俺の天使に触れないで  〜隆之と晴の物語〜

波木真帆

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一世一代のプロポーズ

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<side隆之>

コテージでの二人きりの時間。
ようやく訪れたこの時間にすっかり箍が外れてしまった。

昨夜も離れて過ごしたし、今朝から可愛い晴の姿に興奮させられていたのだから仕方がないと言えばそうなのだが、意識を失わせるまでしてしまうのはやり過ぎだったかもしれない。

でも晴との甘い時間を過ごしたことについては一切後悔はない。
必死に俺に抱きついて心から気持ちよさそうな可愛い声を聴かせてくれて最高に幸せな時間だった。

温泉の中で晴が目覚めたら渡そうと準備していたアレをこっそり忍ばせて、晴を優しく抱きかかえる。
このベッドに搭載されているシーツ交換スイッチを押してから部屋からすぐに行ける温泉に向かった。
かけゆをして二人の蜜で汚れた身体をあらかた清めてから、そっと湯の中に入る。
持ってきたアレはすぐそばの岩の影に隠しておいた。
湯に浸かると晴の身体がピクリと震えたがまだ私に抱きついたまま目を開けることはない。
けれど、俺にしっかり抱きついたままというのが実に可愛い。

電車で晴の姿を見かけて一目惚れした時には、数ヶ月後にこんな幸せな時間が訪れるなんて思ってもなかった。
あの日、晴を助けてから俺の人生が大きく変わったんだ。

本当にあの時晴を助けられてよかった。

これからも一生守り続けると誓うよ。

「愛してるよ、晴……」

抑えきれない晴への思いが溢れて、可愛い唇にキスをする。
重ねただけの軽いキスだが、思いは何よりも深い。

ゆっくりと唇を離すと、腕の中の晴が身動いだ。

そしてゆっくりと瞼が開いていく。

その綺麗な目が俺の顔を映した途端、目の奥に喜びの色が見えた。

晴は俺がそばにいることを心から望んでくれている。
それがわかるだけでとてつもなく嬉しかった。

今の状況がわかっていない晴に、ここが露天風呂で、身体を清めて二人で浸かっていた事を告げると急に謝罪してきた。
晴にしてみれば、二人でいるのに眠ってしまって申し訳ないという気持ちだったんだろうが、俺は晴に謝られることは何もない。

むしろ、俺が激しくしすぎたせいで意識を失わせてしまったのだから文句を言われたって返す言葉もないのに。
晴がこうして甘やかすからつい甘えてしまう。

そのことを謝ると晴は幸せだと言ってくれる。
それなら俺だって同じだ。

晴との時間は全てが幸せで怖いくらいだ。

晴が目を覚まして、今は最高のシチュエーション。
上を見てごらんと声をかけ、美しい星空を見せる。

手の届きそうなほど近い場所に見える美しい星空の下で、晴に目を瞑らせるとキスと勘違いした晴が可愛い顔を見せてくれる。愛の言葉をかけて、その可愛い顔を少し堪能して、晴が痺れをきらす直前でそっと晴の手を取って、用意しておいたアレをつけた。

目を開けるように告げ、目が開いた瞬間、晴の可愛い唇を奪った。
そうして驚かせて、一番見せたかったものを晴に見せた。

それを見つけて驚きの表情を見せる晴に一世一代のプロポーズを告げた。

「俺からの婚約指輪。晴が社会人になる前に渡しておきたかったんだ。晴、もう一度言うよ。この先の人生をずっと俺と一緒に生きていってほしい」

晴に一目惚れしたあの日から、俺が一生一緒にいたいのは晴しかいないと思っていた。
だから晴が社会人になる前のどこかの段階で必ずプロポーズして指輪を贈ろうと決めていた。
そのための指輪は準備していたけれど、それがクリスマスか、正月かと考えていたが、どうにもしっくりこなかったが、今回旅行の計画ができたときにここだと思った。

断られるなんて微塵も考えていなかったけれど、晴に指輪をはめてプロポーズの言葉を告げ、「僕でいいの?」と返された時には身体が震えた。

「晴じゃないとダメなんだよ。だから、返事をくれないか?」

恥も外聞も捨てて、縋るように必死に告げる。

「僕も隆之さんと一生一緒に生きていきたい! 隆之さんのそばにいたい!!」

晴の心の叫びのような返事が聞けて俺は死ぬほど嬉しかった。

旅行が終わったら、晴の家に挨拶に行って結婚を認めてもらおう。
そして、俺の籍に入れて、入社した時から早瀬の苗字を使わせよう。

そんなことを考えながら、しばらくの間、晴との甘いキスを堪能していた。

そっと唇を離すと、晴の顔は涙に濡れていた。

「ごめんなさい、嬉しすぎて涙が止まらなくて……」

「謝らなくていい。それくらい喜んでくれて嬉しいよ」

晴を抱きかかえて風呂を出た。
そして大きなバスタオルに包んで、先ほどの部屋に戻ると新しいシーツでベッドメイキングが終わっていた。

このベッドは実に素晴らしい。

ぜひ俺たちの家にもこのベッドを置きたいものだ。
きっと今頃アルも同じことを思っているに違いない。
後でこのベッドがどこの製品なのか調べておくとしよう。

裸のままベッドに横たわっても晴は嬉しそうに自分の左手の薬指に嵌まった指輪を眺めてみた。

「気に入ってくれたか?」

「もちろんです! すごく綺麗でずっとみてても飽きないです」

「ははっ。よかったよ。これは絶対に晴に似合うと思ったんだ」

仕事で培った情報をもとに見つけたこの宝石店で見つけたこのリング。
指輪の形は気に入ったけれど、中の宝石はピンとこなかった。

もっとグレードのいいものを見つけて欲しいと必死に頼んでようやく見つかったのがこのダイヤだった。
晴には金額を言うつもりはないが、アルや、見る人が見ればすぐに四桁は下らない代物だということはわかるだろう。
晴がつけるものだという価値を考えればこれでも安いものだが、それでも今の状態で一番いいものを見つけられたと思う。
だから晴が気に入ってくれたならそれはすごく嬉しいことだ。

「明日、理玖に見せてもいいですか?」

「もちろんだ。というか、これからずっと身につけているんだ。絶対に外さないようにな」

「いいんですか?」

「婚約指輪はそういうものだよ。特に晴の場合は結婚指輪も兼ねてるからずっとつけていてくれ」

「わかりました!」

素直にいう事を聞いてくれるからありがたい。
実はこの指輪にGPSが内蔵されている。
これで何かあってもピンポイントで晴を探し出せる。

他にもいくつかGPSをこっそり持たせているが、事件に巻き込まれやすいからGPSは多くても問題はない。

晴は幸せそうな表情を浮かべながら眠りについた。
そっと晴の指輪にキスをして、俺も眠りについた。

今日は最高の夢が見られそうだ。
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