歩けなくなったお荷物な僕がセレブなイケメン社長に甘々なお世話されています

波木真帆

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ワクワクが止まらない

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<side櫻葉一眞>

一花が我が家に泊まりに来る!
こうしてはいられない。
万全の準備を整えておかなくては!


「二階堂!」

「はい。旦那さま、何かございましたか?」

「一花が土曜日に泊まりに来る」

「――っ、それはそれは……ようございました。こんなにも早く実現するとは……」

涙を流して喜ぶ二階堂を見ていると、私も涙が潤んでくる。
一花が攫われ、麻友子を失い、生きる気力を無くしてしまった私のそばで、いつも支えてくれていたからな。
私がこんなにも長い間、一花を探し続けていられたのは二階堂のおかげと言っても過言ではない。
たった一人なら、もう諦めてしまっていたかもしれないのだから。

「ああ、本当にな。征哉くんには感謝だな。そして、お前にも」

「私、ですか?」

「ああ。先日、一花が我が家に来た時に喜んでくれただろう? そして、一花のためにいろいろと動いてくれた。征哉くんもそれを見ていたから、一花を泊まらせても大丈夫だと思ってくれたのだと思う。二階堂、ありがとう」

「そんな……っ、私は旦那さまと一花さまのために私ができることを致したまでです」

「それでも私は嬉しかったんだ。今度は一花の泊まりだ。前回以上に頼むぞ」

「はい。この二階堂にお任せください!」

そう言って、胸に手を当てる二階堂が実に心強かった。

一花と征哉くんが泊まりにくるその日まで、我が家はバタバタと忙しかったが、みんな表情は和らいでいるように見えた。
きっとその日が楽しみで仕方がないのだろう。

一花と征哉くんと三人で川の字になって眠れるようにと用意した布団は、まだ完治していない一花でも痛みを感じることのないように特注のものを用意している。
もちろん、寝る時以外で一花が疲れたらすぐに休めるように一花の部屋に最高のベッドを用意している。

そう、我が家には一花が生まれる前から一花の部屋がある。
そこには生まれる前から買い揃えた一花への贈り物がたっぷりと並べられている。
二階堂がこの18年、毎日毎日欠かさずに掃除をしてくれていたおかげで、この部屋はいつ来ても泊まれるようになっている。
ベッドは一花と再会して、怪我をしていると知ってから買い替えたものだ。

先日はこの部屋を案内する時間がなかったから、今度はたっぷりとこの部屋で寛いでもらおう。

私は久しぶりに一花の部屋に足を踏み入れた。
棚の上に置いていた懐かしい木のおもちゃを手に取ると、あの日の会話が甦ってくる。

――麻友子、一花のおもちゃを見つけたんだ。

――ふふっ。一眞さんったら、気が早いですよ。それは三つくらいにならないと遊べませんよ。

――何を言ってるんだ。子どもの成長はあっという間だぞ。それに一花なら、すぐに遊ぶようになるさ。なんと言っても私たちの子どもなのだからな。

――そうですね、一花はきっと一眞さんに似た手先の器用な賢い子になりますね。

――いや、きっと麻友子によく似た優しくて可愛い子になるぞ。なぁ、一花。

そう言って、麻友子の大きなお腹を撫でると、中からポコンと反応がかえってきたんだったな。
あの日の私たちは本当に幸せだったんだ。

麻友子……やっと一花にこの部屋を使ってもらえるぞ。

私の心の言葉に、思い出の麻友子が嬉しそうに笑った気がした。


<side一花>

「一花、明日一花の実家に泊まりに行くぞ」

「えっ……僕の、実家って……お父さんの家?」

「ああ、あの家は一花の家でもあるって言われただろう? 一花が泊まりに行く準備もできたから行こうと思ったんだがどうだ?」

初めてお父さんと麻友子お母さんの家に行った日から、いつか泊まりに行きたいと思っていたけれど、こんなにも早くお泊まりできるなんて思ってもなかったから、驚きすぎて声が上擦ってしまった。

「い、行きたいです!! わぁー、嬉しいっ!!」

「ふふっ。よかった。櫻葉さんも喜ぶよ」

「あ、あの……」

「どうした?」

「征哉さんは、一緒ですか?」

それだけが心配だった。
だって、この家に引き取られてから征哉さんと離れたことがなかったから。
お父さんの家に行けるのは嬉しいけれどそこが不安だったんだ。

「もちろん。私が一花と離れるわけがないだろう」

当然とでも言うようなその言葉に安心感と幸福感が一気に満ち溢れてくる。

「征哉さん……っ、嬉しいっ!! お泊まりがさらに楽しみになりました」

「そうか、それならよかった。明日はたっぷり櫻葉さん、いや……お義父とうさんに甘えるといい」

「はい!」

また、お父さんと、そして、あの二階堂さんと一緒の時間を過ごせるんだと思ったら、僕の心のワクワクが止まらなかった。
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