4 / 17
愛しくてたまらない※
しおりを挟む
哉藍side
「後宮はすぐに解散させろ! 中にいるものは皆、実家へと帰らせるのだ!」
「あの、皇帝陛下。そんな急には……」
「私のいうことが聞こえないのか?」
瑞季との甘い甘い時間を過ごした後、私が即刻取り掛かったのは、後宮の解体であった。
元々、私のためにと勝手な理由をつけて国内外から勝手に集めてきた者たちばかりだ。
その者たちの誰1人として匂いを感じるものなどは居なかったがな。
そう、ここに集められた者の中には私が手をつけたものなど1人もいない。
しかし、瑞季が後宮の存在を知ればどう思うだろう。
自分が数多いるΩの中のひとりに過ぎないのだと考えてしまうかも知れない。
確かにαはたった1人の番しか持てないΩと違って、何人もの番を持つことができると聞いている。
だが、私にとって番は瑞季、ただひとり。
それがまさに希少種αの特色なのかも知れない。
瑞季に誤解されるようなことだけは絶対に避けねばならない。
それだけは絶対に。
「ひとり当たり1億の謝礼を与えて、さっさと帰らせるのだ! 今日中にだぞ」
「い、1億? よろしいのですか?」
1億もあればこれから先、一生金に困ることなく遊んで暮らせるだろう。
瑞季を守るためならそんな金など、私にとっては微々たるものだ。
惜しくもなんともない。
「ああ、その代わり天宮と、そして我々には絶対に近づかぬことを約束させろ」
「はっ。仰せのままに」
私が本気だとようやくわかったのか、宰相たちは急いで後宮へと走っていった。
よし、これでいい。
瑞季があの者たちと出会ったりすることがないよう、念の為部屋から出さないでおくとするか。
まだ寝てくれていたらいいのだが……。
そう、私が部屋を出た時瑞季は可愛らしい顔で深い眠りについていた。
ぐっすりと熟睡しながらも、私のそばから離れようとしない姿に、どれだけ離れ難かったか。
もし起きていたら、私が居なくて寂しがっているかも知れない。
そう思うと居ても立ってもいられずに私は急いで瑞季の待つ、私の自室へと戻った。
部屋の前にいる騎士に問題はなかったかと尋ねると、
「物音が致しませんでしたので、まだお眠りかと存じます」
と返ってきて安堵した。
騎士たちには下がるようにと命じ、瑞季を起こさないように、そっと部屋へと入り、寝室へと向かうと瑞季は私の脱いだ服をぎゅっと抱きしめながら眠っていた。
服を置いておいてよかった。
そう思いながらも、瑞季に大事そうに抱きしめられているその服に嫉妬してしまう自分がいる。
私は何を考えているんだ。
自分の脱いだ服に嫉妬するなど馬鹿馬鹿しい。
だが、そんな馬鹿らしい考えすらも瑞季を前にすれば仕方のないことだと思ってしまう。
私は瑞季が抱きしめているその服をそっと取り、床に放り投げた。
急になくなった私の匂いを探すように空を彷徨う瑞季の手を握り、瑞季のすぐ隣に身を横たえると、瑞季は嬉しそうに微笑んだ。
ふふっ。夢の中でも私の匂いに気づいているのか。
さすが私の最愛の人だな。
瑞季の甘い甘い匂いを嗅いでいると、どうしても昂ってくる。
寝ている瑞季を起こしてはいけないと頭では思っているのだが、身体がいうことを聞かない。
だめだ、瑞季は初めてのヒートにまだ疲れて寝ているのだ。
起こすわけには……。
だが、昂りはどんどん激しさを増していく。
私は一体どうすればいいのだ。
そんな私の葛藤を嘲笑うかのように、私が噛んでやった頸からは誘うように甘い匂いが漂ってくる。
我慢ができずに私は瑞季の頸をぺろっと舐めた。
すると、瑞季は身体をビクビクと震わせ、ゆっくりと目を開いた。
その瞳は涙に潤んでいて、
「せ、せいらん……もっと、なめ、て……」
と可愛らしくねだってくる。
「ああ。いくらでも舐めてやろう。瑞季はどこも甘くて美味しいからな」
私はもう一度頸に舌を這わせてから、瑞季の夜着をスルリと脱がせていく。
身体中至る所に私のつけた所有印が見える。
ああ、そうだ。
瑞季は私のものだ。
そして、これからも永遠に私だけのものなのだ。
そんな優越感に浸りながら、ぷっくりと膨らんだ乳首に唇を寄せるとそれだけでビクビクと身体を震わせる。
まだまだ初心なのに、身体は私が施す愛撫の気持ちよさを覚えているのだ。
絹のように柔らかく滑らかで美しい肌に手を滑らせると、それだけで気持ちがいい。
こんなにも美しい肌があろうとはな。
瑞季の肌しか知らぬが、これほどまでに美しい肌はいないだろう。
吸い付くような瑞季の肌の感触を楽しんでいると、突然部屋の外が騒がしくなった。
「後宮はすぐに解散させろ! 中にいるものは皆、実家へと帰らせるのだ!」
「あの、皇帝陛下。そんな急には……」
