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番外編
新入社員の心得
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「いいか? 明日から正式に安曇史希くんが社長専属秘書として業務に就く。この数ヶ月のシミュレーションをいかんなく発揮してくれ!!」
「はいっ!!!」
入社式を前に我が海堂コーポレーションの精鋭たちはやる気にみなぎっている。
それもそのはず。
海堂社長が史希くんと出社するようになって、会社の業績は鰻登り。
給料もボーナスも以前の倍、いや三倍は確実にもらっているだろう彼らにとって、史希くんを守ることがひいては会社のため、自分のためになるのだから、それは熱も入ると言うものだ。
史希くんが海堂社長と幸せに過ごしてくれればくれるだけ、我が社の株も上がる。
そう。この会社は史希くんによって回っていると言っても過言ではないのだ。
「野上くん、高崎くん。史希くんと同期として入社する君たちの働きは特に期待しているよ」
「はいっ! 史希のことならなんでもわかっていますので、どうぞお任せ下さい!」
「それは頼もしいが、その言葉は決して社長の前では言わないように。君たちの方が史希くんをわかっているように聞こえると、社長の嫉妬がうるさいからね」
「は、はい。承知しました」
史希くん警備隊に彼らが入ってくれたのは本当に心強い。
なんせ、幼い頃からずっと史希くんを守ってきてくれた彼らだ。
なんと言っても場数が違う。
彼らがいてくれるだけで、史希くんへの危機管理能力が高まるのだから言うことなしだ。
社長秘書として会社の立ち上げから海堂社長と一緒に始めた時には、まさかこんな仕事が増えるとは思っても見なかったが、意外と楽しんでいるのは、海堂社長の人間らしさを感じることができるからだろう。
史希くんに対しては見境なくどこでもいちゃついてしまうのも、昔の海堂社長なら絶対にありえないことだ。
恋にかまけて仕事がおざなりになっているのなら、文句の一つでも言うところだが、さっきも言ったように我が社の業績は鰻登り。
しかも、つい先日、これからの世界を担う10人の中に選ばれてもいるのだ。
史希くんといることが社長の原動力となるのならば、引き離す理由がない。
ピッタリくっついてもらってどんどん仕事をしてもらう方がいいに決まっているんだ。
ただ一つの懸念は、史希くんが可愛すぎて人目を惹きすぎるということだけ。
史希くんに手出しされたら、どんなに良い取引先でもその場で終了。
だが、今のところ史希くんに邪な思いで近づいた会社に良い相手がいた試しがない。
逆に史希くんがいい会社だと言えば、そことのつながりは強くなりそれが業績アップに繋がっている。
やはり史希くんには素晴らしい能力が備わっているのだろう。
万全を期して迎えた入社式。
史希くんは新入社員の列には並んでいない。
もうすでに最初から社長の隣だ。
ざわつく新入社員の後ろで、既存の社員たちは当然と言った表情で二人を見つめている。
社長は新入社員への挨拶と共に、最重要事項である史希くんの話を始めた。
「君たちがこの海堂コーポレーションの社員として長く務めたいならばこれから遵守すべきことがある。これから、新入社員のすべての者たちに一人一冊この会社でのルールブックを配布する。これを遵守し、仕事に勤しむことが出世への近道だ。このルールに従えないものは即刻この会社から去ってもらう。それくらいの覚悟でやってほしい。君たちがこの会社での生活が楽しく過ごせるかどうかは君たち次第だ。そのことを常に頭の中に入れて考えてくれ」
新入社員たちは最初こそ、わからない表情をしていたが、すぐにルールブックが配られると一気に表情を曇らせた。
いや、嬉しそうに微笑むものたちもいた。
おそらく社長と史希くんを応援してくれるものだろう。
彼ら、彼女らは出世も早そうだ。
また一人、史希くんの警備隊が増えるな。
本当に助かる。
「征輝さん、さっきのルールブックってなんですか? 僕にももらえるんですか?」
「ああ、あれか。あれは史希には必要ないんだ」
「えっ、でも僕も新入社員ですよ」
「あれは秘書以外の業務で必要なんだ。秘書である史希には私が手取り足取り大事な別のルールを教えてやる」
「ああ、そうなんですね。じゃあ、社長……いっぱい教えてください。僕を早く一人前の秘書にして……」
「くっ――!! 史希っ!!」
ああ、社長室のボタンが押されたか。
これから2時間は部屋には近づかない方がいいな。
それでも残りの業務時間で2日分の仕事をなんなくやってのけるのだから、本当に史希くんの効果はすごいものがある。
