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空良は最高のパートナーだ!
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「まぁっ!! なんて可愛い子なの!!」
「悠木くん、良い子を見つけたな」
綾城の両親はさすが佳都くんを綾城のパートナーに認めただけあって男同士にも寛容だ。
空良は手放しで喜んでくれる綾城の両親を見て嬉しそうに俺の顔を見た。
「俺たちも近いうちに結婚式を挙げるので、よかったら参列してください」
「ええ、喜んで参列させてもらうわ。ねぇ、あなた」
「ああ。佳都くんが直己の気持ちに応えてくれた時はもうこれ以上の奇跡はないだろうなと思っていたが、まさか悠木くんにもこんなに良い子との出会いがあったとは……その時はぜひお祝いさせてもらうよ」
「お父さん、お母さんありがとうございます。ですが、驚くのはまだ早いですよ」
「えっ?」
「ほら、あそこに……」
そう言って、俺は観月と理央くんの方に視線を向けた。
「ああ、観月くんも来てくれたんだね……って、もしかして……?」
「ふふっ。そうなんですよ、俺たち3人揃って良い縁に恵まれたみたいです」
「直己と君たちは親友という言葉以上の絆があると思っていたが、まさかこんなに同じタイミングで最高のパートナーが見つかるとはな。これも運命なんだろうな」
「そうですね。おーい、観月!! お前もこっちにきて挨拶しとけ」
俺は観月にそう声をかけて交代するように綾城の両親から離れると、そのまま空良を連れて、七海ちゃんと翔太くんの元へと向かった。
「七海ちゃん、可愛いな。そのドレスよく似合ってるよ」
「ふふっ。悠木先生、ありがとう。でも、本当は私より隣にいる子の方が可愛いんでしょ?」
「参ったな。空良は特別だから、可愛いのは当然なんだよ」
「あー、はいはい。悠木先生までお兄ちゃんと一緒のタイプなのね。まぁ、確かにすっごく可愛い子だけど、もしかして私より年下?」
「あー、そうだな。空良は18になったばかりだから、七海ちゃんたちとは4学年違いか」
「えっ?? 4学年違いで18になったばかりって高校生……? やだ、先生っ! さすがにそれは犯罪じゃ?」
七海ちゃんからの思いもかけない返しに俺は慌てて訂正を入れた。
「違う、違うっ!! 空良は高校には行ってないし、それに今は18歳で成人なんだから問題ないよ。
私たちはすでに婚約している真剣交際なんだからな」
「えーっ? ほんとに?」
「ああ、もちろんだよ。心配なら観月に聞いてみるといい。観月の大事な子も空良と同じ18だぞ。
弁護士が法に触れるようなことするわけないだろう」
「はぁーっ、観月先生まで……。うちのお兄ちゃんだけじゃなくて、3人揃って年下とはね……」
「七海っ! 言い過ぎだぞっ。すみません、悠木先生」
翔太くんが七海ちゃんを窘めて、俺にも頭を下げてくれたがまぁそう思われても仕方がない。
空良も理央くんも佳都くんも俺たちよりかなり年下なのは本当だしな。
「いや、良いんだよ。翔太くん。気にしないで良いから。それよりも、ちゃんと紹介させてくれ。ほら、おいで空良」
七海ちゃんの激しい口撃に俺の背中に隠れるようにいた空良を2人の前に出して、
「挨拶できるだろ?」
というと、空良は少し怯えた様子を見せつつもゆっくりと口を開いた。
「笹原空良です。あの、高校は行ってないんですけど、僕……寛人さんの隣にいても恥ずかしいと思われないように今、一生懸命勉強中なので、長い目で見てください。僕、絶対に寛人さんのいいパートナーだって思ってもらえるように頑張るので……だから――っわぁっ!」
