14 / 45
四人で会おうか
しおりを挟む
久しぶりに外に出て疲れているだろうから、少し休んだほうがいいと声をかけて俺たちのベッドに寝かせていると、内ポケットに入れていたスマホが振動を伝えてきた。そっと画面表示を見るとユウさんの名前が見えた。
ユウさんとは砂川くんのあの事件が解決してから、一件砂川くんがらみの仕事で動いて、その報告をしにカフェで話をした以来だ。そういえば、あの時俺とユウさんが一緒にいるのを砂川くんがみて、裏の話を話すことになったと報告が来ていた。
それでユウさんが調査員をしていることも、俺がその手伝いをしていることも全て話すことになったそうだが、砂川くんはちゃんとそれを自分の胸にだけ留めていたんだな。
俺が伊月くんと一緒にいることも伊月くんからのメッセージで知っているだろうに、俺がユウさんの裏の仕事を請け負っている調査員だとはバラさなかった。それは今日、伊月くんに包み隠さず話した時の反応からも、伊月くんが今日初めて聞いた話だとわかったからだ。
砂川くんは信頼のおける子だな。そして、伊月くんも自分からは砂川くんには言わないだろう。そのことも含めて一度ユウさんとは話をしておいたほうがいいと思っていたから、この電話はいいタイミングと言えるだろう。
可愛い寝顔を見せてくれている伊月くんから離れるのは少し寂しかったが、気持ちよさそうに眠っている伊月くんの頬にそっとキスを落として、ベッドから下りて寝室を出てから電話をとった。
ーシン。今大丈夫か?
ーええ。少しなら大丈夫ですよ。何か仕事の話ですか?
ーいや、今のところは差し迫っている案件はないから心配しないでいい。田淵くんのことで連絡したんだ。退院したそうだな。おめでとう。
ーありがとうございます。砂川くんから聞いたんですか?
ーああ。お祝いに行きたがってたんだが、都合が合わなくて残念がってたよ。
ーははっ。そうだったんですね。てっきりユウさんが行かせないようにしたんだと思ってましたよ。
ー私が? なんで、そんなこと。
ーユウさん、砂川くんのことに関しては狭量じゃないですか。
ー狭量って……まぁ、そのことについては反論できないが。それはお前もだろう? 退院したあと、一緒に暮らすことになったと真琴から聞いたぞ。
ーああ、やっぱりそこまで聞いてましたか。セキュリティの甘すぎるアパートに住んでましたからね。二ヶ月も入院してましたし、家賃を払い続けるのも勿体無いでしょう? だから、一緒に暮らすように提案したんですよ。
ーそれでよく了承してくれたな。
ーええ。住み込みで家事をして欲しいと頼みました。
ーははっ。なんでもできるお前の家で、住み込みで家事か。それはいい手だったな。それで、今日から落としにかかるわけか? お前も田淵くんを気に入っているんだろう?
ーええ。それならもう大丈夫です。
ーえっ?
ーもう思いを伝え合いましたから。晴れて恋人になりました。
ーもう? それは早いな。あ、それじゃあもしかして邪魔したか?
ーいえ。そんな気遣いは大丈夫です。ゆっくり進めていくことにしたので。
ーそうか、それは……すごいな。
顔が見えなくても驚きの表情を浮かべているのが手に取るようにわかって笑ってしまった。
この反応から察するに、きっとユウさんは砂川くんを家に入れてすぐに手を出したんだろう。
一回り以上も下の相手に惹かれて声もかけられないと言っていたくらいだ。そばに来たら我慢できなかったんだろうな。ユウさんがそんな思いを抱くこと自体、今までのユウさんからは想像できないんだ。そんな相手ができたのならすぐにでも繋がりたいと思うのは当然だろう。
俺も同じようなものだが、今はまだゆっくりでいい。伊月くんが自分から甘えてくれるようになるまで俺はいつまでだって待てる。
ーまぁそのことはともかくお互い恋人になったことですし、これからも調査の仕事を続けていくなら隠し事はないほうが楽でしょう? 砂川くんも伊月くんもお互いにどこまで知っているのか、悩みながら話をしあうのも大変でしょうし。
ーそうだな。一度四人で会うとしよう。真琴も田淵くんの退院祝いがしたいと話していたからな。明日でも構わないか?
