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初めての言葉と凌也の野望
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<side麗花>
理央が我が家の一員になって三ヶ月。
最初の小さく弱々しかった身体はぷっくりとして赤ちゃんらしい体型になった。
離乳食も量はそこまで食べられないけれど、どんなものも好き嫌いなく食べてくれる。
先日測った身長は六十二センチ。体重は六キロ。
成長曲線こそまだ下回っているものの、三か月前に我が家に来たときの小さすぎる体型から考えるとかなりの伸びだ。
一才を迎える頃には成長曲線の中に入れるようになるだろうと久嗣さんも言ってくれているし安心だわ。
凌也は身長七十五センチ。体重は十キロ。
どちらも九か月の成長曲線の最上位に当たるほど大きくなった。
元々骨ががっしりしていて足の力も強かったから大きくなるだろうと久嗣さんも言っていたけれど、本当に大きい。
なので家族でのお出かけで抱っこしなくてはいけない時は、凌也はもっぱら久嗣さんの担当だ。
私が一人で二人を連れて行く時用に使用する縦長と横長の双子用ベビーカーは、久嗣さんの友人の秋芳さんと寛海さんからの贈り物。
みんなに理央をお披露目した時に、凌也が理央を大好きで片時も離したくないという様子を見せていたことが面白かったようで凌也と理央のために特注のベビーカーを作ってくれた。
縦長タイプは通常あるはずの前と後ろの仕切りがなく、身体の大きな凌也が理央を後ろから抱きしめられる作りになっている。日除けと雨避け用に透明なカバーで覆われているから、完全に二人の世界の出来上がりだ。
もちろん、中は温度が一定になるように特別な機能が付いているので二人が熱中症になる心配はない。
横長タイプも同様に二人の間に仕切りはなく、眠たくなったら二人で寄り添って寝ることもできる。
これもまた透明なカバーで覆われているから完全に二人の世界。
どちらも二人の座席をくるりと私のほうに反転させることもできるので三人でおしゃべりしながら散歩や買い物を楽しむことができる。しかもどちらも二人分の重さとベビーカーを足して数十キロになるものなのに、私でも軽々と動かすことができる優れもの。
この二つのベビーカーのおかげで私もすごく楽になった。
何よりすれ違う人みんなが理央と凌也の可愛い姿に見惚れてくれるのよね。
そんな二人のママでいられるのが何よりも楽しい。
久嗣さんは私も含めて心配だからとベビーカーにGPSとカメラをつけてくれたおかげで安心して買い物に出られるけれど、できるだけ一緒の時にと言われている。
元々心配性なところがあったけれど、理央が息子になってそれがさらに加速した気がする。
それだけ家族を愛してくれているということだから嬉しいんだけどね。
そうそう。九か月を迎えた凌也がこの前初めて喋ったの。
これまで喃語と呼ばれるものはよく話していて、理央ともそれで会話していたみたいだけど、先日初めて言葉らしきものを喋った。
久嗣さんと以前から、凌也の初めての言葉は「ぱぱ」かしら? 「まま」かしら? と話をしていたのだけど、凌也から初めて出てきた言葉は
「いーお」
そう。理央の名前。
満面の笑みで凌也が「いーお」と呼んだ瞬間、理央は嬉しそうにハイハイで凌也に近づき、「あだっ、だっだ」と声をあげて飛びついた。
生まれて初めての言葉まで「りお」なんて……。
凌也にはもう全てが理央優先なのね。
密かに初めての言葉は「まま」かと期待していただけに少し寂しかったけれど、二人の幸せそうな姿を見ていたらどうでも良くなってくる。
理央の初めての言葉は何かしら?
「りょうや」は難しいかもしれないわね。
理央が「ぱぱ」と呼んだら久嗣さんに嫉妬しそう。
それもそれでちょっと見てみたいかも。
<おまけの凌也side>
とつぜん、ぼくのいえにやってきたあかちゃん。
かおをみてびっくりした。
すごくかわいくてどきどきした。
ちっちゃくてすぐにこわれてしまいそうで、そっとてをだしたら、ちっちゃなてがぼくのてをにぎった。
このこ、ぼくのだ!
そのとき、そうおもったんだ。
そこからはぼくのめには、このこしかうつらなくなった。
このこのなまえが「りお」だとしって、なんどもよびかけたけど、ぼくのくちからは「あぶ、あぶ」しかでてこない。
うー! なんでだよー。
でもぜったいなまえをよぶんだ! そう、こころにきめた。
いままでまいにち、ままとふたりだけのじかんが、りおがきてすごくたのしくなった。
りおをぎゅーしてねむるのがたのしい。
りおのゆびをなめたらあまくておいしかった。
おいしそうなうでにぱくってしたら「ふぇ……」ってちょっとなかれてびっくりしたけど、ぺろってしたらわらってなきやんでくれた。
そっか。ぱくはだめだけど、ぺろならいいんだ。
ぼくはひとつ、おりこうさんになった。
だからそれからはりおのかおをぺろぺろすることにした。
ゆびもうでもあまかったけど、ほっぺたはもっとあまかった。
くちはもっともっとあまかった。
りおがおきがえしているときになにもようふくをきていないのをみた。
りおのはだかがすっごくおいしそうであまそうだったから、いつかりおのぜんぶをぺろってしてみたいな。
そうおもっていたら、りおがねんねしてるとき、ようふくのすきまからかわいくておいしそうなのがみえて、おおいそぎでちかづいた。
かおをぐーっとちかづけて、ぺろってしようとおもったら
「こら、凌也。イタズラはダメだぞ」
とぱぱにおこられた。
そのかおがすっごくこわかったから、あきらめることにした。
でもいつかぜったいにぺろってするんだ!
まってろよ、りお!
* * *
最後、凌也がどうにも変態っぽくなってしまいました笑
完結記念に独立させることにしたんですが、需要があればもう少し書いてみようと思っています。
完全お遊びのもしもシリーズ、ここまで読んでくださりありがとうございます!
理央が我が家の一員になって三ヶ月。
最初の小さく弱々しかった身体はぷっくりとして赤ちゃんらしい体型になった。
離乳食も量はそこまで食べられないけれど、どんなものも好き嫌いなく食べてくれる。
先日測った身長は六十二センチ。体重は六キロ。
成長曲線こそまだ下回っているものの、三か月前に我が家に来たときの小さすぎる体型から考えるとかなりの伸びだ。
一才を迎える頃には成長曲線の中に入れるようになるだろうと久嗣さんも言ってくれているし安心だわ。
凌也は身長七十五センチ。体重は十キロ。
どちらも九か月の成長曲線の最上位に当たるほど大きくなった。
元々骨ががっしりしていて足の力も強かったから大きくなるだろうと久嗣さんも言っていたけれど、本当に大きい。
なので家族でのお出かけで抱っこしなくてはいけない時は、凌也はもっぱら久嗣さんの担当だ。
私が一人で二人を連れて行く時用に使用する縦長と横長の双子用ベビーカーは、久嗣さんの友人の秋芳さんと寛海さんからの贈り物。
みんなに理央をお披露目した時に、凌也が理央を大好きで片時も離したくないという様子を見せていたことが面白かったようで凌也と理央のために特注のベビーカーを作ってくれた。
縦長タイプは通常あるはずの前と後ろの仕切りがなく、身体の大きな凌也が理央を後ろから抱きしめられる作りになっている。日除けと雨避け用に透明なカバーで覆われているから、完全に二人の世界の出来上がりだ。
もちろん、中は温度が一定になるように特別な機能が付いているので二人が熱中症になる心配はない。
横長タイプも同様に二人の間に仕切りはなく、眠たくなったら二人で寄り添って寝ることもできる。
これもまた透明なカバーで覆われているから完全に二人の世界。
どちらも二人の座席をくるりと私のほうに反転させることもできるので三人でおしゃべりしながら散歩や買い物を楽しむことができる。しかもどちらも二人分の重さとベビーカーを足して数十キロになるものなのに、私でも軽々と動かすことができる優れもの。