「空良はもうなんでそんなに俺を喜ばせることばっかり言ってくれるんだろうなぁ」
俺は嬉しさのあまりに空良を思いっきり抱きしめた。
「寛人さん……」
「空良、ありがとう。でも、今でも十分俺の良いパートナーだし、空良以外にはいないよ」
そういうと空良は嬉しそうに笑った。
そして、七海ちゃんに
「私が空良を大切に思うのがわかっただろう?」
というと、七海ちゃんは目を丸くして、
「本当に顔だけじゃなくて、心もすっごく綺麗なんだ……」
と驚いていた。
「さすが悠木先生っ! こんな良い子どこで見つけたの?」
「ふふっ。空良はね、可愛いウサギだったんだよ」
「えっ? ウサギ?? それってどういうこと??」
「あとは内緒。なっ、空良」
空良に同意を求めると、空良はあの時の着ぐるみ姿を思い出したのか恥ずかしそうにほんのりと頬を染めていた。
「えーっ、先生ずるいっ。2人だけの秘密なんて!」
「七海、俺たちにも2人だけの秘密あるだろ。恋人同士なんだから当然だよ」
「まぁ、そうなんだけど……なんか、2人がすっごく甘々な雰囲気だから意地悪したくなっちゃう」
「俺たちも今日はここにお泊まりだろ。あんまり意地悪言ってると楽しめないぞ」
「むーっ、わかったよぉ」
綾城に似て結構強気な七海ちゃんの尻に敷かれてると思ってたが、意外と翔太くんは七海ちゃんの手綱を握っているみたいだな。
さすが佳都くんの親友だけあるな。
翔太くんにそんな感想を抱きつつ、2人の様子を見ていると、
「挙式のお時間となりました。ご参列の皆さまはお席に御着席ください」
とスタッフから声がかかり、俺は空良を連れ席へと座った。
俺たちの前には観月と理央くんがいる。
理央くんは目を輝かせながら、綾城と佳都くんが出てくる扉を見つめている。
空良もそれに倣う様に扉に視線を向けた。
厳かなパイプオルガンの音色が教会中に響き渡り、バージンロードへと続く扉が開かれた。
その扉の入り口には満面の笑みで隣にいる佳都くんに微笑みかける綾城と、いつも以上に輝きを増している笑顔の綺麗な佳都くんの姿があった。
「悠木くん、良い子を見つけたな」
綾城の両親はさすが佳都くんを綾城のパートナーに認めただけあって男同士にも寛容だ。
空良は手放しで喜んでくれる綾城の両親を見て嬉しそうに俺の顔を見た。
「俺たちも近いうちに結婚式を挙げるので、よかったら参列してください」
「ええ、喜んで参列させてもらうわ。ねぇ、あなた」
「ああ。佳都くんが直己の気持ちに応えてくれた時はもうこれ以上の奇跡はないだろうなと思っていたが、まさか悠木くんにもこんなに良い子との出会いがあったとは……その時はぜひお祝いさせてもらうよ」
「お父さん、お母さんありがとうございます。ですが、驚くのはまだ早いですよ」
「えっ?」
「ほら、あそこに……」
そう言って、俺は観月と理央くんの方に視線を向けた。
「ああ、観月くんも来てくれたんだね……って、もしかして……?」
「ふふっ。そうなんですよ、俺たち3人揃って良い縁に恵まれたみたいです」
「直己と君たちは親友という言葉以上の絆があると思っていたが、まさかこんなに同じタイミングで最高のパートナーが見つかるとはな。これも運命なんだろうな」
「そうですね。おーい、観月!! お前もこっちにきて挨拶しとけ」
俺は観月にそう声をかけて交代するように綾城の両親から離れると、そのまま空良を連れて、七海ちゃんと翔太くんの元へと向かった。
「七海ちゃん、可愛いな。そのドレスよく似合ってるよ」
「ふふっ。悠木先生、ありがとう。でも、本当は私より隣にいる子の方が可愛いんでしょ?」
「参ったな。空良は特別だから、可愛いのは当然なんだよ」
「あー、はいはい。悠木先生までお兄ちゃんと一緒のタイプなのね。まぁ、確かにすっごく可愛い子だけど、もしかして私より年下?」
