歩けなくなったお荷物な僕がセレブなイケメン社長に甘々なお世話されています

波木真帆

文字の大きさ
140 / 311

嬉しい繋がり

しおりを挟む
「一花くんの席はここだよ」

そう案内された席は周りの席とは違って、ふわふわのクッションや座布団が置かれている。

「僕のためにわざわざ……すみません」

「いや、楽しく過ごしてもらいたくてやっただけだから気にしないで」

その優しさがとても嬉しい。

「一花、座らせてもらおうか。浅香さん、ありがとうございます」

征哉さんはそういうと、そっと僕をその椅子に下ろしてくれた。

「どうだ?」

「はい。とっても座り心地いいです」

「それならよかった。私はあっちで蓮見さんとコーヒーでも飲んでいるから、ゆっくり過ごすといい」

「はい。ありがとうございます」

征哉さんが離れていくのは少し心細くなってしまったけれど、すぐ近くに浅香さんがいてくれるからホッとする。

「今日のスイーツと飲み物はもう用意してあるから、待っててね」

「はい。すごく楽しみです」

こんな素敵な場所で浅香さんと一緒に食べておしゃべりができるだけで幸せなのに、一体何が食べられるんだろう。
なんだかドキドキする。

「お待たせいたしました」

運ばれてきたのはいろんな種類のお菓子が乗せられた大きなお皿。
メロンだけじゃなくて、苺とかバナナとかもある。
もちろんプリンも!
僕が前に好きだって話したのを覚えていてくれたのかな?

「わぁー、すごい! おいしそう!!」

あまりにも綺麗で美味しそうでびっくりしてしまう。

「ふふっ。うちのパティシエと話をしたら、ぜひ一花くんにはいろんなものを食べて欲しいって言ってね、一口サイズで特別に作ってくれたんだよ。その中で気に入ったものがあれば、おかわりもできるからね」

「そんな……いいんですか?」

「ああ、一花くんに楽しんでもらいたいんだ。それにね、一花くんのおかげで私もお揃いのものを用意してもらえたんだ。こんなにたくさんの種類を食べられるなんて幸せだね」

浅香さんがニコニコと笑ってる。
僕はそれだけですごく幸せになれたんだ。

ドキドキしながら、目の前のお皿から一つ選んで食べてみる。

「んんっ! おいひぃ!!」

「――っ、可愛いな」

「浅香さんも食べてみてください。すっごく美味しいですよ」

「ああ、んっ! 美味しいね」

美味しいものを共有できるって、やっぱり嬉しい。

<side征哉>

「一花が今日のこの日を楽しみにしていて、少し嫉妬してしまいましたよ」

「ははっ。君もまだまだ若いな。でも気持ちがよくわかるよ」

「浅香さんとはもう長いんですか?」

「そうだな。付き合ってからはまだそこまで時間は経っていないが、敬介のことを知ってからもう十五年以上にはなるかな」

「十五年? 一花が十八ですからほぼ同じだけの時を過ごされてきて、お付き合いされてそこまで時間が経っていないということは、かなり長く思われていたんですか?」

「ああ、そうだな。そう考えると長い年月だ。だが、敬介と過ごすようになってからはあっという間だよ」

そう言って、蓮見さんは離れた場所に座る浅香さんを愛おしそうに見つめる。

こんなにも愛し合っている彼らの間を十五年も阻んできたのはなんだったのか想像もつかないが、一つ言えることは私が経験しているよりもずっとずっと耐えてきたということだろう。

一花を前にして、手を出せないでいる私のように。

なんだか少し同志のような気持ちになる。
私もいつか、蓮見さんと浅香さんのように慣れるようにその時を待ち続けるだけだ。

「あの映像は気に入ってくれたのだろう?」

「ええ、それはもちろん」

「実は、あれと同じものを自宅にも取り付けられるのだが、もし必要なら言ってくれ。頼んでおこう」

「えっ? あれを自宅に?」

まさかのことに驚きしかないが、もしあれを本当に自宅に取り付けられるなら最高だ。
来るべき一花との夜のために、私の寝室と風呂場につけておくのもいいかもしれない。

「ああ、あれは設定したらリアルタイムで映像を飛ばすこともできるらしい。だから、離れた場所にいても何をしているのかいつでもみられる」

「それはいいですね。今でも一応取り付けているのですが、あれほど高性能ではないので別のものを考えていたところだったんです」

あれなら、今よりも死角がない映像を会社にいても確認できる。
それは素晴らしい。

「なら、ちょうどいい。実は、あれを開発しているのが敬介の友人でね。彼の手がけるものは全て素晴らしいんだよ」

「浅香さんのご友人……もしかして、倉橋社長ですか?」

「ああ、やっぱり知っているか。そうだ、彼だよ。彼はきっと君の求めるものをたくさん紹介してくれると思うから、私が間に入るより、直接やりとりしても構わないよ」

大学時代、二学年上だった彼は、同じ経済学部に在籍していた浅香さんと蓮見さんの弟である涼平さんと共に学内ではかなり有名な存在だった。
当時医学部に在籍していた私にも彼の噂話が届くほどだったから、かなりのものだ。
大学在籍中から巨万の富を得ているという話がまことしやかに流れていたが、おそらくあの噂は本物だっただろう。

