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番外編
今からすぐに
「蛍、これからすぐに北海道に向かおう」
幸いにもこれから三時間後の札幌行きの飛行機に空きがあった。
札幌で仕事がある時に必ず利用するホテルにも連絡を入れてなんとか今夜のスイートルームの予約だけ取れた。
明日からは彼らと同じ宿泊先に泊まれることになっているから問題ない。
到着は夜になるが、二人で夕食をとれる。
ゆっくりとホテルで休んでから明日、空港か直接音楽ホールで待ち合わせをするのもいい。
スキーをするのがメインだと言っていたから、日程的には到着日に我々と合流して、そのまま演奏会、翌日は一日たっぷりと雪遊びをして、最終日は買い物と美味しいもの巡りというコースになるだろう。
というわけで、最低限必要なものをまとめて私たちは空港に向かった。
日本で彼らと会うことが決まってから、外を出歩いてもいいように蛍のために暖かなコートと冬服を新調しておいたがそれが早速役に立ちそうでよかった。
まさか北海道に飛ぶとは思っていなかったが、こうしてフットワークが軽いのもさすがだ。
「蛍がしてみたいなら、私たちも一緒に雪遊びに参加しようか? スキーやスケートはしたことある?」
空港に向かう車の中で助手席に座る蛍に尋ねたが、彼は小さく首を振った。
「怪我をしそうな遊びはしたことがないんです。突き指でもピアノが弾けなくなるので……だから、スキーやスケートだけでなく、ほとんどの遊びをしたことがないです」
学校に通っていた時から、常に手を守る生活をしていたという。
体育ではマラソンなどの授業は受けていたけれど、球技は必ず見学。
そこまで徹底していたとなると、かなり厳しい学生生活だっただろう。
「料理は?」
私と生活を共にしてからは、私が料理が趣味なこともあって全て作ってきた。
一度は蛍の手料理が食べてみたいと思う気持ちがないわけではないが、無理に作って欲しいわけでもない。
「料理も一人暮らしをするまでしたことはなかったですけど、極力包丁やスライサーを使わないような料理は作りますよ。でも買って食べるほうが圧倒的に多いですね」
「そうか」
「料理もできないなんて、幻滅しましたか?」
「いや、そんなこと思うはずがない。蛍にずっと私の料理を食べてもらえるのは嬉しいよ」
そういうと、蛍はホッとしたように可愛い笑顔を見せてくれた。
「もし、彼らに雪遊びを誘われたら断らなくていいよ。私が絶対に蛍を怪我させないと誓うから、初めての雪遊びを満喫するといい」
「えっ、いいんですか?」
「ああ、せっかくの機会だ。一緒に楽しもう」
蛍がみんなと同じ思い出を作れるように私は精一杯頑張るとしよう。
「やったぁ、雪遊び~!!」
隣で浮かれる蛍が可愛くてたまらない。
ちょうど駐車場に到着した私は、車を止めてすぐに身を乗り出して蛍の小さくて甘い唇にキスをした。
「んっ……」
最初は驚いて身体を震わせていた蛍だったが、唇を啄み舌を滑り込ませると、声が甘くなってくる。
重ねるだけのつもりだったがやはり欲望には勝てない。
蛍との甘いキスを堪能して唇を離した。
「匡、さん……」
「蛍……好きだよ」
「僕も好き……」
蛍の目が私を甘く誘う。
だが、飛行機の時間も迫っている。
「続きは夜に……」
そういうと、蛍は可愛い微笑みを浮かべて頷いた。
ああ、失敗した。
欲望に負けてキスをしてしまったが、ここから大勢の前にこの色気ダダ漏れの蛍を晒すと思うと嫌になる。
「蛍、私から離れないように……」
しっかりと肩を抱いて、私の寄り添わせたまま空港に向かった。
搭乗手続きを済ませ、荷物を預けて早々とラウンジで休憩を取る。
「北海道は天気いいんですか?」
「そうだな。晴れているみたいだよ。こういう日は地面も滑りやすいから気をつけるように」
「匡さんと手を繋いでいたら大丈夫ですね」
あちらでもずっと手を繋いでいてくれるのか。それは嬉しい。
そうして、あっという間に機内に乗り込む時間になった。
私は仕事の都合で飛行機に乗ることも多い。
だが、それを言えば蛍も同じようなものだ。
世界を回ってコンサートをしている蛍は飛行機には乗り慣れている印象だ。
「移動はいつもファーストクラスだった?」
「そうですね。招待を受ける場合はほとんどファーストクラスの席を用意してもらってました。ゆっくり休めるのでありがたかったです。今回はプライベートでの帰国だったのでエコノミーにしようかと思ってたんですけど、ファーストクラスしか空いてなかったのでそれで帰ってきました。でもやっぱり仕事でもないのにファーストクラスに乗るのは贅沢だなって感じちゃいますね」
そう笑って言っているが、蛍がエコノミーに乗るなんて絶対にダメだ。
あんなに隣との距離が近い席、セキュリティも何もあったものじゃない。
これまで何も被害がなくて本当に良かった。
幸いにもこれから三時間後の札幌行きの飛行機に空きがあった。
札幌で仕事がある時に必ず利用するホテルにも連絡を入れてなんとか今夜のスイートルームの予約だけ取れた。
明日からは彼らと同じ宿泊先に泊まれることになっているから問題ない。
到着は夜になるが、二人で夕食をとれる。
ゆっくりとホテルで休んでから明日、空港か直接音楽ホールで待ち合わせをするのもいい。
スキーをするのがメインだと言っていたから、日程的には到着日に我々と合流して、そのまま演奏会、翌日は一日たっぷりと雪遊びをして、最終日は買い物と美味しいもの巡りというコースになるだろう。
というわけで、最低限必要なものをまとめて私たちは空港に向かった。
日本で彼らと会うことが決まってから、外を出歩いてもいいように蛍のために暖かなコートと冬服を新調しておいたがそれが早速役に立ちそうでよかった。
まさか北海道に飛ぶとは思っていなかったが、こうしてフットワークが軽いのもさすがだ。
「蛍がしてみたいなら、私たちも一緒に雪遊びに参加しようか? スキーやスケートはしたことある?」
空港に向かう車の中で助手席に座る蛍に尋ねたが、彼は小さく首を振った。
「怪我をしそうな遊びはしたことがないんです。突き指でもピアノが弾けなくなるので……だから、スキーやスケートだけでなく、ほとんどの遊びをしたことがないです」
学校に通っていた時から、常に手を守る生活をしていたという。
体育ではマラソンなどの授業は受けていたけれど、球技は必ず見学。
そこまで徹底していたとなると、かなり厳しい学生生活だっただろう。
「料理は?」
私と生活を共にしてからは、私が料理が趣味なこともあって全て作ってきた。
一度は蛍の手料理が食べてみたいと思う気持ちがないわけではないが、無理に作って欲しいわけでもない。
「料理も一人暮らしをするまでしたことはなかったですけど、極力包丁やスライサーを使わないような料理は作りますよ。でも買って食べるほうが圧倒的に多いですね」
「そうか」
「料理もできないなんて、幻滅しましたか?」
「いや、そんなこと思うはずがない。蛍にずっと私の料理を食べてもらえるのは嬉しいよ」
そういうと、蛍はホッとしたように可愛い笑顔を見せてくれた。
「もし、彼らに雪遊びを誘われたら断らなくていいよ。私が絶対に蛍を怪我させないと誓うから、初めての雪遊びを満喫するといい」
「えっ、いいんですか?」
「ああ、せっかくの機会だ。一緒に楽しもう」
蛍がみんなと同じ思い出を作れるように私は精一杯頑張るとしよう。
「やったぁ、雪遊び~!!」
隣で浮かれる蛍が可愛くてたまらない。
ちょうど駐車場に到着した私は、車を止めてすぐに身を乗り出して蛍の小さくて甘い唇にキスをした。
「んっ……」
最初は驚いて身体を震わせていた蛍だったが、唇を啄み舌を滑り込ませると、声が甘くなってくる。
重ねるだけのつもりだったがやはり欲望には勝てない。
蛍との甘いキスを堪能して唇を離した。
「匡、さん……」
「蛍……好きだよ」
「僕も好き……」
蛍の目が私を甘く誘う。
だが、飛行機の時間も迫っている。
「続きは夜に……」
そういうと、蛍は可愛い微笑みを浮かべて頷いた。
ああ、失敗した。
欲望に負けてキスをしてしまったが、ここから大勢の前にこの色気ダダ漏れの蛍を晒すと思うと嫌になる。
「蛍、私から離れないように……」
しっかりと肩を抱いて、私の寄り添わせたまま空港に向かった。
搭乗手続きを済ませ、荷物を預けて早々とラウンジで休憩を取る。
「北海道は天気いいんですか?」
「そうだな。晴れているみたいだよ。こういう日は地面も滑りやすいから気をつけるように」
「匡さんと手を繋いでいたら大丈夫ですね」
あちらでもずっと手を繋いでいてくれるのか。それは嬉しい。
そうして、あっという間に機内に乗り込む時間になった。
私は仕事の都合で飛行機に乗ることも多い。
だが、それを言えば蛍も同じようなものだ。
世界を回ってコンサートをしている蛍は飛行機には乗り慣れている印象だ。
「移動はいつもファーストクラスだった?」
「そうですね。招待を受ける場合はほとんどファーストクラスの席を用意してもらってました。ゆっくり休めるのでありがたかったです。今回はプライベートでの帰国だったのでエコノミーにしようかと思ってたんですけど、ファーストクラスしか空いてなかったのでそれで帰ってきました。でもやっぱり仕事でもないのにファーストクラスに乗るのは贅沢だなって感じちゃいますね」
そう笑って言っているが、蛍がエコノミーに乗るなんて絶対にダメだ。
あんなに隣との距離が近い席、セキュリティも何もあったものじゃない。
これまで何も被害がなくて本当に良かった。
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