「あー、そうだな。空良は18になったばかりだから、七海ちゃんたちとは4学年違いか」
「えっ?? 4学年違いで18になったばかりって高校生……? やだ、先生っ! さすがにそれは犯罪じゃ?」
七海ちゃんからの思いもかけない返しに俺は慌てて訂正を入れた。
「違う、違うっ!! 空良は高校には行ってないし、それに今は18歳で成人なんだから問題ないよ。
私たちはすでに婚約している真剣交際なんだからな」
「えーっ? ほんとに?」
「ああ、もちろんだよ。心配なら観月に聞いてみるといい。観月の大事な子も空良と同じ18だぞ。
弁護士が法に触れるようなことするわけないだろう」
「はぁーっ、観月先生まで……。うちのお兄ちゃんだけじゃなくて、3人揃って年下とはね……」
「七海っ! 言い過ぎだぞっ。すみません、悠木先生」
翔太くんが七海ちゃんを窘めて、俺にも頭を下げてくれたがまぁそう思われても仕方がない。
空良も理央くんも佳都くんも俺たちよりかなり年下なのは本当だしな。
「いや、良いんだよ。翔太くん。気にしないで良いから。それよりも、ちゃんと紹介させてくれ。ほら、おいで空良」
七海ちゃんの激しい口撃に俺の背中に隠れるようにいた空良を2人の前に出して、
「挨拶できるだろ?」
というと、空良は少し怯えた様子を見せつつもゆっくりと口を開いた。
「笹原空良です。あの、高校は行ってないんですけど、僕……寛人さんの隣にいても恥ずかしいと思われないように今、一生懸命勉強中なので、長い目で見てください。僕、絶対に寛人さんのいいパートナーだって思ってもらえるように頑張るので……だから――っわぁっ!」
「空良はもうなんでそんなに俺を喜ばせることばっかり言ってくれるんだろうなぁ」
俺は嬉しさのあまりに空良を思いっきり抱きしめた。
「寛人さん……」
「空良、ありがとう。でも、今でも十分俺の良いパートナーだし、空良以外にはいないよ」
そういうと空良は嬉しそうに笑った。
そして、七海ちゃんに
「私が空良を大切に思うのがわかっただろう?」
というと、七海ちゃんは目を丸くして、
「本当に顔だけじゃなくて、心もすっごく綺麗なんだ……」
と驚いていた。
「さすが悠木先生っ! こんな良い子どこで見つけたの?」
「ふふっ。空良はね、可愛いウサギだったんだよ」
「えっ? ウサギ?? それってどういうこと??」
「あとは内緒。なっ、空良」
空良に同意を求めると、空良はあの時の着ぐるみ姿を思い出したのか恥ずかしそうにほんのりと頬を染めていた。
「えーっ、先生ずるいっ。2人だけの秘密なんて!」
「七海、俺たちにも2人だけの秘密あるだろ。恋人同士なんだから当然だよ」
「まぁ、そうなんだけど……なんか、2人がすっごく甘々な雰囲気だから意地悪したくなっちゃう」
「俺たちも今日はここにお泊まりだろ。あんまり意地悪言ってると楽しめないぞ」
「むーっ、わかったよぉ」
綾城に似て結構強気な七海ちゃんの尻に敷かれてると思ってたが、意外と翔太くんは七海ちゃんの手綱を握っているみたいだな。
さすが佳都くんの親友だけあるな。
翔太くんにそんな感想を抱きつつ、2人の様子を見ていると、
「挙式のお時間となりました。ご参列の皆さまはお席に御着席ください」
とスタッフから声がかかり、俺は空良を連れ席へと座った。
俺たちの前には観月と理央くんがいる。
理央くんは目を輝かせながら、綾城と佳都くんが出てくる扉を見つめている。
空良もそれに倣う様に扉に視線を向けた。
厳かなパイプオルガンの音色が教会中に響き渡り、バージンロードへと続く扉が開かれた。
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