ーええ。こういうのは早いほうがいいですからね。じゃあ、連絡待っています。
ーああ、すぐに連絡するから。
そう言って電話が切られて数分後には店のURLがメッセージに送られてきていた。
店を確認すると、ユウさんが気に入っている完全個室の店。
完全防音になっている個室部屋ならのんびりと話ができるし、四人で会うにはもってこいの場所だ。
さて、伊月くんにはどうやって話を持ちかけようか。反応が楽しみだな。
ユウさんとは砂川くんのあの事件が解決してから、一件砂川くんがらみの仕事で動いて、その報告をしにカフェで話をした以来だ。そういえば、あの時俺とユウさんが一緒にいるのを砂川くんがみて、裏の話を話すことになったと報告が来ていた。
それでユウさんが調査員をしていることも、俺がその手伝いをしていることも全て話すことになったそうだが、砂川くんはちゃんとそれを自分の胸にだけ留めていたんだな。
俺が伊月くんと一緒にいることも伊月くんからのメッセージで知っているだろうに、俺がユウさんの裏の仕事を請け負っている調査員だとはバラさなかった。それは今日、伊月くんに包み隠さず話した時の反応からも、伊月くんが今日初めて聞いた話だとわかったからだ。
砂川くんは信頼のおける子だな。そして、伊月くんも自分からは砂川くんには言わないだろう。そのことも含めて一度ユウさんとは話をしておいたほうがいいと思っていたから、この電話はいいタイミングと言えるだろう。
可愛い寝顔を見せてくれている伊月くんから離れるのは少し寂しかったが、気持ちよさそうに眠っている伊月くんの頬にそっとキスを落として、ベッドから下りて寝室を出てから電話をとった。
ーシン。今大丈夫か?
ーええ。少しなら大丈夫ですよ。何か仕事の話ですか?
ーいや、今のところは差し迫っている案件はないから心配しないでいい。田淵くんのことで連絡したんだ。退院したそうだな。おめでとう。
ーありがとうございます。砂川くんから聞いたんですか?
ーああ。お祝いに行きたがってたんだが、都合が合わなくて残念がってたよ。
ーははっ。そうだったんですね。てっきりユウさんが行かせないようにしたんだと思ってましたよ。
ー私が? なんで、そんなこと。
ーユウさん、砂川くんのことに関しては狭量じゃないですか。
ー狭量って……まぁ、そのことについては反論できないが。それはお前もだろう? 退院したあと、一緒に暮らすことになったと真琴から聞いたぞ。
ーああ、やっぱりそこまで聞いてましたか。セキュリティの甘すぎるアパートに住んでましたからね。二ヶ月も入院してましたし、家賃を払い続けるのも勿体無いでしょう? だから、一緒に暮らすように提案したんですよ。
ーそれでよく了承してくれたな。
ーええ。住み込みで家事をして欲しいと頼みました。
ーははっ。なんでもできるお前の家で、住み込みで家事か。それはいい手だったな。それで、今日から落としにかかるわけか? お前も田淵くんを気に入っているんだろう?
ーええ。それならもう大丈夫です。
ーえっ?
ーもう思いを伝え合いましたから。晴れて恋人になりました。
ーもう? それは早いな。あ、それじゃあもしかして邪魔したか?
ーいえ。そんな気遣いは大丈夫です。ゆっくり進めていくことにしたので。
ーそうか、それは……すごいな。
顔が見えなくても驚きの表情を浮かべているのが手に取るようにわかって笑ってしまった。
この反応から察するに、きっとユウさんは砂川くんを家に入れてすぐに手を出したんだろう。
一回り以上も下の相手に惹かれて声もかけられないと言っていたくらいだ。そばに来たら我慢できなかったんだろうな。ユウさんがそんな思いを抱くこと自体、今までのユウさんからは想像できないんだ。そんな相手ができたのならすぐにでも繋がりたいと思うのは当然だろう。
俺も同じようなものだが、今はまだゆっくりでいい。伊月くんが自分から甘えてくれるようになるまで俺はいつまでだって待てる。
ーまぁそのことはともかくお互い恋人になったことですし、これからも調査の仕事を続けていくなら隠し事はないほうが楽でしょう? 砂川くんも伊月くんもお互いにどこまで知っているのか、悩みながら話をしあうのも大変でしょうし。
ーそうだな。一度四人で会うとしよう。真琴も田淵くんの退院祝いがしたいと話していたからな。明日でも構わないか?
