イケメンスパダリ社長は僕の料理が気に入ったようです

波木真帆

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我慢しなくて良いですよ※

直己さんはそのまま地下駐車場までエレベーターで降りて行き、高そうな車が並んでいる中でも一際凄そうな車にスタスタと近づいた。

これ、もしかして直己さんの車?
なんかとてつもなく高そうで凄い車なんだけど……。

直己さんは、凄い車に慄く僕をなんの躊躇いもなく助手席に座らせてくれた。
あんまり触らないようにしよう。
傷つけたら怖いし……。

だけど、直己さんはそんなこと全然気にしていないみたいだ。

最初から僕を乗せて帰るつもりだったんだろう。
この車には似つかわしくない可愛い抱き枕が乗せられていて、

「背もたれに背中があたらないようにこれに抱きついてて」

と差し出され、僕は言われた通りそれを抱きしめ少し前のめりのような状態で座った。
やっぱり直己さんもお医者さんなんだ。
悠木先生と同じ配慮をしてくれて嬉しいな。

直己さんはそれを確認すると、運転席に座りゆっくりと車を発進させた。

「すぐ着くから少しだけその体勢で我慢してて」

「はい。大丈夫です」

柔らかな抱き枕のおかげでちっとも苦しくない。
あっという間に直己さんのマンションの地下駐車場に到着して、当然のように僕は直己さんに抱きかかえられた。

地下からそのまま高層階専用エレベーターに乗り直己さんの部屋に連れて行かれた。

靴を脱がされリビングへと入る途中で

「あの、七海ちゃんは?」

と尋ねると、

「最初は一緒に佳都くんを探してくれていたんだが、悠木のところにいるって連絡きた時に帰らせたよ。後で連絡しておくから大丈夫だ」

と笑顔で返してくれた。

七海ちゃんにも迷惑かけちゃったな……なんて思っていると、直己さんは僕を抱きかかえたままソファーに腰をおろし、

「悪いが、今は私のことだけ考えていてくれないか?」

と耳元で囁かれた。

「ひゃ――っ!」

あまりにも蕩けるような甘い声に思わず声が出てしまう。

「ふふっ。顔が赤くなってるね」

「だって、直己さんが耳元で囁いたりするから……」

「そうか、私の声にドキドキしてくれているのかな?」

答えるのも恥ずかしくて『うん』と小さく頷くと、直己さんはそっと僕を抱きしめた。

「キスしても、いい?」

「そ、そんなこと……聞かないでください」

「ふふっ。そうだな、もう聞かなくても私たちは恋人なんだからな」

指で顎をクイっと持ち上げられ、さっきのように柔らかな唇が重なってきた。
唇を何度も甘噛みされて、このまま食べられちゃうんじゃないかと思ってしまう。

角度を変え、何度も喰まれていくうちにどこで息をしていいのかもわからなくて、苦しくなって小さく唇を開くと、その隙間から何かが入り込んできた。

「んっ? んんっ……っん、んあ……っ」

入ってきた何かが直己さんの舌だと気づいた時には、僕の舌に絡みついてきたり、吸い付いてきたり我が物顔で動き回っていた。

これって……ディ、ディープキスってやつ?

前に翔太の家で映画を見ていた時に外国人の男女が長い時間キスしてて、クチュクチュと音がしていたのを見て、

「すげーな、唾液が垂れるほど深くキスするって、相当好きじゃないとできないよな~」

なんて話してたけど、正直あの時は自分がこんなキスするなんて考えたこともなかった。

他の人の唾液とか……って思ってたけど、直己さんだったら嫌だとは全然思わないな。
むしろ、もっと激しくして欲しいなんて思ってしまう。

初めてのキスなのに……僕おかしいのかな。

でも、離れたくない一心で直己さんのキスを続けていると、流石に苦しくなってきた。
それに気づいたのか、直己さんの唇が僕のそれから離れてしまった。

「あっ……」

ぐったりと力が抜けながらも、離れていく唇が寂しくて思わず声が漏れると、直己さんは

「ああ、もうっどうしてこんなに可愛いんだろうな」

ともう一度優しく抱きしめながら、チュッと唇を重ね合わせてくれた。

「直己、さん……僕……直己さんとのキスが好きです……」

「くっ――! ああ、もうこれ以上煽らないでくれ。我慢ができなくなりそうだ」

直己さんのその言葉に僕はさっきの言葉を思い出していた。

――君が好きだから、君を抱きしめて寝たり身体を洗ったりすると欲望が抑えられなくなりそうで……我慢できないかもしれない。


ただでさえ僕はずっと直己さんに我慢させてたんだろうな。
でももう気にしないでほしい。

「我慢しなくていいですよ……僕、もう恋人なんですよね?」

「――っ、だが、佳都くんはまだ怪我してるのに……その、そんなことできないだろう?」

「そんなこと? って……どんなことですか?」

「えっ? いや、その……あの、やっぱり怪我が治ってからゆっくりな」

「えっ、でも直己さんが我慢するのは……」

「良いんだ。今は君と恋人になれたことを幸せだと思いたいんだ」

そういうと直己さんは僕を優しく抱きしめてくれた。

そして、もう一度チュッと唇を重ねてから、

「佳都……って呼んでもいいかな?」

と少し照れたように尋ねてきた。

「ふふっ。直己さん、もう何度か僕のこと呼び捨てにしてましたよ」

「そう、だったか?」

「はい。でも、佳都くんって呼ばれるより嬉しいです」

「そうか、なら佳都でいいな」

「はい。佳都良いです。ふふっ」

そう言って僕が笑うと、直己さんも嬉しそうに笑った。


「そうだ、佳都の荷物を運ばないとな。佳都を探しに出たから、搬入をストップしておいたんだ。
業者に連絡してくるからちょっと待っていてくれ」

僕が頷くと、慌てたようにすぐに電話をかけ少し話すとそのまま電話を切った。

「すぐに持ってきてもらうから、佳都は寝室のベッドで休んでいてくれ」

「えっ、でも僕の荷物だから僕が片付けないと」

「良いんだ、業者といえども可愛い佳都をあまり誰にも見せたくないんだ。
だから、頼む。荷物を搬入している間だけ部屋にいてくれないか?」

誰にも見せたくないだなんて、直己さんにそうやって独占されるの……全然嫌な気がしない。

「わかりました。よろしくお願いします」

「ああ。任せておいてくれ」

直己さんは嬉しそうに僕を寝室のベッドに抱き枕と一緒に寝かせると、

「終わったら呼びに来るからね」

と言って部屋を出ていった。

それからすぐに業者さんらしき人数人が入ってきて作業しているような音が聞こえてきていたけれど、僕は疲れていたのかそれを子守唄のようにして眠ってしまっていた。
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