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番外編
私のことだけを……
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志摩くんがいない間も万全な状態にしていてくれていたから特段困ったことはなかったが、やはり本人がいるのといないのとでは進み方が異なる。志摩くんがいてくれるだけでこうもスムーズにことが進むのかと驚くほどだ。
心なしか社員たちも、志摩くんがいるだけでピリッとした良い緊張感に包まれる。
会社をまとめる風紀委員のような、そんな存在の志摩くんがいてくれることは我が社のためにも重要なことなのだろう。
志摩くんにはこれからもずっといてもらわないといけないな。
「さて、志摩くん。そろそろ帰るとしよう。愛しい姫たちが私たちの帰りを待ってくれているだろう」
私も志摩くんも結婚したての新婚なのだから、早く帰って愛夫との甘い時間を過ごしたい。その気持ちは志摩くんも同じだったようだ。
なんせ、彼はこの一週間ずっと二人っきりの時間を過ごしていたのだから、会えない時間がさそもどかしかったに違いない。
「会長からお声掛けくださり嬉しいです。ではすぐに帰りましょう!」
やはりこの瞬間を待ち侘びていたようだな。
これまでの志摩くんとはやはり少し違う。
結婚すると、こうも変わるのか。
結婚証明書は心にも大きく影響を与えるのかもしれないな。
あっという間に我が家に着き、玄関チャイムを鳴らしたが出てきたのは牧田一人。
てっきり一花と谷垣くんが揃って私たちを出迎えてくれると期待していただけに少々がっかりしてしまったが、久しぶりの再会で話に夢中になって私たちが帰ってきたことにも気づいていないという可能性もある。
それに、もしかしたら、二人とも話し疲れて昼寝をしているという可能性だってある。
私も志摩くんも出迎えがないからと言って怒る気持ちは毛頭ないし、私たちから会いにいけばいいんだ。
「一花たちはどうしている? 部屋にいるか?」
「お部屋で奥さまもご一緒にお過ごしでございます」
やはり話に夢中になっているというのが正解なようだ。
谷垣くんの海外での結婚式や新婚旅行の話を母と一花の二人して質問攻めにしているのかもしれないな。
シャイな谷垣くんが顔を真っ赤にしながら尋ねられるままに話をしている姿が目に浮かぶようだ。
志摩くんが何も話さない分、私は一花から話を聞くことになりそうだな。
そんなことを考えながら、志摩くんと一緒に一花たちがいる部屋に向かった。
突然入っていくような無粋な真似はしたくない。
きちんと扉をノックして声をかけると、扉を開けたのは母だった。
「あら、今日はやけに早かったのね」
「志摩くんがいたから仕事が捗ったんだよ。一花は起きてるか?」
「ええ、尚孝くんと二人で、志摩くんが帰ってくるのを今か今かと楽しみに待っていたわ」
「えっ? それはどういうことだ?」
谷垣くんが志摩くんの帰りを待っているのはわかる。
だが一花までどうして?
一花は私の帰りを楽しみに待ってくれていると思っていたのに……。
もしかしたら谷垣くんから聞いた旅行中の話で志摩くんに確認したいことがあるのかもしれないが、そんな理由だったとしてもやはり一花にはいつだって私のことだけを待っていてほしい。
「さぁ、どうしてかしら? 自分の目で確かめてみたらいいわ」
母は私の気持ちをわかっているはずなのに揶揄い気味に笑って私と志摩くんを部屋の中に招き入れた。
一花が待っていると聞いたからだろう。
志摩くんも少し困惑した様子で一緒に中に入ると、ベッドで身体を起こして座っている一花のすぐ近くに置かれた椅子に座っている谷垣くんが見えた。
この上ない笑顔を見せた一花の横で谷垣くんは少し頬を赤らめながらこちらをみた。
「征哉さん、おかえりなさい!」
「一花、ただいま」
話に夢中になっていたのか……そうきこうとした瞬間、谷垣くんが立ち上がり両手を背中に回したまま志摩くんに駆け寄ってきた。
「唯人さん。お帰りなさい! これ、唯人さんに僕からのプレゼントです!」
志摩くんに差し出した谷垣くんの両手にのっていたのは緻密な柄が入った薄緋色の美しいマフラーだった。
「えっ……これ、もしかして……」
「はい。僕の手編みです。初めて作ったので、粗いところもあるんですけど唯人さんに使って欲しくて少しずつ編んでたんです。今日やっと完成したので……わっ!!!」
頬を赤く染めて一生懸命説明する谷垣くんをじっと見つめていた志摩くんだったが、どうにもこうにも抑えが効かなくなったんだろう。谷垣くんをしっかりと自分の腕の中に抱きしめた。
「ゆ、いとさん……っ」
「尚孝さん! あなたはどれだけ私を喜ばせてくれるんですか! 嬉しすぎておかしくなりそうです」
「よかった……唯人さんを喜ばせることができて、僕……嬉しいです。もっとおかしくなってくれていいですよ」
「くっ!!」
ああ、今のは殺し文句だったな。
谷垣くんはあれを計算ではなく素で言っているのだから志摩くんもたまらないだろう。
「会長、私たちはこれで失礼します」
そういうが早いか、志摩くんは谷垣くんをさっと抱きかかえ、荷物も全て持って嵐のように去っていった。
明日、仕事を休むことはないだろうが、谷垣くんは休みかもしれない。
まぁそれも仕方ないか。あんなことを笑顔で言われてはな……。
心なしか社員たちも、志摩くんがいるだけでピリッとした良い緊張感に包まれる。
会社をまとめる風紀委員のような、そんな存在の志摩くんがいてくれることは我が社のためにも重要なことなのだろう。
志摩くんにはこれからもずっといてもらわないといけないな。
「さて、志摩くん。そろそろ帰るとしよう。愛しい姫たちが私たちの帰りを待ってくれているだろう」
私も志摩くんも結婚したての新婚なのだから、早く帰って愛夫との甘い時間を過ごしたい。その気持ちは志摩くんも同じだったようだ。
なんせ、彼はこの一週間ずっと二人っきりの時間を過ごしていたのだから、会えない時間がさそもどかしかったに違いない。
「会長からお声掛けくださり嬉しいです。ではすぐに帰りましょう!」
やはりこの瞬間を待ち侘びていたようだな。
これまでの志摩くんとはやはり少し違う。
結婚すると、こうも変わるのか。
結婚証明書は心にも大きく影響を与えるのかもしれないな。
あっという間に我が家に着き、玄関チャイムを鳴らしたが出てきたのは牧田一人。
てっきり一花と谷垣くんが揃って私たちを出迎えてくれると期待していただけに少々がっかりしてしまったが、久しぶりの再会で話に夢中になって私たちが帰ってきたことにも気づいていないという可能性もある。
それに、もしかしたら、二人とも話し疲れて昼寝をしているという可能性だってある。
私も志摩くんも出迎えがないからと言って怒る気持ちは毛頭ないし、私たちから会いにいけばいいんだ。
「一花たちはどうしている? 部屋にいるか?」
「お部屋で奥さまもご一緒にお過ごしでございます」
やはり話に夢中になっているというのが正解なようだ。
谷垣くんの海外での結婚式や新婚旅行の話を母と一花の二人して質問攻めにしているのかもしれないな。
シャイな谷垣くんが顔を真っ赤にしながら尋ねられるままに話をしている姿が目に浮かぶようだ。
志摩くんが何も話さない分、私は一花から話を聞くことになりそうだな。
そんなことを考えながら、志摩くんと一緒に一花たちがいる部屋に向かった。
突然入っていくような無粋な真似はしたくない。
きちんと扉をノックして声をかけると、扉を開けたのは母だった。
「あら、今日はやけに早かったのね」
「志摩くんがいたから仕事が捗ったんだよ。一花は起きてるか?」
「ええ、尚孝くんと二人で、志摩くんが帰ってくるのを今か今かと楽しみに待っていたわ」
「えっ? それはどういうことだ?」
谷垣くんが志摩くんの帰りを待っているのはわかる。
だが一花までどうして?
一花は私の帰りを楽しみに待ってくれていると思っていたのに……。
もしかしたら谷垣くんから聞いた旅行中の話で志摩くんに確認したいことがあるのかもしれないが、そんな理由だったとしてもやはり一花にはいつだって私のことだけを待っていてほしい。
「さぁ、どうしてかしら? 自分の目で確かめてみたらいいわ」
母は私の気持ちをわかっているはずなのに揶揄い気味に笑って私と志摩くんを部屋の中に招き入れた。
一花が待っていると聞いたからだろう。
志摩くんも少し困惑した様子で一緒に中に入ると、ベッドで身体を起こして座っている一花のすぐ近くに置かれた椅子に座っている谷垣くんが見えた。
この上ない笑顔を見せた一花の横で谷垣くんは少し頬を赤らめながらこちらをみた。
「征哉さん、おかえりなさい!」
「一花、ただいま」
話に夢中になっていたのか……そうきこうとした瞬間、谷垣くんが立ち上がり両手を背中に回したまま志摩くんに駆け寄ってきた。
「唯人さん。お帰りなさい! これ、唯人さんに僕からのプレゼントです!」
志摩くんに差し出した谷垣くんの両手にのっていたのは緻密な柄が入った薄緋色の美しいマフラーだった。
「えっ……これ、もしかして……」
「はい。僕の手編みです。初めて作ったので、粗いところもあるんですけど唯人さんに使って欲しくて少しずつ編んでたんです。今日やっと完成したので……わっ!!!」
頬を赤く染めて一生懸命説明する谷垣くんをじっと見つめていた志摩くんだったが、どうにもこうにも抑えが効かなくなったんだろう。谷垣くんをしっかりと自分の腕の中に抱きしめた。
「ゆ、いとさん……っ」
「尚孝さん! あなたはどれだけ私を喜ばせてくれるんですか! 嬉しすぎておかしくなりそうです」
「よかった……唯人さんを喜ばせることができて、僕……嬉しいです。もっとおかしくなってくれていいですよ」
「くっ!!」
ああ、今のは殺し文句だったな。
谷垣くんはあれを計算ではなく素で言っているのだから志摩くんもたまらないだろう。
「会長、私たちはこれで失礼します」
そういうが早いか、志摩くんは谷垣くんをさっと抱きかかえ、荷物も全て持って嵐のように去っていった。
明日、仕事を休むことはないだろうが、谷垣くんは休みかもしれない。
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