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甘い誘惑 1
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遥視点での悠臣の様子が気になる方が多いようなので、少し早いですがここで悠臣視点入ります。
楽しんでいただけると嬉しいです♡
* * *
<side西条悠臣>
ここなら碧斗たちの姿も確認できるし、風呂から出てきた遥くんにもすぐに気づくことができる。
その絶好の場所を陣取って座っていたが、どうにも落ち着かない。
パソコンでも持ってきて仕事をしていれば気も紛れたかと思ったが、集中できそうにないから意味はなかっただろう。
手持ち無沙汰を隠すように時折スマホを確認してみたが、さすがにまだ久瀬くんからの知らせはない。
「ぱぱー、みてー!」
二人で柔らかい積み木をなんとかして組み立てて遊んでいるようだが、本当にこうして改めて見てみると四歳前後の子に相応しいおもちゃとは思えない。それに気づかせてくれた遥くんには感謝しかない。
赤ちゃんが使うおもちゃでも試行錯誤して遊んでいる碧斗と琳くんを見ていると、カタンと扉が開くような音が聞こえた。
あれは浴室の扉が開く音。遥くんが風呂から出てきたんだ。
着替えを済ませてもうすぐ出てくる。そう思ったら途端に緊張してきた。
だが、しばらく待ってもなかなか出てこない。中で倒れているなんてことはないだろうな?
見に行こうか。いや、ここはもう少し待つべきだと心の中で葛藤していたが、ふとスマホに目がいく。
そういえば家中に取り付けたカメラで脱衣所の様子も確認できるんだ。
安全確認のために、少しだけ見てみようか……そんな考えが頭をよぎるが、このカメラはそんなことのためにつけているわけじゃない。
必死でその考えを頭から追い払っていると、脱衣所の扉が開く音が聞こえた。
咄嗟に何も気にしていなかったそぶりを見せようと近づいている音も聞こえているくせに、何も気づいていないように振る舞った。そんな私の耳に声が届いた。
「お風呂、いただきました」
すぐに反応してはいけないと思いつつ、即座に振り向いた私の目に飛び込んできたのは、風呂上がりでほんのり頬をピンク色に染めた遥くんの姿。
しかも私が貸した紺色のパジャマは、半袖の上着が七分袖に見えるほど大きく、半パンも脛の半分より長そうだ。
全然体型に合っていないパジャマはまるで彼シャツのように見える。
これが、私と数歳しか変わらない成人の男の湯上がりの姿なのか?
こんなにも体格差があったかと改めて理解するその服装にゴクリと喉がなった。
勿体なさすぎて目を離すこともできず茫然と見つめていると、遥くんに不思議そうに声をかけられる。
急に動かなくなったのだからおかしいと思われても不思議はない。
なんとか誤魔化すように水を飲むように声をかけると、彼は素直にキッチンに向かった。
グラスに水を注ぎ、美味しそうに飲み干すその姿も可愛く思えて目が離せなかった。
「んー、美味しい。あ、垂れちゃった」
唇の端から溢れた水が、つーっと首筋に向かって垂れていく。
彼はそれを指で拭ってチュッと吸い取った。
そのあまりにも煽情的な行動に誘われているのかと思ってしまうほどだが、私が見ていたことを知ってさっとグラスを片付けて子どもたちの元に向かったのをみると、全く計算はしていないんだろう。
それであの行動か……。くっ、やられるな……。
「そろそろ寝る準備しようか。歯磨きする人、おいで」
遥くんが声をかけると琳くんだけでなく碧斗まで手をあげる。
いつも歯磨きは嫌がっていたのに、遥くんがするとなるとこのやる気。
いや、もしかしたら琳くんに騒がずに歯磨きができるところを見せたいだけなのかもしれない。
それなら、一緒にやればいい。
そう思い至った私はどっちから先に磨こうかと選んでいる遥くんに声をかけ、私が碧斗の歯磨きをすると告げた。
碧斗の歯ブラシと、買い置きの子ども用歯ブラシの両方を洗面所から持ってきて、遥くんに手渡した。
そして、隣同士に座り、碧斗たちを寝かせて膝に頭を置いた。
手際のいい遥くんと違って、私は歯磨きは苦手だ。
あまりにも上手く磨くことにびっくりしてやり方を尋ねれば、遥くんは、歯ブラシを持っている私の手をそっと握って一緒に磨き始めた。
「こうして磨いてあげるといいですよ」
せっかく教えてくれているが、柔らかな手で握られていることに集中してしまっていて頭に入ってこない。
これも私を誘っているのではとさえ思ってしまう。
しかも頭を近づけてくれているからいい匂いが香ってくる。
シャンプーの匂いではない、甘い香り。これは遥くんの体臭なのか?
それを確認したくてそっと顔を近づけると、突然遥くんが振り返った。
「ね、これだとやりやすいでしょう?」
笑顔の遥くんとの距離は僅か数十センチ。
あまりの近さに遥くんも驚いて謝っていたが、悪いのは全て私だ。
でも本当にいい匂いだった……。
それを思い出している間に碧斗の歯磨きも終わっていた。
これで一日も終わりか……と思っていると、
「ねぇ、ぱぱー。りんくんはどこにねるのー?」
と碧斗に尋ねられる。
考えてなかったが、琳くんと遥くんなら客間のベッドを使ってもらってもいいし、そこのサークルに布団を敷いて寝てもらってもいい。好きな方を選んでもらおうと思ったが、碧斗は琳くんと一緒がいいと駄々をこね始めた。
流石に寝ている時まで気遣えないだろうし、一緒に寝るのはどうかと思ったが、遥くんはすぐに了承してしまった。
「西条さん、大丈夫ですよ。僕が見てますから。ここで三人で寝かせてください」
そう言われれば反対もできず、結局サークルに布団を三組並べて敷くことにした。
三人でさっさとサークルの中に入ってしまい、カーテンを閉められる。
私は自室に戻る気にもなれなくて、遥くんが出てくるのをひたすら待っていた。
楽しんでいただけると嬉しいです♡
* * *
<side西条悠臣>
ここなら碧斗たちの姿も確認できるし、風呂から出てきた遥くんにもすぐに気づくことができる。
その絶好の場所を陣取って座っていたが、どうにも落ち着かない。
パソコンでも持ってきて仕事をしていれば気も紛れたかと思ったが、集中できそうにないから意味はなかっただろう。
手持ち無沙汰を隠すように時折スマホを確認してみたが、さすがにまだ久瀬くんからの知らせはない。
「ぱぱー、みてー!」
二人で柔らかい積み木をなんとかして組み立てて遊んでいるようだが、本当にこうして改めて見てみると四歳前後の子に相応しいおもちゃとは思えない。それに気づかせてくれた遥くんには感謝しかない。
赤ちゃんが使うおもちゃでも試行錯誤して遊んでいる碧斗と琳くんを見ていると、カタンと扉が開くような音が聞こえた。
あれは浴室の扉が開く音。遥くんが風呂から出てきたんだ。
着替えを済ませてもうすぐ出てくる。そう思ったら途端に緊張してきた。
だが、しばらく待ってもなかなか出てこない。中で倒れているなんてことはないだろうな?
見に行こうか。いや、ここはもう少し待つべきだと心の中で葛藤していたが、ふとスマホに目がいく。
そういえば家中に取り付けたカメラで脱衣所の様子も確認できるんだ。
安全確認のために、少しだけ見てみようか……そんな考えが頭をよぎるが、このカメラはそんなことのためにつけているわけじゃない。
必死でその考えを頭から追い払っていると、脱衣所の扉が開く音が聞こえた。
咄嗟に何も気にしていなかったそぶりを見せようと近づいている音も聞こえているくせに、何も気づいていないように振る舞った。そんな私の耳に声が届いた。
「お風呂、いただきました」
すぐに反応してはいけないと思いつつ、即座に振り向いた私の目に飛び込んできたのは、風呂上がりでほんのり頬をピンク色に染めた遥くんの姿。
しかも私が貸した紺色のパジャマは、半袖の上着が七分袖に見えるほど大きく、半パンも脛の半分より長そうだ。
全然体型に合っていないパジャマはまるで彼シャツのように見える。
これが、私と数歳しか変わらない成人の男の湯上がりの姿なのか?
こんなにも体格差があったかと改めて理解するその服装にゴクリと喉がなった。
勿体なさすぎて目を離すこともできず茫然と見つめていると、遥くんに不思議そうに声をかけられる。
急に動かなくなったのだからおかしいと思われても不思議はない。
なんとか誤魔化すように水を飲むように声をかけると、彼は素直にキッチンに向かった。
グラスに水を注ぎ、美味しそうに飲み干すその姿も可愛く思えて目が離せなかった。
「んー、美味しい。あ、垂れちゃった」
唇の端から溢れた水が、つーっと首筋に向かって垂れていく。
彼はそれを指で拭ってチュッと吸い取った。
そのあまりにも煽情的な行動に誘われているのかと思ってしまうほどだが、私が見ていたことを知ってさっとグラスを片付けて子どもたちの元に向かったのをみると、全く計算はしていないんだろう。
それであの行動か……。くっ、やられるな……。
「そろそろ寝る準備しようか。歯磨きする人、おいで」
遥くんが声をかけると琳くんだけでなく碧斗まで手をあげる。
いつも歯磨きは嫌がっていたのに、遥くんがするとなるとこのやる気。
いや、もしかしたら琳くんに騒がずに歯磨きができるところを見せたいだけなのかもしれない。
それなら、一緒にやればいい。
そう思い至った私はどっちから先に磨こうかと選んでいる遥くんに声をかけ、私が碧斗の歯磨きをすると告げた。
碧斗の歯ブラシと、買い置きの子ども用歯ブラシの両方を洗面所から持ってきて、遥くんに手渡した。
そして、隣同士に座り、碧斗たちを寝かせて膝に頭を置いた。
手際のいい遥くんと違って、私は歯磨きは苦手だ。
あまりにも上手く磨くことにびっくりしてやり方を尋ねれば、遥くんは、歯ブラシを持っている私の手をそっと握って一緒に磨き始めた。
「こうして磨いてあげるといいですよ」
せっかく教えてくれているが、柔らかな手で握られていることに集中してしまっていて頭に入ってこない。
これも私を誘っているのではとさえ思ってしまう。
しかも頭を近づけてくれているからいい匂いが香ってくる。
シャンプーの匂いではない、甘い香り。これは遥くんの体臭なのか?
それを確認したくてそっと顔を近づけると、突然遥くんが振り返った。
「ね、これだとやりやすいでしょう?」
笑顔の遥くんとの距離は僅か数十センチ。
あまりの近さに遥くんも驚いて謝っていたが、悪いのは全て私だ。
でも本当にいい匂いだった……。
それを思い出している間に碧斗の歯磨きも終わっていた。
これで一日も終わりか……と思っていると、
「ねぇ、ぱぱー。りんくんはどこにねるのー?」
と碧斗に尋ねられる。
考えてなかったが、琳くんと遥くんなら客間のベッドを使ってもらってもいいし、そこのサークルに布団を敷いて寝てもらってもいい。好きな方を選んでもらおうと思ったが、碧斗は琳くんと一緒がいいと駄々をこね始めた。
流石に寝ている時まで気遣えないだろうし、一緒に寝るのはどうかと思ったが、遥くんはすぐに了承してしまった。
「西条さん、大丈夫ですよ。僕が見てますから。ここで三人で寝かせてください」
そう言われれば反対もできず、結局サークルに布団を三組並べて敷くことにした。
三人でさっさとサークルの中に入ってしまい、カーテンを閉められる。
私は自室に戻る気にもなれなくて、遥くんが出てくるのをひたすら待っていた。
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