ーええ。こういうのは早いほうがいいですからね。じゃあ、連絡待っています。
ーああ、すぐに連絡するから。
そう言って電話が切られて数分後には店のURLがメッセージに送られてきていた。
店を確認すると、ユウさんが気に入っている完全個室の店。
完全防音になっている個室部屋ならのんびりと話ができるし、四人で会うにはもってこいの場所だ。
さて、伊月くんにはどうやって話を持ちかけようか。反応が楽しみだな。
788
あなたにおすすめの小説
届かない「ただいま」
AzureHaru
BL
いつも通りの変わらない日常のはずだった。
「行ってきます。」と言って出て行った貴方。1日が終わる頃に「ただいま。」と「おかえり。」を笑顔で交わすはずだった。でも、その言葉はもう貴方には届かない。
これは「優しさが奪った日常」の物語。
地味メガネだと思ってた同僚が、眼鏡を外したら国宝級でした~無愛想な美人と、チャラ営業のすれ違い恋愛
中岡 始
BL
誰にも気づかれたくない。
誰の心にも触れたくない。
無表情と無関心を盾に、オフィスの隅で静かに生きる天王寺悠(てんのうじ・ゆう)。
その存在に、誰も興味を持たなかった――彼を除いて。
明るく人懐こい営業マン・梅田隼人(うめだ・はやと)は、
偶然見た「眼鏡を外した天王寺」の姿に、衝撃を受ける。
無機質な顔の奥に隠れていたのは、
誰よりも美しく、誰よりも脆い、ひとりの青年だった。
気づいてしまったから、もう目を逸らせない。
知りたくなったから、もう引き返せない。
すれ違いと無関心、
優しさと孤独、
微かな笑顔と、隠された心。
これは、
触れれば壊れそうな彼に、
それでも手を伸ばしてしまった、
不器用な男たちの恋のはなし。
どうせ全部、知ってるくせに。
楽川楽
BL
【腹黒美形×単純平凡】
親友と、飲み会の悪ふざけでキスをした。単なる罰ゲームだったのに、どうしてもあのキスが忘れられない…。
飲み会のノリでしたキスで、親友を意識し始めてしまった単純な受けが、まんまと腹黒攻めに捕まるお話。
※fujossyさんの属性コンテスト『ノンケ受け』部門にて優秀賞をいただいた作品です。
【完結】社畜の俺が一途な犬系イケメン大学生に告白された話
日向汐
BL
「好きです」
「…手離せよ」
「いやだ、」
じっと見つめてくる眼力に気圧される。
ただでさえ16時間勤務の後なんだ。勘弁してくれ──。
・:* ✧.---------・:* ✧.---------˚✧₊.:・:
純真天然イケメン大学生(21)× 気怠げ社畜お兄さん(26)
閉店間際のスーパーでの出会いから始まる、
一途でほんわか甘いラブストーリー🥐☕️💕
・:* ✧.---------・:* ✧.---------˚✧₊.:・:
📚 **全5話/9月20日(土)完結!** ✨
短期でサクッと読める完結作です♡
ぜひぜひ
ゆるりとお楽しみください☻*
・───────────・
🧸更新のお知らせや、2人の“舞台裏”の小話🫧
❥❥❥ https://x.com/ushio_hinata_2?s=21
・───────────・
応援していただけると励みになります💪( ¨̮ 💪)
なにとぞ、よしなに♡
・───────────・
寂しいを分け与えた
こじらせた処女
BL
いつものように家に帰ったら、母さんが居なかった。最初は何か厄介ごとに巻き込まれたのかと思ったが、部屋が荒れた形跡もないからそうではないらしい。米も、味噌も、指輪も着物も全部が綺麗になくなっていて、代わりに手紙が置いてあった。
昔の恋人が帰ってきた、だからその人の故郷に行く、と。いくらガキの俺でも分かる。俺は捨てられたってことだ。
αからΩになった俺が幸せを掴むまで
なの
BL
柴田海、本名大嶋海里、21歳、今はオメガ、職業……オメガの出張風俗店勤務。
10年前、父が亡くなって新しいお義父さんと義兄貴ができた。
義兄貴は俺に優しくて、俺は大好きだった。
アルファと言われていた俺だったがある日熱を出してしまった。
義兄貴に看病されるうちにヒートのような症状が…
義兄貴と一線を超えてしまって逃げ出した。そんな海里は生きていくためにオメガの出張風俗店で働くようになった。
そんな海里が本当の幸せを掴むまで…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる