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楽しい食事を
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『失礼致します。ご昼食の準備が整いました』
友人たちとの楽しい時間を過ごしていると、時間が経つのもあっという間だ。
もう昼食の時間らしい。
体調管理のためにも決められた時間に食事を摂ることが望ましい。
特にリオは一食でも逃したら、体調を崩してしまうからとミヅキがジュールに話していただけに、ジュールもそれを心配して用意したのだろう。
話を聞く限り我々と同じく、皆激しい夜を過ごしたようだからしっかりと栄養は摂らせないといけないな。
『アヤシロとユウキ、それからセルジュたちの食事はどうした?』
『はい。つい先ごろ、アヤシロさまとセルジュさまのお部屋にはお食事をお運び致しました。ユウキさまのお部屋はまだご連絡がありませんので……』
ジュールの言葉にミヅキは
『はぁー、やっぱり。想像していた通りだな』
と大きなため息を吐く。
『まぁまぁ、今日は特別な日だからそっとしておこう』
ジョルジュの言葉に渋々と言った表情で頷くミヅキだが、きっとソラを心配しているのだろう。
リオよりは体格が良いとはいえ、ユヅルと比べると華奢な体型に変わりはない。
それでユウキのような逞しい男の相手をしているのだから、身体の負担は相当のものだろう。
ミヅキもユウキと変わらぬ逞しい身体をしている。
負担の大きさで言えば、おそらくここにいる誰よりもリオの負担は大きい。
その上、体力もないのだからミヅキが過保護になるのも無理はない。
だからこそ、リオに負担をかけないように必死で自分の欲望と戦い続けているのだろうな。
『恋人同士のことは我々が口を出しても仕方がない。それにいくらユウキでもミヅキが心配するほどのことはしないだろう?』
『普段の悠木ならこんなに心配することはないんですが……空良くんのこととなると本当に人が変わってしまうんですよ……』
『そこまでか?』
『ええ。きっとロレーヌも後で二人の、いや空良くんの姿を見れば、私が心配する気持ちがわかりますよ』
ミヅキの言葉に私は半信半疑だったが、それから数時間後にようやくやってきたユウキたちの、いやソラの姿にミヅキの言葉が間違いではなかったことを知ったのだ。
「ユヅル、昼食の支度ができたようだ。ダイニングルームに移動しようか。それとも、ここに料理を運んでもらおうか?」
「わぁ、ここで食べられるならここが良いです。ここ、すっごく居心地がいいから」
「ふふっ。そうか、ならそうしよう」
ここはアマネも気に入っていた場所だった。
ニコラとここで過ごしていたのを何度も見かけたことがある。
やはり親子は好みも似るのだな。
ニコラとアマネの思い出の場所で、ユヅルが友人たちと楽しい時間を過ごしているとは、なんとも言えない幸せが込み上げる。
この場所はいつまでも大切にしておかねばならないな。
「わぁ、美味しそう!」
「理央くん、このローストビーフのサンドイッチは本当に美味しいんだよ! 僕でも2個はぺろっと食べられるんだ!」
「ええー、こんなに大きいのに? すごい!」
「ふふっ。食べてみたらわかるよ。ねぇ、リュカ。これ、あっという間に食べられちゃうよね」
「ええ。そうですね。ここのローストビーフは最高です。外食でもなかなか食べられないですよ」
「わぁーっ、楽しみ!」
リオの屈託のない笑顔に、ユヅルは嬉しそうに微笑む。
同じ年の二人だが、リオはユヅルよりも年下に見える。
あの四人を兄弟のように見立てれば、リュカは頼りになる長男、シュウゴは長男を助け、弟たちをそっと見守る次男、ユヅルは兄たちに守られ、弟を守る三男。
そして、リオはみんなから愛される末っ子だろうな。
兄弟のいなかったユヅルには、今が楽しくて仕方がないだろう。
やはり皆が帰った後が心配だな。
ミシェルがいてくれるからそこまで落ちることはないだろうが、それでもやはり同じ日本人の友人がそばにいてくれたらユヅルも楽しいだろう。
ミヅキには移住の件をもう一度口説いてみるとするか。
仕事のパートナーとしても魅力的な男だからな。
それぞれの伴侶を膝に乗せて、食事を始める。
リュカだけは少し恥ずかしがっていたが、ユヅルたちが大人しく私たちの膝の上で食事をしてくれるためにはリュカの協力は不可欠だ。
そのことがわかっているからか、リュカも大人しくジョルジュの膝に乗って食事を始めていた。
『ジョルジュ、重かったら言って。すぐに下りるよ』
と小声で訴えかけていたが、ジョルジュにとっては人前でリュカを膝に乗せて食事ができるなんて幸せにしか過ぎない。
だから、決して下ろしはしないだろう。
リュカはユヅルたちに比べれば、警備隊の副隊長だけあって体格はしっかりしているが、ジョルジュ相手ならなんの問題もない。
リュカを膝に乗せただけで疲れるようなら隊長なんてこなせるはずがないからな。
スオウたちはいつもの光景といった感じだ。
膝に乗せたままの食事の仕方が手慣れている。
スオウは我々の中で一番年下だが、最愛と過ごした年月は誰よりも長い。
だからだろうか、二人の間に漂う雰囲気はとても自然だ。
スオウは本当に幸せ者だな。
友人たちとの楽しい時間を過ごしていると、時間が経つのもあっという間だ。
もう昼食の時間らしい。
体調管理のためにも決められた時間に食事を摂ることが望ましい。
特にリオは一食でも逃したら、体調を崩してしまうからとミヅキがジュールに話していただけに、ジュールもそれを心配して用意したのだろう。
話を聞く限り我々と同じく、皆激しい夜を過ごしたようだからしっかりと栄養は摂らせないといけないな。
『アヤシロとユウキ、それからセルジュたちの食事はどうした?』
『はい。つい先ごろ、アヤシロさまとセルジュさまのお部屋にはお食事をお運び致しました。ユウキさまのお部屋はまだご連絡がありませんので……』
ジュールの言葉にミヅキは
『はぁー、やっぱり。想像していた通りだな』
と大きなため息を吐く。
『まぁまぁ、今日は特別な日だからそっとしておこう』
ジョルジュの言葉に渋々と言った表情で頷くミヅキだが、きっとソラを心配しているのだろう。
リオよりは体格が良いとはいえ、ユヅルと比べると華奢な体型に変わりはない。
それでユウキのような逞しい男の相手をしているのだから、身体の負担は相当のものだろう。
ミヅキもユウキと変わらぬ逞しい身体をしている。
負担の大きさで言えば、おそらくここにいる誰よりもリオの負担は大きい。
その上、体力もないのだからミヅキが過保護になるのも無理はない。
だからこそ、リオに負担をかけないように必死で自分の欲望と戦い続けているのだろうな。
『恋人同士のことは我々が口を出しても仕方がない。それにいくらユウキでもミヅキが心配するほどのことはしないだろう?』
『普段の悠木ならこんなに心配することはないんですが……空良くんのこととなると本当に人が変わってしまうんですよ……』
『そこまでか?』
『ええ。きっとロレーヌも後で二人の、いや空良くんの姿を見れば、私が心配する気持ちがわかりますよ』
ミヅキの言葉に私は半信半疑だったが、それから数時間後にようやくやってきたユウキたちの、いやソラの姿にミヅキの言葉が間違いではなかったことを知ったのだ。
「ユヅル、昼食の支度ができたようだ。ダイニングルームに移動しようか。それとも、ここに料理を運んでもらおうか?」
「わぁ、ここで食べられるならここが良いです。ここ、すっごく居心地がいいから」
「ふふっ。そうか、ならそうしよう」
ここはアマネも気に入っていた場所だった。
ニコラとここで過ごしていたのを何度も見かけたことがある。
やはり親子は好みも似るのだな。
ニコラとアマネの思い出の場所で、ユヅルが友人たちと楽しい時間を過ごしているとは、なんとも言えない幸せが込み上げる。
この場所はいつまでも大切にしておかねばならないな。
「わぁ、美味しそう!」
「理央くん、このローストビーフのサンドイッチは本当に美味しいんだよ! 僕でも2個はぺろっと食べられるんだ!」
「ええー、こんなに大きいのに? すごい!」
「ふふっ。食べてみたらわかるよ。ねぇ、リュカ。これ、あっという間に食べられちゃうよね」
「ええ。そうですね。ここのローストビーフは最高です。外食でもなかなか食べられないですよ」
「わぁーっ、楽しみ!」
リオの屈託のない笑顔に、ユヅルは嬉しそうに微笑む。
同じ年の二人だが、リオはユヅルよりも年下に見える。
あの四人を兄弟のように見立てれば、リュカは頼りになる長男、シュウゴは長男を助け、弟たちをそっと見守る次男、ユヅルは兄たちに守られ、弟を守る三男。
そして、リオはみんなから愛される末っ子だろうな。
兄弟のいなかったユヅルには、今が楽しくて仕方がないだろう。
やはり皆が帰った後が心配だな。
ミシェルがいてくれるからそこまで落ちることはないだろうが、それでもやはり同じ日本人の友人がそばにいてくれたらユヅルも楽しいだろう。
ミヅキには移住の件をもう一度口説いてみるとするか。
仕事のパートナーとしても魅力的な男だからな。
それぞれの伴侶を膝に乗せて、食事を始める。
リュカだけは少し恥ずかしがっていたが、ユヅルたちが大人しく私たちの膝の上で食事をしてくれるためにはリュカの協力は不可欠だ。
そのことがわかっているからか、リュカも大人しくジョルジュの膝に乗って食事を始めていた。
『ジョルジュ、重かったら言って。すぐに下りるよ』
と小声で訴えかけていたが、ジョルジュにとっては人前でリュカを膝に乗せて食事ができるなんて幸せにしか過ぎない。
だから、決して下ろしはしないだろう。
リュカはユヅルたちに比べれば、警備隊の副隊長だけあって体格はしっかりしているが、ジョルジュ相手ならなんの問題もない。
リュカを膝に乗せただけで疲れるようなら隊長なんてこなせるはずがないからな。
スオウたちはいつもの光景といった感じだ。
膝に乗せたままの食事の仕方が手慣れている。
スオウは我々の中で一番年下だが、最愛と過ごした年月は誰よりも長い。
だからだろうか、二人の間に漂う雰囲気はとても自然だ。
スオウは本当に幸せ者だな。
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