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突然の呼びかけ
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みんなそれぞれに買い物をしている中、もう僕の頭の中はみんなとのパジャマパーティーのことでいっぱいだ。
「ユヅル、楽しそうだな」
「はい。だって、パジャマパーティーですよ。こんなの初めてだからワクワクします。それに…‥」」
「それに?」
「佳都さんがエヴァンさんのも用意してるって言ってたから、エヴァンさんの可愛い姿見られるのが一番楽しみです!」
「――っ、ユヅルっ!」
エヴァンさんが抱きしめてくれるのが嬉しい。
ふふっ。どんなパジャマなのかな?
うーん、待ち遠しくてたまらない。
「弓弦くん! いいのが見つかったよ!!」
もこもこのコートを着て観月さんと一緒に駆け寄ってきてくれる理央くんが可愛い。
「わぁ、よかったね!」
「ふふっ。凌也さんがお揃いで僕たちのも買ってくれたんだ。日本に帰ってもそのカップを使うたびに今日の日のことを思い出すよ」
「うん、嬉しい!」
そうだ。もう明日の夕方には帰っちゃうんだもんね。
それがわかっているけど、理央くんは帰ることは何も言わない。
ただ今のこの時間を純粋に楽しんでくれているのが嬉しいんだ。
「お待たせー。弓弦くん、理央くん」
「あっ、佳都さん。贈り物、見つかりましたか?」
「うん、素敵なものがいっぱい買えてここに来られてよかったよ。ありがとうね、弓弦くん」
「喜んでもらえてよかったです」
「今日のパジャマパーティー楽しみにしててね」
「はい。僕、さっきからそのことで頭がいっぱいで」
「ふふっ。いっぱい写真も撮ろうね」
「わぁーい!!」
エヴァンさんにもらった僕のスマホには、ここ数日でたくさんの写真が増えた。
写真の数だけ僕の思い出も増えていく。
今日のパジャマパーティーもいっぱい写真撮って、何度も何度も見返すんだろうな。
みんなが帰ってもきっとこれで寂しさは埋められるはずだ。
空良くんたちも、秀吾さんたちも戻ってきて、あとはミシェルさんたちだけ。
「どうしたんだろう?」
「まだ買い物が終わらないのかな?」
「きっといいものを探してるんだよ」
「うん、選びきれないのかもね」
「ここ、すっごく楽しかったし、見てるだけで時間が経っちゃうもんね」
「うん、すっごくわかる!」
「ふふっ」
そんな話をしていると、遠くの方から何やら綺麗な音が聞こえてくる。
「んっ? あれ……」
聞いたことある……っていうか、これって……。
「うん、そうだよ! 間違いない、ミシェルさんのヴァイオリンの音だ!」
僕の声にすぐに賛同してくれたのは秀吾さん。
ミシェルさんのファンだって言ってただけあって、すぐにわかるんだ。
さすがだな。
「でも、なんでここでヴァイオリンの音が聞こえるんだろう? エヴァンさん、僕たちもあっちに行ってみたい」
「ああ、わかった。だが、絶対に離れてはいけないぞ」
僕たちはみんな旦那さまたちと寄り添うように、ヴァイオリンの音色が聞こえる方へ向かった。
「わぁっ!!!」
僕たちの視線の先には、階段の上に立って演奏をしているミシェルさんの姿があった。
階段の下にはたくさんのお客さんで埋め尽くされているけれど、誰一人言葉を発することなく、ミシェルさんの演奏に聞き入っている。
「素敵……」
「ああ、ここまで魅了できる曲を弾けるのはさすがだな」
エヴァンさんの感心した声を聞きながら僕たちもその場に立ち止まり、ミシェルさんの演奏に聞き入っていた。
演奏が終わると、その余韻を楽しんだ後で一斉に拍手と歓声が聞こえて、全然鳴り止まない。
「ああ、ミシェル・ロレーヌの演奏……本当に素晴らしいです。あの人と一緒に演奏したなんて……今でも信じられないな……」
感動に声を震わせて呟く秀吾さんの隣で僕も同じことを思っていた。
これだけ沢山の人をヴァイオリンで魅了できる……これがプロってことなんだな……。
外で聞くとその凄さが余計にわかった。
凄すぎて鳥肌が立つってこういうことを言うんだな。
あまりの素晴らしい演奏にポーッと見惚れていると、階段の上にいるミシェルさんと目が合った。
「あっ! ユヅルーっ! シュウゴも一緒に演奏しようっ!! こっちにきてーーっ!!」
「「えっ――っ!!」」
突然大きな声で呼ばれて、僕と秀吾さんは言葉もなく顔を見合わせて驚くしかなかった。
「え、エヴァンさんっ……どうしたらいいですか?」
「全くミシェルは……セルジュは一体何をしているんだ!」
少し怒った様子のエヴァンさんの元にセルジュさんが駆け寄ってきた。
フランス語で話しているから、全く何を言っているかわからないけれど、僕の隣にいる秀吾さんには全部伝わっているはずだ。
「ねぇ、秀吾さん。エヴァンさんたち、なんて言ってるの?」
こっそりと小声で尋ねると、
「ヴァイオリンの弓を売っているお店の店主さんがミシェルさんの恩人だったみたい。そのお礼で演奏することになったんだって」
と簡潔に教えてくれた。
ミシェルさんが恩人だって言うくらいだから、本当にお世話になった人なんだろうな。
こんなところで偶然出会えるなんて……ほんとすごいな。
「ユヅル、楽しそうだな」
「はい。だって、パジャマパーティーですよ。こんなの初めてだからワクワクします。それに…‥」」
「それに?」
「佳都さんがエヴァンさんのも用意してるって言ってたから、エヴァンさんの可愛い姿見られるのが一番楽しみです!」
「――っ、ユヅルっ!」
エヴァンさんが抱きしめてくれるのが嬉しい。
ふふっ。どんなパジャマなのかな?
