年下イケメンに甘やかされすぎて困ってます

波木真帆

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番外編

千鶴たちとの対面 14

「ふぅー。お腹いっぱい」

「大智。よく食べてましたね」

「中華、かなり久しぶりだったからな。アメリカにもあるんだろうけど、なかなか行こうとは思わないし」

「ですね。何かデザート食べますか?」

透也がメニューを見せてくる。

杏仁豆腐を使った杏仁パフェ。
マンゴーを使ったマンゴーアイスとマンゴープリン。
ココナッツミルクのアイスなんてものもある。

でも俺は……

「お兄ちゃん、胡麻団子あるよ。半分こしようよ」

メニューを捲る前に千鶴から声がかかった。

「わっ、あるのか。じゃあそれにしよう」

「大智、胡麻団子好きなんですか?」

「ああ。そうなんだ。昔から、家族で中華料理を食べにいくと必ず胡麻団子でしめることになってて……小さい時からの習慣かな」

「へぇ、そうなんですね。知らなかったな。じゃあ俺も一つもらっていいですか?」

「それなら私もいただきますから、それぞれ一皿ずつ頼みましょう」

長瀬さんの提案を聞いて透也は胡麻団子を二皿頼んでくれた。

すぐに運ばれてきた胡麻団子は俺が想像していたよりもずっと香ばしく美味しそうな匂いがしていた。

「わっ、まだ熱々だ。美味しそう!」

「大智、火傷するといけないですから、少し冷ましますね」

そう言うが早いか、胡麻団子を一つ指で摘むと、ふぅふぅと冷ましてそのまま俺の口に運んでくれた。

「んーっ! 美味しいな、これ。透也も食べてみて」

俺の言葉に透也は嬉しそうに俺の食べかけを口に放り込んだ。

「ん。胡麻団子、かなり久しぶりに食べましたけど、美味しいですね」

「だろう? やっぱり中華のしめは胡麻団子だよ」

「もう一つ食べます?」

「ああ、半分こしよう」

「ええ。いいですね」

いつものように二人で味わって食べていると、

「ふふっ。お兄ちゃん、私たちのこと忘れてない?」

千鶴の嬉しそうな声が飛んできた。

「えっ? あっ!」

思いっきり忘れてた……。
しかも目の前で思いっきりいちゃついてた気がする。
妹の前で恥ずかしい……。

「ごめん、見たくないもの見せたよな」

「何言ってるの。お兄ちゃんが透也さんと幸せそうな姿見られてホッとしてるんだよ。お兄ちゃんは周りの目を気にしすぎだって。私は今みたいに、透也さんだけしか見えてない幸せなお兄ちゃんが可愛いと思うよ」

「可愛いって、それは……」

「あ、今の格好だからじゃないよ。自然な二人の姿が見られたから良かったんだよ。だから、いつだってどこだって自然にしていいと思うよ」

「千鶴……ありがとう。嬉しいよ、そう言ってくれて」

「ううん。私も一番不安だった時、お兄ちゃんの言葉に支えられたから。だからこんなに元気になれたんだよ。ねっ、理人さん」

千鶴が嬉しそうに長瀬さんを見上げると、彼は大きな身体で千鶴を抱きしめた。

「お義兄さんが千鶴さんの心を優しく開いてくださったから、私は千鶴さんと出会うことができたんです。これからは千鶴さんは私が守って今まで以上に幸せにしますから、お義兄さんも自分の幸せだけを考えていいと思いますよ」

「長瀬さん……ありがとう。千鶴を、頼むよ」

「はい。お任せください」

俺も千鶴も本当に最高の相手に出会えて良かったな。


楽しい食事の時間も終わり、そろそろ別れの時間だ。
自分たちが連れてきたのだから支払いは自分たちがすると言い張った千鶴たちに、これはお祝いだからと説得し、俺と透也で支払った。

「今度は結婚式で帰ってくるかな」

「うん。二人で必ず出席してね」

「ああ。もちろんだよ。じゃあ、千鶴も長瀬さんも身体に気をつけて」

「本当に送っていかなくていいの?」

「大丈夫。タクシーで帰るから。じゃあな」

店の前で二人と別れ、透也と少し歩くことにした。
せっかくこんな格好しているのに、すぐに帰ったらもったいないもんな。

「大智、寂しいですか?」

「えっ、なんで?」

「だって、千鶴さんが結婚するから」

「まぁ、確かに少しは寂しい気持ちもあるけど、嬉しさの方が大きいかな。俺だって幸せだから、千鶴にもずっと笑顔でいてもらいたい。あのさ、俺、すぐに変わるのは難しいかもしれないけど、我慢するのはやめることにする。だから嫌な時は言ってくれ」

「――っ、大智! 俺は、嫌な時なんてないですよ。いつだってOKですから。大智、愛してます」

嬉しそうな笑顔を浮かべて透也がさらりと愛の言葉を言ってくれた。
俺はそれに応えるように銀座の明るい電灯の下で、透也の唇にキスをした。

もう何も怖くない。俺は本当に幸せだから。
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