ベビーシッター先でラブラブな家族生活はじまりました

波木真帆

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どうしたらいい?

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碧斗くんと琳のために小さなお弁当を二つ作ったけれど、僕はなんだか食欲がない。
残ったご飯でおにぎりだけ作って、一緒にテラスに行った。

「わぁー! おいしそー!! あれ? はるかちゃんのおべんとーは?」

僕がおにぎりだけを持っていたからだろう。碧斗くんがすぐに見つけて声をかけてくれた。
その声に反応するように、琳がお弁当を差し出してくる。

「りんのたまごやき、はんぶんずっこするー?」

「あおとのからあげも、はんぶんあげるー!!」

もしかしたらおかずが足りないと思ったのかもしれない。
二人が心配そうに声をかけてくれた。

「大丈夫。このおにぎりにおかずが入ってるから。碧斗くんと琳はお弁当食べて」

「そうなのー? じゃあ、たべよー!!」

琳は素直に僕のいうことを信じて、お弁当を食べ始めた。
碧斗くんはちらっと僕をみたけれど、そのままお弁当に目を向けた。

二人とも優しいなー。
僕は一人で勝手に落ち込んだり、何しているんだろう……。
買い物リストを頼むときも間違えちゃったし、ああ、もう……っ。自分で自分が嫌になる。

なんとかおにぎりを一つ食べ切った時には碧斗くんと琳はお弁当をすっかり食べ終えていた。

すぐにお昼寝するかなと思ったけれど、二人は絵を描くのに真剣だ。
こんなに集中するなんて、一体何を描いているんだろう?

二人だけの秘密っぽいし、なんだか一人取り残された気分。それでも仕事だけは手を抜きたくない。
頭をスッキリさせるためにもキッチンをピカピカにして達成感に気持ちを浮上させた。そして今度は玄関の水拭きでもしようかと雑巾を手に玄関に向かった。お掃除ロボットくんが床は掃除してくれているから埃ひとつないけれど、水拭きはしたいと思っていた。
二人が絵に夢中になっている間にやってしまおうと膝をついたところで、突然ガチャリと玄関の鍵が開いた音が聞こえて顔を上げる。

えっ? なんで?

もしかして、泥棒? なわけないよね。マンションの下からここまでのものすごいセキュリティを突破できるわけがない。
でも、もし琳を奪いにきたあの男だったら? 

何をしでかすかわからないからって、西条さんも言っていたし。絶対にないとも限らない。
どうしよう、どうしたらいい?
頭の中が混乱し始めたのと同時に玄関がゆっくりと開いていく。

「わぁーっ!!」

なんとか中に入ってこないようにしたいけれど、あまりの恐怖に大声をあげることしかできない。

「わっ、遥くん? どうしたんだ?」

膝をついたまま動けなくなっていた僕に飛び込んできたのは西条さんの顔だった。

「えっ……」

茫然としていた僕に西条さんが駆け寄ってくる。

「えっ? どう、して……しご、仕事は?」

「大丈夫、落ち着いて」

混乱しまくっていた僕を落ち着かせるように優しい言葉で語り掛けられる。

「あの、さぃ……悠臣さん、どうしてここに?」

「仕事で近くまで寄ったから、おやつを持っていくってスマホに連絡したんだが。まだみてなかった?」

「えっ? す、まほ……?」

慌ててポケットに入れていたスマホを取り出すと、確かにメッセージが来ていた。

「すみません、掃除に夢中で気づかなかったみたいで……」

「いや、それだけ真剣にやってくれているということだろう。気にしないでいいよ。驚かせて悪かったね。もしかして泥棒と思った?」

申し訳なく思いつつも、僕は頷いた。
あれだけのセキュリティを突破できるんだ。西条さんだと思えば驚くこともなかったのに。
どうも今日の僕は全然頭が働いていない。

「美味しいケーキを買ってきたから、おやつにしよう」

「は、はい。あっ!」

優しい声をかけられて安心して立ちあがろうと思ったら、足に力が入らない。

「どうした?」

「すみません……腰が、抜けちゃったみたいで……」

勝手に泥棒だと勘違いした挙句、恐怖で腰を抜かすなんて間抜けすぎる。
恥ずかしすぎて顔を赤くしていると、西条さんは僕の前に跪いた。

えっ?

何事?

そう思った時には西条さんの腕に抱きかかえられていた。

「あ、あの……」

「動けないんだろう? リビングまで運ぶだけだから安心して。落としたりしないよ」

落とされるなんて思ってもないけれど、西条さんが近すぎてどこをみていいか困ってしまう。

抱きかかえられたままリビングに入ると、

「わぁー!! はるかちゃん、またおひめさまになってるー!!」

と楽しそうな声が響いた。
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