イケメンスパダリ社長は僕の料理が気に入ったようです

波木真帆

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番外編

回想  悠木と観月との出会い

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高校時代の三人が見てみたいとお話をいただいて思いついてしまった、三人の出会いのお話。
高校時代で出会った三人が実は初対面ではなかった……。
さらっと読み流してもらえると嬉しいです。


  *   *   *


「直己、儁秀しゅんしゅう高校の校長先生から電話よ」

「はぁ? なんで校長が?」

「本人に直接話がしたいって。いいから、早く」

高校受験を楽勝で終え、のんびりと部屋で本を読んでいると、母親が子機を持って部屋にやってきた。
なんだよ、面倒臭い。

そう思いつつも入学前から心象悪くするわけにもいかなくて、仕方なく電話を代わった。

ーはい、お電話代わりました。綾城直己です。

ーああ、綾城くん。休日のところ悪かったね。

ーいえ。それで今日は何のご用ですか?

ーああ。それなんだが、先日の入試での君の得点が満点だったんだよ。本当に素晴らしい。そこでだ、君に新入生代表の挨拶を――

ーすみません。俺は辞退しますんで次点の人に頼んでください。

ーちょ、ちょっと待ってくれ。我が校の首席として挨拶をするなんて名誉あることだぞ? そんな簡単に辞退して後で後悔するぞ?

ー大丈夫です。だから、俺のことは無視してもらっていいんで、次点の人に話をしてください。

ーはぁーっ。君もか……。

ー君もってどういうことですか?

ー実は今回の入試で満点合格が君を入れて3人だったんだ。

ーえっ?

ー我が校でたまに満点合格はあるにはあるが、3人もまとめて出たのは初めてなんだ。しかも、その3人がみんな代表挨拶を辞退してくる。次点の者とはかなり点数に開きがあるから、我が校としても君たちの誰かに代表挨拶を受けてもらわないと困るんだ。悪いが、近いうちに我が校に来て、3人で話し合って決めてもらえないか? 一応他の二人からは明日の午後なら大丈夫だと話はもらってるんだが……。

ーはぁーっ。わかりました。じゃあ、明日13時に伺います。

ーああ、ありがとう。綾城くん! じゃあ、他の二人にも話しておくから頼むよ。

そう言って機嫌良く電話は切れた。
ああ、面倒くさいことになったが、同じ満点だという他の二人に興味はある。

「直己、校長先生から電話があったと聞いたがなんだったんだ?」

仕事が休みで家にいた父さんに話しかけられ、とりあえず話をしてみた。

「ああ、その二人なら心当たりがある」

「えっ? なんで?」

「ほら、私の古くからの友人の久嗣と寛海のところにもお前と同じ歳の子どもがいるって言っただろう? あの二人もお前と同じ高校に合格したって連絡が来ていたからな」

「えっ? そうなのか?」

「ああ。久嗣たちの息子もかなり優秀だと聞いているからおそらく、というか間違いなくあの二人に間違いないだろう」

「どういう二人なんだ? 父さんは会ったことがあるのか?」

「何言っているんだ、お前だって会ってるだろう?」

「はぁ? いつだよ」

「あれは確か……もうすぐ幼稚園に上がる頃だったか。久嗣のところがしばらくアメリカに住んでいて、そこから戻った記念に家族で会おうって話になって、三組の家族であったじゃないか。まぁ、三人とも同じくらい、我が強くて全然交わろうとしなかったから、もう少し大人になるまで接触は控えさせておこうって話になったんだよ」

そんな話を聞かされれば、遠い昔そんなことがあったなと朧げな記憶が甦ってくる。

あの頃は、周りにいる子たちが自分よりも劣った存在だと思っていて、俺はいつでも頂点にいたのに、あの時会った瞬間にわかった。
初めて自分と同レベルの存在に出会って、どうしていいかわからなかったんだ。
きっと二人も同じだったんだろう。
結局一度も言葉を交わさないまま、終わったような覚えがある。

そうか……あいつらか。
それなら納得できるような気がするな。

だとしたら、明日あの二人に再会できるのか……。
高校なんて大学に行くための布石に過ぎないと思っていたが、なんだか楽しみに思えてきた。

つまらなかった中学までの生活から抜け出せるかもしれないな。

そんな気がした。


翌日、私服でいいということだったので、私服で高校に向かうと、前から同じような背格好の男が私服で近づいてくるのが見えた。

ああ、あれがもしかして……。

そう思った瞬間、

「もしかして、綾城か?」

と声をかけられた。
ほぼ初対面とは思えないほど、フランクに話しかけられて少し面食らうが、嫌な気はしない。

「ああ、そうだ。お前は?」

「俺は悠木。父さんから話は聞いているぞ。へぇ、写真で見たけど、ほんとそっくりなんだな」

「そうか? それあんまり嬉しくないんだけど……」

少し嫌そうな顔をして見せると、彼は面白いものでも見たとでもいうような表情で楽しげに笑った。

「ははっ。悪い。俺、悠木寛人。よろしくな」

「ああ、俺は綾城直己。よろしく」

「俺たち、昔会った頃があるって覚えてるか?」

「実は、父さんに聞いて思い出した。お前は覚えていたのか?」

「ああ、もちろんだよ。お前に会ってすぐに、『お前、なんか鼻につくやつだな』って言われたんだぞ。忘れるわけないだろ」

「俺……そんなこと言ったか?」

「まぁ俺が一番誕生日が早くてあの時は体格も大きかったからな。小さなお前から見たら気に入らなかったんじゃないか?」

ああ、確かにほのかに覚えている。
俺はあの頃はクラスでもでかい方だったのに、初めて同級生に見下ろされたようで腹が立ったんだ。
そんなことでと今なら思うがその時の俺にとっては重要なことだったんだろうな。

「それは……悪かったな」

「ははっ。お前、いいやつだな。昔のことなのに謝ってくれるなんて」

「まぁそこは大人としてな」

「俺たち、仲良くなれそうだな」

「ああ、そうだな」

笑顔を見せると、悠木もまた嬉しそうに俺を見ていた。

「それで、もう一人はまだ来ないのか?」

「そういえば……」

そう言った時、後ろから、

「もしかして悠木と綾城?」

と声が聞こえてきた。

振り返ると、さらさらとした髪を靡かせ、まるでどこかの国の王子さまのようなイケメンが近づいてくるのが見えた。

「お前……観月?」

「ああ。そうだよ、観月凌也。よろしくな」

煌めくような笑顔を見せてくるが、その目の奥は本気で嬉しそうには見えない。
なんだろう……何もかも諦めたようなそんな表情に俺も悠木もなんとなく違和感を感じる。

「お前、大丈夫か?」

「えっ? なんだよ、いきなり」

「いや、俺たちに無理して笑うことなんかないぞ」

「――っ、なんで、それ……っ」

「いや、見たらわかるだろ、なぁ」

「ああ。お前も俺たちと同じだな」

そう。
周りと比べて賢過ぎて、顔が良くて、親が金持ちで……そんなことでずっと羨むような視線ばかり受けてきた。
人のやっかみを受け流すために笑顔で躱すのを覚えた。
俺たちが三人でいれば、それももう気にしないでいられるだろう。

「――っ、そうか……。なんか、少し安心した」

「ははっ。なんだよ、それ」

「いや、これから、よろしく頼むよ」

そう笑った観月の目は本気で嬉しそうに見えた。
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