「私のいうことが聞こえないのか?」
瑞季との甘い甘い時間を過ごした後、私が即刻取り掛かったのは、後宮の解体であった。
元々、私のためにと勝手な理由をつけて国内外から勝手に集めてきた者たちばかりだ。
その者たちの誰1人として匂いを感じるものなどは居なかったがな。
そう、ここに集められた者の中には私が手をつけたものなど1人もいない。
しかし、瑞季が後宮の存在を知ればどう思うだろう。
自分が数多いるΩの中のひとりに過ぎないのだと考えてしまうかも知れない。
確かにαはたった1人の番しか持てないΩと違って、何人もの番を持つことができると聞いている。
だが、私にとって番は瑞季、ただひとり。
それがまさに希少種αの特色なのかも知れない。
瑞季に誤解されるようなことだけは絶対に避けねばならない。
それだけは絶対に。
「ひとり当たり1億の謝礼を与えて、さっさと帰らせるのだ! 今日中にだぞ」
「い、1億? よろしいのですか?」
1億もあればこれから先、一生金に困ることなく遊んで暮らせるだろう。
瑞季を守るためならそんな金など、私にとっては微々たるものだ。
惜しくもなんともない。
「ああ、その代わり天宮と、そして我々には絶対に近づかぬことを約束させろ」
「はっ。仰せのままに」
私が本気だとようやくわかったのか、宰相たちは急いで後宮へと走っていった。
よし、これでいい。
瑞季があの者たちと出会ったりすることがないよう、念の為部屋から出さないでおくとするか。
まだ寝てくれていたらいいのだが……。
そう、私が部屋を出た時瑞季は可愛らしい顔で深い眠りについていた。
ぐっすりと熟睡しながらも、私のそばから離れようとしない姿に、どれだけ離れ難かったか。
もし起きていたら、私が居なくて寂しがっているかも知れない。
そう思うと居ても立ってもいられずに私は急いで瑞季の待つ、私の自室へと戻った。
部屋の前にいる騎士に問題はなかったかと尋ねると、
「物音が致しませんでしたので、まだお眠りかと存じます」
と返ってきて安堵した。
騎士たちには下がるようにと命じ、瑞季を起こさないように、そっと部屋へと入り、寝室へと向かうと瑞季は私の脱いだ服をぎゅっと抱きしめながら眠っていた。
服を置いておいてよかった。
そう思いながらも、瑞季に大事そうに抱きしめられているその服に嫉妬してしまう自分がいる。
私は何を考えているんだ。
自分の脱いだ服に嫉妬するなど馬鹿馬鹿しい。
だが、そんな馬鹿らしい考えすらも瑞季を前にすれば仕方のないことだと思ってしまう。
私は瑞季が抱きしめているその服をそっと取り、床に放り投げた。
急になくなった私の匂いを探すように空を彷徨う瑞季の手を握り、瑞季のすぐ隣に身を横たえると、瑞季は嬉しそうに微笑んだ。
ふふっ。夢の中でも私の匂いに気づいているのか。
さすが私の最愛の人だな。
瑞季の甘い甘い匂いを嗅いでいると、どうしても昂ってくる。
寝ている瑞季を起こしてはいけないと頭では思っているのだが、身体がいうことを聞かない。
だめだ、瑞季は初めてのヒートにまだ疲れて寝ているのだ。
起こすわけには……。
だが、昂りはどんどん激しさを増していく。
私は一体どうすればいいのだ。
そんな私の葛藤を嘲笑うかのように、私が噛んでやった頸からは誘うように甘い匂いが漂ってくる。
我慢ができずに私は瑞季の頸をぺろっと舐めた。
すると、瑞季は身体をビクビクと震わせ、ゆっくりと目を開いた。
その瞳は涙に潤んでいて、
「せ、せいらん……もっと、なめ、て……」
と可愛らしくねだってくる。
「ああ。いくらでも舐めてやろう。瑞季はどこも甘くて美味しいからな」
私はもう一度頸に舌を這わせてから、瑞季の夜着をスルリと脱がせていく。
身体中至る所に私のつけた所有印が見える。
ああ、そうだ。
瑞季は私のものだ。
そして、これからも永遠に私だけのものなのだ。
そんな優越感に浸りながら、ぷっくりと膨らんだ乳首に唇を寄せるとそれだけでビクビクと身体を震わせる。
まだまだ初心なのに、身体は私が施す愛撫の気持ちよさを覚えているのだ。
絹のように柔らかく滑らかで美しい肌に手を滑らせると、それだけで気持ちがいい。
こんなにも美しい肌があろうとはな。
瑞季の肌しか知らぬが、これほどまでに美しい肌はいないだろう。
吸い付くような瑞季の肌の感触を楽しんでいると、突然部屋の外が騒がしくなった。
532
あなたにおすすめの小説
結婚初夜に相手が舌打ちして寝室出て行こうとした
紫
BL
十数年間続いた王国と帝国の戦争の終結と和平の形として、元敵国の皇帝と結婚することになったカイル。
実家にはもう帰ってくるなと言われるし、結婚相手は心底嫌そうに舌打ちしてくるし、マジ最悪ってところから始まる話。
