イケメンスパダリ弁護士に助け出されて運命が変わりました

波木真帆

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凌也さんの気持ち

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パタンと扉が閉まって、

「ここに座って」

と佳都さんはにこやかな笑顔を向けてくれた。

僕は空良くんと顔を見合わせながら、おずおずとソファーに腰を下ろした。

「あの……」

「僕、佐倉さくら佳都けいと。今日は僕と直己さんの結婚式に来てくれてありがとう」

「いえ、あの……急に参加させてもらって、でもとっても嬉しいです」

「ふふっ。僕、悠木先生と観月さんから一緒に連れて行きたい子がいるって連絡をもらってからずっと会えるのを楽しみにしていたんだ。想像以上に可愛い子たちで正直ものすごく驚いてる」

「えっ? 可愛い? 空良くんは可愛いけど……僕は……」

「何言ってるの? 理央くんの方がずっと可愛いよ。僕……ロビーで会った時びっくりしたもん」

空良くんはまだ少し赤い目をしながらもそんなことを言ってくれる。
僕なんかより空良くんの方が断然可愛いのに……。

「ふふっ。僕に言わせたら2人とも可愛いよ。ねぇ、空良くん……悠木先生のこと好き?」

佳都さんに優しく問いかけられて、空良くんは思いっきり首を縦に振っていた。

「僕……人に優しくしてもらえたの初めてで……。寛人さん、僕のやりたいことなんでもやらせてくれて、食べたいものもなんでも食べさせてくれて……でも、それだけじゃなくて、一緒にいてすごく安心するんだ。でも僕……前に寛人さんが好きって言ってくれた時、好きって意味があんまりわからなくて……。でも、今は寛人さんと一緒にいる時間が幸せでたまらない。だから……」

「結婚できるって嬉しくなっちゃったんだ?」

「うん。でも寛人さん……僕が結婚できるって聞いても喜んでくれなかった……」

「ねぇ、空良くん。言葉ってね、聞こえたままの意味だとは限らないんだよ」

「えっ? それってどういう……」

「ふふっ。悠木先生、空良くんとの結婚を何も考えてないんじゃなくて、空良くんから結婚の話が出て嬉しすぎて反応できなかったんじゃないかな」

「嬉しすぎて……?」

「うん。だって、悠木先生……空良くんのこと大好きで大好きでたまらないって顔してたよ」

「えっ……本当に?」

「悠木先生って、誰にでも優しいけどあんなにもそばに居させるなんてこと絶対にしないもん。スーッと一線引いて、自分のプライベートな部分には絶対に踏み込ませたりしない。まぁそれは観月さんにも言えるんだけど。ねぇ、空良くんは悠木先生の家に一緒に住んでるんだよね? 理央くんも観月さんの事務所に住んでるんでしょ?」

佳都さんは空良くんと僕が大きく頷くのを満面の笑みで見つめながら、

「知ってた? 悠木先生の自宅に入ったことあるのって、ご両親と直己さんと観月さんだけなんだよ」

と教えてくれた。

「えっ……」

「観月さんはもっとだよね? 僕、直己さんから前に教えてもらったんだ。観月さんは事務所の3階には絶対に入れてくれないんだって。完全なプライベート空間だから、直己さんでも2階までしか入れてもらえないって」

「えっ……」

そうなんだ……。
確かにプライベート空間だとは聞いてたけど……まさか、あの親友さんたちも入ったことないなんて思ってなかった。

「理央くんは入ってるんでしょ?」

「はい。3階に僕の部屋作ってもらいました」

「わかる? 特別な空間に入れるって、それだけ大事な人だってことなんだよ。空良くんも理央くんもまだ出会って数日なんだよね? それなのに、もうそこまで入れてもらえてるってよっぽど相手のことを想っていないとできないんじゃないかな……」

佳都さんの言葉は胸に響く。
ずっと仲の良い親友さんたちも入ったことのない空間に僕を入れてくれて……そして、寝る時もずっと一緒にいてくれるんだ。
凌也さんがどれだけ僕を想ってくれてるか……今、やっとわかった。

「悠木先生も、観月さんも初めて人を好きになったんだって……直己さんが言ってた。直己さんもね、僕のこと生まれて初めて心から好きになった人なんだって。ふふっ。だから、悠木先生も観月さんも初めての恋に緊張してるんだよ。愛してると一緒にいるだけで緊張しちゃうんだね。悠木先生が空良くんの言葉にすぐに反応できなかったのも、緊張してたんじゃないかな」

「寛人さんが……そっか。そうなんだ……。僕、謝らなきゃ!」

「ふふっ。よかった」

そう言って微笑む佳都さんは本当に絵本で見た女神さまのように綺麗で優しい目をしていた。

「空良くんと理央くんは、今お勉強頑張ってるんだよね? 僕でよかったら相談に乗るからいつでも連絡してきてね。お勉強のことだけじゃなくて、悠木先生や観月さんのことで悩んだり困ったりしたことがあったらなんでも聞いてね」

「わぁっ! ありがとうございます!!」

すごい、頼れるお兄ちゃんみたいな存在ができて嬉しい。

「じゃあ、そろそろ行こっか。きっと悠木先生も観月さんも心配してるから」

ニコッと微笑みながら、僕たちをさっきの新郎さんの控え室へと連れて行ってくれた。

佳都さんが部屋をノックするとすぐに綾城さんが飛び出てきた。
やっぱり綾城さんも佳都さんのことが好きで好きでたまらないんだろうな……。

そっと悠木さんに目をやると、空良くんを見ている顔が緊張しているように見える。
本当だ。
悠木さんも空良くんが好きで好きでたまらないって顔してる。
佳都さんのいう通りだ。

そっか……。
僕、何も分かってなかったんだな。
後で謝らなきゃ!

そう思っていると、佳都さんは綾城さんと式のことで話があると部屋を出ていった。
悠木さんに謝らなきゃと思っている間に、僕は凌也さんに部屋を出されてしまった。
そのまま、さっきまでいた佳都さんの控室に凌也さんと戻った。

「あの……凌也さん――」
「理央、悠木に怒ってくれてありがとう」

「えっ?」

ごめんなさいと謝ろうとしたのに、なぜか凌也さんからお礼を言われてしまって、僕はただただびっくりするしかできなかった。
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