うーん、待ち遠しくてたまらない。
「弓弦くん! いいのが見つかったよ!!」
もこもこのコートを着て観月さんと一緒に駆け寄ってきてくれる理央くんが可愛い。
「わぁ、よかったね!」
「ふふっ。凌也さんがお揃いで僕たちのも買ってくれたんだ。日本に帰ってもそのカップを使うたびに今日の日のことを思い出すよ」
「うん、嬉しい!」
そうだ。もう明日の夕方には帰っちゃうんだもんね。
それがわかっているけど、理央くんは帰ることは何も言わない。
ただ今のこの時間を純粋に楽しんでくれているのが嬉しいんだ。
「お待たせー。弓弦くん、理央くん」
「あっ、佳都さん。贈り物、見つかりましたか?」
「うん、素敵なものがいっぱい買えてここに来られてよかったよ。ありがとうね、弓弦くん」
「喜んでもらえてよかったです」
「今日のパジャマパーティー楽しみにしててね」
「はい。僕、さっきからそのことで頭がいっぱいで」
「ふふっ。いっぱい写真も撮ろうね」
「わぁーい!!」
エヴァンさんにもらった僕のスマホには、ここ数日でたくさんの写真が増えた。
写真の数だけ僕の思い出も増えていく。
今日のパジャマパーティーもいっぱい写真撮って、何度も何度も見返すんだろうな。
みんなが帰ってもきっとこれで寂しさは埋められるはずだ。
空良くんたちも、秀吾さんたちも戻ってきて、あとはミシェルさんたちだけ。
「どうしたんだろう?」
「まだ買い物が終わらないのかな?」
「きっといいものを探してるんだよ」
「うん、選びきれないのかもね」
「ここ、すっごく楽しかったし、見てるだけで時間が経っちゃうもんね」
「うん、すっごくわかる!」
「ふふっ」
そんな話をしていると、遠くの方から何やら綺麗な音が聞こえてくる。
「んっ? あれ……」
聞いたことある……っていうか、これって……。
「うん、そうだよ! 間違いない、ミシェルさんのヴァイオリンの音だ!」
僕の声にすぐに賛同してくれたのは秀吾さん。
ミシェルさんのファンだって言ってただけあって、すぐにわかるんだ。
さすがだな。
「でも、なんでここでヴァイオリンの音が聞こえるんだろう? エヴァンさん、僕たちもあっちに行ってみたい」
「ああ、わかった。だが、絶対に離れてはいけないぞ」
僕たちはみんな旦那さまたちと寄り添うように、ヴァイオリンの音色が聞こえる方へ向かった。
「わぁっ!!!」
僕たちの視線の先には、階段の上に立って演奏をしているミシェルさんの姿があった。
階段の下にはたくさんのお客さんで埋め尽くされているけれど、誰一人言葉を発することなく、ミシェルさんの演奏に聞き入っている。
「素敵……」
「ああ、ここまで魅了できる曲を弾けるのはさすがだな」
エヴァンさんの感心した声を聞きながら僕たちもその場に立ち止まり、ミシェルさんの演奏に聞き入っていた。
演奏が終わると、その余韻を楽しんだ後で一斉に拍手と歓声が聞こえて、全然鳴り止まない。
「ああ、ミシェル・ロレーヌの演奏……本当に素晴らしいです。あの人と一緒に演奏したなんて……今でも信じられないな……」
感動に声を震わせて呟く秀吾さんの隣で僕も同じことを思っていた。
これだけ沢山の人をヴァイオリンで魅了できる……これがプロってことなんだな……。
外で聞くとその凄さが余計にわかった。
凄すぎて鳥肌が立つってこういうことを言うんだな。
あまりの素晴らしい演奏にポーッと見惚れていると、階段の上にいるミシェルさんと目が合った。
「あっ! ユヅルーっ! シュウゴも一緒に演奏しようっ!! こっちにきてーーっ!!」
「「えっ――っ!!」」
突然大きな声で呼ばれて、僕と秀吾さんは言葉もなく顔を見合わせて驚くしかなかった。
「え、エヴァンさんっ……どうしたらいいですか?」
「全くミシェルは……セルジュは一体何をしているんだ!」
少し怒った様子のエヴァンさんの元にセルジュさんが駆け寄ってきた。
フランス語で話しているから、全く何を言っているかわからないけれど、僕の隣にいる秀吾さんには全部伝わっているはずだ。
「ねぇ、秀吾さん。エヴァンさんたち、なんて言ってるの?」
こっそりと小声で尋ねると、
「ヴァイオリンの弓を売っているお店の店主さんがミシェルさんの恩人だったみたい。そのお礼で演奏することになったんだって」
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