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Je t’aime plus que tout.
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どれほどユヅルを感じ、愛し合っただろう。
その間にあのドレスも脱がし、私たちはお互いに裸のまま愛を育み続けた。
私の重すぎる愛を受け止めるにはあまりにも小さすぎる身体なのに、それでもユヅルは私との愛を嫌がるそぶりは微塵もなかった。
意識を失う最後まで私を愛していると言ってくれた。
その言葉にまた興奮してユヅルを貪り続けた私は鬼畜と言われても仕方がないかもしれない。
壊したいわけではない。
ただ余りある私の愛を感じて欲しいだけだ。
腕の中で力無くぐったりと眠るユヅルを抱き上げ、風呂に連れていく。
ベルを鳴らし、その間にシーツの交換をさせておく。
色気たっぷりなユヅルを見せるわけにはいかないから、ジュールと顔を合わせることもないが、ドレスも私の正装も床に散乱したこの惨状を見て、きっとジュールは大きなため息を吐いていることだろう。
だが、今日は初夜なのだ。
その言葉だけで許してほしい。
明るい風呂場でも目を覚ます気配がないほど力尽きているのだろう。
赤い花びらでいっぱいになったユヅルの身体を清めて、中に出したたっぷりの蜜も指で掻き出すと、ユヅルがその刺激に身悶える。
その可愛らしい姿にすぐに滾りそうになるが、ここは抑えなければ。
これ以上鬼畜になってはいけない。
そう自ら戒めながら、早々に風呂場を去った。
柔らかなバスタオルで全身の水分を吸わせてから、寝室に戻ると先ほどまで散乱していたものは全てなくなり、シーツもここに入った時と同じ綺麗な状態に戻っていた。
さすがだな。ジュールは。
あのドレスは今頃特別なクリーニングに回されていることだろう。
最初こそ汚れないようにと気を遣ったが、ユヅルと愛し合っている最中は私も無我夢中でドレスに注意を向ける余裕もなかった。
それでもあのドレスはユヅルとの結婚式の思い出のある大事なドレス。
きっと美しい姿で戻ってくるはずだ。
ベッド脇のテーブルに置かれた水と薬。
その下にはメモ書きが置いてあった。
<旦那さま。今宵は一生に一度の大切な夜でございますので無粋なことは申しませんが、どうぞお眠りの前にこのお薬だけは必ずユヅルさまにお飲ませください>
ユヅルを孫のように可愛がっているジュールのことだ。
きっと心配で心配でたまらないのだろうが、今日のこの日をきちんと理解してくれているのはありがたい。
ジュールの思いに関ししながら、私は薬と水を口に含みユヅルに少しずつ飲ませた。
ごくっと喉が動くのを確認して、もう一度水を飲ませるとユヅルは美味しそうに水を飲み干した。
これで回復も早いだろう。
私は吸い付くように滑らかなユヅルの肌の感触をたっぷりと堪能しながら、しばしの眠りについた。
それから数時間ほど経っただろうか。
腕の中のユヅルが身動ぐ感覚に目を覚ました。
私の胸元に擦り寄り幸せそうに眠るユヅルを見つめていると、ユヅルの口から声が漏れる。
優しく名前を呼びかけると、ゆっくりと瞼が開いて美しい瞳が私の顔を映した。
私の名を呼ぼうとして咳き込んだユヅルに何度か水を飲ませると、ようやく声が出るようになったようだ。
ユヅルがあまりにも可愛くて手放せなかったと詫びたのだが、ユヅルはケダモノと化した私を怒るでもなく、
「エヴァンさん、ぎゅーして」
と可愛らしく強請ってくる。
その可愛らしさに思わず放心していると、もう一度可愛い声で強請られる。
この可愛いものを誰にも奪われないようにしっかりと腕の中に抱きしめると、
「ふふっ。エヴァンさんの匂いがする……香水をつけてるエヴァンさんも好きだけど、僕しか知らないこの匂いが好き」
とまた可愛いことを言ってくる。
フランスのみならず、ヨーロッパでは男女問わず香水をつけることは珍しくない。
私には専属の調香師がいるが、その彼が作る香水が最も素晴らしいと思っている。
ユヅルにも香水をつけさせているが、これは私の香水をユヅル用にアレンジしたもので大元の香りは同じものらしい。
そこにユヅルのイメージに合う香りを足しているそうだが、これが私のユヅルに対するイメージにピッタリなのだ。
元々香水は同じ香水でも時間と共に体臭で変わっていくものなのだが、ユヅルには体臭というものはほとんどない。
だからいつまでもつけた時のままの香りを維持している。
ユヅルの体臭を感じるのは、私と愛し合って少し汗ばんだ時だけ。
その香りを知っているのはこの世の中に私だけという事実が、私を高揚させる。
だからこそ、普段のユヅルには香水をつけさせているのだ。
私はユヅルと違って体臭がある。
自分ではわからないが、おそらくあるだろう。
ユヅルに不快な思いをさせないように常に香水をつけているが、何もつけていない私の匂いが好きだと言われると喜びしかない。
体臭をいい匂いだと感じるのは運命の相手なのだと聞いたことがあるが、それは真実なのだろうな。
ユヅルが嬉しそうに擦り寄ってくると、興奮して匂いが濃くなる気がする。
それでもユヅルがさらに嬉しそうにしてくれるから、私は幸せなのだ。
ユヅルはようやく自分が裸で私と抱き合っていることに気づき、ドレスをいつのまに脱いだのかと尋ねてきたが、風呂に入るときに脱がせたと教えておいた。
本当はもっと前にユヅルが乱れに乱れているときに脱がせたのだが、そこは内緒にしておこう。
きっとユヅルの中ではドレスを着たまま愛し合いたいという私の願いを叶えたと思っているだろうから。
ドレスを脱がせたことにも気づかないほど無理をさせて悪かったと再度詫びを入れると、
僕……嬉しかったですよ。初めてエヴァンさんとあのお屋敷で愛し合った日みたいで……」
とほんのり頬を染めながら言ってくれる。
『ユヅル……Je t’aime plus que tout.』
あの時と同じ甘い言葉を囁けば、ユヅルもまた
『Tu es l’amour de ma vie.』
と返してくれる。
愛し合っている時のような辿々しさはなくても、私にとっては最高の言葉だ。
ユヅルこそ、私の人生で最愛の人だよ。
そんな思いを込めながら、私はユヅルを強く抱きしめた。
その間にあのドレスも脱がし、私たちはお互いに裸のまま愛を育み続けた。
私の重すぎる愛を受け止めるにはあまりにも小さすぎる身体なのに、それでもユヅルは私との愛を嫌がるそぶりは微塵もなかった。
意識を失う最後まで私を愛していると言ってくれた。
その言葉にまた興奮してユヅルを貪り続けた私は鬼畜と言われても仕方がないかもしれない。
壊したいわけではない。
ただ余りある私の愛を感じて欲しいだけだ。
腕の中で力無くぐったりと眠るユヅルを抱き上げ、風呂に連れていく。
ベルを鳴らし、その間にシーツの交換をさせておく。
色気たっぷりなユヅルを見せるわけにはいかないから、ジュールと顔を合わせることもないが、ドレスも私の正装も床に散乱したこの惨状を見て、きっとジュールは大きなため息を吐いていることだろう。
だが、今日は初夜なのだ。
その言葉だけで許してほしい。
明るい風呂場でも目を覚ます気配がないほど力尽きているのだろう。
赤い花びらでいっぱいになったユヅルの身体を清めて、中に出したたっぷりの蜜も指で掻き出すと、ユヅルがその刺激に身悶える。
その可愛らしい姿にすぐに滾りそうになるが、ここは抑えなければ。
これ以上鬼畜になってはいけない。
そう自ら戒めながら、早々に風呂場を去った。
柔らかなバスタオルで全身の水分を吸わせてから、寝室に戻ると先ほどまで散乱していたものは全てなくなり、シーツもここに入った時と同じ綺麗な状態に戻っていた。
さすがだな。ジュールは。
あのドレスは今頃特別なクリーニングに回されていることだろう。
最初こそ汚れないようにと気を遣ったが、ユヅルと愛し合っている最中は私も無我夢中でドレスに注意を向ける余裕もなかった。
それでもあのドレスはユヅルとの結婚式の思い出のある大事なドレス。
きっと美しい姿で戻ってくるはずだ。
ベッド脇のテーブルに置かれた水と薬。
その下にはメモ書きが置いてあった。
<旦那さま。今宵は一生に一度の大切な夜でございますので無粋なことは申しませんが、どうぞお眠りの前にこのお薬だけは必ずユヅルさまにお飲ませください>
ユヅルを孫のように可愛がっているジュールのことだ。
きっと心配で心配でたまらないのだろうが、今日のこの日をきちんと理解してくれているのはありがたい。
ジュールの思いに関ししながら、私は薬と水を口に含みユヅルに少しずつ飲ませた。
ごくっと喉が動くのを確認して、もう一度水を飲ませるとユヅルは美味しそうに水を飲み干した。
これで回復も早いだろう。
私は吸い付くように滑らかなユヅルの肌の感触をたっぷりと堪能しながら、しばしの眠りについた。
それから数時間ほど経っただろうか。
腕の中のユヅルが身動ぐ感覚に目を覚ました。
私の胸元に擦り寄り幸せそうに眠るユヅルを見つめていると、ユヅルの口から声が漏れる。
優しく名前を呼びかけると、ゆっくりと瞼が開いて美しい瞳が私の顔を映した。
私の名を呼ぼうとして咳き込んだユヅルに何度か水を飲ませると、ようやく声が出るようになったようだ。
ユヅルがあまりにも可愛くて手放せなかったと詫びたのだが、ユヅルはケダモノと化した私を怒るでもなく、
「エヴァンさん、ぎゅーして」
と可愛らしく強請ってくる。
その可愛らしさに思わず放心していると、もう一度可愛い声で強請られる。
この可愛いものを誰にも奪われないようにしっかりと腕の中に抱きしめると、
「ふふっ。エヴァンさんの匂いがする……香水をつけてるエヴァンさんも好きだけど、僕しか知らないこの匂いが好き」
とまた可愛いことを言ってくる。
フランスのみならず、ヨーロッパでは男女問わず香水をつけることは珍しくない。
私には専属の調香師がいるが、その彼が作る香水が最も素晴らしいと思っている。
ユヅルにも香水をつけさせているが、これは私の香水をユヅル用にアレンジしたもので大元の香りは同じものらしい。
そこにユヅルのイメージに合う香りを足しているそうだが、これが私のユヅルに対するイメージにピッタリなのだ。
元々香水は同じ香水でも時間と共に体臭で変わっていくものなのだが、ユヅルには体臭というものはほとんどない。
だからいつまでもつけた時のままの香りを維持している。
ユヅルの体臭を感じるのは、私と愛し合って少し汗ばんだ時だけ。
その香りを知っているのはこの世の中に私だけという事実が、私を高揚させる。
だからこそ、普段のユヅルには香水をつけさせているのだ。
私はユヅルと違って体臭がある。
自分ではわからないが、おそらくあるだろう。
ユヅルに不快な思いをさせないように常に香水をつけているが、何もつけていない私の匂いが好きだと言われると喜びしかない。
体臭をいい匂いだと感じるのは運命の相手なのだと聞いたことがあるが、それは真実なのだろうな。
ユヅルが嬉しそうに擦り寄ってくると、興奮して匂いが濃くなる気がする。
それでもユヅルがさらに嬉しそうにしてくれるから、私は幸せなのだ。
ユヅルはようやく自分が裸で私と抱き合っていることに気づき、ドレスをいつのまに脱いだのかと尋ねてきたが、風呂に入るときに脱がせたと教えておいた。
本当はもっと前にユヅルが乱れに乱れているときに脱がせたのだが、そこは内緒にしておこう。
きっとユヅルの中ではドレスを着たまま愛し合いたいという私の願いを叶えたと思っているだろうから。
ドレスを脱がせたことにも気づかないほど無理をさせて悪かったと再度詫びを入れると、
僕……嬉しかったですよ。初めてエヴァンさんとあのお屋敷で愛し合った日みたいで……」
とほんのり頬を染めながら言ってくれる。
『ユヅル……Je t’aime plus que tout.』
あの時と同じ甘い言葉を囁けば、ユヅルもまた
『Tu es l’amour de ma vie.』
と返してくれる。
愛し合っている時のような辿々しさはなくても、私にとっては最高の言葉だ。
ユヅルこそ、私の人生で最愛の人だよ。
そんな思いを込めながら、私はユヅルを強く抱きしめた。
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