エリート医師は偶然出会った可愛い子猫を囲い込んで離さない

波木真帆

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私の上着を抱きしめ、幸せそうな表情で私のベッドでひかりくんが眠っている。
その姿を見ただけで幸せな感情に包まれる。

ひかりくんをこのままここに居させるのなら、もう我慢しないでいいか。

私は羽織っていたバスローブを脱ぎ捨て、裸でひかりくんの隣に身体を横たえた。

考えてみれば裸でベッドに入るなんて初めてのことだな。

さらさらとしたシーツに素肌が当たる不思議な感触を味わいつつ、ひかりくんを抱きしめる。
パジャマの上着だけを彼に着せていたから、足を絡めると彼の滑らかな肌を直に感じる。
ああ、なんて気持ちがいいんだろう。

当然のように昂ってしまっているが、それを隠すことももうしない。
だって、私たちはこれから一生を共にするのだから。

「愛してるよ、ひかり……」

愛おしさが込み上げてきて、眠っている彼の唇にキスを贈った。
すると、ゆっくりと彼の目が開いていく。

「悪い、起こしたか?」

まだ寝かせておきたかったのに申し訳ない。

「まだ眠っていていいよ」

折れそうなほど華奢な身体を包み込むように抱きしめて囁く。
すると、彼は小さな声で話し始めた。

「ずっと、いいにおいがしてて……それが、すごくあんしんして……」」

「そうか。なら良かった」

ギュッと抱きしめると、今の私の状態に気付いたのだろう。

「あの…‥」

真っ赤な顔で見上げられて、素直に告げる。

「ごめん。ひかりくんが可愛すぎてどれだけ愛し合っても我慢できないんだ。でも無理をさせるつもりはないから」

「そんな……っ、ぼく……せんせぇにもとめられてうれしいです……」

「ひかりくん…‥」

可愛い彼がさらに愛おしくて抱きしめると、彼は首を横にふる。

「よびすてがいいです……ひかり、ってよんでください……」

何度か無意識に呼び捨てにしてしまっていたが、それを喜んでもらえるとは思わなかった。

「わかった、ひかり。これでいいかな?」

私が呼びかけると嬉しそうに笑顔を見せる。

「それじゃあ、私のことも名前で呼んでもらおうかな」

「え、えっと……た、くやさん……」

ひかりに先生と呼ばれるのはもちろん嫌ではなかったが、名前を呼ばれるだけでグッと距離が縮まったような気がする。

「嬉しいよ」

抱きしめて唇を重ねると、ひかりから甘い吐息が漏れる。
本当に可愛くてたまらない。

ゆっくりと唇を離し、ひかりが私にもたれかかってきたところで私は本題に入った。

「ひかり…‥このまま、ここで一緒に暮らさないか?」

「えっ……」

想像もしていなかっただろう。
ひかりは目を丸くして私を見上げた。

「私はもう少しの間もひかりと離れていたくないんだ。だめか?」

たった一度の体験だけだと思っていただろうから、年の離れた大人にこんなことを言われるとは夢にも思っていなかっただろう。茫然と私を見つめる彼は今、何を思っているだろうか。

「すぐに答えを出してくれとは言わない。ここでしばらく一緒に住んで答えを出してくれても構わない。私の気持ちは変わらないから」

「たく、やさん……これ、夢じゃない、ですよね?」

「夢じゃないよ。私の本心だ。ひかりと離れたくない。ずっと一緒にいたいんだ。だから、考えてほしい」

すると、彼はフルフルと首を横に振った。

「考えるなんて……僕も、たくやさんと一緒にいたいです……離れたくないっ!」

首を振られて一瞬ドキッとしたが、ひかりの心からの叫びが聞こえてきてホッとする。

「良かった……じゃあ、ここにずっといてくれるね?」

「はい。でも僕……学校が……」

「それなんだけど、良かったらこっちの大学に編入しないか?」

ひかりのなりたいことを邪魔する気はない。
ひかりが通っている大学は地方の国立大学でも上位の偏差値を誇る。
そこに入る実力があるのだから、大学を辞めさせるのは勿体無い。

「編入、ですか?」

「ああ、ひかりが良ければ桜守大学に行けるようにするよ。あの大学ならこの家からも近いし、どうだろう?」

「さくらの、もり……」

そう言った途端、ひかりの表情が変わった。
偏差値的にはほぼ変わらないし、学部によっては桜守のほうが上なところもあるが、やはり頑張って入った国立大学から、私立大学への編入は躊躇ってしまうだろうか?

それなら心配な面はあるが桜城大学への編入でも……ひかりが望むならそれでもいいか。

そう思って自分を納得させていたのだが、急にひかりは目を潤ませた。

「ひかり? どうした?」

「ぼ、く………ほんと、はさくらのもりに、いきたくて……でも、こくりつじゃないと、ダメだって……」

そうか。経営不振で身売りさせよとしたくらいだ。
一人暮らしで、桜守大学に行かせるようなお金はなかったに違いない。
あそこは給付型の奨学金も充実しているが、ひかり自身はともかく、あの親なら審査に落ちてしまっただろうし、通うのはむずかしかったんだろう。

「ひかりが行きたい大学で勉強したらいい。私ならその夢を叶えてあげられる」

「たくやさん……ぼく、うれしいです」

ひかりのほうから抱きついてきてくれる。
良かった、これで大学問題は解決だな。

「ひかり……これから、ここで一緒に暮らしてくれるなら私と家族にならないか?」

「えっ? 家族?」

「そうだ。ただ私たちは男同士だから結婚はできない。だから、一緒の戸籍に入ってほしい。これからは『沖野ひかり』として生きていってほしいんだ。どうだろう?」

「僕が、たくやさんと家族に……嬉しい……。僕……もう、両親の元には帰りたくなかったんです」

そう言ってひかりは泣きながら話をしてくれた。

一ヶ月前、工場の経営のために大学を辞めて、婿にいってほしいと言われたひかりは最初は必死に断った。
だが、毎日のように二人して説得され続けて、大学に卒業まで行かせてもらうことを条件にそれを受け入れた。
けれど、それから何度もその結婚相手とその父親に会わされて、接待をさせられて、それが嫌でたまらなかったそうだ。
両親に接待は嫌だと訴えたけれど、それは認めてもらえず精神的に追い詰められていたようだ。
それもあって、心と身体を満たしてくれる人を見つけたかったのだろう。
精神的に追い詰められていたせいで、『タク』という怪しげな男のターゲットにされてしまったのだろうが、その前にひかりと出会えて本当に良かった。

「じゃあ、全てのつながりを絶って、これから私と新しい人生を歩んでいこう。一生大切にするから、二人で幸せになろう」

裸でプロポーズをすることになるなんて思ってもなかったが、これが私らしいのかもしれない。

「はい。お願いします」

目にいっぱい涙を溜めたひかりが私のプロポーズに応えてくれて、私たちはもう一度唇を重ねた。

「たくや、さん……もういちど、おくにほしぃです……」

うっとりとした顔で見上げられ、私はひかりが求めてくれるままにベッドで愛し合った。

たっぷりと欲望の蜜を注ぎ、ひかりの蜜を堪能する。
私たちの幸せな生活はここから始まるんだ。



    *   *   *

ここで本編一旦完結となります。
ここまで読んでいただきありがとうございます!
ひかり視点のお話を考えていますが、こちらに続けるか、独立させるかは未定。
番外編としてその後のお話をいくつか書きたいと思っていますのでどうぞお楽しみに♡
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