151 / 310
ご機嫌な音
しおりを挟む
すみません。予約時間間違えてました(汗)
* * *
<side一花>
あの素敵なアプリのおかげで、昼間征哉さんがいない時間も征哉さんの声が聞けるようになった。
僕の場合は、征哉さんが仕事に出かけて帰ってくるまでの予定が決まっているから、アラームを設定するのもすごく楽だ。
予定の始まりと終わりには征哉さんの声が聞こえる。
しかも、白衣姿の征哉さんがみられるなんて!
なんて素敵なアプリなんだろう。
夕食までの間に、明日からのアラームをセットしていく。
征哉さんと未知子お母さんがスマホの使い方を教えてくれたおかげでだいぶ使いこなせるようになってきた。
あっという間にアラームをセットし終わると、あとはその時間が来るのが楽しみでたまらない。
ウキウキしながら、顔を上げると視線の先にグリのケージが見える。
「あっ、そうだ」
「んっ? 一花。どうした?」
「あっ、ごめんなさい。今日のグリの写真を撮るのを忘れてたなと思い出して声が出ちゃいました」
「ああ、そうか。じゃあ、私が連れて行こう」
征哉さんはスマホを置いて、僕を抱きあげてグリのサークルの中に座らせてくれた。
近くに置いていたグリの好きな牧草を振りながら
「グリーっ」
と声をかけると、嬉しそうに僕のところに駆けてきた。
「ふふっ。可愛い」
小さな口を一生懸命動かして食べているグリの背中を撫でながら、
「ねぇ。グリ聞いて。あのね、今日お出かけしたんだ。新しいお友達が増えたんだよ。佳史さんって言ってね、この前僕を診察に来てくれたあの先生の恋人さんなんだ。美味しそうにデザートを食べる人で、浅香さんと同じくらい優しい目をしてたよ。それでね、佳史さんとおしゃべりしながら思ったんだ。いつか、浅香さんも敬介さんって呼べるようになったらいいなって。でも、僕から呼んでいいですかって聞くのはドキドキするよ。グリ……なんて言ってお願いしたらいいかなぁ?」
といつものようにグリに話しかけていると、
ーふふっ。名前で呼んでくれたら嬉しいよ
と突然浅香さんの声が聞こえてきた。
「えっ?」
びっくりして声の聞こえた先を見ると、征哉さんがスマホを僕に向けているのが見えた。
「征哉さん、それ……」
「一花をそこに座らせて戻ってきたらちょうど浅香さんから電話が来ていたんだ。ビデオ通話だったから、一花とグリが戯れる姿を見てもらっていたんだよ」
「えっ……じゃあ、さっきの独り言聞かれてたんですか?」
うわー、恥ずかしい。一気に顔が赤くなっていくのがわかる。
ーふふっ。ごめんね。可愛くて盗み聞きしてしまったよ。
「あっ、いえ。僕が勝手に喋ってたので浅香さんが悪いわけではないです……恥ずかしいですけど」
「一花。せっかくだから自分からもう一度頼んでごらん」
そう言いながら、征哉さんが僕の元にスマホを持ってきてくれた。
スマホを手渡され、画面を見てみると画面越しでもすごく優しい表情をしている浅香さんの姿と、すぐ後ろに蓮見さんの姿も見える。
その姿がものすごく幸せそうに見えて、自然と笑顔が漏れた。
「一花くん」
手を振ってくれる浅香さんに、僕も手を振って応えると浅香さんが笑ってくれる。
ああ、本当に優しい人だ。
「あの、僕……今日、すごく楽しくて……それで、これからもずっと仲良くして欲しくて……だから、浅香さんのこと、名前で呼ばせてもらっても、いいですか?」
「ふふっ。もちろんだよ。名前の方が距離が縮まった感じがして嬉しいね。実は、今日……有原くんを羨ましいと思っていたんだ」
「えっ? 羨ましいってどうしてですか?」
「最初から一花くんに名前で呼ばれただろう? あの時、私も名前で呼んでほしいって頼みたかったんだ。だから。一花くんの方から言ってくれて嬉しいよ」
「あさ、敬介さん……」
「ふふ。やっぱり名前で呼ばれる方がいいね」
そう言ってくれた敬介さんは、本当に嬉しそうに見えた。
きっと僕はそれ以上に嬉しい表情を見せていたに違いない。
「わっ、グリっ!」
敬介さんと画面越しに見つめあっていると、スマホが気になったのか突然グリが僕の胸に飛び込んできて、ふんふんと鼻をスマホ画面に擦り付け始めた。
もしかしたら、久しぶりにみる敬介さんの姿に懐かしさを覚えたのかもしれない。
よっほど嬉しいのか、ブウブウと鼻を鳴らしている。
最初はこの鳴き声にびっくりしたけれど、ウサギさんは機嫌がいい時に鼻を鳴らすと敬介さんに教えてもらったんだ。
いつも以上にご機嫌に見えるから、やっぱり敬介さんの顔が見えてグリも嬉しいんだろうな。
ー敬介さんの姿が見えて、グリがすごく喜んでます。あの、これから時々こうやって顔を見ておしゃべりしてもいいですか?