この二つのベビーカーのおかげで私もすごく楽になった。
何よりすれ違う人みんなが理央と凌也の可愛い姿に見惚れてくれるのよね。
そんな二人のママでいられるのが何よりも楽しい。
久嗣さんは私も含めて心配だからとベビーカーにGPSとカメラをつけてくれたおかげで安心して買い物に出られるけれど、できるだけ一緒の時にと言われている。
元々心配性なところがあったけれど、理央が息子になってそれがさらに加速した気がする。
それだけ家族を愛してくれているということだから嬉しいんだけどね。
そうそう。九か月を迎えた凌也がこの前初めて喋ったの。
これまで喃語と呼ばれるものはよく話していて、理央ともそれで会話していたみたいだけど、先日初めて言葉らしきものを喋った。
久嗣さんと以前から、凌也の初めての言葉は「ぱぱ」かしら? 「まま」かしら? と話をしていたのだけど、凌也から初めて出てきた言葉は
「いーお」
そう。理央の名前。
満面の笑みで凌也が「いーお」と呼んだ瞬間、理央は嬉しそうにハイハイで凌也に近づき、「あだっ、だっだ」と声をあげて飛びついた。
生まれて初めての言葉まで「りお」なんて……。
凌也にはもう全てが理央優先なのね。
密かに初めての言葉は「まま」かと期待していただけに少し寂しかったけれど、二人の幸せそうな姿を見ていたらどうでも良くなってくる。
理央の初めての言葉は何かしら?
「りょうや」は難しいかもしれないわね。
理央が「ぱぱ」と呼んだら久嗣さんに嫉妬しそう。
それもそれでちょっと見てみたいかも。
<おまけの凌也side>
とつぜん、ぼくのいえにやってきたあかちゃん。
かおをみてびっくりした。
すごくかわいくてどきどきした。
ちっちゃくてすぐにこわれてしまいそうで、そっとてをだしたら、ちっちゃなてがぼくのてをにぎった。
このこ、ぼくのだ!
そのとき、そうおもったんだ。
そこからはぼくのめには、このこしかうつらなくなった。
このこのなまえが「りお」だとしって、なんどもよびかけたけど、ぼくのくちからは「あぶ、あぶ」しかでてこない。
うー! なんでだよー。
でもぜったいなまえをよぶんだ! そう、こころにきめた。
いままでまいにち、ままとふたりだけのじかんが、りおがきてすごくたのしくなった。
りおをぎゅーしてねむるのがたのしい。
りおのゆびをなめたらあまくておいしかった。
おいしそうなうでにぱくってしたら「ふぇ……」ってちょっとなかれてびっくりしたけど、ぺろってしたらわらってなきやんでくれた。
そっか。ぱくはだめだけど、ぺろならいいんだ。
ぼくはひとつ、おりこうさんになった。
だからそれからはりおのかおをぺろぺろすることにした。
ゆびもうでもあまかったけど、ほっぺたはもっとあまかった。
くちはもっともっとあまかった。
りおがおきがえしているときになにもようふくをきていないのをみた。
りおのはだかがすっごくおいしそうであまそうだったから、いつかりおのぜんぶをぺろってしてみたいな。
そうおもっていたら、りおがねんねしてるとき、ようふくのすきまからかわいくておいしそうなのがみえて、おおいそぎでちかづいた。
かおをぐーっとちかづけて、ぺろってしようとおもったら
「こら、凌也。イタズラはダメだぞ」
とぱぱにおこられた。
そのかおがすっごくこわかったから、あきらめることにした。
でもいつかぜったいにぺろってするんだ!
まってろよ、りお!
* * *
最後、凌也がどうにも変態っぽくなってしまいました笑
完結記念に独立させることにしたんですが、需要があればもう少し書いてみようと思っています。
完全お遊びのもしもシリーズ、ここまで読んでくださりありがとうございます!
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