23 / 203
天使のお昼寝
しおりを挟む
しばらく西条さんのご自宅で琳とお世話になることになった。
西条さんの優しさに甘える形になったけれど、琳を守るためだ。
そのお礼に、家事と育児を完璧にしよう。それが僕にできる西条さんへの恩返しだ。
冷蔵庫に何か入っているか、それは全て頭に入っている。
ある程度のリクエストには対応できる。
だからお礼も兼ねて西条さんの好きなものを作りたくて尋ねたけれど、西条さんは怪我をしている琳の好きなものを作るように言ってくれた。本当に優しい人だ。
西条さんは仕事をすると言って自室に入っていった。
琳と僕のために仕事を切り上げて帰ってきたと仰っていたから、今から自室でお仕事をされるんだろう。
忙しい方なのに無理をさせてしまって申し訳ないけれど、西条さんがそばにいてくれたおかげで僕は今、安心してキッチンに立つことができている。心から感謝しないとな。
料理を作りながら、二人が眠るサークルを確認できるのもありがたい。
二人はまだぐっすり眠っているみたいだ。
普段ならあまり長く寝かせすぎると夜遅くまで起きてしまうからそれはそれで困ってしまうけれど、今日は二人とも慣れない環境に疲れているだろうから、多分夜も寝てくれるだろう。
作っているのはミートソース。これで昼食はスパゲッティにしようと思っている。
ミートソースの中にみじん切りのピーマン、にんじん、玉ねぎ、それにエリンギやしめじなどの野菜をたくさん入れて具沢山にしているから栄養もバッチリ。琳もいつも残さずに食べてくれる大好物の一つだ。
そして、ブロッコリーとじゃがいもとチーズを入れたポタージュスープ。これは子どもだけでなく大人にもお勧めだから西条さんも喜んでくれるかな。
よし、あとはパスタを茹でるだけだ。
そろそろ琳と碧斗くんを起こしておこうかな。
エプロンを外しながら二人がいるサークルに近づいたところでその光景に思わず足が止まってしまった。
うわっ、か、可愛い!
隣同士に仰向けで寝かせていたはずの二人なのにいつの間にこうなったんだろう。
横向きになった碧斗くんが怪我をした右腕には触れないようにしながら琳を優しく抱きしめている。
琳は碧斗くんの胸に顔をピッタリと擦り寄せてすっごく幸せそうな顔で眠っている。
小さな二人がハグをしながら眠っている姿に癒される。
こういうのを天使のお昼寝とでもいうんだろうか。
あまりにも可愛い寝姿に思わず立ち止まったまま、スマホを取り出して写真を撮ってしまった。
しばらくその姿に見入っていると、カチャリと扉が開き、西条さんが部屋から出てきた。
「遥くん? そんなところでどうしたんだ?」
「あ、西条さん。こっちにきてください」
西条さんにも二人のこの可愛い姿を見せたくて小声で呼びかけながら笑顔で手招きすると、西条さんは不思議そうに僕の近くにやってきた。
「どうした?」
「碧斗くんと琳を見てください」
笑顔で二人に視線を向けると、西条さんも二人に目を向けた途端、驚きの表情に変わった。
「えっ……」
「可愛いですよね。今日初めて会ったばかりなのになんだか昔からのお友だちみたい」
「そう、だな……驚いた」
西条さんが目を丸くしている。碧斗くん、お友だちと過ごすこともなかったみたいだから余計に驚いているみたいだ。
「碧斗くんの方が年下なのに、なんだかお兄ちゃんみたいですよね」
笑いながら告げると、西条さんはさらに驚いて僕の顔を見た。
「えっ? りんくんの方が年上なのか?」
「はい。先日四歳になったんです。碧斗くんは確か、三歳でしたよね?」
西条さんはまだ驚いた表情のまま頷いた。
「来週四歳になるんだが、そうか……りんくんの方が年上なのか……びっくりだな」
身体も大きいし、二人で並んでいるところを見たから余計にそう思うのかもしれない。
来週四歳になるのなら同じ年と言ってもおかしくないけれど、それを抜きにしても琳のほうが年下に見えるかも。
「碧斗くん、来週お誕生日なんですか?」
僕の問いかけに頷きつつも、
「と言っても今まで特に何かしたことはないんだが……というか、何をしてやればいいのかわからなくてね」
と困った表情を見せていた。
「それなら、今年は僕が準備しますよ。琳の誕生日のように飾り付けをして、ケーキとご馳走作ってみんなでお祝いしましょう」
「えっ? いいのか?」
「もちろんです。碧斗くんのお誕生日、楽しい日にしましょうね!」
琳にも話したらきっと大喜びでお手伝いしてくれるだろうな。
左手だけでお手伝いできること考えておかなくちゃ!!
ああ、なんだか楽しくなってきたな。
僕はもうすっかり妹の義実家家族のことも頭から消え去ってしまっていた。
西条さんの優しさに甘える形になったけれど、琳を守るためだ。
そのお礼に、家事と育児を完璧にしよう。それが僕にできる西条さんへの恩返しだ。
冷蔵庫に何か入っているか、それは全て頭に入っている。
ある程度のリクエストには対応できる。
だからお礼も兼ねて西条さんの好きなものを作りたくて尋ねたけれど、西条さんは怪我をしている琳の好きなものを作るように言ってくれた。本当に優しい人だ。
西条さんは仕事をすると言って自室に入っていった。
琳と僕のために仕事を切り上げて帰ってきたと仰っていたから、今から自室でお仕事をされるんだろう。
忙しい方なのに無理をさせてしまって申し訳ないけれど、西条さんがそばにいてくれたおかげで僕は今、安心してキッチンに立つことができている。心から感謝しないとな。
料理を作りながら、二人が眠るサークルを確認できるのもありがたい。
二人はまだぐっすり眠っているみたいだ。
普段ならあまり長く寝かせすぎると夜遅くまで起きてしまうからそれはそれで困ってしまうけれど、今日は二人とも慣れない環境に疲れているだろうから、多分夜も寝てくれるだろう。
作っているのはミートソース。これで昼食はスパゲッティにしようと思っている。
ミートソースの中にみじん切りのピーマン、にんじん、玉ねぎ、それにエリンギやしめじなどの野菜をたくさん入れて具沢山にしているから栄養もバッチリ。琳もいつも残さずに食べてくれる大好物の一つだ。
そして、ブロッコリーとじゃがいもとチーズを入れたポタージュスープ。これは子どもだけでなく大人にもお勧めだから西条さんも喜んでくれるかな。
よし、あとはパスタを茹でるだけだ。
そろそろ琳と碧斗くんを起こしておこうかな。
エプロンを外しながら二人がいるサークルに近づいたところでその光景に思わず足が止まってしまった。
うわっ、か、可愛い!
隣同士に仰向けで寝かせていたはずの二人なのにいつの間にこうなったんだろう。
横向きになった碧斗くんが怪我をした右腕には触れないようにしながら琳を優しく抱きしめている。
琳は碧斗くんの胸に顔をピッタリと擦り寄せてすっごく幸せそうな顔で眠っている。
小さな二人がハグをしながら眠っている姿に癒される。
こういうのを天使のお昼寝とでもいうんだろうか。
あまりにも可愛い寝姿に思わず立ち止まったまま、スマホを取り出して写真を撮ってしまった。
しばらくその姿に見入っていると、カチャリと扉が開き、西条さんが部屋から出てきた。
「遥くん? そんなところでどうしたんだ?」
「あ、西条さん。こっちにきてください」
西条さんにも二人のこの可愛い姿を見せたくて小声で呼びかけながら笑顔で手招きすると、西条さんは不思議そうに僕の近くにやってきた。
「どうした?」
「碧斗くんと琳を見てください」
笑顔で二人に視線を向けると、西条さんも二人に目を向けた途端、驚きの表情に変わった。
「えっ……」
「可愛いですよね。今日初めて会ったばかりなのになんだか昔からのお友だちみたい」
「そう、だな……驚いた」
西条さんが目を丸くしている。碧斗くん、お友だちと過ごすこともなかったみたいだから余計に驚いているみたいだ。
「碧斗くんの方が年下なのに、なんだかお兄ちゃんみたいですよね」
笑いながら告げると、西条さんはさらに驚いて僕の顔を見た。
「えっ? りんくんの方が年上なのか?」
「はい。先日四歳になったんです。碧斗くんは確か、三歳でしたよね?」
西条さんはまだ驚いた表情のまま頷いた。
「来週四歳になるんだが、そうか……りんくんの方が年上なのか……びっくりだな」
身体も大きいし、二人で並んでいるところを見たから余計にそう思うのかもしれない。
来週四歳になるのなら同じ年と言ってもおかしくないけれど、それを抜きにしても琳のほうが年下に見えるかも。
「碧斗くん、来週お誕生日なんですか?」
僕の問いかけに頷きつつも、
「と言っても今まで特に何かしたことはないんだが……というか、何をしてやればいいのかわからなくてね」
と困った表情を見せていた。
「それなら、今年は僕が準備しますよ。琳の誕生日のように飾り付けをして、ケーキとご馳走作ってみんなでお祝いしましょう」
「えっ? いいのか?」
「もちろんです。碧斗くんのお誕生日、楽しい日にしましょうね!」
琳にも話したらきっと大喜びでお手伝いしてくれるだろうな。
左手だけでお手伝いできること考えておかなくちゃ!!
ああ、なんだか楽しくなってきたな。
僕はもうすっかり妹の義実家家族のことも頭から消え去ってしまっていた。
2,811
あなたにおすすめの小説
忘れられた幼な妻は泣くことを止めました
帆々
恋愛
アリスは十五歳。王国で高家と呼ばれるう高貴な家の姫だった。しかし、家は貧しく日々の暮らしにも困窮していた。
そんな時、アリスの父に非常に有利な融資をする人物が現れた。その代理人のフーは巧みに父を騙して、莫大な借金を負わせてしまう。
もちろん返済する目処もない。
「アリス姫と我が主人との婚姻で借財を帳消しにしましょう」
フーの言葉に父は頷いた。アリスもそれを責められなかった。家を守るのは父の責務だと信じたから。
嫁いだドリトルン家は悪徳金貸しとして有名で、アリスは邸の厳しいルールに従うことになる。フーは彼女を監視し自由を許さない。そんな中、夫の愛人が邸に迎え入れることを知る。彼女は庭の隅の離れ住まいを強いられているのに。アリスは嘆き悲しむが、フーに強く諌められてうなだれて受け入れた。
「ご実家への援助はご心配なく。ここでの悪くないお暮らしも保証しましょう」
そういう経緯を仲良しのはとこに打ち明けた。晩餐に招かれ、久しぶりに心の落ち着く時間を過ごした。その席にははとこ夫妻の友人のロエルもいて、彼女に彼の掘った珍しい鉱石を見せてくれた。しかし迎えに現れたフーが、和やかな夜をぶち壊してしまう。彼女を庇うはとこを咎め、フーの無礼を責めたロエルにまで痛烈な侮蔑を吐き捨てた。
厳しい婚家のルールに縛られ、アリスは外出もままならない。
それから五年の月日が流れ、ひょんなことからロエルに再会することになった。金髪の端正な紳士の彼は、彼女に問いかけた。
「お幸せですか?」
アリスはそれに答えられずにそのまま別れた。しかし、その言葉が彼の優しかった印象と共に尾を引いて、彼女の中に残っていく_______。
世間知らずの高貴な姫とやや強引な公爵家の子息のじれじれなラブストーリーです。
古風な恋愛物語をお好きな方にお読みいただけますと幸いです。
ハッピーエンドを心がけております。読後感のいい物語を努めます。
※小説家になろう様にも投稿させていただいております。
母は何処? 父はだぁれ?
穂村満月
ファンタジー
うちは、父3人母2人妹1人の7人家族だ。
産みの母は誰だかわかるが、実父は誰だかわからない。
妹も、実妹なのか不明だ。
そんなよくわからない家族の中で暮らしていたが、ある日突然、実母がいなくなってしまった。
父たちに聞いても、母のことを教えてはくれない。
母は、どこへ行ってしまったんだろう!
というところからスタートする、
さて、実父は誰でしょう? というクイズ小説です。
変な家族に揉まれて、主人公が成長する物語でもなく、
家族とのふれあいを描くヒューマンドラマでもありません。
意味のわからない展開から、誰の子なのか想像してもらえたらいいなぁ、と思っております。
前作「死んでないのに異世界転生? 三重苦だけど頑張ります」の完結記念ssの「誰の子産むの?」のアンサーストーリーになります。
もう伏線は回収しきっているので、変なことは起きても謎は何もありません。
単体でも楽しめるように書けたらいいな、と思っておりますが、前作の設定とキャラクターが意味不明すぎて、説明するのが難しすぎました。嫁の夫をお父さんお母さん呼びするのを諦めたり、いろんな変更を行っております。設定全ては持ってこれないことを先にお詫びします。
また、先にこちらを読むと、1話目から前作のネタバレが大量に飛び出すことも、お詫び致します。
「小説家になろう」で連載していたものです。
子持ちの私は、夫に駆け落ちされました
月山 歩
恋愛
産まれたばかりの赤子を抱いた私は、砦に働きに行ったきり、帰って来ない夫を心配して、鍛錬場を訪れた。すると、夫の上司は夫が仕事中に駆け落ちしていなくなったことを教えてくれた。食べる物がなく、フラフラだった私は、その場で意識を失った。赤子を抱いた私を気の毒に思った公爵家でお世話になることに。
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
美形×平凡の子供の話
めちゅう
BL
美形公爵アーノルドとその妻で平凡顔のエーリンの間に生まれた双子はエリック、エラと名付けられた。エリックはアーノルドに似た美形、エラはエーリンに似た平凡顔。平凡なエラに幸せはあるのか?
──────────────────
お読みくださりありがとうございます。
お楽しみいただけましたら幸いです。
お話を追加いたしました。
冷徹公爵の誤解された花嫁
柴田はつみ
恋愛
片思いしていた冷徹公爵から求婚された令嬢。幸せの絶頂にあった彼女を打ち砕いたのは、舞踏会で耳にした「地味女…」という言葉だった。望まれぬ花嫁としての結婚に、彼女は一年だけ妻を務めた後、離縁する決意を固める。
冷たくも美しい公爵。誤解とすれ違いを繰り返す日々の中、令嬢は揺れる心を抑え込もうとするが――。
一年後、彼女が選ぶのは別れか、それとも永遠の契約か。
夫から「用済み」と言われ追い出されましたけれども
神々廻
恋愛
2人でいつも通り朝食をとっていたら、「お前はもう用済みだ。門の前に最低限の荷物をまとめさせた。朝食をとったら出ていけ」
と言われてしまいました。夫とは恋愛結婚だと思っていたのですが違ったようです。
大人しく出ていきますが、後悔しないで下さいね。
文字数が少ないのでサクッと読めます。お気に入り登録、コメントください!
苦手な冷徹専務が義兄になったかと思ったら極あま顔で迫ってくるんですが、なんででしょう?~偽家族恋愛~
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「こちら、再婚相手の息子の仁さん」
母に紹介され、なにかの間違いだと思った。
だってそこにいたのは、私が敵視している専務だったから。
それだけでもかなりな不安案件なのに。
私の住んでいるマンションに下着泥が出た話題から、さらに。
「そうだ、仁のマンションに引っ越せばいい」
なーんて義父になる人が言い出して。
結局、反対できないまま専務と同居する羽目に。
前途多難な同居生活。
相変わらず専務はなに考えているかわからない。
……かと思えば。
「兄妹ならするだろ、これくらい」
当たり前のように落とされる、額へのキス。
いったい、どうなってんのー!?
三ツ森涼夏
24歳
大手菓子メーカー『おろち製菓』営業戦略部勤務
背が低く、振り返ったら忘れられるくらい、特徴のない顔がコンプレックス。
小1の時に両親が離婚して以来、母親を支えてきた頑張り屋さん。
たまにその頑張りが空回りすることも?
恋愛、苦手というより、嫌い。
淋しい、をちゃんと言えずにきた人。
×
八雲仁
30歳
大手菓子メーカー『おろち製菓』専務
背が高く、眼鏡のイケメン。
ただし、いつも無表情。
集中すると周りが見えなくなる。
そのことで周囲には誤解を与えがちだが、弁明する気はない。
小さい頃に母親が他界し、それ以来、ひとりで淋しさを抱えてきた人。
ふたりはちゃんと義兄妹になれるのか、それとも……!?
*****
千里専務のその後→『絶対零度の、ハーフ御曹司の愛ブルーの瞳をゲーヲタの私に溶かせとか言っています?……』
*****
表紙画像 湯弐様 pixiv ID3989101
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる