ある教授夫夫の甘い思い出 〜右手がくれた奇跡シリーズ

波木真帆

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出会い  <前編>

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ある大切な人との出会いですが、長くなりすぎたので分けます。
楽しんでいただけると嬉しいです♡


  *   *   *


ー皐月、今から沖縄に行ってくる。

ー沖縄? 急ですね。何かあったんですか?

ー私の恩師が亡くなったそうだ。

ー以前話してくださった高校時代の?

ーああ、そうだ。安慶名あげな先生だ。

ー――っ! じゃあ、すぐに出かける準備をしておきますから、落ち着いて帰ってきてください。

そういうと、宗一郎さんはありがとうと小さく呟いて電話を切った。

宗一郎さんが桜城大学に行けるように尽力してくださった安慶名先生の話は、以前から何度も聞いていた。
あの当時、沖縄から桜城大学に入学することはほとんどなかったというから、私たちが出会えたのもその安慶名先生のおかげといっても過言ではない。

そんな恩師の訃報にきっと落ち込んでいることだろう。

今、私にできることは無事に沖縄へ送り出すことだけ。

私は急いでクローゼットから喪服用のスーツを取り出しキャリーケースに詰めていった。

急いで帰宅した宗一郎さんが手早く荷物を受け取り、そのまま外に出て行こうとしたのを

「宗一郎さんっ!」

と呼び止め、振り返った彼にそのままキスをした。

「――っ! 皐月……」

「気をつけて、帰ってきてください」

数日会えないのは辛い。
でも、それ以上に宗一郎さんはもっと辛いのだから……。

一生懸命涙を堪えながら、笑顔で送り出すんだと自分に言い聞かせた。

「皐月……愛してるよ」

「――っ、はい。私も愛してます……」

宗一郎さんの言葉に必死に堪えていた涙が溢れてしまった。

「皐月……」

涙が流れた頬に宗一郎さんの唇が当てられる。

「ごめんなさい。泣いたりして……」

「いいんだ。皐月、行ってくるよ」

そう言って、宗一郎さんは沖縄へと旅立っていった。



それから数日後、飛行機の時間の連絡と共に今から帰るというメッセージが入ってきた。

<帰ったら大事な話がある>

メッセージの下にはそんな一文で締めくくられていた。

大事な話?
一体なんだろう……。

もしかして、沖縄で運命の人に出会ってしまったとか?

まさかそんなこと!
あるわけない!

でも……。

あんなに素敵な宗一郎さんだもの。
誰も放っておかない。

やっぱり一緒に沖縄に行けばよかったかな……。
でも、恩師との最後のお別れを邪魔したくなかったし……。

とにかく、宗一郎さんが帰ってきたらどんな話なのかわかるんだ!
もし、私から心が離れてしまったのなら……その時は潔く身を引くしかないのかな。
私はこれから先も宗一郎さんしか愛することはないけれど、違う人を思い続ける宗一郎さんはみたくないから。


緊張で何も手につかないまま、数時間がすぎ玄関のチャイムが鳴らされた。

笑顔で迎えなきゃ!!

お清めの塩を持って、玄関扉を開けると、いつもの優しい眼差しで私を見つめてくれる宗一郎さんの姿があった。

その瞬間、私は自分の心配が杞憂だったことに気づいた。

「宗一郎さん……」

「皐月……一人で寂しかっただろう? さぁ、清めの塩をかけてくれないか。早く皐月を抱きしめたい!」

ああ、私はどうしてほんの一瞬でも宗一郎さんの気持ちを疑ってしまったのだろう。
申し訳なさに震えながら彼に塩をかけ、そしてそのまま抱きついた。

いつもと違う不思議な香りに離れていた時間の長さを思い出す。

「ただいま」

久しぶりのキスに愛しさが募る。

「お帰りなさい……宗一郎さん」

甘い甘いキスをして、宗一郎さんは急いで身支度を整えに洗面所へ走っていった。

コーヒーを淹れた私がリビングに運ぼうとすると、すぐに宗一郎さんがやってきてトレイを運んでくれた。

ふふっ。こういうところもいつもの宗一郎さんのままだ。

ソファーに座り、宗一郎さんがコーヒーを一口啜ったのを確認して問いかけてみた。

「あの……宗一郎さん……大事な話って……?」

「ああ、もしかして気にさせてしまったか? 申し訳ない。まさか変なことを考えていたのではないか?」

「――っ!」

「やはりな。最初の表情が固かったから気になっていたんだ。だが、そんなこと一生有り得ないから考えなくていい」

そう言って宗一郎さんは私を胸に抱き寄せた。

宗一郎さんの温もりと香りにホッとする。

「ごめんなさい……」

「いや、いいんだ。私の方こそ、言葉足らずで心配をさせてしまった。許してくれ」

「いいんです。今、こうして幸せですから……」

「皐月……愛してる」

宗一郎さんの嘘偽りのない愛の言葉がたまらなく嬉しい。
ああ、やっぱり私の愛した人だ。


「あの、それで大事な話って……」

「そうだ。実は、皐月に内緒で大事なことを決めてしまったのだが……」

そう言って、宗一郎さんは沖縄での出来事を話し始めた。
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