ーああ、もちろんだよ。時間がある時はぜひやろうね。
ーはい。グリ、良かったね。また敬介さんの顔が見れるよ。
グリは僕の言葉を理解したように、ずっとブウブウと鼻を鳴らしていた。
* * *
<side一花>
あの素敵なアプリのおかげで、昼間征哉さんがいない時間も征哉さんの声が聞けるようになった。
僕の場合は、征哉さんが仕事に出かけて帰ってくるまでの予定が決まっているから、アラームを設定するのもすごく楽だ。
予定の始まりと終わりには征哉さんの声が聞こえる。
しかも、白衣姿の征哉さんがみられるなんて!
なんて素敵なアプリなんだろう。
夕食までの間に、明日からのアラームをセットしていく。
征哉さんと未知子お母さんがスマホの使い方を教えてくれたおかげでだいぶ使いこなせるようになってきた。
あっという間にアラームをセットし終わると、あとはその時間が来るのが楽しみでたまらない。
ウキウキしながら、顔を上げると視線の先にグリのケージが見える。
「あっ、そうだ」
「んっ? 一花。どうした?」
「あっ、ごめんなさい。今日のグリの写真を撮るのを忘れてたなと思い出して声が出ちゃいました」
「ああ、そうか。じゃあ、私が連れて行こう」
征哉さんはスマホを置いて、僕を抱きあげてグリのサークルの中に座らせてくれた。
近くに置いていたグリの好きな牧草を振りながら
「グリーっ」
と声をかけると、嬉しそうに僕のところに駆けてきた。
「ふふっ。可愛い」
小さな口を一生懸命動かして食べているグリの背中を撫でながら、
「ねぇ。グリ聞いて。あのね、今日お出かけしたんだ。新しいお友達が増えたんだよ。佳史さんって言ってね、この前僕を診察に来てくれたあの先生の恋人さんなんだ。美味しそうにデザートを食べる人で、浅香さんと同じくらい優しい目をしてたよ。それでね、佳史さんとおしゃべりしながら思ったんだ。いつか、浅香さんも敬介さんって呼べるようになったらいいなって。でも、僕から呼んでいいですかって聞くのはドキドキするよ。グリ……なんて言ってお願いしたらいいかなぁ?」
といつものようにグリに話しかけていると、
ーふふっ。名前で呼んでくれたら嬉しいよ
と突然浅香さんの声が聞こえてきた。
「えっ?」
びっくりして声の聞こえた先を見ると、征哉さんがスマホを僕に向けているのが見えた。
「征哉さん、それ……」
「一花をそこに座らせて戻ってきたらちょうど浅香さんから電話が来ていたんだ。ビデオ通話だったから、一花とグリが戯れる姿を見てもらっていたんだよ」
「えっ……じゃあ、さっきの独り言聞かれてたんですか?」
うわー、恥ずかしい。一気に顔が赤くなっていくのがわかる。
ーふふっ。ごめんね。可愛くて盗み聞きしてしまったよ。
「あっ、いえ。僕が勝手に喋ってたので浅香さんが悪いわけではないです……恥ずかしいですけど」
「一花。せっかくだから自分からもう一度頼んでごらん」
そう言いながら、征哉さんが僕の元にスマホを持ってきてくれた。
スマホを手渡され、画面を見てみると画面越しでもすごく優しい表情をしている浅香さんの姿と、すぐ後ろに蓮見さんの姿も見える。
その姿がものすごく幸せそうに見えて、自然と笑顔が漏れた。
「一花くん」
手を振ってくれる浅香さんに、僕も手を振って応えると浅香さんが笑ってくれる。
ああ、本当に優しい人だ。
「あの、僕……今日、すごく楽しくて……それで、これからもずっと仲良くして欲しくて……だから、浅香さんのこと、名前で呼ばせてもらっても、いいですか?」
「ふふっ。もちろんだよ。名前の方が距離が縮まった感じがして嬉しいね。実は、今日……有原くんを羨ましいと思っていたんだ」
「えっ? 羨ましいってどうしてですか?」
「最初から一花くんに名前で呼ばれただろう? あの時、私も名前で呼んでほしいって頼みたかったんだ。だから。一花くんの方から言ってくれて嬉しいよ」
「あさ、敬介さん……」
「ふふ。やっぱり名前で呼ばれる方がいいね」
そう言ってくれた敬介さんは、本当に嬉しそうに見えた。
きっと僕はそれ以上に嬉しい表情を見せていたに違いない。
