長く寝かせすぎると夜遅くまで起きてしまうからそれはそれで困ってしまうけれど、今日は二人とも慣れない環境に疲れているだろうから、多分夜も寝てくれるだろう。

作っているのはミートソース。これで昼食はスパゲッティにしようと思っている。
ミートソースの中にみじん切りのピーマン、にんじん、玉ねぎ、それにエリンギやしめじなどの野菜をたくさん入れて具沢山にしているから栄養もバッチリ。琳もいつも残さずに食べてくれる大好物の一つだ。
そして、ブロッコリーとじゃがいもとチーズを入れたポタージュスープ。これは子どもだけでなく大人にもお勧めだから西条さんも喜んでくれるかな。

よし、あとはパスタを茹でるだけだ。

そろそろ琳と碧斗くんを起こしておこうかな。

エプロンを外しながら二人がいるサークルに近づいたところでその光景に思わず足が止まってしまった。

うわっ、か、可愛い!

隣同士に仰向けで寝かせていたはずの二人なのにいつの間にこうなったんだろう。

横向きになった碧斗くんが怪我をした右腕には触れないようにしながら琳を優しく抱きしめている。
琳は碧斗くんの胸に顔をピッタリと擦り寄せてすっごく幸せそうな顔で眠っている。

小さな二人がハグをしながら眠っている姿に癒される。
こういうのを天使のお昼寝とでもいうんだろうか。
あまりにも可愛い寝姿に思わず立ち止まったまま、スマホを取り出して写真を撮ってしまった。
しばらくその姿に見入っていると、カチャリと扉が開き、西条さんが部屋から出てきた。

「遥くん? そんなところでどうしたんだ?」

「あ、西条さん。こっちにきてください」

西条さんにも二人のこの可愛い姿を見せたくて小声で呼びかけながら笑顔で手招きすると、西条さんは不思議そうに僕の近くにやってきた。

「どうした?」

「碧斗くんと琳を見てください」

笑顔で二人に視線を向けると、西条さんも二人に目を向けた途端、驚きの表情に変わった。

「えっ……」

「可愛いですよね。今日初めて会ったばかりなのになんだか昔からのお友だちみたい」

「そう、だな……驚いた」

西条さんが目を丸くしている。碧斗くん、お友だちと過ごすこともなかったみたいだから余計に驚いているみたいだ。

「碧斗くんの方が年下なのに、なんだかお兄ちゃんみたいですよね」

笑いながら告げると、西条さんはさらに驚いて僕の顔を見た。

「えっ? りんくんの方が年上なのか?」

「はい。先日四歳になったんです。碧斗くんは確か、三歳でしたよね?」

西条さんはまだ驚いた表情のまま頷いた。

「来週四歳になるんだが、そうか……りんくんの方が年上なのか……びっくりだな」

身体も大きいし、二人で並んでいるところを見たから余計にそう思うのかもしれない。
来週四歳になるのなら同じ年と言ってもおかしくないけれど、それを抜きにしても琳のほうが年下に見えるかも。

「碧斗くん、来週お誕生日なんですか?」

僕の問いかけに頷きつつも、

「と言っても今まで特に何かしたことはないんだが……というか、何をしてやればいいのかわからなくてね」

と困った表情を見せていた。

「それなら、今年は僕が準備しますよ。琳の誕生日のように飾り付けをして、ケーキとご馳走作ってみんなでお祝いしましょう」

「えっ? いいのか?」

「もちろんです。碧斗くんのお誕生日、楽しい日にしましょうね!」

琳にも話したらきっと大喜びでお手伝いしてくれるだろうな。
左手だけでお手伝いできること考えておかなくちゃ!!

ああ、なんだか楽しくなってきたな。

僕はもうすっかり妹の義実家家族のことも頭から消え去ってしまっていた。
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