ベビーシッター先でラブラブな家族生活はじまりました

波木真帆

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温もりも匂いも

エンドロールが終わり、モニタールームにパッと電気が灯る。
一気に明るくなって、ささやかな膨らみがバレるんじゃないかとヒヤヒヤしたけれど、少し長い裾のおかげでそこが上手く隠れている気がする。よかった、こんなのがバレたらもう西条さんの隣にいられなかったよ。

電気がついてすぐに西条さんはソファーから立ち上がり、もふもふゾーンにいた子どもたちの元に向かったし、今のうちに鎮まってくれたら良い。

僕は落ち着くまでその場から離れず、もふもふゾーンに座り楽しそうに映画の感想を話している碧斗くんと琳、そして西条さんの様子を見つめていた。

「面白かったか?」

「りん、あのおっきなもふもふにぎゅーしたい!!」

「えーっ、それじゃあ、あおとはー、もふもふにぎゅーしたりんくんを、ぎゅーする!」

碧斗くんは、ラグに座っている琳にぎゅーっと抱きついた。

「えー、じゃありんもー! あおとくん、ぎゅーするー!!」

嬉しそうに抱きついて笑い合う二人を見て、僕も思わず笑ってしまう。
そのおかげか気づけば、さっきの刺激で勃ってしまっていた僕のささやかなモノは平常な状態に戻っていた。

あれはきっと西条さんがいたからあんなふうになったんじゃなくて、疲れていただけだったのかもしれない。
とはいえ、あの状態を見られるのは恥ずかしかったから、鎮まってくれてよかった。

ようやく立ち上がれる状態になってから僕も琳たちの元に向かった。

「あっ! はるかちゃんも、ぎゅーするからちっちゃくなってー!」

僕が来たのに気づくとすぐに琳がそんな要望を言ってくる。
言われた通りに、ラグに膝立ちになると、琳が真正面から抱きついてきた。

「あっ! あおとも、ぎゅーするー!」

琳の真似をして、碧斗くんも身体の半分は琳に抱きつくように僕に抱きついてきた。
ああ、もう! 二人が可愛すぎて困る。

すると、碧斗くんが西条さんに振り返っておいでおいでと手招きを始めた。

「ぱぱもー! はるかちゃんをぎゅーってしてー!」

えっ? パパもぎゅーって?
どういうこと?

「みんなでぎゅーだよー!」

僕が焦っている間に、西条さんは碧斗くんに誘われるがまま、西条さんも膝立ちになり碧斗くんと琳を腕の中に閉じ込めるような形で僕に真正面から抱きついてきた。途端に、さっき映画の途中で西条さんを抱きしめたあの感覚を思い出す。

西条さんの顔も近いし、温もりも匂いも感じてなんだか不思議な気分になってしまう。

「わぁー! くるしーっ」

碧斗くんの声に西条さんの身体が離れる。
琳と碧斗くん、それに西条さんの笑い声が聞こえるけれど、僕はみんなが一気に離れてしまってなんとなく寂しい気持ちを味わっていた。

「じゃあ、映画も終わったし家に帰ろうか」

西条さんの声掛けで、みんなでモニタールームを出る。

「りんくん。さっきのもふもふおえかきしよー!」

「うん! おえかきするー!! りん、あのちっちゃなもふもふ、かくねー!」

「じゃああおとはおっきなのかくー! あしいっぱいのねこは、いっしょにかこー!」

「うん、いいねー!」

碧斗くんと琳はすっかりあのもふもふたちが気に入ったみたいだ。
じゃあ、僕は子どもたちが絵を描いている間にお昼でも作ろうかな。

家に帰って手洗いを済ませると、琳たちはすぐにお絵描きを始めた。
すごく楽しそう。

そんな二人を見ながら、キッチンで食事の支度を始める僕のところに西条さんがきた。

「遥くん」

耳元に顔を寄せてきて小声で囁いてくる。西条さんの吐息が耳に当たってドキドキしてしまう。

「碧斗の誕生日プレゼントだが、さっきの映画を気に入っていたみたいだし、もふもふの大きなぬいぐるみでも買おうか。ほら、あのショッピングモールにお店もあっただろう?」

確かにあのモールにはあったな。
もふもふだけでなく、魔女と暮らす黒猫や、熱帯魚もいたはずだ。

「良いですね。それなら喜びそう!」

「じゃあ決まりだな」

嬉しそうな西条さんの笑顔に、ドキッとしてしまう自分がいた。

「どれくらいでご飯ができる?」

「え、えっと……三十分くらいあれば……」

「すごいな、三十分か。じゃあその間、少しだけメールチェックをしてくるよ。何か手伝うものがあったら遠慮なく声をかけてくれ」

西条さんはそう告げると自室に入って行った。

ああ……。
なんだか今日はずっとドキドキしっぱなしだ。
どうしてだろう?
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