オメガバースでオメガの立場が低い世界
こんなあらすじとタイトルですが、主人公が可哀そうって感じは全然ないです
強くたくましくメンタルがオリハルコンな主人公です
主人公は耐える我慢する許す許容するということがあんまり出来ない人間です
倫理観もちょっと薄いです
というか、他人の事を自分と同じ人間だと思ってない部分があります
※この主人公は受けです
結婚間近だったのに、殿下の皇太子妃に選ばれたのは僕だった
釦
BL
皇太子妃を輩出する家系に産まれた主人公は半ば政略的な結婚を控えていた。
にも関わらず、皇太子が皇妃に選んだのは皇太子妃争いに参加していない見目のよくない五男の主人公だった、というお話。
流れる星、どうかお願い
ハル
BL
羽水 結弦(うすい ゆずる)
オメガで高校中退の彼は国内の財閥の一つ、羽水本家の次男、羽水要と番になって約8年
高層マンションに住み、気兼ねなくスーパーで買い物をして好きな料理を食べられる。同じ性の人からすれば恵まれた生活をしている彼
そんな彼が夜、空を眺めて流れ星に祈る願いはただ一つ
”要が幸せになりますように”
オメガバースの世界を舞台にしたアルファ×オメガ
王道な関係の二人が織りなすラブストーリーをお楽しみに!
一応、更新していきますが、修正が入ることは多いので
ちょっと読みづらくなったら申し訳ないですが
お付き合いください!
オメガの復讐
riiko
BL
幸せな結婚式、二人のこれからを祝福するかのように参列者からは祝いの声。
しかしこの結婚式にはとてつもない野望が隠されていた。
とっても短いお話ですが、物語お楽しみいただけたら幸いです☆
僕たちの世界は、こんなにも眩しかったんだね
舞々
BL
「お前以外にも番がいるんだ」
Ωである花村蒼汰(はなむらそうた)は、よりにもよって二十歳の誕生日に恋人からそう告げられる。一人になることに強い不安を感じたものの、「αのたった一人の番」になりたいと願う蒼汰は、恋人との別れを決意した。
恋人を失った悲しみから、蒼汰はカーテンを閉め切り、自分の殻へと引き籠ってしまう。そんな彼の前に、ある日突然イケメンのαが押しかけてきた。彼の名前は神木怜音(かみきれお)。
蒼汰と怜音は幼い頃に「お互いが二十歳の誕生日を迎えたら番になろう」と約束をしていたのだった。
そんな怜音に溺愛され、少しずつ失恋から立ち直っていく蒼汰。いつからか、優しくて頼りになる怜音に惹かれていくが、引きこもり生活からはなかなか抜け出せないでいて…。
虐げられΩは冷酷公爵に買われるが、実は最強の浄化能力者で運命の番でした
水凪しおん
BL
貧しい村で育った隠れオメガのリアム。彼の運命は、冷酷無比と噂される『銀薔薇の公爵』アシュレイと出会ったことで、激しく動き出す。
強大な魔力の呪いに苦しむ公爵にとって、リアムの持つ不思議な『浄化』の力は唯一の希望だった。道具として屋敷に囚われたリアムだったが、氷の仮面に隠された公爵の孤独と優しさに触れるうち、抗いがたい絆が芽生え始める。
「お前は、俺だけのものだ」
これは、身分も性も、運命さえも乗り越えていく、不器用で一途な二人の成り上がりロマンス。惹かれ合う魂が、やがて世界の理をも変える奇跡を紡ぎ出す――。
ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる
cheeery
BL
告白23連敗中の高校二年生・浅海凪。失恋のショックと友人たちの悪ノリから、クラス一のモテ男で親友、久遠碧斗に勢いで「付き合うか」と言ってしまう。冗談で済むと思いきや、碧斗は「いいよ」とあっさり承諾し本気で付き合うことになってしまった。
「付き合おうって言ったのは凪だよね」
あの流れで本気だとは思わないだろおおお。
凪はなんとか碧斗に愛想を尽かされようと、嫌われよう大作戦を実行するが……?
【本編完結】あれで付き合ってないの? ~ 幼馴染以上恋人未満 ~
一ノ瀬麻紀
BL
産まれた時から一緒の二人は、距離感バグった幼馴染。
そんな『幼馴染以上恋人未満』の二人が、周りから「え? あれでまだ付き合ってないの?」と言われつつ、見守られているお話。
オメガバースですが、Rなし全年齢BLとなっています。
(ほんのりRの番外編は『麻紀の色々置き場』に載せてあります)
番外編やスピンオフも公開していますので、楽しんでいただけると嬉しいです。
11/15 より、「太陽の話」(スピンオフ2)を公開しました。完結済。
表紙と挿絵は、トリュフさん(@trufflechocolat)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる