右手がくれた奇跡シリーズ パラレル短編集(オメガバース)

波木真帆

文字の大きさ
11 / 14

航との出会い  5

しおりを挟む
<side祐悟>

「お袋、俺のつがいの様子はどうだ?」

あの出会いからやっと十日。
俺が以前開発した、栄養失調の患者のための栄養剤を飲ませたおかげで、翌日には自分でシャワーを浴びれるほどに回復したと聞いているが、食事とは別にその栄養剤のおかげで航の体重はいい調子で増えているようだ。

三日目からは栄養剤の量を減らし、食事で足りないカロリーを糖分で摂ることになったと報告があり、その日から俺は愛しい航のために選りすぐりのおやつを朝、夕の二度、病院に届けている。

「大丈夫、元気になってきているわ。祐悟のおやつを毎日楽しみにしているわよ」

「そうか。それならよかった。あと四日なのは変わらないか?」

「待ち遠しくてたまらないのね。正直に言うと、祐悟がこんなにも足繁く通い詰めるなんて私も清吾さんも思ってなかったのよ」

「そうなのか? 運命のつがいなのだから当然じゃないのか?」

親父とお袋の仲睦まじい様子を幼少期からずっと見せつけられていたこっちとしてはまだまだ足りない方だと思っていたくらいだ。

「もちろん、運命のつがいだから普通のパートナーよりはずっと結びつきが強いけれど、祐悟は人に対して冷めたところがあるでしょう? もしかしたら運命のつがいが見つかってものめり込むことはないのかもしれないって心配していたのよ。でも清吾さんと同じでホッとしたわ。私と清吾さんも――」
「あー、その話はいいよ。子どもの時から幾度となく聞かされすぎて自分のことのように話せるくらい覚えてるから」

そんな話が聞きたくて足を運んでいるわけじゃないからな。

「もー、祐ちゃんったらケチね。聞いてくれたっていいのに。そんな意地悪するなら、退院の日を伸ばすわよ」

「ちょっ、それは勘弁してくれ。もう本当に限界なんだよ。今だって、必死に押さえつけているんだから」

「ふふ、それが聞けただけで今日は十分よ。ご褒美にこれをあげるわ。家に帰ってから開けてちょうだい」

お袋は笑顔で俺に紙袋を渡すと、俺が持ってきたおやつ入りの紙袋を手に病院内に戻って行った。

ご褒美ってなんだ?

それだけが気になりつつも、俺が選んだおやつを美味しく食べてくれることを願って自宅に戻った。

来週、可愛いつがいを親父とお袋がこの家に連れてくることになっているが、さてどうするか。
可愛い巣作りも見たいが、それは次回のヒートでもいいか。
これだけ待っているんだから、何よりもまず愛し合いたい。
きっと俺の可愛い航もそう思ってくれているだろう。

親父から頼まれていたヒート中のΩの完全栄養剤と避妊薬も出来上がったし、今夜は少しゆっくりと寝られそうだ。

そういえばお袋からもらったあの紙袋には何が入っているんだろう?

寝室のベッドに腰掛けて紙袋を開けてみると、俺が開発した保存袋が出てきた。
これは特殊加工を施してあり、中の匂いを100%漏らすことなく、しかも品質は保ったままという優れものだ。

お袋がわざわざこの袋に入れてくれたということは、まさか……。

俺は逸る気持ちをおさえながら、ゆっくりとその袋を開けた。
すると瞬く間に寝室中が甘い匂いでいっぱいになった。
この匂いは、あの時嗅いだつがいの匂い。
この匂いだけであっという間に俺のモノは硬くそそり立った。

こんなにもいい匂いがするもの……この袋の中に何が入っているんだろう?

興奮に手を震わせながら、その袋の中に手を入れると、出てきたのはなんと数枚の下着。
しかも航の可愛いモノをおさめているパンツだ。

一度にそれを使い切るのはもったいなくて、その中から一枚だけ抜き取り後は保存袋の中にしまっておいた。

そして、手にした下着の匂いを嗅ぐとそれだけで興奮が止まらない。

「くっ! ああっ!! なんていい匂いだ!!」

片手で下着を嗅ぎながら、もう片方の手で刺激を与え続けると、あっという間に蜜が弾け飛んだ。

ここのところ、栄養剤と避妊薬の開発で忙しすぎてそんなこともしてなかったから溜まっていたな。

このままつがいに会うまで処理しないことになるかと思っていたが、一週間くらいならともかく、それ以上長々と溜め込んだ蜜はヒートの一番初めに注ぐ蜜としては動きが悪いから不適だと言われている。
新鮮な蜜を注ぐ方がつがいの身体にはいいに決まっている。

結局二枚の下着を使って数回蜜を飛ばしたが、思いの外スッキリしている。
これならあと数日はなんとか我慢できるな。

ああ、航……このベッドで思いっきり愛し合おう。
俺に可愛い姿をたっぷりと見せてくれ。
しおりを挟む
感想 23

あなたにおすすめの小説

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結保証】

星森 永羽
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

結婚初夜に相手が舌打ちして寝室出て行こうとした

BL
十数年間続いた王国と帝国の戦争の終結と和平の形として、元敵国の皇帝と結婚することになったカイル。 実家にはもう帰ってくるなと言われるし、結婚相手は心底嫌そうに舌打ちしてくるし、マジ最悪ってところから始まる話。 オメガバースでオメガの立場が低い世界 こんなあらすじとタイトルですが、主人公が可哀そうって感じは全然ないです 強くたくましくメンタルがオリハルコンな主人公です 主人公は耐える我慢する許す許容するということがあんまり出来ない人間です 倫理観もちょっと薄いです というか、他人の事を自分と同じ人間だと思ってない部分があります ※この主人公は受けです

オメガの復讐

riiko
BL
幸せな結婚式、二人のこれからを祝福するかのように参列者からは祝いの声。 しかしこの結婚式にはとてつもない野望が隠されていた。 とっても短いお話ですが、物語お楽しみいただけたら幸いです☆

キサラギムツキ
BL
長い間アプローチし続け恋人同士になれたのはよかったが…………… 攻め視点から最後受け視点。 残酷な描写があります。気になる方はお気をつけください。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

運命じゃない人

万里
BL
旭は、7年間連れ添った相手から突然別れを告げられる。「運命の番に出会ったんだ」と語る彼の言葉は、旭の心を深く傷つけた。積み重ねた日々も未来の約束も、その一言で崩れ去り、番を解消される。残された部屋には彼の痕跡はなく、孤独と喪失感だけが残った。 理解しようと努めるも、涙は止まらず、食事も眠りもままならない。やがて「番に捨てられたΩは死ぬ」という言葉が頭を支配し、旭は絶望の中で自らの手首を切る。意識が遠のき、次に目覚めたのは病院のベッドの上だった。

後宮の男妃

紅林
BL
碧凌帝国には年老いた名君がいた。 もう間もなくその命尽きると噂される宮殿で皇帝の寵愛を一身に受けていると噂される男妃のお話。

番解除した僕等の末路【完結済・短編】

藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。 番になって数日後、「番解除」された事を悟った。 「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。 けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。 2026/02/14 累計30万P突破御礼バレンタインSS追加しました 2026/02/15 累計いいね♡7777突破御礼SS 19時に公開します。 様々な形での応援ありがとうございます!

処理中です...