イケメンスパダリ弁護士に助け出されて運命が変わりました

波木真帆

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番外編

楽しい勉強会  <後編>

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「ねぇ、どうしたら満足してくれると思う?」

「そうだよね……。難しいなぁ、あ、でもこういうのってきっと佳都さんなら詳しく教えてくれそうじゃない?」

「ああーっ、確かに! じゃあ、今度連絡してみよっか!!」

「うん、それいいね。勉強を教えてもらうついでにそっちも教えてもらおう」

さすが、空良くん。
いいこと思いつくなぁ。

なんだか急にウキウキして楽しい気分になりながら、勉強を再開した。

気分がいいと勉強も捗るのかなぁ。
一人で勉強している時より進みがいい。

やっぱり友達と一緒に頑張るってやる気が出るのかもな。

いつもの数倍は頑張れたんじゃないかと自分でも満足していると、トントントンと扉を叩く音がして、ビクッとしてしまった。
ああ、いっつも音にビクッとしちゃうなぁ。

多分、日華園でこっそり勉強しているのが先生たちにバレないように物音がしたらすぐに気づくようになってたからかも。
勝手なことしてるとものすごく怒られたからね。

もう今はそんなことに怯えなくていいのに……もう身体に染みついちゃってしまっているのかもしれないな。

「はぁーい」

空良くんが可愛らしくノックに返事を返すと、

「空良、理央くん。昼食にしようか」

と悠木さんが来てくれた。

「わぁーい、観月さんのお弁当!」

「ふふっ。僕も楽しみ!」

凌也さんのお弁当を無邪気に喜ぶ空良くんを微笑ましく見ていると、悠木さんはさっと空良くんの隣に行き、耳元で何かを囁いていた。

何を言ったのかまでは僕には聞こえなかったけれど、空良くんの顔が真っ赤になってたからきっと甘い言葉でも囁かれたのかな。

ふふっ。やっぱり一緒にいられるっていいな。

凌也さんが帰ってきたら僕も甘い言葉を囁かれたい……なんて思っちゃう。

空良くんは赤くなった顔を隠すようにいそいそと昼食の用意を始めた。

三人で座れるようにささっと机を片付けて、お茶の用意をして……さすが手際がいい。
いつもここで二人でお昼を食べているんだろうな。

僕は一足早く席に座って、凌也さんが持たせてくれたバッグの中からお弁当を取り出した。

お弁当にはそれぞれ名前が貼ってあって、すぐに誰のものかわかるようになっている。
おお、さすがだな。凌也さん。

僕はそれぞれ名前のついたお弁当箱をみんなの前に置いた。

「わぁ、僕の名前が書いてある! ふふっ。楽しみだな」

「俺の名前も書いてあるな。なんか嫌な気しかしないんだが……」

悠木さんはなぜか嫌そうな顔をしながら、お弁当を開いたけれど、

「ああ、なんだ。懐かしいな」

凌也さんのお弁当を見て顔を綻ばせた。

「懐かしい?」

「ああ。俺が高校時代、たまに観月に作ってもらってた弁当と同じおかずが入ってるんだ。俺の好きなものばかり入れてある特別弁当。あいつ、理央くんのために俺に胡麻擦ったな」

そう言いながらも悠木さんはすごく嬉しそうだ。
綺麗に巻かれた卵焼きや唐揚げ、根菜類の煮物になんのお魚かわからないけど美味しそうな塩焼き。
そして綺麗に握られた海苔付きのおにぎり。
どれも丁寧に作られてて凌也さんが一生懸命作ったのがわかる。

こんな素敵なお弁当を高校生の時から食べてたなんて悠木さんが羨ましく思える。

「僕のお弁当はどんなのかなぁ」

悠木さんのお弁当を見て期待いっぱいになったんだろう。

「ねぇ、理央くんも一緒に開けよう」

そう誘われて、せーので一緒にお弁当を開けると、

「わぁーっ! すごい!!」

僕たちの四角いお弁当箱の真ん中に黄色い卵に巻かれた丸いオムライスがお揃いで入っていた。
周りにはタコさんの形をしたウインナーと美味しそうな唐揚げ、それにブロッコリーが置かれていた。

こんな夢のようなお弁当を遠足で持って行ってみたいと思ってた。
今、あの時の僕の夢が叶ったんだ。

「観月さんって本当料理が上手なんだね!」

「空良がそんなに喜ぶなら、俺も観月に料理を習おうかな」

「えー、僕は寛人さんの作ってくれる料理好きですよ。だって、僕の好きなものばかりだから」

「ふふっ。それならいい」

空良くんと悠木さんの幸せそうな会話を羨ましく思いながら、僕は目の前の凌也さんのお弁当を見ていた。

「「いただきまーす!」」

お弁当と一緒に入っていた小さなスプーンでオムライスを一口掬って口に運ぶと、ケチャップの甘いトマトの味と薄く巻かれた卵がすごく美味しい!

「おいし~い!!」

前に食べさせてもらったとろとろのオムライスもすっごく美味しかったけれど、このオムライスもびっくりするくらい美味しくて大きな声を出してしまった。

「ふふっ。本当に美味しいね」

「空良、そんなに美味しいなら一口くれないか?」

「うん、食べて」

悠木さんが口を開けると、空良くんは嬉しそうに自分のスプーンで口に運ぶ。

ああ、やっぱり食べさせ合うのって普通なんだ。
これから僕もどこでも凌也さんにあ~んしちゃおうっと。

二人がイチャイチャしながらお弁当を食べるのを見ながら、凌也さんのお弁当を堪能し、あっという間にお弁当は空になってしまった。

「ふぅ……美味しかった」

悠木さんが食後のデザートにプリンも出してくれてもう僕のお腹は大満足になっていた。

「観月から、理央くんは昼食後に仮眠をとるって聞いてるから眠くなったら寝ていいよ。ソファー使っていいからね」

「はい。ありがとうございます」

お腹いっぱいになったらすぐに眠たくなっちゃうなんて子どもみたいだって思われそうだけど、眠った方が頭がスッキリするんだよね。

悠木さんが午後の診療に行くと、空良くんが

「僕もお昼寝しようかなぁ」

と僕の隣にやってきた。

「うん、一緒に寝ようよ」

広いソファーは二人で寝転んでも十分広い。
悠木さんが用意してくれていた柔らかい毛布をかけ、二人で横になっていると空良くんの心地良い体温にあっという間に眠気が襲ってきた。

ああ、こんなに幸せが僕にも訪れるなんて……。
幸せすぎて怖いくらいだ。


  ✳︎          ✳︎           ✳︎


「先生っ! 先生っ! 大変です!」

午後診察のピークを過ぎたところで看護師が駆け寄ってきた。

「どうした? 重症の患者でも来たのか?」

「違います! 院長室の空良くんたちがっ!」

その慌てように驚いて院長室へと向かうと部屋の前に米田さんが仁王立ちで立っている。

「米田さん、どうしたんですか?」

「空良くんたちを見ようと看護師たちが集まってたので、監視してたんです」

「監視? 二人を見ようとって何かあるんですか?」

「先生もご覧になったらお分かりになると思いますよ」

米田さんの言い方がやたら気になったが、とりあえず見てみようとそっと扉を開け、中を覗くと

「――っ!!」

二人がくっついて白い毛布をかぶって眠っているのが見えた。

まるで天使の微睡みのような神々しい姿に、気づけばスマホを取り出し写真と動画を撮りまくっていた。

すぐにその写真と動画を観月に送信すると、

<すぐにそっちに向かう!>

と一言返ってきた。

これは自分の目で見たいだろうからな。

この天使たちが観月が戻るまですやすやと眠ってくれればいいと願いながら、俺は静かに扉を閉めた。
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