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番外編
香りの悪戯 <周平&敬介Ver.> 9
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ようやく終盤。次回で終われるかどうか……。
楽しんでいただけると嬉しいです♡
* * *
「申し訳ない。ちょっと失礼する」
話の途中なのに電話を優先させたのは、おそらくそれが母親からだと感じたからだ。
スマホの画面に視線を向けると思った通り、画面には母と出ていた。
「母からだ。何かわかったら連絡すると言っていたから、もしかしたら元に戻れるかもしれない」
私の言葉に笑顔を浮かべる浅香くんを愛おしく思いながら、私はその場で電話をとった。
スピーカーにはせずにとったのは、悪い報告だった時のためだ。
ただでさえ不安になっている浅香くんをさらに不安にさせたくはなかった。
ーもしもし。
ーあ、周平。友人に連絡が取れたわ。
ーそれでなんだって? 元に戻る方法はわかったのか?
ーそれがね、身体が変化してしまうのは本人が心の奥底で望んでいた場合だっていうのよ。
ーえっ? 本人が?
驚きの声をあげ敬介を見つめると、浅香くんは不思議そうに私を見ていた。
本人が望んだってどういうことだ? 女性になりたかったとでもいうのか?
かなり混乱してきたが、とりあえず話の続きを聞かなければどうしようもない。
ーそれでどうしたらいいんだ?
ー本人が望むようにしたら元の姿に戻れるんだって。だから、周平はしっかりと敬介くんの気持ちを聞いてあげて。
ーわかった。また何かあれば連絡するよ。
とりあえずそれだけ告げて電話を切った。
「あの、俺が何かしたんでしょうか?」
不安げに私を見つめる浅香くんにどうやって話を切り出そうか悩む。
心の奥底で浅香くんが女性になることを望んでいた理由…‥。それを聞かなければ話は進まないということか。
「浅香くん、先に電話で中断していた話の続きをしたいんだ。いいかな?」
「えっ……はい」
「こっちで話そう」
彼の手を取り、連れて行ったのは私の寝室。
ベッドを見て少し身体を震わせる浅香くんに私は優しく声をかける。
「大丈夫。何もしないよ。ただ、ここなら身も心も曝け出して話ができると思うんだ」
「身も、心も?」
「ああ。さぁ、おいで」
私が手を繋いだままベッドに腰を下ろすと、彼もまた浅くベッドに腰かけた。
「浅香くんが特別だって話だったね」
「は、はい。あの、それって……」
「その言葉の通りだよ。今日、初めて君を見た時、身体中を電流が貫くようなそんな衝撃を感じた。生まれて初めての感覚に最初はどうしてかわからなかった。でも、君と過ごすうちにわかった。私は浅香くんに惹かれたんだ」
「お兄さん……それなら、俺が男だって知ってがっかりしたでしょう?」
「それが、逆に嬉しかったんだよ」
「えっ? 嬉しい? どういうことですか?」
俯いていた浅香くんが驚いた様子で顔を上げた。目を丸くしているのが実に可愛い。
「私は決して同性愛者ではない。でも、同様に異性愛者でもないんだ」
「えっ?」
「私はね、今まで誰にも興味を持つことはなかった。惹かれた人もいない。だから、一生一人だと思っていたんだ」
仲睦まじい両親を見て憧れを抱いたことはもちろんあった。いつか私もあんなふうに愛し合える人に出会えるかもしれないという期待もあった。だが年齢を重ねるうちに嫌な部分ばかりが目について興味すらもたなくなった。だからもう諦めていたんだ。
自分の気持ちを必死に浅香くんに伝えると彼は静かに聞いてくれていた。
「でも浅香くんと出会ってこれが人を好きになることかと初めて理解したんだ。そして、君が本当は男性だと打ち明けられた時、がっかりなんて気持ちは一ミリもなかったよ。逆に男性の君を想像して、それでも惹かれている自分がいることに気づいた。だから、私は誰も愛せないんじゃなくて、浅香くん……君だけを愛してるってことなんだよ。だから、浅香くんは特別なんだ」
「――っ、お兄さん……っ」
「浅香くん!」
涙を潤ませながら、私に抱きついてきた彼を腕の中に閉じ込めるとこの上なく幸せな気分になる。
だが、私にはまだ聞かなければいけないことがある。
彼が心の奥底で女性化を望んでいた理由だ。
私は彼を胸に抱いたまま、ゆっくりと口を開いた。
「君がトイレで嗅いだアロマは、母が言うには、『運命の相手を見分ける力』があるんだそうだ。運命の相手同士には元々それぞれ同じ香りを纏っていて、あのアロマはその香りを覚えていて、同じ香りを纏う人が現れるとその人を惹きつけるために強い香りを発するそうだよ」
「えっ? じゃああの時俺が嗅いだ香りが……」
「そういうことになるね。でもそれで身体が変化してしまうのは、本人が心の奥底でそれを望んでいた場合だと言うんだよ。浅香くん、それに思い当たることはないかな?」
「俺が、望んでいた場合……あっ!!」
私の言葉に、少し考えていた浅香くんは一気に顔を真っ赤にして私を見つめた。
楽しんでいただけると嬉しいです♡
* * *
「申し訳ない。ちょっと失礼する」
話の途中なのに電話を優先させたのは、おそらくそれが母親からだと感じたからだ。
スマホの画面に視線を向けると思った通り、画面には母と出ていた。
「母からだ。何かわかったら連絡すると言っていたから、もしかしたら元に戻れるかもしれない」
私の言葉に笑顔を浮かべる浅香くんを愛おしく思いながら、私はその場で電話をとった。
スピーカーにはせずにとったのは、悪い報告だった時のためだ。
ただでさえ不安になっている浅香くんをさらに不安にさせたくはなかった。
ーもしもし。
ーあ、周平。友人に連絡が取れたわ。
ーそれでなんだって? 元に戻る方法はわかったのか?
ーそれがね、身体が変化してしまうのは本人が心の奥底で望んでいた場合だっていうのよ。
ーえっ? 本人が?
驚きの声をあげ敬介を見つめると、浅香くんは不思議そうに私を見ていた。
本人が望んだってどういうことだ? 女性になりたかったとでもいうのか?
かなり混乱してきたが、とりあえず話の続きを聞かなければどうしようもない。
ーそれでどうしたらいいんだ?
ー本人が望むようにしたら元の姿に戻れるんだって。だから、周平はしっかりと敬介くんの気持ちを聞いてあげて。
ーわかった。また何かあれば連絡するよ。
とりあえずそれだけ告げて電話を切った。
「あの、俺が何かしたんでしょうか?」
不安げに私を見つめる浅香くんにどうやって話を切り出そうか悩む。
心の奥底で浅香くんが女性になることを望んでいた理由…‥。それを聞かなければ話は進まないということか。
「浅香くん、先に電話で中断していた話の続きをしたいんだ。いいかな?」
「えっ……はい」
「こっちで話そう」
彼の手を取り、連れて行ったのは私の寝室。
ベッドを見て少し身体を震わせる浅香くんに私は優しく声をかける。
「大丈夫。何もしないよ。ただ、ここなら身も心も曝け出して話ができると思うんだ」
「身も、心も?」
「ああ。さぁ、おいで」
私が手を繋いだままベッドに腰を下ろすと、彼もまた浅くベッドに腰かけた。
「浅香くんが特別だって話だったね」
「は、はい。あの、それって……」
「その言葉の通りだよ。今日、初めて君を見た時、身体中を電流が貫くようなそんな衝撃を感じた。生まれて初めての感覚に最初はどうしてかわからなかった。でも、君と過ごすうちにわかった。私は浅香くんに惹かれたんだ」
「お兄さん……それなら、俺が男だって知ってがっかりしたでしょう?」
「それが、逆に嬉しかったんだよ」
「えっ? 嬉しい? どういうことですか?」
俯いていた浅香くんが驚いた様子で顔を上げた。目を丸くしているのが実に可愛い。
「私は決して同性愛者ではない。でも、同様に異性愛者でもないんだ」
「えっ?」
「私はね、今まで誰にも興味を持つことはなかった。惹かれた人もいない。だから、一生一人だと思っていたんだ」
仲睦まじい両親を見て憧れを抱いたことはもちろんあった。いつか私もあんなふうに愛し合える人に出会えるかもしれないという期待もあった。だが年齢を重ねるうちに嫌な部分ばかりが目について興味すらもたなくなった。だからもう諦めていたんだ。
自分の気持ちを必死に浅香くんに伝えると彼は静かに聞いてくれていた。
「でも浅香くんと出会ってこれが人を好きになることかと初めて理解したんだ。そして、君が本当は男性だと打ち明けられた時、がっかりなんて気持ちは一ミリもなかったよ。逆に男性の君を想像して、それでも惹かれている自分がいることに気づいた。だから、私は誰も愛せないんじゃなくて、浅香くん……君だけを愛してるってことなんだよ。だから、浅香くんは特別なんだ」
「――っ、お兄さん……っ」
「浅香くん!」
涙を潤ませながら、私に抱きついてきた彼を腕の中に閉じ込めるとこの上なく幸せな気分になる。
だが、私にはまだ聞かなければいけないことがある。
彼が心の奥底で女性化を望んでいた理由だ。
私は彼を胸に抱いたまま、ゆっくりと口を開いた。
「君がトイレで嗅いだアロマは、母が言うには、『運命の相手を見分ける力』があるんだそうだ。運命の相手同士には元々それぞれ同じ香りを纏っていて、あのアロマはその香りを覚えていて、同じ香りを纏う人が現れるとその人を惹きつけるために強い香りを発するそうだよ」
「えっ? じゃああの時俺が嗅いだ香りが……」
「そういうことになるね。でもそれで身体が変化してしまうのは、本人が心の奥底でそれを望んでいた場合だと言うんだよ。浅香くん、それに思い当たることはないかな?」
「俺が、望んでいた場合……あっ!!」
私の言葉に、少し考えていた浅香くんは一気に顔を真っ赤にして私を見つめた。
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