イケメンスパダリ弁護士に助け出されて運命が変わりました

波木真帆

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大事な練習※

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「ど、どうしたんですか?」

「午前中忙しかったから、理央が足りなくなった」

「俺が……たり、ない?」

「そう。だから、理央を充電させてくれ」

充電ってどういう意味?
って聞こうと思った瞬間、凌也さんの唇が重なっていた。

あ、充電って……キスなんだ。
うん。
俺にもじわじわとあったかいものが広がっているのがわかる。

当然のように凌也さんの舌が入ってきて、俺の口内を縦横無尽に動き回る。
舌先に絡みつかれたり吸い付かれたり……凌也さんの激しい動きにまだ戸惑いながらも絡み合う舌が気持ちよくて俺はされるがままにキスを受け続けていた。

クチュクチュと絡みあう音が聞こえて少し恥ずかしくなるけれど、凌也さんとのキスは本当に気持ちがいい。

ああ、これが充電されてるってことなのかな。

キスの時は鼻で息をするようにと言われて必死にやっているけれど、長いキスにだんだん苦しくなってきた。
凌也さんは俺のそんな様子に気づいたのか、ゆっくりと唇を離した。

「ふふっ。苦しかったか?」

俺が小さく頷くと、

「でもおかげで充電できたよ。これで午後も頑張れそうだ」

ともう一度ギュッと抱きしめてくれた。

そっか、俺でも役に立ってるんだ。
俺が凌也さんの仕事のためになっているのだと思うだけで嬉しくなっていた。


お昼ご飯は凌也さんが美味しいスパゲッティを作ってくれた。

「夜は和食だから、昼はこれくらい軽いものでいいだろう」

そう言っていたけれど、お肉がいっぱい入ったスパゲッティは俺にとってはボリュームたっぷりだった。
スパゲッティといえば、ケチャップ味のものしか知らないからこんなすごいのは初めてで夢中で食べてしまった。
それに柔らかい野菜がいっぱい入ったスープもとっても美味しかった。

「ふぅ……お腹いっぱい」

「ふふっ。よかった。あっ、そうだ、これを飲んでおいて」

「えっ、これは……?」

「消化を助ける薬だよ。理央はずっと満足に食事が取れてなかったから、急に食べすぎて身体がびっくりしないように飲んでおくんだ」

すごい、そんな薬があるんだ。

「はーい、わかりました」

凌也さんから水が入ったグラスと薬を手渡されてゴクリと飲み干した。
薬なのになんか甘くて美味しい。
これ、また飲みたいな。

「午後は早めに終わるから、終わったら出かける準備をしよう」

そう言われて、また2人で事務所へと下りるとちょうど榊さんが昼食から帰ってきたところだった。

「榊くん、今日は何を食べてきたんだ?」

「あそこの花屋さんの隣に新しくできたタイ料理カフェですよ。美味しいスイーツもあったから、今度理央くんと一緒に行かれてはどうですか?」

「ああ、あそこか。そうだな、今度行ってみるか」

タイ料理?
想像もつかないけど、榊さんが美味しいっていうなら美味しいんだろうな。
ふふっ。楽しみだ。


「理央、午後の勉強は少し休んでからにするんだぞ」

そう言われていたから、ソファーに座るとお腹がいっぱいになっていたからかそのまま眠ってしまっていた。



「あれ?」

目が覚めると、俺はベッドに寝ていた。

なんで?
いつの間に?

不思議に思いながら、ベッドから下りて2階へと向かうとリビングのソファーに凌也さんが座っているのが見えた。

「凌也さん……」

俺の声にすぐに反応して駆け寄ってきてくれる。
なんだかすごく大事にされてる感じがして嬉しい。

「もう起きたのか?」

「あの、俺……」

「気持ちよさそうに部屋のソファーで眠っていたから、寝室に移動させたんだよ。
ぐっすり眠れたみたいでよかった」

「目が覚めたらベッドで……1人だったから、その……寂しかった……です」

にっこりと微笑む凌也さんに、起きた時に思ったことを伝えると

「――っ、そうか……。寂しがらせて悪かったな」

と言いながらギュッと抱きしめてくれた。
ああ、やっぱりこの温もりがホッとする。


「あっ、お父さんたちとの食事会……」

「ふふっ。大丈夫だよ。まだ時間はたっぷりある。今から準備したら余裕だよ」

そう言って、凌也さんは俺をまた寝室へと連れていって、今日の食事会用の服を選んでくれた。

今回も凌也さんの服とよく似たものを選んでくれて嬉しい。

「よし、これでいい。じゃあ、行こうか」

ガレージに行き、選んだ車はこの前のとは違う大きなシルバーの車。
前脚を上げた馬の絵がついていてすごくかっこいい。

でも、それ以上に俺を助手席に乗せ、運転席に颯爽と乗り込む凌也さんがもっとかっこいい。

凌也さんに見惚れながら、車はどんどん進んでいく。

「あ、そうだ。理央。一つだけ、注意しておくことがある」

「えっ……」

なんだろう……ちょっと怖い。

「ふふっ。そんな大したことじゃないから、心配しないでいい。
理央は今自分のことを『俺』と呼んでいるが、これから大学生になってゆくゆくは私と一緒に働いてくれるようになるのだから、『俺』ではなくて、『僕』か『私』にした方がいいな。その方が相手が受ける印象も変わってくる」

「そっか……。凌也さんも『私』って言ってますね」

「ああ、親と後は親友と話す時以外は『私』だな」

「えっ? じゃあ、その時は……?」

「『俺』と言ってるよ。私の場合は使い分けをしているというよりは自然と変わってしまうんだがな」

そうなんだ……。

「じゃあ、俺……じゃない、僕の前でも『俺』って言ってください!」

「えっ?」

「だって、僕も家族になるんでしょ? 凌也さんが『俺』って言ってくれたら嬉しいです」

「そうか、そうだな。じゃあ、私は『俺』というから、理央は『僕』というようにしよう。練習できるか?」

「はい。頑張ります!」

「ふふっ。よし、いい子だ。理央は使い分けはできないだろうから、全て『僕』でいうようにしような」

「わかりました」

僕……僕……僕……。

それからお店に到着するまでの間、ずっと僕の練習を続けた。

お父さんやお母さんに挨拶する時も緊張して間違えないようにしないと!
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