貴船コンツェルンの次期当主として将来が子どもの時から決まっていた私にとっては、自らの力で未来を切り開いていく彼の姿は雲の上の存在のように見えていた。

その彼ととうとう繋がりを持つことができる。
こんなにも嬉しいことはない。

「ぜひ、お願いします。私の連絡先を伝えていただいて構いませんから」

「ああ、わかった。じゃあ、そう話しておこう」

思いがけない話に胸が高鳴っていた時、

「あれ? 貴船さんじゃないですか」

と声をかけてくる人物がいた。
しおりを挟む
感想 545

あなたにおすすめの小説

若頭の溺愛は、今日も平常運転です

なの
BL
『ヤクザの恋は重すぎて甘すぎる』続編! 過保護すぎる若頭・鷹臣との同棲生活にツッコミが追いつかない毎日を送る幼なじみの相良悠真。 ホットミルクに外出禁止、舎弟たちのニヤニヤ見守り付き(?)ラブコメ生活はいつだって騒がしく、でもどこかあったかい。 だけどそんな日常の中で、鷹臣の覚悟に触れ、悠真は気づく。 ……俺も、ちゃんと応えたい。 笑って泣けて、めいっぱい甘い! 騒がしくて幸せすぎる、ヤクザとツッコミ男子の結婚一直線ラブストーリー! ※前作『ヤクザの恋は重すぎて甘すぎる』を読んでからの方が、より深く楽しめます。

借金のカタに同居したら、毎日甘く溺愛されてます

なの
BL
父親の残した借金を背負い、掛け持ちバイトで食いつなぐ毎日。 そんな俺の前に現れたのは──御曹司の男。 「借金は俺が肩代わりする。その代わり、今日からお前は俺のものだ」 脅すように言ってきたくせに、実際はやたらと優しいし、甘すぎる……! 高級スイーツを買ってきたり、風邪をひけば看病してくれたり、これって本当に借金返済のはずだったよな!? 借金から始まる強制同居は、いつしか恋へと変わっていく──。 冷酷な御曹司 × 借金持ち庶民の同居生活は、溺愛だらけで逃げ場なし!? 短編小説です。サクッと読んでいただけると嬉しいです。

苦手な冷徹専務が義兄になったかと思ったら極あま顔で迫ってくるんですが、なんででしょう?~偽家族恋愛~

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「こちら、再婚相手の息子の仁さん」 母に紹介され、なにかの間違いだと思った。 だってそこにいたのは、私が敵視している専務だったから。 それだけでもかなりな不安案件なのに。 私の住んでいるマンションに下着泥が出た話題から、さらに。 「そうだ、仁のマンションに引っ越せばいい」 なーんて義父になる人が言い出して。 結局、反対できないまま専務と同居する羽目に。 前途多難な同居生活。 相変わらず専務はなに考えているかわからない。 ……かと思えば。 「兄妹ならするだろ、これくらい」 当たり前のように落とされる、額へのキス。 いったい、どうなってんのー!? 三ツ森涼夏  24歳 大手菓子メーカー『おろち製菓』営業戦略部勤務 背が低く、振り返ったら忘れられるくらい、特徴のない顔がコンプレックス。 小1の時に両親が離婚して以来、母親を支えてきた頑張り屋さん。 たまにその頑張りが空回りすることも? 恋愛、苦手というより、嫌い。 淋しい、をちゃんと言えずにきた人。 × 八雲仁 30歳 大手菓子メーカー『おろち製菓』専務 背が高く、眼鏡のイケメン。 ただし、いつも無表情。 集中すると周りが見えなくなる。 そのことで周囲には誤解を与えがちだが、弁明する気はない。 小さい頃に母親が他界し、それ以来、ひとりで淋しさを抱えてきた人。 ふたりはちゃんと義兄妹になれるのか、それとも……!? ***** 千里専務のその後→『絶対零度の、ハーフ御曹司の愛ブルーの瞳をゲーヲタの私に溶かせとか言っています?……』 ***** 表紙画像 湯弐様 pixiv ID3989101

同性愛者であると言った兄の為(?)の家族会議

海林檎
BL
兄が同性愛者だと家族の前でカミングアウトした。 家族会議の内容がおかしい

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

αからΩになった俺が幸せを掴むまで

なの
BL
柴田海、本名大嶋海里、21歳、今はオメガ、職業……オメガの出張風俗店勤務。 10年前、父が亡くなって新しいお義父さんと義兄貴ができた。 義兄貴は俺に優しくて、俺は大好きだった。 アルファと言われていた俺だったがある日熱を出してしまった。 義兄貴に看病されるうちにヒートのような症状が… 義兄貴と一線を超えてしまって逃げ出した。そんな海里は生きていくためにオメガの出張風俗店で働くようになった。 そんな海里が本当の幸せを掴むまで…

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 毎日19時に更新予定です。

病弱の花

雨水林檎
BL
痩せた身体の病弱な青年遠野空音は資産家の男、藤篠清月に望まれて単身東京に向かうことになる。清月は彼をぜひ跡継ぎにしたいのだと言う。明らかに怪しい話に乗ったのは空音が引き取られた遠縁の家に住んでいたからだった。できそこないとも言えるほど、寝込んでばかりいる空音を彼らは厄介払いしたのだ。そして空音は清月の家で同居生活を始めることになる。そんな空音の願いは一つ、誰よりも痩せていることだった。誰もが眉をひそめるようなそんな願いを、清月は何故か肯定する……。

処理中です...