「わっ、グリっ!」
敬介さんと画面越しに見つめあっていると、スマホが気になったのか突然グリが僕の胸に飛び込んできて、ふんふんと鼻をスマホ画面に擦り付け始めた。
もしかしたら、久しぶりにみる敬介さんの姿に懐かしさを覚えたのかもしれない。
よっほど嬉しいのか、ブウブウと鼻を鳴らしている。
最初はこの鳴き声にびっくりしたけれど、ウサギさんは機嫌がいい時に鼻を鳴らすと敬介さんに教えてもらったんだ。
いつも以上にご機嫌に見えるから、やっぱり敬介さんの顔が見えてグリも嬉しいんだろうな。
ー敬介さんの姿が見えて、グリがすごく喜んでます。あの、これから時々こうやって顔を見ておしゃべりしてもいいですか?
ーああ、もちろんだよ。時間がある時はぜひやろうね。
ーはい。グリ、良かったね。また敬介さんの顔が見れるよ。
グリは僕の言葉を理解したように、ずっとブウブウと鼻を鳴らしていた。
853
あなたにおすすめの小説
借金のカタに同居したら、毎日甘く溺愛されてます
なの
BL
父親の残した借金を背負い、掛け持ちバイトで食いつなぐ毎日。
そんな俺の前に現れたのは──御曹司の男。
「借金は俺が肩代わりする。その代わり、今日からお前は俺のものだ」
脅すように言ってきたくせに、実際はやたらと優しいし、甘すぎる……!
高級スイーツを買ってきたり、風邪をひけば看病してくれたり、これって本当に借金返済のはずだったよな!?
借金から始まる強制同居は、いつしか恋へと変わっていく──。
冷酷な御曹司 × 借金持ち庶民の同居生活は、溺愛だらけで逃げ場なし!?
短編小説です。サクッと読んでいただけると嬉しいです。
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新!
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新!
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
そばかす糸目はのんびりしたい
楢山幕府
BL
由緒ある名家の末っ子として生まれたユージン。
母親が後妻で、眉目秀麗な直系の遺伝を受け継がなかったことから、一族からは空気として扱われていた。
ただ一人、溺愛してくる老いた父親を除いて。
ユージンは、のんびりするのが好きだった。
いつでも、のんびりしたいと思っている。
でも何故か忙しい。
ひとたび出張へ出れば、冒険者に囲まれる始末。
いつになったら、のんびりできるのか。もう開き直って、のんびりしていいのか。
果たして、そばかす糸目はのんびりできるのか。
懐かれ体質が好きな方向けです。
月弥総合病院
御月様(旧名 僕君☽☽︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
若頭の溺愛は、今日も平常運転です
なの
BL
『ヤクザの恋は重すぎて甘すぎる』続編!
過保護すぎる若頭・鷹臣との同棲生活にツッコミが追いつかない毎日を送る幼なじみの相良悠真。
ホットミルクに外出禁止、舎弟たちのニヤニヤ見守り付き(?)ラブコメ生活はいつだって騒がしく、でもどこかあったかい。
だけどそんな日常の中で、鷹臣の覚悟に触れ、悠真は気づく。
……俺も、ちゃんと応えたい。
笑って泣けて、めいっぱい甘い!
騒がしくて幸せすぎる、ヤクザとツッコミ男子の結婚一直線ラブストーリー!
※前作『ヤクザの恋は重すぎて甘すぎる』を読んでからの方が、より深く楽しめます。
身代わりにされた少年は、冷徹騎士に溺愛される
秋津むぎ
BL
第13回BL大賞奨励賞頂きました!
応援ありがとうございます!
魔力がなく、義母達に疎まれながらも必死に生きる少年アシェ。
ある日、義兄が騎士団長ヴァルドの徽章を盗んだ罪をアシェに押し付け、身代わりにされてしまう。
死を覚悟した彼の姿を見て、冷徹な騎士ヴァルドは――?
傷ついた少年と騎士の、温かい溺愛物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる