ベビーシッター先でラブラブな家族生活はじまりました

波木真帆

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意識をさせるために…… 8

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遥くんが琳くんを連れて行き、浴室には私と碧斗だけになった。

「ぱぱー、あおとねー、りんくんのおようふくえらびたい!」

やっぱりそうか。そう言い出すだろうと思っていたが早かったな。

「そうか、わかった。じゃあ近いうちに連れて行こう」

「ちかいうちっていつー?」

「そうだな。琳くんの手が治ってからだな。そうでないと琳くんも思いっきり楽しめないだろう?」

私の言葉に碧斗は納得したようだ。
磯山と村山のあの提案も、受けるなら早く済ませたいところだがそれも琳くんの怪我が治ってからということにしておいた方がいいかもしれない。絶対に手出しさせるつもりはないが万が一の場合に怪我が理由で逃げ遅れるようなことがあってはならないからな。

「さて、そろそろ琳くんの着替えも終わっただろう。あのボタンを押して来てくれ」

碧斗を浴槽から出し、呼び出しボタンを押させた。碧斗を呼ぶ声が聞こえて扉を開けるとそこには遥くんだけがいた。
碧斗はあからさまにがっかりした様子を見せた。本当に琳くんが好きでたまらないらしい。

どうやら早く呼び出しすぎてしまったようで、琳くんの着替えが終わっていないようだ。

急がせすぎてしまったと反省して謝罪したのだが、遥くん曰くあのシャンプーとボディーソープの効果に感動していたら着替えが遅くなったのだそうだ。ああ、それならわかる。
今までのものでも十分子どもらしいもちもちの肌をしていた碧斗でさえ、あのボディーソープで洗った後はまるで新しい肌に作り変えられたような感触だった。

あれをすっかり気に入ってくれた遥くんは購入できる場所を聞いてきたが、あれは一般販売はしていないと言っていた。だが、もうあれ以外を使わせるつもりはない。なんせ、ここから帰す気など私にはさらさらないのだから。

「これからずっと使えるから心配しないでいい」

少し踏み込んで言ってみた言葉に遥くんが反応してくれそうになったが、それは琳くんの声にかき消されてしまった。
ちょっとタイミングが悪かったか。まぁいい。これからまだまだチャンスはある。

遥くんと碧斗を見送り、私は一人で洗い場の椅子に腰をかけた。

目を閉じれば、昨夜の遥くんの可愛らしい姿があっという間に甦る。そして今朝のあの可愛い胸も。

それだけで一気に昂ってしまった。誰にも知られないうちに欲望の蜜を三度も放ち、ようやく落ち着いてから髪と身体を洗い清めた。

このあとに遥くんが風呂に入る。私の蜜を流したこの浴室に……。
それを想像するだけでまた昂ってしまいそうになるのを必死に抑えて浴室を出た。

遥くんのためにあの店でこっそりと買っておいた入浴剤を湯に溶かし、着替えを済ませて脱衣所を出た。
あの入浴剤は湯に浸かるだけで肌を柔らかく敏感にする効果があるという。
そこにマッサージをしてやればきっと遥くんの可愛い姿を拝めるはずだ。

そんな邪な気持ちも持ちつつ、買ったばかりの遥くんとお揃いのパジャマ姿で遥くんの前に出た。
私を見る眼差しがほんのり意識してくれているように見える。

遥くんに風呂に入ってくるように促し、彼が脱衣所に入った瞬間、碧斗と琳くんとしっかりと打ち合わせをした。
と言っても相手は三歳の子ども二人。

二人には脱衣所から出てきた遥くんをこちらに呼び寄せてラグの上に座らせるという任務を与えた。
そして、二人の小さくちょうどいい力で肩叩きをしてあげるまでが司令だ。

こうしてゲームのように伝えると二人はすっかりやる気になっていた。

「はるかちゃん、まだかなー」

「みにいこうかー?」

そんな話をしていたけれど、それはしっかりと止めておいた。
そうして脱衣所の扉が開く、待ちに待った瞬間がやってきた。

脱衣所から濡れ髪をタオルで拭きつつやってきた遥くんの姿を見た瞬間、私の胸が大きく高鳴った。
湯にたっぷりと浸かってピンク色になった頬。
天使の輪が光り輝いている艶髪。
そして、色違いではあるが私とお揃いのパジャマ。
そのどれもが私を興奮させる。

あまりの可愛さに動けない私と違って碧斗と琳くんは遥くんの両手を引っ張り、ソファーを背もたれにしてラグの上に座らせた。そして、ソファーの上に座った碧斗と琳くんは肩叩きを始めた。

あの入浴剤で程よくほぐれ、敏感になっている肌には気持ちよくてたまらないはずだ。

「あのね、はるかちゃんをのんびりさせようさくせんなのー!」

「そう! さくせんなのー!!」

二人が嬉しそうに我々の秘密の作戦を伝えても、遥くんはもうすっかりマッサージの心地よさに落ちてしまっている。
力が抜けてしまっているのを見て、私は急いで彼が座る右隣に腰を下ろし、遥くんの手を握った。

突然私が手を握ったからだろう、驚きの声をあげていたが、私もマッサージだと言って彼の小さな手をほぐし始めた。
これでも私は医者の端くれ。痛みを与えることなく気持ちよくさせることはできる。

私の無骨な手とは全く違う遥くんの手のひらを親指で擦りながら、適度にマッサージをしていく。

「あぁっ! そこっ!」

気持ちよさそうな声が遥くんから漏れた。ああ、本当に可愛い。

両手を丹念にマッサージしたが、もっともっと気持ちよくさせたくて、そっと足の方に回ってみた。
私の膝に彼の足を乗せるとその小ささに驚く。

「あっ、んっ!」

足の裏やふくらはぎを優しくマッサージすると動かすたびに可愛い声が漏れ聞こえる。
人に触れられることに慣れていない感じがする。
ここに触れたのも私が初めてだろうか?

彼の足の感触に興奮しつつ、遥くんを見れば頭がゆらゆらと動いているのがわかる。
どうやら気持ちよくて眠くなったようだ。

「碧斗、琳くん。遥くんは二人のマッサージが気持ちよくて眠ったみたいだ。先に寝かせてやろう」

遥くんをさっと両腕に抱きかかえると二人がソファーで嬉しそうにジャンプする。

「わぁー! ほんとうにおひめさまになったー!!」

「おひめさまだぁー!」

二人は作戦がうまくいったと大喜びしている。
そうか、これはお姫さま抱っこというんだったな。

これならこれからも遥くんをお姫さま抱っこしても二人は喜んでくれそうだ。

そして、私は抱きかかえた遥くんの眠りを子どもたちの声で妨げないように、遥くんを私の自室にあるベッドに寝かせた。シーツもかけ布団のカバーも洗濯をしていないから私の匂いがするだろうが、どうか嫌がらないでほしい。
そんな願いを込めてベッドに寝かせると、なんとなく遥くんが笑顔を見せたように感じた。
きっと私の勘違いだろうが、それでも私は嬉しかった。

もちろん部屋から出る時、まだ片付けをしていなかったあのゴミ箱をこっそり持っていくことは忘れなかった。
さて、彼が目を覚ました時どんな反応をするだろう。今から楽しみだ。



   *   *   *


次回から遥視点に戻ります。
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