これからも我が海堂コーポレーションのために頑張ってもらわないとな。
頼むよ、史希くん。
「はいっ!!!」
入社式を前に我が海堂コーポレーションの精鋭たちはやる気にみなぎっている。
それもそのはず。
海堂社長が史希くんと出社するようになって、会社の業績は鰻登り。
給料もボーナスも以前の倍、いや三倍は確実にもらっているだろう彼らにとって、史希くんを守ることがひいては会社のため、自分のためになるのだから、それは熱も入ると言うものだ。
史希くんが海堂社長と幸せに過ごしてくれればくれるだけ、我が社の株も上がる。
そう。この会社は史希くんによって回っていると言っても過言ではないのだ。
「野上くん、高崎くん。史希くんと同期として入社する君たちの働きは特に期待しているよ」
「はいっ! 史希のことならなんでもわかっていますので、どうぞお任せ下さい!」
「それは頼もしいが、その言葉は決して社長の前では言わないように。君たちの方が史希くんをわかっているように聞こえると、社長の嫉妬がうるさいからね」
「は、はい。承知しました」
史希くん警備隊に彼らが入ってくれたのは本当に心強い。
なんせ、幼い頃からずっと史希くんを守ってきてくれた彼らだ。
なんと言っても場数が違う。
彼らがいてくれるだけで、史希くんへの危機管理能力が高まるのだから言うことなしだ。
社長秘書として会社の立ち上げから海堂社長と一緒に始めた時には、まさかこんな仕事が増えるとは思っても見なかったが、意外と楽しんでいるのは、海堂社長の人間らしさを感じることができるからだろう。
史希くんに対しては見境なくどこでもいちゃついてしまうのも、昔の海堂社長なら絶対にありえないことだ。
恋にかまけて仕事がおざなりになっているのなら、文句の一つでも言うところだが、さっきも言ったように我が社の業績は鰻登り。
しかも、つい先日、これからの世界を担う10人の中に選ばれてもいるのだ。
史希くんといることが社長の原動力となるのならば、引き離す理由がない。
ピッタリくっついてもらってどんどん仕事をしてもらう方がいいに決まっているんだ。
ただ一つの懸念は、史希くんが可愛すぎて人目を惹きすぎるということだけ。
史希くんに手出しされたら、どんなに良い取引先でもその場で終了。
だが、今のところ史希くんに邪な思いで近づいた会社に良い相手がいた試しがない。
逆に史希くんがいい会社だと言えば、そことのつながりは強くなりそれが業績アップに繋がっている。
やはり史希くんには素晴らしい能力が備わっているのだろう。
万全を期して迎えた入社式。
史希くんは新入社員の列には並んでいない。
もうすでに最初から社長の隣だ。
ざわつく新入社員の後ろで、既存の社員たちは当然と言った表情で二人を見つめている。
社長は新入社員への挨拶と共に、最重要事項である史希くんの話を始めた。
「君たちがこの海堂コーポレーションの社員として長く務めたいならばこれから遵守すべきことがある。これから、新入社員のすべての者たちに一人一冊この会社でのルールブックを配布する。これを遵守し、仕事に勤しむことが出世への近道だ。このルールに従えないものは即刻この会社から去ってもらう。それくらいの覚悟でやってほしい。君たちがこの会社での生活が楽しく過ごせるかどうかは君たち次第だ。そのことを常に頭の中に入れて考えてくれ」
新入社員たちは最初こそ、わからない表情をしていたが、すぐにルールブックが配られると一気に表情を曇らせた。
いや、嬉しそうに微笑むものたちもいた。
おそらく社長と史希くんを応援してくれるものだろう。
彼ら、彼女らは出世も早そうだ。
また一人、史希くんの警備隊が増えるな。
本当に助かる。
「征輝さん、さっきのルールブックってなんですか? 僕にももらえるんですか?」
「ああ、あれか。あれは史希には必要ないんだ」
「えっ、でも僕も新入社員ですよ」
「あれは秘書以外の業務で必要なんだ。秘書である史希には私が手取り足取り大事な別のルールを教えてやる」
「ああ、そうなんですね。じゃあ、社長……いっぱい教えてください。僕を早く一人前の秘書にして……」
「くっ――!! 史希っ!!」
ああ、社長室のボタンが押されたか。
これから2時間は部屋には近づかない方がいいな。
それでも残りの業務時間で2日分の仕事をなんなくやってのけるのだから、本当に史希くんの効果はすごいものがある。
これからも我が海堂コーポレーションのために頑張ってもらわないとな。
頼むよ、史希くん。
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